看護の現場において、正確な報告と記録は患者さんの安全と質の高い医療の提供に欠かせません。
しかし、多くの看護学生や新人看護師の方が、実践的な報告・記録の方法に不安を感じています。
本ガイドでは、SBARを活用した効果的な報告方法から、看護記録の具体的な書き方まで、現場ですぐに活用できるスキルを詳しく解説します。
実際の臨床現場を想定した実践的な内容と、経験豊富な先輩看護師からのアドバイスで、あなたの学びをしっかりとサポートします。
この記事を読んでほしい人
- 看護学生や新人看護師として報告・記録の基本を学びたい方
- 臨地実習や就職後の実践に向けて準備をしたい方
- 報告・記録スキルの向上を目指している看護師の方
- プリセプターとして効果的な指導方法を探している方
- チーム医療におけるコミュニケーション能力を高めたい方
この記事で分かること
- SBARを活用した効果的な報告方法の実践テクニック
- 正確かつ簡潔な看護記録の作成方法と重要ポイント
- 医療現場での情報伝達における優先順位の付け方とコミュニケーション技術
- 実践的なトレーニング方法とスキル向上のためのステップ
- 具体的な事例に基づく報告・記録の改善方法
SBAR手法の詳細解説

医療現場での効果的なコミュニケーションを実現するSBAR手法について、実践的な活用方法と具体例を交えながら解説します。
Situation(状況)の伝え方
基本情報の伝達
患者情報の構成要素
患者の基本情報を伝える際は、氏名、年齢、性別、病室番号、主治医名の順で報告することが基本となります。
報告時の注意点
情報は簡潔かつ明確に伝え、聞き手が理解しやすい速度と声量を意識します。
現在の症状・状態
バイタルサインの報告
体温、血圧、脈拍、呼吸数、SpO2などの数値は、基準値との比較を含めて報告します。
意識レベルの評価
意識レベルはJCSまたはGCSスケールを用いて評価し、その変化を時系列で報告します。
特に急激な変化がある場合は、変化の前後の状態を具体的に説明します。
症状の具体的表現
患者の訴えや症状は、発症時刻、持続時間、性質、程度を含めて具体的に表現します。
緊急度の表現方法
緊急性の判断基準
患者の状態変化の程度や生命に関わる危険性を基準に、緊急度を判断します。
バイタルサインの変動、意識レベルの変化、症状の進行速度などが重要な判断材料となります。
適切な表現方法の選択
状況の緊急度に応じて、「至急」「緊急」「直ちに」などの言葉を適切に使い分けます。
過度な表現は避け、客観的な状態に基づいて判断します。
Background(背景)の効果的な伝達
患者の既往歴や治療経過などの背景情報を、現在の状況と関連付けながら効果的に伝達する方法を解説します。
既往歴の報告
関連性の高い情報の選択
現在の症状や治療に関連する既往歴を優先的に報告します。
特に治療内容や経過に影響を与える可能性のある情報を重点的に伝えます。
アレルギー・副作用歴の伝達
薬剤アレルギーや副作用歴は、その程度や過去の対応方法を含めて具体的に報告します。
入院までの経過
時系列での整理
症状の発現から入院に至るまでの経過を、重要な出来事や処置を時系列で整理して報告します。
他院での治療内容
転院の場合は、前医での治療内容や経過、申し送り事項を漏れなく伝達します。
現在の治療内容
治療計画の共有
現在実施中の治療内容や今後の治療計画について、具体的な目標や予定を含めて報告します。
Assessment(アセスメント)の実践
患者の状態を適切に評価し、その結果を他者に分かりやすく伝えるためのアセスメント手法について解説します。
的確な観察と評価に基づく情報共有が、質の高い看護ケアの基盤となります。
観察結果の評価方法
フィジカルアセスメントの実施
系統的な身体診査の結果を、解剖学的な位置や機能に基づいて順序立てて報告します。
正常値や基準値からの逸脱がある場合は、その程度や変化の傾向を具体的に説明します。
検査データの解釈
血液検査や画像検査などの結果について、基準値との比較や経時的な変化を踏まえて解釈します。
特に異常値がある場合は、関連する症状や治療との関係性を考察して報告します。
主観的情報の評価
患者の訴えや感覚的な表現を、客観的な指標や尺度を用いて評価します。
