
看護学校の受験において、志望動機は合否を分ける重要な要素となります。
しかし「どのように書けばいいのか分からない」「看護師を目指す理由をうまく表現できない」という悩みを抱える受験生は少なくありません。
今回は、看護学校の受験指導経験が豊富な現役看護師が、志望動機の書き方を細かく解説します。
志望動機のコピーではなく、あなたらしさを引き出し、面接官の心に響く「合格できる志望動機」の作り方をお伝えします。
特に注目していただきたいのは、実際の合格例の添削ポイントと面接官の評価基準です。
高校生から社会人まで、さまざまな背景を持つ受験生をサポートしてきた経験を活かし、志望動機作成のコツを具体的にご説明します。
この記事を参考に、あなたらしい志望動機を作成していきましょう。
この記事のポイント
- 志望動機作成の基本から応用までの具体的な手順
- 合格者の実例をもとに効果的なアピールポイント
- 面接試験で求められる志望動機の伝え方
- よくある失敗例と具体的な改善方法
- 受験者タイプ別の効果的な書き方
この記事を読んでほしい人
- 看護学校受験を控えた高校生の方
- 社会人経験を活かして看護師を目指す方
- 看護学校への編入学を検討している方
- 志望動機の書き方に不安がある受験生の方
志望動機の基本構成と重要ポイント

看護学校の志望動機には、合格に導くための重要な要素がいくつか存在します。
ここでは志望動機を書く上で押さえるべき基本的な構成と、評価されるポイントについて詳しく解説します。
基本構成の3要素
志望動機を書く際には、以下の3つの要素を必ず含める必要があります。これらの要素をバランスよく配置することで、説得力のある志望動機を作成することができます。
きっかけと動機
看護師を目指すようになったきっかけや動機について、具体的なエピソードを交えながら説明します。単なる出来事の説明ではなく、その経験を通じてどのような気づきや学びがあったのかを具体的に記述することが重要です。
志望校選択の理由
私たちが志望校を選ぶ際に重視するのは、その学校の教育理念や特色、カリキュラムの特徴です。志望校の教育方針や実習体制などについて、自身の目標や価値観と結びつけて説明することで、その学校を志望する必然性を示すことができます。
将来のビジョン
看護師となった後の具体的な目標や、どのような看護を実践したいかについて、明確なビジョンを示します。漠然とした夢ではなく、その学校で学ぶことでどのように目標達成につなげていくのかまで言及することが重要です。
評価されるポイント
具体性のある記述
面接官が高く評価するのは、抽象的な表現ではなく、具体的な経験や考えが明確に示された志望動機です。たとえば、「看護師に憧れて」ではなく、「祖母の入院中に出会った看護師さんの専門的なケアと温かい対応に感銘を受け」というように具体的に記述します。
一貫性のある内容
志望動機全体を通じて、看護師を目指す理由と志望校を選んだ理由、将来の目標が一貫性をもって結びついていることが重要です。それぞれの要素が相互に関連し合い、ストーリーとして成立することで説得力が増します。
学校種別による書き方の違い
大学の看護学部
研究的な視点や学術的な興味についても触れることが重要です。四年間という長期的な学びの中で、どのような専門性を身につけたいのか、また将来的な学びの展望についても言及します。
看護専門学校
即戦力となる実践的な看護師の育成を重視する傾向があるため、臨床での具体的なイメージや技術習得への意欲を示すことが効果的です。実習体制や国家試験対策への関心についても触れると良いでしょう。
受験者タイプ別のアプローチ
高校生の場合
部活動やボランティア活動など、高校生活での経験を看護師という職業選択にどのように結びつけているかを示します。また、オープンキャンパスでの体験なども、志望動機の重要な要素となります。
社会人経験者の場合
これまでの職業経験や社会経験を、看護師という新たなキャリアにどのように活かしていきたいのか、具体的に説明することが重要です。年齢を重ねてからの挑戦という決意の強さも、適切に表現します。
看護系短大・専門学校からの編入希望者
すでに持っている看護の基礎知識や技術を踏まえ、さらなる学びを深めたい分野や理由を具体的に示します。これまでの学習や実習での経験を適切に活かした志望動機を作成します。
