
医療のデジタル化が急速に進む現代、オンライン診療は新たな看護師キャリアの選択肢として注目されています。
コロナ禍を経て急成長したオンライン診療市場は、看護師にとって柔軟な働き方と新しいスキル獲得の場となっています。
本記事では、オンライン診療における看護師求人の最新動向と、必要なスキル、具体的な業務内容を詳しく解説します。
この記事で分かること
- オンライン診療における看護師求人の最新市場動向と成長予測
- 具体的な業務内容と一日の流れ、専門分野別の特性
- オンライン診療看護師に求められるスキルと資格要件の詳細
- 多様な勤務形態と給与条件、福利厚生の実態
- キャリアアップの展望と将来性のある専門分野
- 実際に働く看護師のリアルな体験談とケーススタディ
- オンライン診療看護師に役立つツールとリソース一覧
この記事を読んでほしい人
- オンライン診療での勤務に興味がある看護師の方
- 在宅ワークとの両立を考えている子育て中・介護中の看護師の方
- デジタルヘルスケア分野でのキャリア構築を目指している方
- ワークライフバランスを重視したい看護師の方
- 新しい医療技術やデジタルツールに関心のある看護師の方
- 地方在住で都市部の医療機関とつながりたい看護師の方
- ブランクから復帰を考えている方で新しい働き方を模索している方
オンライン診療における看護師求人市場の最新動向

オンライン診療市場は2020年以降、急速な成長を遂げており、それに伴い看護師の求人ニーズも拡大しています。
この項では、最新の市場動向や求人傾向、地域別・分野別の特徴について詳しく解説します。
拡大するオンライン診療市場と求人ニーズ
コロナ禍を契機に急速に普及したオンライン診療は、2024年現在も安定した成長を続けています。
厚生労働省の調査によれば、2023年度のオンライン診療実施医療機関数は前年比35%増加し、5,280施設を超えました。
それに伴い看護師の需要も高まっており、主要看護師求人サイトでのオンライン診療関連求人数は、2022年比で56%増加しています。
求人の種類と特徴
オンライン診療における看護師求人は、大きく分けて以下の4つのタイプに分類されます。
専門オンライン診療プラットフォーム
複数の診療科をカバーする大規模プラットフォームでは、24時間365日対応のサービスも増えており、シフト制での勤務が一般的です。
完全在宅勤務可能なポジションが6割以上を占め、リモートでの研修体制も整備されています。給与水準は病院勤務と同等以上で、オンライン診療専門手当(月額1万円程度)が支給されるケースも少なくありません。
大規模プラットフォームでは英語対応可能な看護師の需要も高まっており、語学力があれば優遇されることが多いです。
既存医療機関のオンライン診療部門
実際の診療と並行したハイブリッド型の勤務形態が特徴で、既存患者のフォローアップにオンライン診療を活用するケースが多く見られます。
週2〜3日程度のオンライン診療と、通常の外来業務を組み合わせるハイブリッド勤務が主流となっています。
院内看護師の兼任ケースも多く、完全リモートよりも医療機関に通勤するスタイルが中心です。ただし、2024年以降は完全リモート型の求人も増加傾向にあります。
企業健康管理部門
従業員向け健康相談・遠隔医療サービスを提供する企業の健康管理部門でも、看護師の採用が活発化しています。
企業の健康経営推進に伴い、産業保健師・看護師の需要が高まっています。予防医療・健康管理に重点を置いた業務が中心で、臨床現場とは異なる専門性が求められます。
勤務形態は、企業本社での勤務とリモートワークを組み合わせたハイブリッド型が主流です。
フリーランス型オンライン看護師
独立した立場で複数のプラットフォームや医療機関と契約する働き方も注目されています。
看護師向けフリーランスマッチングプラットフォームの登場により、独立系オンライン看護師の数は2022年比で3倍以上に増加しています。
案件単価は経験・スキルにより大きく異なりますが、時給2,500円〜5,000円程度が相場です。複数のプラットフォームと契約することで安定した収入を確保している看護師も増えています。
オンライン診療における看護師の具体的な業務内容

オンライン診療における看護師の業務は、従来の対面診療とは異なる特有の流れや特徴があります。
この項では、診療前の準備から診療後のフォローアップまで、具体的な業務内容を詳細に解説します。また、疾患別・診療科別の特徴的な業務内容についても触れていきます。
診療前の準備業務
オンライン診療を円滑に進めるためには、事前の準備が非常に重要です。看護師は診療前に以下のような業務を担当します。
患者情報の事前確認と整理
オンライン診療では限られた時間内で効率的な診療を行うため、事前の情報整理が欠かせません。
特に初診の場合は、患者プロファイルの作成にも注力します。アレルギー歴、手術歴、家族歴などの基本情報を事前にシステムに入力することで、医師が診療時に参照しやすい環境を整えます。
システムチェックとトラブル対応
オンライン診療はテクノロジーに依存するため、システム面での準備も看護師の重要な役割です。
特に高齢患者や初めてオンライン診療を利用する患者に対しては、事前の接続テストを実施することもあります。簡単な操作方法の説明や、カメラ位置の調整方法などをレクチャーすることで、診療時のストレスを軽減します。
患者への事前説明と準備指導
患者が安心してオンライン診療を受けられるよう、診療の流れや準備すべき事項を事前に説明することも看護師の重要な役割です。