痛みの程度はNRSやVASなどの評価スケールを活用し、具体的な数値として表現します。
リスクアセスメント
転倒リスクの評価
患者の活動状態、認知機能、使用している薬剤などから転倒リスクを総合的に評価します。
環境要因も含めて分析し、必要な予防策を検討します。
褥瘡リスクの判定
ブレーデンスケールなどの評価ツールを用いて褥瘡リスクを判定します。
栄養状態、皮膚の状態、活動性などの要因を総合的に評価し、予防的なケアの必要性を判断します。
感染リスクの査定
侵襲的処置の有無、免疫状態、環境要因などから感染リスクを評価します。
標準予防策に加えて必要な感染対策を検討し、実施すべき予防措置を具体的に提案します。
Recommendation(提案)の具体的方法
アセスメント結果に基づいて、具体的な対応策や必要な措置を提案する方法について説明します。
実行可能で効果的な提案を行うことで、チーム医療の質の向上に貢献します。
具体的な提案の仕方
優先順位の設定
患者の状態や治療上の必要性に基づいて、実施すべき対応の優先順位を明確にします。
緊急性の高い事項から順に、根拠を示しながら提案を行います。
実施可能な対応策の提示
現場の状況や利用可能な資源を考慮し、実現可能な対応策を具体的に提案します。
必要な物品や人員配置についても言及し、実施に向けた準備を促します。
フォローアップ方法
効果の評価計画
提案した対応策の効果を評価する方法と時期を明確にします。
具体的な評価指標を設定し、継続的なモニタリング方法を提案します。
代替案の準備
提案した対応策が効果的でない場合や実施が困難な状況に備えて、代替となる対応策も準備します。
状況の変化に応じて柔軟に対応できるよう、複数の選択肢を用意します。
効果的な報告のポイント

医療現場における報告は、正確性と簡潔性の両立が求められます。
この章では、効果的な報告を行うための具体的な準備から実施までの方法を、実践的な視点から解説します。
準備段階での注意点
報告の質を高めるためには、入念な準備が不可欠です。
ここでは、情報収集から報告直前までの準備において重要となるポイントについて説明します。
情報収集と整理
必要情報の特定
報告すべき情報を目的に応じて適切に選択します。
患者の状態、治療経過、検査結果など、報告の目的に直接関係する情報を優先的に収集します。
情報の信頼性確認
収集した情報の出所と信頼性を確認します。
特に数値データや検査結果については、最新の情報であることを確実に確認します。
情報の時系列整理
収集した情報を時系列で整理し、経過や変化が分かりやすいように構成します。
重要なイベントや状態変化のタイミングを明確にします。
優先順位の決定
緊急度の評価
患者の状態や治療上の必要性から、報告すべき事項の緊急度を評価します。
生命に関わる情報や早急な対応が必要な事項を最優先とします。
重要度の判断
治療方針の決定や継続的なケアに影響を与える情報の重要度を判断します。
長期的な視点での影響も考慮に入れて優先順位を決定します。
関連性の考慮
複数の情報間の関連性を考慮し、理解しやすい順序で報告できるよう構成を考えます。
因果関係が明確になるような順序立てを心がけます。
資料準備のポイント
必要書類の確認
報告時に参照する可能性のある診療記録や検査データなどを事前に用意します。
必要な情報にすぐにアクセスできるよう、資料の順序も整理します。
データの視覚化
数値データや経過情報は、必要に応じてグラフや表にまとめます。
視覚的な資料を用いることで、情報の伝達効率を高めることができます。
報告時の実践テクニック
実際の報告場面では、準備した内容を効果的に伝達することが重要です。
ここでは、報告を行う際の具体的なテクニックと注意点について説明します。
言葉遣いと表現方法
医療用語の適切な使用
専門用語は正確に使用し、必要に応じて補足説明を加えます。
特に医師への報告と看護スタッフ間での申し送りでは、使用する用語のレベルを適切に調整します。
明確な発声と抑揚
重要なポイントは声の大きさや抑揚を工夫して強調することです。
また、聞き手が理解しやすい速度で話すことを心がけ、必要に応じて間を取ります。
簡潔な文章構成