この章で学んだ基本構成と重要ポイントを押さえた上で、次章では実際の書き方のコツについて、より具体的に解説していきます。
合格につながる具体的な書き方のコツ

志望動機を効果的に書くためには、具体的な技術とともに、面接官の心に響く表現力が必要です。
この章では、実際の合格者が用いた表現テクニックと、その効果について詳しく解説していきます。
文章構成の基本
導入部の重要性
志望動機の出だしは、面接官の第一印象を左右する重要な部分です。「幼い頃から」「小さい頃から」といった平凡な書き出しは避け、印象に残るエピソードから始めることをお勧めします。
たとえば、「救急搬送された父の命を救った看護師さんの姿に、私は人生の転機を見出しました」というように、具体的な場面から書き始めることで、読み手の関心を引くことができます。
展開部の構築方法
本論となる展開部では、志望動機の核となる要素を論理的に展開していきます。まず、看護師を志すきっかけとなった経験について、その時の具体的な場面や感情を描写します。続いて、その経験がどのように自身の価値観や将来の展望に影響を与えたのかを説明します。
さらに、志望校の特色や教育内容が、自身の目指す看護師像とどのように結びつくのかを具体的に述べていきます。
効果的な表現技術
具体的なエピソードの活用
抽象的な表現ではなく、実際の体験や見聞きした出来事を具体的に描写することで、説得力のある志望動機を作ることができます。
たとえば、「ボランティア活動で関わった高齢者施設で、認知症の方との関わり方を学んだ経験から、コミュニケーションの重要性を実感しました」というように、実体験に基づいた記述を心がけます。
感情表現の適切な使用
志望動機では、客観的な事実だけでなく、自身の感情や心の動きも適切に表現することが重要です。
ただし、感情表現は適度に抑制的で、かつ誠実さが伝わるものを選びます。「感動しました」「心を打たれました」といった表現よりも、「深く考えさせられました」「新たな気づきを得ました」というように、内省的な表現を用いることをお勧めします。
社会人経験の活かし方
職務経験の転換
社会人経験者の場合、これまでの職務経験を看護の文脈でどのように活かせるかを具体的に示すことが効果的です。
たとえば、接客業での経験であれば、「多様な価値観を持つお客様との関わりを通じて培ったコミュニケーション能力を、患者さんとの信頼関係構築に活かしていきたいと考えています」というように記述します。
キャリアチェンジの意義
看護師を志すに至った決意と、そこに至るまでの思考プロセスを丁寧に説明することで、キャリアチェンジの必然性を示します。
「これまでの職務経験を通じて、人々の健康と直接関わる仕事に携わりたいという思いが強くなり、看護師という道を選択しました」というように、前職での経験と看護師という職業選択の関連性を明確に示します。
学校特色の活用法
カリキュラムの特徴との結びつけ
志望校のカリキュラムや実習体制の特徴を自身の学習ニーズと結びつけて説明することで、その学校を志望する必然性を示します。
「貴校の充実した臨床実習プログラムは、私が目指す実践的な看護スキルの習得に最適だと考えています」というように、具体的な学校の特色と自身の目標を関連付けます。
教育理念との共鳴
志望校の教育理念や建学の精神に共感する部分を見出し、それを自身の価値観や目指す看護師像と結びつけて表現します。
「貴校の掲げる『患者さん一人一人に寄り添う看護』という理念は、私が目指す看護の姿と深く重なります」というように、学校の理念と自身の看護観の一致を示します。
志望動機の実例と添削ポイント

ここでは実際の合格者の志望動機を分析し、なぜその内容が評価されたのか、具体的な添削例とともに解説していきます。
合格した志望動機には共通する特徴があり、それらを理解することで、より効果的な志望動機を作成することができます。
合格例の分析
現役高校生の例
「私が看護師を志したのは、3年前の母の入院がきっかけでした。入院中の母を支えた看護師さんの存在は、私たち家族にとって大きな心の支えとなりました。
特に印象に残っているのは、術後の痛みに苦しむ母に対して、専門的な知識と技術に基づいたケアを提供しながら、まるで家族のように寄り添う姿でした。この経験から、患者さんの心と体の両面をケアできる看護師という職業に強く惹かれるようになりました。
高校では生物部に所属し、人体の仕組みについて深く学ぶとともに、文化祭での健康測定コーナーの企画運営を通じて、多くの方々と関わる機会を得ました。
