「自分が貰っているボーナスって他と比べたらどうなんだろう?」と考える看護師も多いのではないでしょうか。コロナ禍により、各職場のボーナス事情も変わりました。場合によっては、好待遇の職場に転職したいと考える看護師も少なくありません。
そこで本記事では、看護師の最新ボーナス事情を詳しくご紹介していきます。年代別や都道府県別のボーナス相場もご紹介しますので、気になる方はぜひ参考にしてください。
【2023年最新】看護師の平均ボーナス額

早速、厚生労働省から発表された最新の看護師ボーナス額をご紹介していきます。夏と冬の年2回支給されるボーナスを合計した平均額は以下の通りです。
看護師の平均ボーナス額 約862.000円
参考元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
一度当たりの平均額は約431.000円となり、月給の1.5ヶ月分といったところでしょうか。ちなみに准看護師は平均で約64万円程度となっています。
ボーナスの手取り額
ご紹介した平均ボーナス額は総支給額となるため、ここから税金が引かれたものが手取り額となります。一般的には約2割程度引かれることになるので、実際の手取り額は約70万程度、一度の手取りボーナス額は約35万円程度が平均ボーナス手取り額といえるでしょう。
規模別平均ボーナス額
ボーナス額は施設の規模によっても異なります。どのくらい変わるのかを表にまとめてみたのでご覧ください。
施設規模 | 総支給額 | 手取り額 |
10人から99人 | 647,900円 | 518,320円 |
100人から999人 | 794,300円 | 635,440円 |
1000人以上 | 1,031,300円 | 825,040円 |
参考元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
結果からもわかるように、規模が大きくなればなるほどボーナスの支給額も大きくなりますね。小規模施設と大規模施設では、総支給額で約40万程度、手取り額でも約30万程度違うことが分かります。
年代別平均ボーナス額助
次に年代別のボーナス支給額を見ていきましょう。こちらも表にまとめましたのでご覧ください。
年齢 | ボーナス平均額 |
20~24歳 | 46.2万円 |
25~29歳 | 76.7万円 |
30~34歳 | 78.3万円 |
35~39歳 | 90.6万円 |
40~44歳 | 96.5万円 |
45~49歳 | 103.6万円 |
50~54歳 | 105.8万円 |
55~59歳 | 109.0万円 |
60~64歳 | 70.3万円 |
65〜69歳 | 44.5万円 |
参考元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
20代から30代前半にかけては低い水準になりますが、30代後半から40代にピークを迎え、100万を超えるボーナスを期待することができます。役職や勤続年数などが加味されるもので、15年以上経験を積む看護師は100万円を超えるボーナスになることが多いようです。
<看護師・ナースのリアルな声>現在どのくらいのボーナスをもらっていますか?
助産師・保健師のボーナス額
次に、同じ看護職である助産師と保健師のボーナス額はどうなっているのか見ていきましょう。
助産師 約105.8万円
保健師 約80.7万円
参考元:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
助産師や保健師は、看護師資格以外にも資格を必要とする業種です。業務内容や形態により金額は異なりますが、看護師のボーナスは他の業種と比べてもいい方だということが分かります。
ボーナスの支給時期
看護師のボーナス支給時期は年に2回、夏と冬に行われるのが一般的です。夏のボーナスは6月から7月にかけて支給され、冬のボーナスは12月に支給されます。一般的に、冬のボーナスの方が夏のボーナスよりも高額です。
ただし、病院や医療施設によっては、ボーナスの支給時期が異なることがあり、年に1回しか支給されない場合もあります。看護師のボーナスは、施設の決算や経営方針に影響を受けて変動するため、具体的な支給時期は施設によって異なることに留意してください。
<看護師・ナースのリアルな声>今のボーナスに満足していますか?
コロナ禍によるボーナスの変化

新型コロナウイルスパンデミックの影響により、看護師の約4割がボーナス額が低くなったといわれています。特に2020年の冬のボーナスでは、前年に比べて支給額が低かったと感じた看護師が約半数に増加しました。
この変動は、給与をベースに計算されるため、給与自体が減少した可能性が考えられます。ボーナスについての具体的なケーススタディとして、コロナ禍の影響によるボーナスの上昇と下降があります。
一部の看護師は、新型コロナウイルスのPCR検査を行う医療機関で危険手当が支給され、収入が増加しました。また、マスク着用や自宅滞在の増加により、美容クリニックの需要が高まり、美容関連の診療を提供する看護師も売上の恩恵を受け、ボーナスは上がっているようです。
一方で、新型コロナウイルスの流行により、予定されていた受診が延期され、クリニックや医療機関の収益が大幅に減少した場合もありました。コロナの影響により、看護師のボーナスに影響を及ぼし、ボーナスが大幅に削減された事例も多くあります。さらに、入院患者の減少に伴い残業代が減少し、看護師の収入に影響を及ぼした状況も見られました。
新型コロナウイルスパンデミックの波及効果により、看護師の給与・ボーナスには多様な変化が生じており、各看護師の状況によって異なる影響を受けています。
<看護師・ナースのリアルな声>コロナの影響でボーナス事情は変化しましたか?
