
医療の高度化と専門分化が進む中、効果的なチーム医療の実践はますます重要となっています。
本ガイドでは、第一線で活躍する看護師に向けて、多方面連携の基本から実践医療安全の向上まで、実践的に役立つ情報を徹底的にまとめました。具体的なノウハウを、豊富な事例とともにお届けします。
この記事を読んでほしい人
- チーム医療の実践方法を体系的に学びたい看護師
- 多職種連携でのコミュニケーションに課題を感じている医療従事者
- 医療安全の向上や質の改善に取り組む管理職の方
- 新人教育やスタッフ育成に携わる指導者
- 効率的な情報共有の方法を実践している現場スタッフ
この記事で分かること
- チーム医療の基本概念と重要性
- 多職種連携の実践方法
- 医療安全の向上
- 看護師の役割と貢献
- 最新の医療制度と動向
チーム医療の基本理念と重要性

本章では、チーム医療の歴史の背景から現代における意義まで、基本的な考え方を解説します。
チーム医療の定義と歴史の背景
チーム医療の概念形成
医療の高度化と専門分化に伴い、チーム医療の必要性が認識されるようになりました。 医療の専門化は、より効果的な治療提供のための多方面連携を推進することとなります。
法制度の整備過程
2010年には「チーム医療の推進に関する検討会」が設置され、具体的な方向性が示されることになります。
チーム医療の基本的な考え方
患者センターの医療提供
医療サービスの中心に患者を置き、その必要に応じた適切なケアを提供することがチーム医療の基本となります。
効果的な分野間連携の実践方法

医療現場における分野間連携は、患者さんへの最適な医療提供の基盤になります。
本章では、実践的な連携手法と具体的なコミュニケーション技術について解説していきます。
情報共有の基盤づくり
カンファレンスの効果的な運営
日々のカンファレンスは情報共有の重要な機会となります。事前準備から実施、フォローアップまでの一連の流れを効果的に運営することで、チーム全体の情報共有が促進されます。
そのため議題の事前周知や必要な資料の用意、参加者の時間調整などが大切です。また、カンファレンス中の発言機会の確保や、決定事項の記録と共有も重要な要素となります。
電子カルテの活用方法
電子カルテシステムを活用した情報では共有時に、必要な情報が適切に確認できる環境が重要です。記載方法の標準化や、重要情報の区画付けなど、運用ルールの確立が求められます。
また、セキュリティ面での配慮も忘れてはなりません。
申し送り方法の標準化
確実な情報伝達のために、申し送り内容や方法の標準化が必要です。優先度の設定や確認手順の明確化により、重要情報の確実な伝達が可能となります。
コミュニケーション技術の向上
SBAR手法の実践
状況、背景、評価、提案の順で情報を伝えるSBAR手法は、効率的な情報共有を可能にします。漏れなく、わかりやすく伝えることができます。
共通言語の確立された方法
部門間でのスムーズなコミュニケーションのために、共通言語の確立が重要です。
専門用語の使用基準や略語の統一など、誤解を防ぐための工夫が必要となります。
分野別の連携ポイント
医師との効果的な連携
医師との連携では、タイミングと情報の正確性が重要です。
緊急性の判断や報告内容の優先順位付けなど、状況に応じた正しい対応が求められます。
薬剤師協働体制
服薬管理や副作用モニタリングにおいて、薬剤師との緊密な連携が必要です。
情報共有の方法や確認のタイミングなど、具体的な手順の確立が重要となります。
リハビリテーションスタッフとの連携強化
患者さんのADL評価や目標設定に関して、リハビリテーションスタッフとの連携が欠かせません。
日々の状態変化の共有や、訓練内容の調整など、きめ細かな連携が求められます。
目標設定と評価の仕組み