特に慢性疾患の管理では、食事記録や血糖値測定記録など、診療時に参照する資料の準備を促すことも重要です。事前に送付してもらうか、画面共有できる形で準備してもらうよう案内します。
診療中のサポート業務
診療中、看護師は医師と患者をつなぐ重要な橋渡し役として、以下のような業務を担当します。
医師-患者間コミュニケーション補助
オンライン環境での円滑なコミュニケーションをサポートすることは、看護師の中心的な役割の一つです。
特に高齢者や子どもの診療では、家族との連携も重要です。家族が同席している場合は、必要に応じて説明を補足したり、質問の意図を明確にしたりする役割も果たします。
遠隔バイタルチェック指導
対面診療と異なり、オンライン診療では患者自身がバイタルサインを測定することが多いため、正確な測定方法の指導が重要になります。
患者が持つ医療機器(自動血圧計、血糖測定器など)の種類は様々であるため、機器ごとの特性を理解し、適切な使用方法を案内できることも求められます。
診療記録の同時入力
診療中のリアルタイムな記録は、後の医療の質を保証する上で非常に重要です。
クラウド型電子カルテシステムの活用により、医師と看護師が同時に記録を参照・入力できる環境が整備されています。これにより、診療終了後の記録業務が効率化されています。
診療科別・疾患別の特徴的な業務
オンライン診療は診療科や対象疾患によって業務内容が大きく異なります。ここでは主な診療科別の特徴的な業務内容を紹介します。
内科(生活習慣病管理)
生活習慣病管理は、オンライン診療が特に効果を発揮する分野の一つです。
糖尿病患者の場合は、自宅での血糖測定記録の確認と分析が中心的な業務になります。高血圧患者には家庭血圧の測定方法の指導と、測定値の変動パターン分析が重要です。脂質異常症の患者さんには、食事記録の評価や運動習慣の確認などを行います。
これらの疾患管理では、日々の生活習慣の細かな変化が重要なため、詳細な問診と生活指導が看護師の中心的役割となります。
精神科・心療内科
精神科領域のオンライン診療では、細やかな観察と心理的サポートが特に重要です。
表情や声のトーン、反応速度などの微妙な変化を観察し、状態変化の早期発見に努めます。服薬状況の詳細な確認と、副作用の有無のチェックも重要な業務です。
患者との信頼関係構築が特に重要な分野であるため、継続的に同じ看護師が担当するケースが多いのも特徴です。
皮膚科
皮膚科のオンライン診療では、映像による皮膚状態の正確な伝達が鍵となります。
患部の適切な見せ方を指導することが重要です。必要に応じて、患者さん自身に患部の触診を指示し、硬さや熱感などの情報を言語化してもらうこともあります。また、処方薬の正しい使用方法の説明や、経過観察のポイントの指導も行います。
皮膚疾患の多くは視覚的な情報が診断の鍵となるため、高解像度カメラの使用方法や、映像品質の最適化についての知識も求められます。
小児科
小児科のオンライン診療では、子どもと保護者の両方へのケアが必要となります。
子どもの状態を正確に評価するため、保護者への具体的な観察方法の指導を行います。また、子どもの全体的な様子についても詳しく聞き取ります。薬の飲ませ方や、症状変化時の対応方法など、保護者向けの具体的な指導も重要な業務です。
子どもの注意を画面に向けるための工夫や、短時間で効率的に情報を収集するスキルも求められます。
診療後のフォローアップ
診療終了後も、看護師の業務は継続します。診療後の主な業務内容は以下の通りです。
処方薬の調整・説明
オンライン診療後の処方薬に関する業務は、患者の適切な薬物治療を支える重要な役割です。
オンライン処方箋の発行サポートでは、電子処方箋システムへの入力や、患者さんの希望する薬局への情報送信を行います。特に注意が必要な薬については、より丁寧な説明と確認を行います。
また、オンライン診療ならではの業務として、処方薬が確実に患者の手元に届いたかの確認や、薬局とのコーディネーションも行います。特に初めてオンライン処方を利用する患者には、手続きの流れを詳しく説明することも大切です。
生活指導・セルフケア支援
慢性疾患管理などでは、日常生活での自己管理が治療の成否を左右します。看護師は以下のようなセルフケア支援を行います。
自宅での症状モニタリング方法については、どのタイミングで観察し、どんな変化があれば受診すべきか説明します。特に重要なのは、緊急時の対応方法で、症状悪化時のセルフケア方法と医療機関への適切な連絡タイミングについて伝えます。
また、患者の生活環境に合わせた指導も重要です。家庭環境や仕事状況を考慮し、無理なく続けられる健康管理方法を患者と一緒に考え、提案します。定期的なフォローアップによって、セルフケアの習慣化を支援していきます。
次回診療の調整
継続的な医療ケアを確保するため、次回診療の適切な調整も看護師の重要な業務です。
予約管理システムへの入力では、患者さんの都合と医師のスケジュールを調整し、適切な診療間隔を設定します。また、病状によって対面診療への切り替えが必要なケースでは、その判断をサポートし、スムーズな移行のための調整を行います。
特に複数の診療科にまたがる患者の場合は、診療スケジュールの一元管理や、検査タイミングの調整なども看護師が担うことがあります。患者の通院負担を軽減しながら、必要な医療を確実に受けられるよう配慮します。
専門分野別の高度な業務内容
オンライン診療の普及とともに、より専門的な業務を担う看護師のニーズも高まっています。ここでは、専門分野別の特徴的な業務内容について詳しく見ていきます。