一文を短めに区切り、要点を明確に伝えます。
接続詞を効果的に使用し、論理的な流れを作りながら報告を進めます。
数値の伝え方
バイタルサインの報告
体温、血圧、脈拍などの数値は、基準値との比較を含めて報告します。
特に異常値がある場合は、その変化の程度と持続時間を具体的に説明します。
検査結果の説明
検査値は単位まで正確に伝え、基準範囲からの逸脱がある場合はその程度を明確にします。経時的な変化がある場合は、その傾向も併せて報告します。
測定値の信頼性
測定環境や条件によって値が変動する可能性がある場合は、測定時の状況も含めて報告します。再測定が必要な場合は、その理由を明確に説明します。
時系列での説明方法
経過報告の構成
症状や状態の変化を時系列に沿って説明します。
特に重要なイベントや処置のタイミングは、具体的な時刻と共に報告します。
因果関係の説明
処置や投薬と症状の変化との関連性を、時間の流れに沿って分かりやすく説明します。
介入の前後での変化を具体的に報告します。
フィードバックの活用
報告後のフィードバックは、コミュニケーションの質を向上させる重要な機会です。
ここでは、フィードバックを効果的に活用し、より良い報告スキルを身につけるための方法について説明します。
確認の方法
理解度の確認手順
報告内容が正しく理解されているかを確認するため、キーポイントを相手に復唱してもらいます。
特に重要な指示や数値については、必ず復唱による確認を行います。
質問の促し方
報告を受けた側からの質問を促すため、適切なタイミングで区切りを入れます。
不明点や確認したい事項がないかを具体的に尋ねることで、双方向のコミュニケーションを実現します。
質問への対応
回答の準備
予想される質問に対する回答を事前に準備しておきます。
データや記録を迅速に参照できるよう、資料の整理と準備を行います。
適切な応答方法
質問の意図を正確に理解し、簡潔かつ的確な回答を心がけます。
不確かな情報については、その旨を明確に伝え、確認後の報告を約束します。
理解度の確認方法
相互確認の実施
報告内容について、両者の認識に相違がないか確認します。
特に治療方針や今後の対応について、具体的な行動レベルでの確認を行います。
記録作成のガイドライン

看護記録は医療における重要な法的文書であり、患者ケアの質を保証する基盤となります。
この章では、正確で適切な看護記録の作成方法について、基本原則から具体的な記載方法まで詳しく解説します。
基本原則と重要事項
記録作成の基本となる原則と、記録に含めるべき重要事項について説明します。
適切な記録は、チーム医療の質向上と安全な医療の提供に不可欠です。
客観的記載の方法
観察事実の記述
患者の状態や症状を、主観的な判断を交えずに客観的な事実として記録します。
観察した内容は、具体的な数値や状態変化として記述します。
患者の訴えの記録
患者からの訴えは、できる限り患者の言葉をそのまま用いて記録します。
ただし、記録する際は「」(かぎかっこ)を使用し、客観的な記録であることを明確にします。
評価の根拠記載
状態の評価を記載する際は、その判断に至った観察事実や根拠を必ず記録します。
第三者が読んでも評価の過程が理解できるような記述を心がけます。
医療用語の適切な使用
標準的用語の使用
医療機関で定められた標準的な医療用語を使用します。
略語を使用する場合は、施設で認められているものに限定し、誤解を招かない表現を選択します。
表現の統一性
同じ状態や処置を示す用語は、記録全体を通して統一した表現を使用します。
チーム内で共通理解が得られる用語を選択することが重要です。
正確な専門用語
解剖学的名称や症状の表現には、正確な医学用語を使用します。
一般的な表現と医学用語を適切に使い分け、必要に応じて補足説明を加えます。
時間経過の記録方法
時刻の明記
処置や観察を行った正確な時刻を記録します。
特に重要な症状の変化や処置については、時間経過が明確になるように記載します。
経時的変化の記述
症状や状態の変化を時系列で記録し、その推移が分かるように記述します。
前回の記録との関連性も考慮しながら、変化の過程を明確に示します。
具体的な記載方法
看護記録の具体的な記載方法について、実践的な例を交えながら解説します。