チーム医療の効果を最大限に引き出すためには、適切な目標設定と評価の仕組みが必要です。
本章では、具体的な目標設定の方法から評価システムの構築まで、実践的なアプローチを解説します。
チーム目標の手法設定
SMART基準による目標設定の実践
効果設定には、具体性、測定可能性、達成可能性、関連性、期限の5つの要素が重要です。
具体的な数値目標を設定し、その達成度を定期的に確認することで、チーム全体の方向性を明確にすることができます。
目標は現場の状況やリソースを考慮しながら、実現可能なレベルに設定することが重要です。
組織目標との整合性確保
チームの目標は、組織全体の方針や目標と整合性を持たせる必要があります。
上位目標を尊重しながら、チーム独自の課題や特性を反映させた目標設定を行うことで、効果的な活動が可能となります。
部門別目標の展開方法
組織目標をもとに、各部門の特性や役割に応じた具体的な目標を設定します。
部門間の目標の整合性を確保しながら、それぞれの専門性を協議した目標設定を行うことが重要です。
個人目標への落とし込み
部門別目標を個人レベルの具体的な行動目標に落とし込むことで、チーム全体の目標達成に向けた個人の役割が明確になります。
個人の能力や経験を踏まえながら、適切な目標設定を行うことが求められます。
評価システムの構築
評価会議の効果的な運営
定期的な評価会議では、目標の達成状況や課題を確認します。評価の頻度や方法を標準化し、継続的な改善につなげることが重要です。
会議では建設的な議論を推進し、チームメンバー全員が意識的に参加する環境づくりが必要となります。
客観的評価指標の設定方法
評価の客観性を確保するために、明確な評価指標の設定が必要です。定量的な指標と定性的な指標をバランスよく組み合わせ、多角的な評価を可能にします。様々な観点からの評価指標を設定することが必要になります。
ベンチマーク活用の実践
配置や他の施設のデータをベンチマークとして活用することで、自チームの現状を客観的に把握することができます。
ベンチマークの検討や比較方法を工夫し、効果的な改善活動につなげることが重要です。
フィードバックの方法
評価結果を個人やチームにフィードバックする際は、具体的な改善点を示しながら、モチベーションの維持・向上につながる伝え方を心がけます。定期的な面談や文書でのフィードバックなど、状況に応じた方法を選択することが求められます。
改善計画のプロセス
評価結果をもとに、具体的な改善計画を立てます。
課題の優先順位付けや実行可能性の検討を行いながら、効果的な改善活動を計画することが重要です。
改善計画には具体的な行動目標とスケジュールを含め、進捗管理を確実に行う形式で作成します。
実践的な推進テクニック

チーム医療を効果的に推進するためには、正しいリーダーシップと問題解決能力が必要です。
本章では、現場で活用できる具体的な推進手法について解説します。
リーダーシップの活動
状況に応じたリーダーシップスタイル
チームの状況や課題に応じて、正しくリーダーシップスタイルを選択することが重要です。指示アプローチが必要な場面もあれば、メンバーの自主性を重視すべき場面もあります。
最適なリーダーシップを発揮することで、チームの効果的な運営が可能となります。
メンバーの強み活用
チームメンバーの強みを理解し、それを活かすことが重要です。個人の専門性や経験を活かす役割分担を行うことで、チーム全体のパフォーマンスを向上させることができます。
モチベーション管理の実践
チームメンバーのモチベーションを維持・向上させるための工夫が必要です。適切な目標設定や成果の認識、建設的なフィードバック、様々なアプローチを慎重に行うことで、持続的な改善活動が可能となります。
問題解決アプローチ
PDCAサイクルの効果的な運用
計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のサイクルを確実にまわすことが重要です。各計画段階での具体的な行動を立て、確実に実行することで、改善が可能となる可能性があります。
5W1Hによる課題分析
問題が発生した際は、5W1Hの観点から分析を行います。それにより、本質的な課題の特定が可能となります。
合意形成の推進者
チーム内での建設的な協議など合意形成のために、メンバー全員の意見を尊重しながら議論を進めることが重要です。
記録上の仕組み
問題解決のプロセスと結果を確実に記録し、チーム内で共有する仕組みを整えることが必要です。成功事例や失敗事例を組織の財産として惜しみなく、将来の改善活動に活かすことができます。
成功事例と改善のポイント