糖尿病療養指導
糖尿病患者のオンライン診療では、専門的な療養指導が重要な役割を果たします。血糖値データの詳細な分析と、生活パターンとの関連付けが中心になります。持続血糖測定器のデータ解釈や、インスリン調整のアドバイスなども行います。
食事内容の詳細な評価と改善提案では、患者さんから送られてきた食事写真をもとに具体的なアドバイスを行うこともあります。低血糖・高血糖時の対処法指導や、フットケアの遠隔サポートなど、セルフケア技術の向上支援も重要な業務です。
患者の自己管理スキルの段階に応じた指導を行うため、動機付け面接法などのコミュニケーション技術も活用します。また、遠隔での患者教育のために、デジタル教材の作成や活用も重要な業務となっています。
メンタルヘルスケア
精神科・心療内科のオンライン診療では、看護師による専門的な心理的サポートが求められます。
ストレス管理技法のオンラインでの指導や、服薬アドヒアランスの向上支援が主な業務です。デジタルツールを活用した気分記録やセルフモニタリングの指導も行います。
対面で行われていた様々な心理的サポートをオンライン環境に適応させるため、デジタルツールやアプリケーションに関する知識も必要とされます。患者の表情や声のトーンなど、微細な変化を画面越しに見逃さない観察力も重要なスキルです。
在宅医療連携
在宅医療と組み合わせたオンライン診療では、多職種連携のハブとしての役割も看護師に求められます。
訪問看護師と連携したハイブリッドケア調整では、訪問看護の現場とオンラインでつなぎ、医師の指示のもと患者ケアを行うことがあります。
在宅医療現場の状況を正確に把握し、限られた情報の中で適切な判断と指示を行うスキルが求められます。また、様々な職種(訪問看護師、介護士、薬剤師など)との円滑なコミュニケーションと情報共有も重要な役割です。
国際遠隔医療
グローバル化に伴い、言語や文化の壁を越えた国際的なオンライン診療のニーズも高まっています。
外国人患者へのオンライン診療サポートでは、医療通訳との連携や、文化的背景を考慮した看護ケアの提供が中心となります。海外在住日本人向けの医療相談では、現地医療制度の理解と適切なアドバイスも求められます。
医療英語(または他言語)の運用能力に加え、異文化理解力や国際的な医療制度の知識も必要とされます。また、時差を考慮した勤務体制や、国際的なデータ保護規制への対応なども特有の業務となります。
オンライン診療特有のコミュニケーション技術
オンライン診療では、対面診療とは異なるコミュニケーション技術が求められます。看護師は以下のようなスキルを駆使して、質の高いケアを提供しています。
非言語コミュニケーションの活用
画面越しのコミュニケーションでは、限られた非言語情報を最大限に活用することが重要です。
特に高齢者や子どもとのコミュニケーションでは、ゆっくり明瞭に話すこと、視線を意識的にカメラに向けることなどの工夫も必要です。また、患者の表情や反応から理解度を読み取る繊細な観察力も重要になります。
オンライン環境での信頼関係構築
対面診療に比べて物理的距離がある分、意識的な信頼関係構築が求められます。
継続的に同じ看護師が担当することで信頼関係が深まるため、可能な限り担当制を採用しているサービスも増えています。また、診療後のメッセージフォローなど、診療時間外のちょっとした配慮も信頼構築に効果的です。
効果的な遠隔問診技術
限られた情報の中で的確なアセスメントを行うため、効果的な問診技術が重要です。
情報の優先順位付けと構造化された問診により、医師の診療をスムーズにサポートします。また、患者の言葉を繰り返したり、要約したりすることで、理解を確認しながら進めるテクニックも重要です。
チーム医療の中での役割
オンライン診療においても、多職種連携によるチーム医療は重要です。看護師は以下のような役割を担っています。
多職種連携のコーディネーション
オンライン診療では、異なる場所にいる医療チームをつなぐ役割が看護師に求められることが多いです。
クラウドベースの医療情報共有システムの活用や、定期的なオンラインカンファレンスの運営なども、多職種連携を円滑にするための重要な業務です。
医療の質保証とリスク管理
オンライン診療における医療安全と質保証も、看護師の重要な責務です。
新たな医療形態であるオンライン診療では、従来とは異なるリスクが存在するため、継続的な評価と改善が欠かせません。看護師はその中心的な役割を担っています。
患者教育とエンパワメント
オンライン診療では、患者の主体性と自己管理能力の向上が特に重要です。看護師は患者教育を通じて、その支援を行います。
オンラインという特性を活かし、動画教材やインタラクティブなツールを活用した教育プログラムの開発も進んでいます。看護師はその内容作成や運用において中心的な役割を果たしています。
オンライン診療看護師に求められるスキルと資格

オンライン診療における看護師には、従来の看護スキルに加え、デジタル環境での対応力や特有のコミュニケーション能力が求められます。
この項では、必須スキルや推奨資格、スキルアップのための学習リソースなどを詳しく解説します。
必須スキルと推奨資格
オンライン診療看護師として働くために必要なスキルと、キャリアアップに役立つ資格について見ていきましょう。
基本的な臨床スキルと経験
オンライン診療においても、看護の基礎となる臨床能力は欠かせません。