また、地域の高齢者施設でのボランティア活動では、お年寄りとのコミュニケーションの難しさと大切さを学びました。
貴校を志望したのは、充実した臨床実習プログラムと、きめ細かな国家試験対策に魅力を感じたからです。特に、1年次から始まる基礎看護学実習は、早期から患者さんとの関わりを学べる貴重な機会だと考えています。
将来は、急性期医療の現場で、確かな知識と技術を持ち、患者さんの心に寄り添える看護師として活躍したいと考えています」。
社会人経験者の例
「10年間の営業職を経て、看護師を志すきっかけとなったのは、取引先である医療機器メーカーでの経験でした。医療現場に製品を納入する中で、看護師の方々が患者さんの命と向き合い、専門的なケアを提供する姿に深い感銘を受けました。
特に、ターミナルケア病棟での出会いは、私の人生観を大きく変えるものでした。
これまでの営業経験で培った、相手の立場に立って考えるコミュニケーション能力と、チームで目標を達成する協調性は、看護の現場でも必ず活かせると確信しています。
また、医療機器の知識や医療現場での人間関係の理解も、看護師としての業務に役立つと考えています。
貴校の社会人経験者向けのサポート体制、特に夜間部での学習機会の提供は、私のような転職組にとって心強い支援です。また、実践的な技術習得を重視したカリキュラムは、即戦力となる看護師を目指す私の目標と合致しています」。
面接での志望動機の伝え方
志望動機は書面での提出だけでなく、面接試験でも重要な評価ポイントとなります。
ここでは、面接官に志望動機を効果的に伝えるためのテクニックと、よくある質問への対応方法について詳しく解説していきます。
面接での表現方法の基本
声のトーンと話すスピード
面接では、自信を持って落ち着いた口調で話すことが重要です。早口にならないよう意識し、声の大きさは面接室の広さに合わせて調整します。また、重要なポイントでは特に明確な発音を心がけ、面接官に確実に伝わるよう工夫します。
表情とアイコンタクト
志望動機を語る際は、誠実さが伝わる自然な表情を保ちます。面接官との適度なアイコンタクトを心がけ、熱意と誠実さを伝えます。複数の面接官がいる場合は、質問した面接官を中心に、他の面接官にも目線を配ります。
質問対応のテクニック
志望動機の要約力
面接では限られた時間で志望動機を伝える必要があります。書面での志望動機を2分程度で説明できるよう、核となる部分を整理しておくことが重要です。特に、看護師を志望したきっかけと、その学校を選んだ理由については、簡潔に説明できるよう準備します。
具体例の準備
面接官から「具体的に」という質問が出た際に備えて、複数の具体例を用意しておきます。ボランティア活動での経験や、医療現場での見学経験など、実体験に基づいたエピソードを準備します。
想定質問への対策
志望動機の深掘り質問
「なぜ今、看護師を目指そうと思ったのですか」「他の医療職ではなく、看護師を選んだ理由は何ですか」といった質問には、自身の経験や価値観に基づいた明確な回答を準備します。
特に社会人経験者は、キャリアチェンジの理由について説得力のある説明ができるよう準備しておきます。
学校特色に関する質問
「なぜ本校を選びましたか」という質問には、その学校の特色と自身の目標を結びつけた具体的な回答を準備します。オープンキャンパスや学校説明会での経験も、説得力のある回答の材料となります。
面接特有の注意点
質問の意図を理解する
面接官の質問には必ず意図があります。質問の背景にある意図を理解し、それに応える形で回答することが重要です。質問の意図が不明確な場合は、「少し確認させていただいてもよろしいでしょうか」と丁寧に確認します。
態度と姿勢
面接会場での立ち居振る舞いも重要な評価ポイントです。入室から退室まで、礼儀正しく誠実な態度を保ちます。面接中は背筋を伸ばし、前のめりになり過ぎない自然な姿勢を維持します。
よくある質問と対策
看護学校の受験生から多く寄せられる質問と、それに対する具体的な解決策をまとめました。
ここでは特に志望動機に関する疑問点について、実践的なアドバイスとともに詳しく解説していきます。
文章作成に関する質問
志望動機の適切な長さについて
志望動機の長さは学校によって指定された文字数に従うことが基本です。一般的な目安として、800字程度の場合は導入部に200字、本論に400字、結びに200字程度を配分することをおすすめします。