チーム医療の実践において、他施設の成功事例から学ぶことは非常に重要です。
本章では、具体的な成功事例とその改善のポイントについて解説します。
代表的な成功事例
褥瘡対策チームの実践例
褥瘡対策チームでは、看護師、医師、栄養士、理学療法士が協働して患者ケアにあたります。そして発生率を大幅に軽減させることができました。
予防的なケアの強化と、早期発見・早期対応の体制構築が成功の鍵となります。
退院支援カンファレンの改善事例
退院支援において、多方面が参加するカンファレンの運営方法を考えることで、効率的な情報共有と意思決定が可能となりました。
事前の情報収集と課題整理、時間管理の徹底により、限られた時間内で効果的な支援計画の検討ができるようになります。
医療安全推進の取り組み
インシデントレポートの分析と対策にあたっては、多方面チームによる検討会を定期的に開催することで、様々な視点からの意見を集め、効果的な改善策を検討することができました。
積極的に取り入れながら、実行可能な対策を講じていくことが重要です。
改善に向けたチェックポイント
目標設定の適切性評価
チームの目標が正しく設定され、定期的に評価することが重要です。
目標の具体性、測定可能性、達成可能性、関連性、期限の見通しから、現状に即した目標となるかを確認します。
状況確認方法
地域間の連携が効果的に機能していることを確認するためのチェックポイントを設定します。
改善活動の進捗管理
改善活動の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて計画の修正を行います。
数値目標の達成度や、具体的な改善事例の暫定など、客観的な指標をもとに進捗を管理することが重要です。
成果の可視化手法
チーム医療の成果を定着させ、メンバーと共有することで、モチベーションの維持・向上につながります。
定量的なデータの活用や、具体的な改善事例の共有など、効果的な長期化方法を工夫することが求められます。
実践のための具体的なツール

チーム医療を効果的に推進するためには、具体的なツールの活用が重要です。
本章では、実践で活用できるさまざまなツールとその使用方法について解説します。
チェックリストとテンプレート
カンファレンス記録シートの活用
多分野カンファレンスの記録を効果的にし、共有するためのシートを活用します。
参加者、議題、決定事項、フォローアップ項目など、必要な情報を漏れなく記録できる様式を整備することが重要です。記録の標準化により、振り返りや評価が簡単になります。
目標設定シートの運用
チームや個人の目標を具体的に記載し、進捗管理を行うためのシートを活用します。目標の設定から評価までのプロセスを一元管理することで、効果的な目標管理が可能となります。
見直しと更新を行うことで、継続的な改善活動を支援します。
評価フィードバックフォーム
評価結果を効果的にフィードバックするためには、具体的な評価項目と改善のポイントを明確に示すことで、建設的なフィードバックが整備可能となります。
活用しやすい様式を工夫することが重要です。
コミュニケーションツール
情報共有ボードの設計
チーム内での情報共有を促進するためのボードを活用します。
重要事項の掲示や進捗状況の管理など、視覚的に情報を共有することで、チームメンバー全員の認識を認識することができます。
更新ルールを明確にし、常に最新の情報が提供されるよう管理します。
タスク管理表の運用
チーム内の業務進捗を管理するためのツールとして、タスク管理表を活用します。
担当者、期限、進捗状況など、必要な情報を一元管理することで、効率的な業務運営が可能となります。優先順位の設定や進捗の確認が簡単にできる様式を整備します。
進捗確認シートの活用
改善活動やプロジェクトの進捗状況を確認するためのシートをします。
目標に対する達成状況や課題の具体的、対策の実施状況など、必要な情報整備を観点から管理することで、効果的な進捗管理を定期的な更新と共有を行うことで、チーム全体での状況認識を促進します。
特定領域でのチーム医療実践

医療現場の特性に応じた、効果的なチーム医療の展開が求められています。
本章では、急性期医療と慢性期医療それぞれの場面における実践方法について解説します。
急性期医療での実践
救急医療チームの連携
救急医療現場では、迅速かつ迅速な判断と対応が求められます。
医師、看護師、救急救命士などの多職種が連携できるよう、明確な役割分担とコミュニケーションルートを確立することが重要です。定期的なシミュレーション訓練をしながら、チームの対応力を向上させることが必要となります。
術前術後管理の協働
手術に関わる多職種チームでは、周術期の患者管理において緊密な連携が必要です。
麻酔科医、外科医、看護師、リハビリテーションスタッフなど、各部門の専門性を協議した介入計画を立て、情報共有の確実性と介入のタイミングが重要となります。
クリティカルケアの実践
集中治療室などのクリティカルケア領域では、24時間体制での継続的な患者管理が必要です。密な情報共有と、状態変化への迅速な対応体制の確立が重要です。
医療職者間での密な連携により、質の高い医療を提供することができます。
慢性期医療での実践
生活習慣病管理チームの運営
糖尿病や高血圧などの生活習慣病管理では、長期的な視点での患者支援が必要です。
医師、看護師、管理栄養士、理学療法士などが協働して、患者の生活背景をじっくりと見極めた支援計画や定期的なカンファレンス、支援内容の評価と調整を行うことが重要です。
リハビリテーション計画の協働
回復期や維持期のリハビリテーションでは、患者の生活機能の向上を目指した多方面連携が重要です。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師などが協働して、個々の患者に適した訓練プログラムを策定し、実施します。目標設定と進捗評価を共有しながら、効果的なリハビリテーションを提供することが求められます。
在宅療養支援の展開
在宅療養支援では、医療と介護の連携が基本です。訪問看護師、ケアマネージャー、医師、理学療法士などが協働して、患者の生活環境に応じた支援体制を構築します。
カンファレンスやICTツールの活用により、効果的な情報共有と支援の継続性を確保することができます。
医療安全とリスクマネジメント