在宅医療や訪問看護の経験も高く評価されます。患者の生活環境を考慮したケア提供や、限られたリソースでの対応力が身についているためです。また、電話相談や健康相談の経験も、非対面でのアセスメント能力の証明になります。
デジタルリテラシー
オンライン診療看護師にとって、デジタル環境での業務遂行能力は必須条件です。
モバイルデバイス(スマートフォン・タブレット)の操作にも習熟していることが求められます。患者側がモバイル端末で受診するケースも多いため、画面の見え方の違いを理解し、適切にサポートできることが重要です。
オンラインコミュニケーション能力
画面越しのコミュニケーションには、対面とは異なる特有のスキルが必要です。
文字コミュニケーション能力も見逃せません。チャット機能の活用や、診療後のフォローメール、電子お薬手帳へのコメント入力など、文字での情報提供機会も多いためです。
簡潔かつ正確な文章作成能力は、オンライン環境では特に重要なスキルとなります。
自律的な判断力
対面診療と異なり、医師と物理的に離れた環境で業務を行うケースも多いため、自律的な判断能力が重要です。
さらに、医師不在時の一次対応能力も求められます。医師の診察前や診察時間外に患者から連絡があった場合の適切な初期対応や、必要に応じた救急サービスへの橋渡しなど、看護師の判断で対応するケースも少なくありません。
推奨される資格・認定
法的には看護師資格があれば業務に従事できますが、看護師の基本資格に加えて、特定の分野の認定看護師資格を持っていると、専門分野のオンライン診療で重宝されます。
慢性疾患管理の専門知識も高く評価されるため、糖尿病療養指導士や人間ドック健診情報管理指導士などの資格も有利に働きます。
また、言語能力として英語など外国語のスキルを証明する資格(TOEIC、英検など)を持っていると、国際対応の案件で優遇されることがあります。
スキルアップのための学習リソース
オンライン診療に必要なスキルを向上させるための主な学習リソースや研修プログラムを紹介します。
専門機関が提供する研修プログラム
医療専門機関や学会が提供する公式研修は、体系的な知識習得に役立ちます。
医療DX推進機構の認定プログラムや、厚生労働省の委託事業として実施される遠隔医療人材育成研修なども、公的な信頼性の高い学習機会として注目されています。
これらの研修は定期的に開催されており、オンラインでの受講も可能なものが増えています。
民間企業・プラットフォーム提供のトレーニング
オンライン診療プラットフォームや医療ITベンダーが提供する専門研修も、実践的なスキル習得に役立ちます。
医療ITベンダー提供の認定トレーニングでは、特定のシステムやアプリケーションの操作スキルを証明する認定資格が取得できます。
これらの研修の多くは、実際のシステムを使用したハンズオン形式で行われるため、実践的なスキルが身につきます。また、修了者向けのコミュニティが用意されていることも多く、継続的な学習や情報交換の場として活用できます。
オンライン学習プラットフォーム
自己学習のためのオンラインリソースも充実しています。
オンラインコースの利点は、自分のペースで学習できることと、最新の知識に常にアクセスできる点です。多くのコースでは修了証が発行され、履歴書やポートフォリオに記載できるものもあります。
特に英語力向上も兼ねて、海外の先進的な遠隔医療教材を活用している看護師も少なくありません。
実践的なシミュレーショントレーニング
座学だけでなく、実際のオンライン診療場面を想定したシミュレーション型の学習も効果的です。オンライン診療シミュレーションワークショップでは、模擬患者とのロールプレイを通じて、実践的なスキルを身につけることができます。
こうしたトレーニングの多くは、医療機関内の研修やオンライン診療プラットフォームが主催するワークショップとして提供されています。
実際の機器を使用した実技演習や、様々なシナリオに対応するトレーニングは、実務に直結するスキルの習得に効果的です。
オンライン診療看護師の多様な勤務形態と条件

オンライン診療看護師の働き方は、従来の病院勤務とは大きく異なります。
この項では、様々な勤務形態や雇用条件、給与・待遇の相場、ワークライフバランスの実態などを詳しく解説します。
勤務形態の種類
オンライン診療看護師の勤務形態は多様化しており、自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせた選択が可能です。主な勤務形態を詳しく見ていきましょう。
フルリモート勤務
完全在宅でのオンライン対応が可能な勤務形態です。
業務環境としては、プライバシーが確保された静かな環境と、安定したインターネット接続(光回線や有線LAN推奨)が必須条件となります。
主に大手オンライン診療プラットフォームや、デジタルヘルスケア企業で採用されている勤務形態ですが、近年では中小規模の医療機関でも導入が広がっています。
ハイブリッド勤務
対面業務とリモートワークを組み合わせた勤務形態です。
メリットは、チームとの対面コミュニケーションと在宅勤務の両方のメリットを享受できる点です。対面でのチームビルディングや信頼関係構築を行いながら、リモート日の柔軟性も確保できます。
コロナ禍以降、このハイブリッド勤務を導入する医療機関は大幅に増加しており、2024年現在では最も一般的な勤務形態となっています。
シフト制勤務
24時間対応のオンライン診療サービスでは、シフト制勤務が採用されています。
シフト設計には、労働基準法を遵守した適切な休息時間の確保や、過度な夜勤の連続を避けるなどの配慮がなされています。また、個人の希望をある程度反映できるシフト申請システムを導入している企業も増えています。