正確で分かりやすい記録を作成するためには、状況に応じた適切な記載方法の選択が重要です。
観察内容の記述
バイタルサインの記録
バイタルサインは測定値と測定時の状況を具体的に記載します。
体温37.2℃、血圧124/78mmHg、脈拍72回/分、呼吸数16回/分などの数値データは、測定時刻と共に正確に記録します。
症状観察の記載
痛みや不快感などの症状は、部位、性質、程度、持続時間を具体的に記述します。
患者の表現をそのまま記載する場合は、「右腰部に鈍痛あり、痛みの程度はNRS(疼痛スケール)で5/10」のように客観的な評価と組み合わせて記録します。
全身状態の記録
意識状態、皮膚の状態、浮腫の有無など、全身状態の観察結果を系統的に記録します。
変化が見られた場合は、その程度と前回との比較を含めて記述します。
ケア内容の記録
実施した看護ケアの記載
実施した看護ケアは、その目的、方法、使用した物品、所要時間を含めて具体的に記録します。
例えば清拭であれば、「全身清拭実施、微温湯使用、所要時間30分、皮膚トラブルなし」のように記載します。
患者への指導内容
患者教育や指導の内容は、実施した指導の具体的な内容と患者の理解度、反応を記録します。
継続的な指導が必要な場合は、次回の指導計画についても記載します。
使用物品・器具の記録
医療機器や器具を使用した場合は、種類、サイズ、設定値などの詳細情報を記録します。
特に体内留置物については、挿入日時や位置の確認結果も含めて記載します。
患者の反応記録
処置への反応
処置や治療に対する患者の反応を、身体的・精神的両面から記録します。
副作用や不快症状が出現した場合は、その状況と対応した内容を具体的に記述します。
服薬後の観察
投薬後の効果や副作用の有無を観察し、具体的な症状の変化として記録します。
特に新しく開始した薬剤については、詳細な観察結果を記載します。
記録の見直しと修正
看護記録は法的文書としての性質を持つため、記載内容の正確性と適切性を確保することが重要です。
ここでは、記録の見直しと修正の具体的な方法について説明します。
チェックポイント
記載内容の確認
記録内容が事実に基づいているか、必要な情報が漏れなく記載されているかを確認します。
特に数値データや医療用語の使用について、誤記や不適切な表現がないかを慎重に確認します。
表現の適切性
記述が客観的で分かりやすい表現となっているか、主観的な判断や感情的な表現が含まれていないかを確認します。
医療者間で共通理解が得られる表現であるかも重要なチェックポイントとなります。
記載時期の確認
記録が適切なタイミングで作成されているか、日時の記載に誤りがないかを確認します。
特に重要な処置や状態変化については、記載時刻の正確性が求められます。
修正方法
誤記の訂正手順
誤記を発見した場合は、施設の規定に従って適切な方法で修正を行います。
一般的には二重線で消して訂正印を押し、正しい内容を追記する方法が用いられます。
追記の方法
記載内容に不足があった場合は、追記として明確に区別できるように記載します。
追記であることを明記し、追記時点での日時と署名を忘れずに付記します。
記録の保管と管理
記録の保管方法
完成した記録は、施設の規定に従って適切に保管します。
電子カルテシステムの場合は、定期的なバックアップと確実なログアウトを心がけます。
報告・記録の改善方法

看護における報告・記録の質を継続的に向上させることは、医療の質と安全性の向上に直結します。
この章では、自己評価とスキル向上のための具体的な方法について解説します。
自己評価の方法
看護実践における報告・記録の質を向上させるためには、定期的な自己評価が不可欠です。
ここでは効果的な自己評価の方法について説明します。
振り返りの仕方
日々の実践評価
毎日の報告・記録を振り返り、情報の網羅性、正確性、簡潔性の観点から評価します。
特に重要な情報の抜け落ちがないか、優先順位は適切であったかを確認します。
記録内容の分析
作成した記録を客観的に読み返し、第三者が読んでも理解できる内容になっているかを確認します。
医療用語の使用や文章構成が適切であるかも重要な評価ポイントとなります。