チーム医療における医療安全の確保は最重要課題の一つです。
本章では、安全管理体制の構築からインシデント対応まで、実践的な取り組みについて解説します。
安全管理体制の構築
医療安全委員会の運営
医療安全委員会を中心とした組織的な安全管理体制の構築が重要です。委員構成により、様々な視点からの安全対策を検討し、実践することが必要になります。開催と、決定事項の確実な伝達・実行が求められます。
安全マニュアルの整備
医療安全に関する基本的な考え方や具体的な手順を明文化したマニュアルの整備が必要です。
安全文化の醸成
組織全体で医療安全を重視する文化を育むことが重要です。
立場や立場を超えて、安全に関する意見を自由に発言できる環境づくりと、建設的な改善提案を推進する体制の確立が求められます。
インシデント対応
システムが確立されている
インシデントやアクシデントを確実に報告・分析できるシステムの構築が必要です。報告しやすい環境づくりと、報告内容の正しい分析・フィードバックにより、再発防止につながることができます。
分析手法の実践
発生したインシデントの継続分析では、RCA(根本原因分析)などの手法を活用します。多方面チームでの分析により、様々な視点からの課題抽出と対策が可能となります。
改善策の立案と実施
分析結果をもとに、具体的な改善策を導き出し、実施することが重要です。
分割間での連携を強化し、確実な対策実施と効果検証を行うことで、医療安全の向上につなげることができます。
教育・研修プログラム
チーム医療の質を高めるためには、継続的な教育と研修が必要です。
本章では、新人教育から継続教育まで、効果的な教育・研修プログラムについて解説します。
新人教育プログラム
オリエンテーションの実施
新たにチームのメンバーに加わって、チーム医療の基本理念や運営方針を理解してもらうためのオリエンテーションを実施します。
組織の理念や目標、各方面の役割、コミュニケーション方法など、基本的な事項については丁寧な説明を行うことが重要です。
実践的なトレーニング
実際の業務を想定した実践的なトレーニングを行い、チーム医療に必要なスキルを習得できるようにします。
シミュレーション訓練やロールプレイなどを活用し、実践的な場面での対応力を養成することが求められます。
メンター制度の活用
経験豊富なスタッフがメンターとなり、新人の成長をサポートする体制を整えます。
日々の業務の中での疑問や課題について、気軽に相談できる環境を作ることで、スムーズな業務習得を支援することができます。
継続教育の実施
定期的な勉強会の開催
チーム医療に関する知識やスキルの向上を目的とした勉強会を定期的に開催します。
多方面合同研修の実施
合同研修を行い、相互理解と連携の強化を図ります。それぞれの専門性や役割について学び合い、チームとしての対応力を高めることができます。
外部研修への参加支援
院外で開催される研修や学会への参加を支援し、最新の知識や技術の習得を促進します。
得られた知見をチーム内で共有することで、組織全体の医療の質向上につながることができます。
今後の展望と課題