このシフト制勤務の利点は、自分のライフスタイルに合わせた時間帯を選べることや、夜間帯のプレミアム給与を得られることなどです。
フリーランス契約
個人事業主として複数の医療機関やプラットフォームと契約する働き方です。
この働き方を選ぶ場合、確定申告の知識や、保険・年金の自己手配など、事業主としての知識も必要になります。また、案件の繁閑によって収入が変動するリスクもあるため、安定した案件確保のためのネットワーク構築や営業活動も重要です。
フリーランスの看護師向けマッチングプラットフォームも複数登場しており、案件探しの効率化が進んでいます。特に専門性の高いスキルや、特定の時間帯のみ働きたい看護師にとって魅力的な選択肢となっています。
雇用形態と契約条件
オンライン診療看護師の雇用形態も多様化しており、それぞれに特徴があります。主な雇用形態と契約条件について解説します。
正社員雇用
安定した雇用条件で長期的なキャリア構築を目指す場合に適した雇用形態です。
正社員の場合、オンライン診療に特化した業務だけでなく、サービス開発、品質管理、教育・研修、マネジメントなど幅広い業務に携わる機会があります。
一方で、勤務時間や業務内容に関しては、契約社員やフリーランスに比べて自由度が低い場合があります。特に大手企業では、配置転換の可能性もあるため、場合によっては業務内容や勤務地が変わることも考慮する必要があります。
契約社員
期間限定での雇用契約を結ぶ形態で、一定期間の安定雇用を確保しつつ、ライフスタイルに合わせた働き方を実現できます。
メリットは、業務範囲が明確に定められていることで、余計な業務を任されにくい点や、契約更新のタイミングで条件交渉ができる点などが挙げられます。
ただし、契約期間満了時に更新されないリスクもあるため、スキルアップや実績作りを意識的に行い、自身の市場価値を高めておくことが重要です。
パート・アルバイト
短時間・少日数の勤務を希望する場合に適した雇用形態です。育児や介護と両立したい方に人気があります。
特に育児中の看護師にとっては、子どもの学校行事や急な発熱などに対応しやすい柔軟性が魅力となっています。
ただし、キャリアアップの機会は限られる傾向があり、専門性を高めたい場合は自己研鑽が必要になることが多いです。
業務委託契約
個人事業主として医療機関やプラットフォームと契約を結ぶ形態です。高い自由度と責任が特徴です。
経験やスキルを活かして高単価の案件を受注できれば、正社員以上の収入を得ることも可能です。
ただし、案件獲得のための営業活動や、契約書の確認、確定申告などの事務作業も自身で行う必要があります。また、病気や怪我で働けない期間の収入保障がないリスクもあるため、保険や貯蓄などのリスク対策も重要になります。
給与・待遇の相場
オンライン診療看護師の給与・待遇は雇用形態や経験年数、専門性などによって幅があります。2024年現在の市場相場を詳しく解説します。
雇用形態別の給与相場
雇用形態によって給与体系と水準は大きく異なります。
フリーランスの場合は案件単価によりますが、一般的には時給換算で2,500円〜3,500円程度が相場です。専門性の高い分野や英語対応可能な場合は4,000円〜5,000円の高単価案件も存在します。
同じ臨床経験年数で比較すると、オンライン診療看護師の給与水準は一般的な病院勤務看護師と同等か、やや高めの傾向があります。
オンライン診療特有の手当や福利厚生
通常の看護師給与に加え、オンライン診療特有の手当や福利厚生も充実しています。
オンライン診療手当として月5,000円〜10,000円を支給する企業が増えています。また、在宅勤務手当として月5,000円〜8,000円を支給するケースや、通信環境整備手当として月3,000円〜5,000円を支給する企業もあります。
デジタルスキル資格取得支援制度も特徴的で、ITパスポートや情報セキュリティマネジメント試験などの受験料補助や、合格時のインセンティブ支給を行う企業も少なくありません。
ワークライフバランスの実態
オンライン診療看護師の働き方は、従来の病院勤務に比べてワークライフバランスを取りやすいと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。リアルな実態を紹介します。
在宅勤務のメリットと課題
在宅勤務を中心とした働き方には、独自のメリットと課題があります。
メリットとしては、通勤時間の削減による時間効率の向上が最も大きく、平均すると1日1〜2時間の時間的余裕が生まれます。一方で課題もあります。オン・オフの切り替えの難しさや、業務と家庭の境界があいまいになりがちな点は要注意です。
こうした課題に対応するため、定期的なオンラインミーティングやチームビルディングイベントの実施、オフィス出社日の設定など、様々な工夫が行われています。
時間的柔軟性と生活との両立
オンライン診療看護師の特徴として、時間的柔軟性の高さが挙げられます。
勤務シフトの選択肢が多い点も特徴で、朝型・夜型など自分の生活リズムに合わせた時間帯を選べることで、個人の生産性を最大化できる利点があります。
ただし、24時間対応のサービスでは夜勤や早朝勤務のシフトも存在するため、すべての勤務形態が家庭と両立しやすいわけではない点には注意が必要です。求人探しの際には、具体的なシフト条件や柔軟性の度合いを確認することが大切です。
パンデミック以降の働き方の変化