看護師のボーナスの仕組み
看護師のボーナスの支給額は、基本給の数か月分をベースに決定されるのが基本です。支給額は査定期間中の勤怠日数、年次、役職などによって変動し、経験年数が増えるほどボーナスが増加することが期待されます。ボーナスは毎月の給与と異なり、病院の経営状況などによって支給されない場合もあるため、注意が必要です。
休職中の場合
病気やケガによって休職中の看護師がボーナスを受け取るかどうかは、一般的に休職中のボーナスは支給されないことが多いです。しかし、病院の就業規則や労使協定によってボーナスの支給対象が規定されており、産休・育休中の場合も、査定期間内に一定の勤務実績がある場合には、相応の金額が支給されるケースが存在します。
つまり、ボーナスの支給可否や支給額は、病院や医療機関の方針に依存するため、個別の状況によって異なることがあります。看護師が休職中のボーナスについて詳細を知りたい場合、所属する病院の人事部または労働組合などに確認することがおすすめです。
産休中・育休中の場合
看護師が産休や育休中において、ボーナスは通常、支給されないか減額されることが一般的です。ただし、ボーナスの支給については病院の就業規則や労使協定によって規定されており、産休や育休中においても査定期間内に一定の勤務実績がある場合、相応のボーナスが支給される場合があります。
従って、ボーナスの支給可否や支給額は、個別の病院や労働契約に依存するため、詳細は病院の人事部や労働組合などで確認することが重要です。看護師が産休や育休を取得する際にボーナスに関する取り決めを理解し、適切な対応をすることが重要です。
ボーナス査定の判断基準
看護師の業務内容が数値で評価しづらいため、一般企業とは異なるボーナス査定の判断基準が存在します。ただし、企業看護師の場合、社員と同じ基準でボーナス査定を受けることがあります。ボーナス査定の一般的な基準は病院によって異なりますが、業績、資格・スキル、勤務評価、役職、勤務日数などが考慮されます。
看護師が企業看護師として勤務する場合、社内規定に基づきボーナス査定を受けることになります。
勤怠
勤怠の安定は看護師のボーナス査定に重要な要素です。ボーナスは通常、基本給の数か月分をベースに計算されます。勤怠が不安定で遅刻、早退、欠勤が頻発する場合、給与から減額されることがあります。
勤怠が不安定であることは、ボーナス支給額の査定にも影響を及ぼします。勤怠はタイムカードやシフト管理で記録されるため、正確な就業時間を守ることが重要です。勤怠の安定はボーナスを維持・向上させるために欠かせない要素と言えます。
年次
看護師のボーナス査定において、年次は重要な要素です。初年度のボーナスは通常数万円と低いですが、看護師の勤務年数が増えるにつれてボーナスの額も上昇する傾向があります。
つまり、同じ職場で勤務し続けるほど、ボーナスの支給額が増えることが期待されます。看護師としての経験年数がボーナスに影響を与えるため、キャリアの積み重ねがボーナス額の向上に関わってきます。
役職
看護師のボーナスにおいて、役職による基準もあります。看護師の役職としては、看護主任、看護師長、看護部長などがあり、役職に就くことで、基本給に加えて役職手当が支給されます。
役職手当がボーナスにも反映されるため、役職に就くことでボーナス額が増加します。一般的に、看護主任に就くのは看護師経験が10年以上で、30代以降の看護師が多いため、30代以降に役職に就くことでボーナスの支給額が大幅に増加することが期待されます。
看護師にボーナスが支給されないケース

同じ看護師でも、ボーナスが支給されないケースがありますので、そちらをご紹介していきます。
非正規雇用
ボーナスが支給されない一般的なケースの1つは、非正規雇用の看護師です。非正規雇用とは、正規の看護師として雇用されず、アルバイトやパートタイムの契約で働く場合を指します。非正規雇用の看護師は、通常の給与にボーナスが含まれておらず、ボーナスの支給対象外となることが多いです。
個人経営の病院
個人経営の小さな病院やクリニックでは、ボーナスを支給しないことが一般的です。経営者の経済的な理由や経営者の方針によるもので、看護師が個人経営の医療施設で働いている場合、ボーナスを期待することが難しいかもしれません。
ボーナス時期と入職時期が一緒
ボーナス支給時期と入職時期が一致している場合、ボーナスを受け取れないことがあります。例えば、看護師が7月に新たに採用された場合、夏のボーナス支給時期にはまだ働いていないため、ボーナスを受け取る資格がありません。このような場合、次年度のボーナス支給時期になるまで待つ必要があります。
経営状況が良くない
病院や医療施設の経営状況が悪化している場合、ボーナスの支給が削減されるか中止されることがあります。経営者が経済的な課題に直面している場合、コスト削減の一環としてボーナス支給を見送ることがあるため、看護師が働いている施設の経営状況がボーナスに影響を与えることになるでしょう。
都道府県別の看護師ボーナスTOP5
ここからは、各都道府県別の看護師ボーナス額を見ていきましょう。同じ看護師でも、各地でボーナス事情は異なるようです。
都道府県 | ボーナス額 |
富山県 | 106万2,100円 |
岐阜県 | 105万6,200円 |
福井県 | 103万2,900円 |
山口県 | 102万1,400円 |
新潟県 | 97万3,400円 |
都道府県によって、看護師のボーナスの平均額には大きな差がありますが、最も少なかったのは鹿児島県で、平均60万9,700円でした。これに対し、1位の富山県では平均約105万円で、鹿児島県と比べておよそ45万円も高いボーナスが支給されています。
東京都は都心部でありながら、23位で平均88万3,700円と、他の地域と比べてボーナスの支給額がやや低い結果となりました。同様に、大阪府も29位で平均84万5,900円という結果でした。
ただし、ボーナスの支給額は医療機関や施設、事業所によって異なるため、地域だけでなく、働く場所によっても大きな変動があります。看護師は職場選びによって高額のボーナスを得るチャンスをつかむことが可能です。
ボーナスの少ない看護師が取れる対策とは?