医療を始める環境は日々変化しており、チーム医療にもそれに応じた進化が求められています。
本章では、今後の展望と課題について考察します。
医療制度の変化への対応
地域を含むケアへの展開
高齢化社会の進展に伴い、地域を含めたケアシステムの中でのチーム医療の役割がより重要となっております。医療機関内での連携にとどまらず、地域の医療・資源と介護の効果連携体制の構築が求められます。
診療報酬制度への対応
チーム医療に関連する診療報酬の改定に適切に対応し、質の高い医療提供と経営持続可能性の両立を図ることが重要です。
新技術導入への取り組み
ICT活用の推進
電子カルテシステムの高度化やオンラインでの情報共有ツールの発展により、より効率的なチーム医療の実践が可能となっています。
新しい技術を正しく評価し、導入することで、医療の質向上に繋ぐことができます。
AI・IoTの活用検討
これらの技術をチーム医療にどのように活用していくか、メリットとリスクを十分に検討しながら、段階的な導入が進んでいます。
まとめ
チーム医療の推進は、現代の医療に関して重要な要素となっています。この記事での基本的な考え方や実践的なツール、具体的な事例を参考に、各医療機関の特性に応じた効果的なチーム医療を展開していくことが求められます。
医療を進める環境は今後も変化を続けていきますが、患者中心の医療を実現するという基本理念のもと、多方面が協働してより質の高い医療を提供できるよう、継続的な改善と発展を目指して進んでいく必要があります。
このガイドが、実践的なチーム医療の推進に向けた一助となれば幸いです。
おしえてカンゴさん!よくある質問コーナー

このセクションでは、現場の看護師からよく寄せられる質問について、経験豊富な看護師「カンゴさん」がわかりやすく解説します。
Q1:新人看護師ですが、医師への報告で緊張してしまい、うまく伝えられません。どうすればよいですか?
カンゴさん:報告時の緊張は誰もが経験することですよ。
SBAR(エスバー)という方法を使って、整理して報告できます。S(状況)、B(背景)、A(評価)、R (提案)の順で伝えましょう。
「38.5度の発熱があり、昨日は37.2度でした。白血球も上昇傾向です。解熱剤の使用を検討していただけますか」というように組み立てます。事前にメモを準備し保管しておいても効果的ですよ。
Q2:多方面カンファレンスで意見を求められたとき、どんな話をしたらよいかわかりません。看護師の視点として、どんなことを伝えるべきですか?
カンゴさん:看護師は24時間患者さんの状態を観察している専門職です。
日常生活動作(ADL)の状況、生活リズム、食事摂取状況、睡眠状態、そして患者さんやご家族の思いなど。例えば「夜間の睡眠が取れています、日中の活動性が問われています」「食事は自力摂取できるようになりましたが、水分とろみが必要です」といった具体的な内容がいいですよ。
Q3:チーム内で情報共有がうまくいき、同じことを何度も確認できます。
カンゴさん:電子カルテの活用が鍵になりますね。
重要な情報は注目のように記載し、必要に応じてポップアップ機能を使用します。また、患者さんのベッドサイドにあるケア表やホワイトボードを活用するのも効果的です。
日々の申し送りでは、特に重要な情報を優先的に共有し、その日のケアプランに直結する内容を中心に伝えましょう。
Q4:リハビリスタッフと意見が異なることがあります。どうやって調整すればよいですか?
カンゴさん:まずはリハビリスタッフの専門的な視点を理解することが大切です。
例えば、看護師は安全性を重視しがちですが、リハビリスタッフは機能回復や自立支援の観点から積極的なアプローチを提案します。
お互いの意見の根拠を踏まえ、患者さんにとっての最善の方法を見つけてみましょう。
Q5:在宅支援に向けたカンファレンスで、ケアマネージャーとの連携がうまくいきません。病棟看護師として、どのような情報提供をすべきですか?
カンゴさん:入院中の具体的なADL評価が重要です。
「トイレまでは歩行器で移動可能」「食事は自力摂取だが、準備に介助が必要」など、在宅での生活をイメージできる情報を提供します。また、医療行為の内容や頻度、患者さんやご家族の介護力についても具体的に伝えることで、正しいケアプランの作成につながります。
Q6:夜勤帯での多方面連携が難しいと感じています。夜間の緊急時、どのように他分野と連携すればよいでしょうか?
カンゴさん:緊急時の対応については、事前に手順を確認しておくことが重要です。また、予測される問題については、事前に対応策を確認しておくと安心ですね。記録は詳細に残し、次回の申し送りで確実に情報共有することも忘れずに。
まとめ
チーム医療の実践において重要なのは、患者さんを中心とした多方面の協議的な連携です。
本書で解説した基本的な考え方や具体的なツールを活用しながら、各医療機関の特性に合わせた効果的なチーム医療を展開していきましょう。 そして日々の実践を大切に、より質の高い医療の提供を目指して頑張りましょう。
このガイドの内容をさらに深く学びたい方、実践的なスキルを磨きたい方、【はたらく看護師さん】の各種サービスをぜひご活用ください。 最新の医療情報や、現場で実践的な知識が掲載されています。