コロナ禍を経て、オンライン診療看護師の働き方にも大きな変化がありました。
デジタルツールの活用も進化し、チャットやビデオ会議だけでなく、仮想オフィス空間を活用したカジュアルなコミュニケーション促進や、AI支援ツールによる業務効率化なども広がっています。
以前はIT技術に苦手意識を持つ看護師も多かったですが、現在ではオンラインツールの活用が当たり前のスキルとして定着し、デジタル環境への適応力が全体的に高まっています。
オンライン診療看護師のキャリアパスと将来展望

オンライン診療看護師は、従来の看護師キャリアとは異なる発展可能性を秘めています。
この項では、キャリアアップの方向性や成長市場の将来性、スキル転用の可能性などを詳しく解説します。
キャリアアップの方向性
オンライン診療看護師としてのキャリアは、複数の方向に発展する可能性があります。主なキャリアパスを詳しく見ていきましょう。
マネジメント職への道
看護実務の経験を活かしながら、組織運営やチーム管理に携わるキャリアパスです。
マネジメント職の魅力は、より広い視点でオンライン医療サービスの発展に関わり、多くの患者と医療者に影響を与えられる点です。
キャリアアップのためには、臨床スキルに加えてリーダーシップ研修やマネジメント教育を受講する看護師も増えています。医療経営学やMBA(経営学修士)の取得を目指す方も少なくありません。
専門領域の深化
特定の疾患や医療領域に特化したスペシャリストとして活躍する道もあります。
国際遠隔医療の分野では、医療通訳と連携したグローバルケアコーディネーターや、海外在住日本人向け医療相談専門家など、国境を越えた医療サービスを提供する専門職も登場しています。
専門性を深めるためには、関連分野の認定資格(糖尿病療養指導士、心臓リハビリテーション指導士など)の取得や、専門学会への参加、最新の研究フォローなど、継続的な学習が欠かせません。
システム開発への参画
看護の知見をシステム開発やサービス設計に活かすキャリアパスも注目されています。
臨床現場の声を反映する開発アドバイザーとして、実際のユーザー体験に基づいた改善提案や、新機能のベータテスト参加などを通じて、より使いやすいシステム開発に貢献する道もあります。
このキャリアを目指す場合、基本的なプログラミング知識やUX/UIの基礎、プロジェクト管理手法などについて学ぶことが役立ちます。IT企業が提供する医療者向けのテクノロジー研修などを活用している看護師も増えています。
教育・研究分野
オンライン診療の知見を教育や研究に活かすキャリアパスも広がっています。
特に注目されているのは、実践と研究を橋渡しするクリニカルリサーチナースの役割です。オンライン診療における患者アウトカムの分析や、医療の質指標の開発など、エビデンスに基づいた遠隔医療の発展に貢献しています。
このキャリアを目指す場合、大学院での学位取得(修士・博士)や、研究方法論の学習が役立ちます。また、学会発表や論文執筆などの学術活動を通じて、専門性を高めていくことが重要です。
成長市場の将来性
医療のデジタル化は今後も加速すると予測されており、特に以下の分野でオンライン診療看護師の需要が高まると考えられています。
地方医療過疎地域へのサービス拡大
高齢化が進む地方での医療アクセス改善策として、オンライン診療の需要は増加傾向にあります。
この分野では、地域の医療資源や福祉サービスに精通し、地域包括ケアシステムの中でオンライン診療を効果的に位置づけられる看護師が求められています。
地方自治体や医師会が主導する遠隔医療プロジェクトも増加しており、公的機関での雇用機会も広がっています。
グローバル医療サービスの拡大
言語対応可能な看護師によるインバウンド・アウトバウンド医療の需要も高まっています。
グローバル医療では、言語力に加えて、各国の医療制度や文化的背景への理解、異文化コミュニケーション能力も求められます。
これらのスキルを持つ看護師は、一般的なオンライン診療看護師より高い報酬を得られることが多く、キャリアの国際的な拡がりも期待できます。
予防医療・健康管理分野
企業の健康経営推進や予防医療の重視により、健康管理分野での需要も拡大しています。
この分野では、医療知識に加えて、行動変容を促すコーチングスキルや、健康データ分析能力が重視されます。
また、企業文化や組織的な健康課題への理解も必要です。産業保健の知識や予防医学的アプローチを身につけることで、新たなキャリア機会を獲得できる可能性があります。
専門領域の遠隔医療
希少疾患や専門的治療のフォローアップなど、専門性の高い遠隔医療も成長分野です。
こうした専門領域では、特定疾患に関する深い知識と経験を持つ看護師が重宝されます。また、患者会や支援団体との連携能力も重要です。
専門看護師や認定看護師の資格を持ちながらオンライン診療に携わることで、稀少な専門性を全国に提供できるという点がキャリアとしての魅力となっています。
スキル転用の可能性
オンライン診療看護師として身につけたスキルは、他の分野にも応用可能です。キャリアの幅を広げるための可能性を探りましょう。
デジタルヘルス関連企業への転身
医療とITの知識を併せ持つ人材として、様々な企業で活躍できる可能性があります。
特に注目されているのは、医療データ分析企業でのクリニカルデータアナリスト役割です。看護の臨床知識とデータ分析スキルを組み合わせることで、より実践的な医療データの解釈と活用を可能にしています。
こうした転身のためには、基本的なビジネススキルやプロジェクト管理能力、データリテラシーなどを身につけることが役立ちます。また、業界動向やビジネスモデルへの理解も重要です。