ボーナスの少ない看護師が給与を増やすために取れる対策はいくつかあります。どのような方法があるのかご紹介していきます。
キャリアアップを目指す
看護師の給与を増やすためには、キャリアアップを目指すことが重要です。キャリアアップには以下の方法があります。
専門資格取得
看護師はさまざまな専門資格を取得することができます。例えば、専門看護師や認定看護師の資格を持つことで高度なスキルを持ち、需要の高いポジションに進出でき、給与のアップが期待できるでしょう。
大学院進学
看護師としての知識やスキルを深化させるために大学院に進学し、修士号や博士号を取得することができます。大学院の進学は、教育や研究分野でのキャリアや高給職に進む機会が増えるでしょう。
管理職への昇進
病院や医療機関での経験を積み、管理職に昇進することで、給与が増加する可能性があります。看護部長や院長補佐などの役職を目指し、リーダーシップを発揮しましょう。
<看護師・ナースのリアルな声>キャリアアップでどのくらいビーナス額は変わりましたか?
勤務エリアを変える
給与の高い地域や都市で働くことで、看護師の給与を増やすことが可能です。都市部や人口の多い地域では需要が高く、給与水準も高い傾向があります。転職や勤務地の変更により、給与の向上が期待できるでしょう。
職場の種類・勤務形態を変える
給与を増やすために、異なる職場や勤務形態を検討することも有効です。
大学病院などの大型病院
臨時雇用や臨時パートタイム
<看護師・ナースのリアルな声>職場によってボーナスは変わると実感しますか?
ボーナスを多くもらうために転職をする際の注意点
今よりもボーナスを多く貰いたいと転職を考える方もいると思いますが、転職の際に注意しなければいけない点を3つご紹介します。
転職先の規模
転職を検討する際に、転職先の規模を慎重に選びましょう。大手病院や医療機関は一般的に給与水準が高く、ボーナスも多く支給される傾向があります。大規模な施設では患者数が多いため、看護師の需要が高まり、給与が増加する可能性が高いです。規模の大きな病院やクリニックでの勤務は、給与の向上を目指す上で有利です。
転職時期
転職時期もボーナスの多寡に影響を与える要因の一つです。多くの病院や医療施設では、ボーナスは年末や年度末に支給されます。年度末に転職することで、前職のボーナスを受け取りつつ、新しい職場でのボーナスも期待できるでしょう。転職時期を計画的に選ぶことで、ボーナスの増加に寄与できます。
資格の有無
看護師としての資格や専門資格を有しているかどうかは、給与交渉において大きな要因となります。特に高度な専門知識やスキルを持っている看護師は、需要が高く、給与交渉において優位に立つことができるので、専門資格を取得することで、自身のスキルを高め、ボーナスの増加を図りましょう。
まとめ
この記事では、看護師のボーナス事情について解説してきました。
看護師のボーナスは全職種と比較してほぼ変わらない水準で支給されています。しかし、新型コロナの影響や看護師の人手不足など、業務負担が増加している状況で、看護師たちにはボーナスがその大変さに見合った額であることが期待されているのが現状です。
基本給が高い場合でも、ボーナスが1〜1.5ヶ月分の基準であれば、高額の支給は難しいでしょう。ボーナスの基準や実績は求人案内に掲載されていることもあるため、転職を検討する際には比較の一つとして確認することが大切です。
経験年数が長い看護師でも、試用期間中は支給されない場合や、入職後一定期間が経過しないと支給されない条件があるため、求人情報を確認しましょう。