文字数に余裕がある場合は、具体的なエピソードをより詳しく展開することができます。
書き出しの工夫について
印象的な書き出しを作るためには、自身の経験の中から最も心に残っているシーンを選び出すことが重要です。
たとえば「救急救命室で懸命に患者さんと向き合う看護師の姿に、私は人生の転機を見出しました」というように、具体的な場面から始めることで読み手の関心を引くことができます。
内容に関する質問
看護師を目指すきっかけの書き方
きっかけを書く際は、単なる出来事の説明だけでなく、その経験を通じてどのような気づきや学びがあったのかまで掘り下げることが重要です。
「祖母の入院をきっかけに」という事実に加えて、「看護師さんの専門的なケアと温かい対応に触れ、患者さんの心に寄り添う看護の重要性を実感しました」というように、その経験からの学びを具体的に示します。
学校選択理由の述べ方
志望校の選択理由は、建学の精神やカリキュラムの特徴と、自身の目標や価値観を結びつけて説明することが効果的です。
「貴校の充実した臨床実習プログラムは、私が目指す実践的な看護スキルの習得に最適だと考えています」というように、具体的な学校の特色と自身の目標を関連付けて説明します。
特別な状況への対応
社会人経験者の志望動機
社会人経験者の場合、これまでの職務経験を看護の文脈でどのように活かせるかを具体的に示すことが重要です。
「営業職で培ったコミュニケーション能力を、患者さんやご家族との信頼関係構築に活かしていきたい」というように、前職での経験と看護師という職業の関連性を明確に示します。
転職・再受験の場合の書き方
転職や再受験の場合は、なぜ今このタイミングで看護師を目指すのかという点について、説得力のある説明が必要です。
「これまでの医療事務の経験を通じて、より直接的に患者さんのケアに関わりたいという思いが強くなりました」というように、現在の決意に至った過程を丁寧に説明します。
合格までのスケジュール管理

志望動機の作成は、看護学校受験における重要な準備の一つです。
ここでは、効果的な志望動機作成から受験までの時間管理と、最終的なチェックポイントについてまとめていきます。
時期別の準備ポイント
出願3ヶ月前の準備
この時期には志望動機の骨子を固めることが重要です。看護師を目指すきっかけ、志望校を選んだ理由、将来の目標について、具体的なエピソードを交えながら整理していきます。
オープンキャンパスや学校説明会に参加し、志望校の特色や教育方針についての理解を深めることも大切です。
出願2ヶ月前の活動
志望動機の文章化を始める時期です。基本となる文章を作成し、複数の視点からの推敲を重ねていきます。特に、文章の論理性や説得力について、家族や先生など第三者からの意見をもらうことをおすすめします。
最終確認項目
志望動機のチェックポイント
完成した志望動機は、誤字脱字のチェックはもちろんのこと、文章の流れや論理的整合性についても確認が必要です。また、学校が指定する文字数や書式に正確に従っているかどうかの確認も重要です。
提出前の総点検
志望動機以外の出願書類との整合性を確認します。特に、履歴書や学習計画書などに記載した内容と、志望動機の内容に矛盾がないかを確認することが大切です。
最終アドバイス
本番に向けた準備
面接試験に向けて、作成した志望動機の内容を完全に理解し、自分の言葉で説明できるよう準備します。質問されそうなポイントについては、具体的な回答を準備しておくことをおすすめします。
心構えと態度
最後まで諦めず、自分の志望動機に自信を持って臨むことが大切です。たとえ不安を感じることがあっても、これまでの準備を信じて、前向きな気持ちで試験に臨みましょう。
まとめ
看護学校の志望動機作成において最も重要なのは、あなたらしさを誠実に伝えることです。
形式的な文章や一般的な表現にとらわれすぎず、具体的な経験や思いを基に、あなたが看護師を目指す本当の理由を伝えてください。
より詳しい看護学校受験情報や、現役看護師のリアルな体験談は【ナースの森】看護師専門サイトで見つかります。
志望動機の書き方や面接対策、さらには看護師としてのキャリアプランまで、あなたの夢を全力でサポートします。
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