ヘルスケアコンサルティング
医療現場とデジタル技術の両方を理解する専門家として、コンサルティング分野でも需要があります。
コンサルティング分野では、課題分析能力やプレゼンテーションスキル、戦略立案能力などが求められます。
また、医療制度や診療報酬についての知識、最新のテクノロジートレンドへの理解なども重要です。経営学やヘルスケア政策について学ぶことで、より専門性の高いコンサルタントとしてのキャリアを構築できます。
デジタルヘルス教育者
蓄積した知識と経験を次世代に伝える教育者としての道も考えられます。
教育分野では、体系的な知識の整理能力や、分かりやすく伝えるコミュニケーション力が重要です。
また、教授法や教材開発についての学びも役立ちます。看護師の強みである「実践知」を理論と結びつけ、次世代に伝えることで、業界全体の発展に貢献できる点がやりがいとなります。
実際のオンライン診療看護師の一日

オンライン診療看護師の具体的な業務内容や働き方をより深く理解するために、異なる環境で働く看護師のリアルな一日を紹介します。
様々な勤務形態や専門分野のケーススタディを通して、オンライン診療看護師としての働き方をイメージしていただけるでしょう。
ケーススタディ:大手プラットフォーム勤務 Nさん(33歳)の場合
Nさんは臨床経験7年のキャリアを持ち、大手オンライン診療プラットフォームで2年間勤務しています。週4日のフルリモート勤務で、1日の業務は以下のように進行します。
朝の業務準備
業務開始後、まず当日担当医師とのオンラインミーティングを行います。このミーティングでは、特別な配慮が必要な患者の情報共有や、システムアップデートの確認などを行います。
その後、予約患者リストと電子カルテの確認を行い、特に初診患者の情報を事前に把握します。
午前の診療セッション
9:00から午前の診療セッションが始まります。Nさんが担当するのは主に慢性疾患の定期フォローの患者です。
診療中は医師と患者の会話をサポートしながら、重要なポイントを電子カルテに記録していきます。医師の説明で専門的な内容があれば、患者にわかりやすく補足説明を行うこともあります。
また、画面越しに患者の表情や部屋の環境などを観察し、気になる点があれば医師に共有します。
昼休憩とチーム情報共有
昼食後は、チーム全体での情報共有ミーティングに参加します。このミーティングではシステムアップデート情報の確認や、頻出する質問への対応方針の統一など、チーム全体に関わる情報交換を行います。
また、午後の予約患者情報の事前確認も行います。
午後の診療セッション
診療中は午前と同様に、医師-患者間のコミュニケーション支援や記録業務を行いますが、初診の場合は特に丁寧な説明を心がけます。システムの使い方から、自宅での正確なバイタルサイン測定方法、次回予約の取り方まで、詳しく説明します。
また、予約外の緊急問い合わせにも対応します。チャットで寄せられる質問への回答や、症状の緊急度判断、必要に応じた医師への取り次ぎなども重要な役割です。
終業時の業務整理
予約調整システムで翌日の患者リストを確認し、特別な準備が必要なケースがないかを確認します。必要に応じて、担当医師への事前連絡や、特定の検査データの取り寄せなども行います。
ケーススタディ:診療所併設型 Tさん(42歳)の場合
Tさんは総合内科クリニックで勤務する看護師で、週3日は通常の外来業務、週2日はオンライン診療を担当するハイブリッド勤務をしています。オンライン診療日の業務は以下の通りです。
クリニック到着・準備
まず部屋のセットアップを行い、照明や音響環境を確認します。クリニックのオンライン診療専用PCを起動し、カメラとマイクの接続テストを行います。
準備ができたら、担当医師との事前カンファレンスを行います。この日の予約患者のリストを確認し、特に注意が必要なケースについて情報共有します。併設クリニックならではの強みとして、必要に応じて紙カルテやフィルム画像なども確認できる点があります。
午前のオンライン診療
Tさんの役割は、バイタルデータの確認と記録、患者からの生活状況の聞き取り、そして医師の診察のサポートです。特に服薬状況の確認は重要で、残薬の数や副作用の有無、飲み忘れの頻度などを詳しく聞き取ります。
昼休憩・対面診療患者対応
クリニック内での多職種連携も重要な業務です。栄養士と連携した食事指導計画の立案や、理学療法士と協力した自宅でのリハビリプログラムの作成など、チームでのアプローチを大切にしています。
午後のオンライン診療
遠隔での服薬指導も重要な役割です。新しく処方された薬の効果や副作用の説明、飲み合わせの注意点などを、患者が理解しやすいように説明します。必要に応じて、お薬手帳のカメラ撮影を依頼し、他院での処方状況も確認します。
ハイブリッド診療の特徴
オンライン診療中に医師が重大な症状を発見した場合、すぐに対面診療に切り替えるかどうかの判断をサポートするのもTさんの役割です。症状の緊急度を評価し、必要に応じて当日の対面診療枠を確保したり、救急対応の準備を行ったりします。
終業・データ整理
電子カルテの最終確認を行います。特にオンライン診療と対面診療の情報が一元管理されるよう、記録の整合性に注意しています。また、翌日の予約確認と準備も重要で、対面診療とオンライン診療のスケジュール調整にも気を配ります。
さらに、オンライン診療機器のメンテナンスも欠かせません。使用したカメラやマイクの清掃、ソフトウェアのアップデート確認などを行い、翌日に備えます。