フィードバックの収集
先輩看護師や指導者からのフィードバックを積極的に求め、自己評価の妥当性を確認します。
具体的な改善点の指摘を受けることで、より効果的な改善が可能となります。
改善点の見つけ方
課題の抽出方法
報告・記録の中で特に時間がかかった部分や、迷いが生じた箇所を特定します。
それらの原因を分析し、具体的な改善策を検討します。
比較分析の実施
他の看護師の優れた報告・記録を参考に、自身の記録との違いを分析します。
特に表現方法や構成の違いに注目し、改善のヒントを見出します。
評価基準の設定
自己評価の基準を明確にし、定期的に達成度を確認します。
基準は具体的で測定可能な項目とし、段階的な向上を目指します。
目標設定の方法
具体的目標の立案
改善が必要な項目について、具体的で達成可能な目標を設定します。
例えば「報告時間を20%短縮する」「医療用語の適切な使用率を高める」などの数値目標を立てます。
期間設定の重要性
短期目標と長期目標を適切に設定し、定期的な見直しを行います。
達成状況に応じて目標を調整し、継続的な改善を図ります。
スキル向上のための実践

報告・記録のスキルを効果的に向上させるためには、計画的な学習と実践が重要です。
ここでは、具体的な学習方法と実践的なトレーニング方法について説明します。
先輩からの学び方
観察とメモ
優れた報告・記録を行う先輩看護師の実践を意識的に観察します。
特に情報の整理方法、優先順位の付け方、簡潔な表現方法などについて、具体的にメモを取りながら学習します。
指導を受ける機会の活用
先輩看護師からの指導を受ける際は、具体的な質問を準備し、効果的な学びの機会とします。
指導内容は必ずメモに残し、後で振り返りができるようにします。
モデリングの実践
優れた実践例を参考に、自身の報告・記録の改善に活かします。
単なる模倣ではなく、なぜその方法が効果的なのかを理解した上で取り入れることが重要です。
シミュレーション活用法
事例を用いた練習
実際の臨床場面を想定したシミュレーション練習を行います。
様々な状況を設定し、適切な報告・記録の方法を実践的に学習します。
フィードバックの活用
シミュレーション後は必ず振り返りの時間を設け、改善点を明確にします。
他者からのフィードバックを受けることで、客観的な評価と改善が可能となります。
段階的な難易度設定
基本的な状況から複雑な状況まで、段階的にシミュレーションの難易度を上げていきます。
実践力の向上に合わせて、より実践的な場面設定を取り入れます。
定期的な振り返り方法
実践記録の分析
定期的に自身の報告・記録内容を振り返り、改善点を明確にします。
特に時間管理や情報の優先順位付けについて、具体的な評価を行います。
改善策の実行
分析で見つかった課題に対して、具体的な改善策を立案し実行します。
改善の成果を定期的に確認し、必要に応じて方法を修正します。
チームでの改善活動
看護における報告・記録の質の向上は、個人の努力だけでなく、チーム全体での取り組みが重要です。
ここでは、チームとして行う改善活動の具体的な方法について説明します。
カンファレンスでの実践
事例検討の活用
チームカンファレンスでの事例検討を通じて、報告・記録の質を向上させます。
具体的な事例を基に、情報共有の方法や記録の在り方について、チームメンバーと共に検討を行います。
改善点の共有
カンファレンスの場で、報告・記録に関する課題や改善点を積極的に共有します。
チームメンバーからの意見や提案を受け入れ、より良い方法を見出すよう努めます。
標準化への取り組み
チーム内で報告・記録の標準的な方法を検討し、統一した基準の確立を目指します。
共通認識を持つことで、より効率的な情報共有が可能となります。
フィードバックの活用
相互評価の実施
チームメンバー間で報告・記録内容を相互に評価し、建設的なフィードバックを行います。
他者の視点からの評価を受けることで、新たな気づきや改善点を見出すことができます。
改善策の検討
フィードバックを基に、具体的な改善策をチームで検討します。
実践可能な方法を選択し、段階的な改善を進めていきます。
チーム内での共有方法
情報共有の効率化
チーム内での効果的な情報共有方法を確立します。