ケーススタディ:フリーランス Sさん(38歳)の場合
Sさんは救急看護の経験を持つキャリア15年目の看護師で、現在は複数のオンライン診療プラットフォームと契約するフリーランスとして活動しています。
特に夜間対応と英語対応を専門としており、自身のスケジュールに合わせた働き方を実践しています。
スケジュール管理とシフト登録
Sさんは主に夜間帯(20:00〜翌2:00)と早朝帯(5:00〜9:00)を中心に働いており、これは彼女自身の生活リズムと、需要の高い時間帯を考慮した選択です。
特に深夜の英語対応ができる看護師は少ないため、高単価で案件を受注できるメリットがあります。
英語対応夜間シフトの業務
英語対応の場合、医療専門用語と日常英会話の両方が求められます。また、文化的背景による症状の表現の違いなども理解しておく必要があります。
対応内容は多岐にわたり、旅行中の持病の相談、子どもの発熱への対応、薬の飲み合わせの確認など様々です。必要に応じて、近隣の外国語対応可能な医療機関の案内や、24時間薬局の情報提供なども行います。
早朝シフトと記録作業
早朝の対応では、日本の医療制度に慣れた患者が多いため、コミュニケーションはスムーズな傾向があります。一方で、日本との医療制度の違いや、現地で入手可能な薬の情報など、国際的な知識が求められることも多いです。
キャリア開発と自己研鑽
Sさんは国際遠隔医療の専門性を高めるため、ICRC(国際赤十字委員会)の遠隔医療コースや、米国のテレヘルスコーディネーター認定プログラムなどを受講しています。
また、医療英語の語彙力向上のために、定期的にオンライン英会話で医療シナリオのロールプレイも行っています。
ワークライフバランスとフリーランスの実態
フリーランス特有の課題として、孤独感の克服も重要です。Sさんはオンライン看護師コミュニティに参加し、定期的な情報交換や悩み相談ができる環境を作っています。
また、月に一度は対面での看護研究会に参加し、リアルなつながりも大切にしています。
看護師さんからのQ&A「おしえてカンゴさん!」

オンライン診療看護師に関する疑問や不安に、経験豊富な「カンゴさん」が答えます。
現役看護師からよく寄せられる質問を中心に、実践的なアドバイスを紹介します。
Q1:オンライン診療看護師に転職するには、どんなスキルが必要ですか?
A1: デジタルツールの基本操作スキルとオンラインコミュニケーション能力が最も重要です。具体的には、ビデオ会議システムの操作、電子カルテの効率的な入力、画面越しの患者観察力が求められます。
臨床経験は最低でも3年程度あると良いでしょう。特に内科や総合診療科での経験は重宝されます。技術面では、基本的なトラブルシューティング能力(接続不良時の対応など)も必要です。
看護のコアスキルとITリテラシーを両立できる方が採用されやすい傾向にあります。まずは無料のオンライン講座でデジタルスキルを磨くことから始めてみてはいかがでしょうか。
Q2:在宅ワークとの両立は実際にどの程度可能ですか?
A2: 勤務先によって大きく異なりますが、完全在宅型からハイブリッド型まで様々な働き方があります。完全在宅の場合は、自宅に安定したネット環境と、プライバシーが確保できる専用スペースが必要です。
多くの場合、シフト制での勤務となるため、一定の時間拘束はありますが、通勤時間がなくなる分、育児や介護との両立がしやすくなります。
ただし、24時間対応サービスでは夜勤シフトもあるため、家庭状況に合わせた企業選びが重要です。求人情報だけでなく、実際に働いている方の声を聞くことをおすすめします。
Q3:給与水準は従来の病院勤務と比べてどうですか?
A3: 一般的に、オンライン診療看護師の給与水準は従来の病院勤務と同等かやや高めの傾向があります。特にデジタルスキルや英語対応能力がある場合は、プラス要素として評価されます。
正社員の場合、経験3-5年で月給35万円〜45万円程度、契約社員では時給2,000円〜2,500円が相場です。
ただし、フリーランス契約の場合は、社会保険や有給休暇などの福利厚生面での違いがあるため、総合的に検討する必要があります。将来的なキャリアパスや専門性の獲得機会なども含めて判断することをお勧めします。
Q4:オンライン診療でも看護師としてのやりがいは感じられますか?
A4: 多くが「新しい形のやりがい」を感じていると回答しています。特に、地理的制約で医療アクセスが限られていた患者さんへのケア提供や、忙しい現役世代の継続的な健康管理をサポートできる点にやりがいを見出す声が多いです。
また、デジタルツールを活用した効率的な患者教育や、データに基づく継続的なフォローアップなど、新しい看護の形を創造できる点も魅力とされています。
実際に働いている看護師の多くは、「看護の本質は変わらない」と感じており、患者さんの生活に寄り添うという看護の価値を別の形で実現できていると語っています。
まとめ
オンライン診療看護師は、デジタル技術と看護スキルを融合させた新しいキャリアパスです。臨床経験とデジタルリテラシーを活かし、リモートでも質の高いケアを提供できる職種として注目されています。
多様な勤務形態と働き方の柔軟性が魅力で、専門性を高めることでキャリアアップの可能性も広がります。医療のデジタル化が進む現代において、時代を先取りした看護の新たな選択肢として、今後もさらなる発展が期待されています。
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