重要な情報が確実に伝達されるよう、共有のルールや手順を明確にします。
実践的なトレーニング方法

看護における報告・記録のスキルを効果的に向上させるためには、体系的なトレーニングが不可欠です。
この章では、日常業務の中で実践できる具体的なトレーニング方法について解説します。
日常業務での練習方法
実際の臨床現場での経験を効果的な学習機会として活用することは、スキル向上の重要な要素となります。
ここでは、日常業務の中で実践できる具体的な練習方法を説明します。
実践機会の見つけ方
日常業務での意識付け
通常の看護業務の中で、報告・記録の機会を意識的に見出します。
些細な状況変化でも、報告・記録の練習機会として捉えることで、実践的なスキルを磨くことができます。
効果的な実践方法
各シチュエーションにおいて、最適な報告・記録の方法を考えながら実践します。
特に緊急性の判断や優先順位の設定など、実践的な判断力を養うことを意識します。
振り返りの習慣化
実践後は必ず振り返りの時間を設け、報告・記録の内容を評価します。
より良い方法がなかったか、改善点はどこにあるかを具体的に検討します。
記録の実践トレーニング
記録作成の練習
実際の症例を基に、模擬的な記録作成の練習を行います。
特に重要な情報の選択と構成、簡潔な表現方法について重点的に練習します。
記録の見直し方
作成した記録を客観的に見直し、必要な情報が適切に含まれているか確認します。
第三者の視点から読みやすさや理解のしやすさを評価します。
改善点の特定
記録の内容や形式について、具体的な改善点を見出します。
特に時間管理や情報の優先順位付けについて、実践的な改善を図ります。
プリセプターとの関わり方
指導機会の活用
プリセプターからの指導を受ける際は、具体的な質問や課題を準備します。
特に困難を感じている点について、重点的に指導を受けるよう心がけます。
フィードバックの取り入れ
プリセプターからのフィードバックを積極的に求め、具体的な改善につなげます。
指摘された点については、必ず実践を通じて改善を図ります。
シミュレーショントレーニング
実際の臨床場面を想定したシミュレーショントレーニングは、安全な環境で報告・記録のスキルを向上させる効果的な方法です。
ここでは、具体的なシミュレーションの実施方法と活用方法について説明します。
基本的なシナリオ練習
シナリオの設定方法
基本的な臨床場面を想定したシナリオを作成します。
日常的によく遭遇する状況から始め、徐々に複雑な状況設定へと発展させていくことで、段階的なスキル向上を図ります。
実施手順の確認
シミュレーション実施前に、目的と手順を明確にします。
特に報告・記録における重要ポイントを確認し、具体的な学習目標を設定します。
フィードバックの方法
シミュレーション後の振り返りでは、実施内容について具体的なフィードバックを行います。
良かった点と改善点を明確にし、次回の練習に活かせるよう整理します。
チーム練習の方法
チームシミュレーションの実施
複数の職種や役割を想定したチームシミュレーションを行います。
実際の医療現場に近い状況を設定し、チーム内でのコミュニケーションスキルを向上させます。
役割分担と連携
各メンバーの役割を明確にし、情報共有や連携方法を実践的に学びます。
特に緊急時の報告や記録について、チームとしての対応力を高めます。
相互評価の活用
チームメンバー間で相互評価を行い、多角的な視点からの改善点を見出します。
それぞれの立場からの意見を共有し、より効果的な報告・記録方法を検討します。
緊急時対応訓練
緊急シナリオの設定
急変時や災害時など、緊急性の高い状況を想定したシナリオを設定します。
時間的制約がある中での適切な情報伝達と記録方法を習得します。
優先順位の判断
緊急時における情報の優先順位付けを実践的に学びます。
特に重要な情報の選択と簡潔な伝達方法について、繰り返し練習を行います。
評価とフィードバック
トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、適切な評価とフィードバックが不可欠です。
ここでは、実践的なトレーニングにおける評価方法とフィードバックの活用について説明します。
評価基準の理解
基本的な評価項目
報告・記録の評価において重要となる項目を理解します。
情報の正確性、簡潔性、論理性など、具体的な評価基準に基づいて自己評価と他者評価を行います。
段階的な評価方法
基礎的なスキルから応用的なスキルまで、段階的な評価基準を設定します。
各段階での達成目標を明確にし、計画的なスキル向上を図ります。
客観的評価の重要性
評価の客観性を保つため、具体的な事実に基づいた評価を心がけます。
感覚的な評価を避け、明確な根拠を持って評価を行います。
フィードバックの受け方
建設的な受容姿勢
フィードバックを前向きに受け止め、改善の機会として活用します。
指摘された点について、具体的な改善策を考え、実践につなげます。
質問と確認
フィードバックの内容について、不明な点があれば積極的に質問します。
より具体的な改善方法について、詳しい説明を求めることも重要です。
継続的な改善方法
改善計画の立案
フィードバックを基に、具体的な改善計画を立案します。
短期的な目標と長期的な目標を設定し、段階的な改善を目指します。
おしえてカンゴさん!よくある質問コーナー

新人看護師の皆さんからよく寄せられる報告・記録に関する質問について、経験豊富な先輩看護師の「カンゴさん」が分かりやすく回答します。
Q1:報告時に緊張して上手く話せません。どうすればよいですか?
A:緊張するのは自然なことですよ。報告前にメモを準備し、SBARの順序に従って整理しておくと安心です。
また、普段から先輩看護師の報告の仕方を意識して観察し、真似てみることをお勧めします。
慣れるまでは、報告内容を声に出して練習することも効果的です。
必要な情報が漏れないよう、メモは箇条書きではなく、文章として準備しておくとスムーズに話せますよ。
Q2:記録を書くのに時間がかかりすぎてしまいます。効率的な方法はありますか?
A:記録時間の短縮には、「観察しながらメモを取る」習慣をつけることが重要です。
患者さんのところで気づいたことはすぐにメモし、あとで整理する方法が効率的です。
また、よく使う文章のテンプレートを頭の中に用意しておくと、記録がスムーズになります。
ただし、個別性を忘れずに、その患者さんの特徴や変化は具体的に記載することを心がけましょう。
Q3:医師への報告で大切なポイントは何ですか?
A:医師への報告で最も重要なのは、「なぜ今報告が必要なのか」を明確にすることです。
バイタルサインの変化や新たな症状の出現など、報告の理由を最初に述べましょう。
また、関連する検査データや過去の同様の症状の有無なども、予め確認しておくと適切な判断につながります。
医師が次の指示を出しやすいよう、現在実施している処置や投薬内容も併せて報告することをお勧めします。
Q4:夜勤帯での申し送りのコツを教えてください。
A:夜勤帯での申し送りは、特に優先順位を意識することが大切です。
まず、緊急性の高い項目や、継続観察が必要な事項を先に伝えます。
次に、定時の処置や投薬について、特に時間指定のあるものを明確に伝えましょう。
また、夜間に起こりやすい症状や対応方法について、前もって確認しておくと安心です。
申し送り内容はメモを取り、実施予定時刻順に整理しておくと、業務がスムーズになりますよ。
Q5:電子カルテの記録で気をつけることは何ですか?
A:電子カルテの記録では、特にコピー&ペースト機能の使用に注意が必要です。
便利な機能ですが、過去の記録をそのまま流用すると、新しい観察結果や変化を見落としやすくなります。
また、テンプレート機能を使用する際も、その日の特徴的な観察結果や変化を具体的に追記することが重要です。
定期的なバックアップと、記録内容の再確認も忘れずに行いましょう。
まとめ
看護における報告・記録は、医療安全と質の高いケアを実現するための重要な基盤です。
SBARを活用した効果的な報告方法、正確な記録の作成、そして継続的なスキル向上への取り組みが、専門職としての成長につながります。
日々の実践の中で意識的にトレーニングを重ね、チーム医療の質向上に貢献していきましょう。
看護師さんの成長をサポートします
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