特別養護老人ホームは、さまざまな方の生活の基盤の場であり、その生活の中で終焉を迎える方も少なくありません。
今回は、特別養護老人ホームにおける看取りケアの質向上と体制強化について、現場で実践できる具体的な方法をご紹介します。
またその場の改善だけではなく、継続的な改善のための効果測定の方法もお伝えしますのでぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- 特養における看取りケア体制の現状分析と改善方法
- 多職種連携を活かした効果的な体制構築の手順
- 具体的な質向上施策とその実践方法
- 継続的な改善のための効果測定手法
この記事を読んでほしい人
- 特養ホームの施設長として体制強化を検討されている方
- ケア責任者として質の向上を目指している方
- 看護管理者として連携体制の改善を考えている方
- 介護スタッフリーダーとして実践力を高めたい方
- 看取りケアの標準化に取り組む医療・介護従事者の方
特養ホームにおける看取りケア体制の現状分析と課題

急速な高齢化に伴い、特別養護老人ホームにおける看取りケアの重要性は年々高まっています。
本章では、現状の課題を体系的に分析し、改善に向けた方向性を示していきます。
看取りケアを取り巻く環境変化
入所者の状況変化
超高齢社会の進展により、入所者の医療依存度は年々上昇しています。
要介護度の重度化に加え、複数の疾患を抱える方が増加しており、より専門的なケアが求められる状況となっています。
制度面の変更点
2024年の介護報酬改定では、看取り介護加算の要件が見直され、より質の高いケア提供が求められています。
施設には、多職種連携の強化と、きめ細やかな支援体制の構築が期待されています。
施設タイプ別の特徴と課題
施設の構造や運営形態によって、看取りケアの実践方法は大きく異なります。
ここでは、従来型特養とユニット型特養それぞれの特徴を踏まえた看取りケアの現状と課題について解説します。
従来型特養における看取りケア
多床室を中心とした従来型特養では、プライバシーの確保と他入居者への配慮の両立が求められます。
パーティションやスクリーンの活用、環境音楽の導入など、細やかな工夫を重ねることで、尊厳ある看取りの実現を目指しています。
また、広いフロアでの見守り体制の確保や、他入居者への心理的影響への配慮など、独自の課題に対する取り組みも進められています。
ユニット型特養における看取りケア
個室環境を活かしたユニット型特養では、より家庭的な雰囲気での看取りケアが可能です。
少人数単位でのケアマネジメントにより、入居者一人ひとりの状態変化にきめ細かく対応できる利点があります。
一方で、夜間帯の職員配置や緊急時の応援体制など、小規模ユニットならではの課題も存在します。
効果的な現状分析の進め方
看取りケア体制の改善には、現状を正確に把握することが不可欠です。
ここでは、効果的な分析手法とその実践方法について詳しく解説します。
データ収集の基本アプローチ
過去1年間の看取り実績や、職員の経験値、設備環境の状況など、必要なデータを体系的に収集します。
具体的には、看取り介護加算の算定状況、ケアの記録内容、家族アンケートの結果などを整理し、多角的な分析の基礎とします。
分析の視点と方法
収集したデータは、量的分析と質的分析の両面から評価します。
看取り件数や職員配置などの数値データに加え、ケアの質や家族の満足度といった定性的な情報も重要な分析対象となります。
現場の声を丁寧に拾い上げることで、より実態に即した課題抽出が可能となります。
データに基づく分析手法
客観的なデータに基づく分析により、具体的な改善点を明確化することができます。
以下では、具体的な分析手法とその活用方法について説明します。
看取り介護加算の算定分析
看取り介護加算の算定状況を詳細に分析することで、施設のケア提供体制の現状を把握できます。
算定要件の充足状況や、算定漏れの有無なども重要な分析ポイントとなります。
職員の経験値とスキル分析
看護職員や介護職員の経験年数、研修受講歴、専門資格の取得状況などを整理します。
これにより、現場のケア力を客観的に評価し、必要な教育研修の計画立案につなげることができます。
地域特性を考慮した分析
地域における施設の役割や、利用可能な医療資源の状況など、地域特性を踏まえた分析も重要です。
地域の医療資源状況
協力医療機関との連携体制や、訪問診療の利用可能性など、地域の医療資源について詳細に把握します。
救急搬送時の受け入れ先確保や、緊急時の医療支援体制についても検討が必要です。
地域包括ケアシステムとの連動
地域の介護サービス事業者や医療機関との連携状況を分析します。
看取りケアにおける施設の役割を明確化し、地域全体でのケア提供体制の中での位置づけを確認します。
地域のニーズ分析
地域の高齢化率や世帯構成の特徴など、地域特性を考慮した分析を行います。
これにより、今後増加が予想されるニーズへの対応策を検討することができます。
効果的な体制構築の実践プロセス

看取りケア体制の構築には、段階的かつ計画的なアプローチが不可欠です。
本章では、実践的な体制構築のプロセスについて、具体的な手順とポイントを解説していきます。
基本方針の策定
看取りケア体制を確立するための第一歩として、施設としての基本方針を明確に定める必要があります。
ここでは、方針策定のプロセスと重要なポイントについて説明します。
基本理念の確立
施設における看取りケアの基本理念を明確にします。
入居者の尊厳を守り、その人らしい最期を支えるという視点を中心に、具体的な理念を言語化していきます。
この過程では、施設の特性や地域性も考慮に入れ、実現可能な理念を設定することが重要です。
具体的な目標設定
基本理念に基づき、具体的な目標を設定します。
年間の看取り件数や職員研修の実施回数など、数値化できる目標と、ケアの質向上やチーム連携の強化といった定性的な目標をバランスよく設定していきます。
組織体制の整備
効果的な看取りケアを実現するためには、適切な組織体制の構築が不可欠です。
職員の役割分担から緊急時の対応体制まで、包括的な体制づくりを進めます。
看取りケアチームの編成
医師、看護師、介護職員、相談員など、多職種で構成される看取りケアチームを編成します。
各職種の専門性を活かしながら、チームとして一体的なケアを提供できる体制を整えていきます。
責任者の選任と権限委譲
看取りケア全体を統括する責任者を選任し、必要な権限を委譲します。
責任者は、チーム全体のマネジメントや外部機関との連携調整など、重要な役割を担うことになります。
マニュアル・手順書の作成
実践的で使いやすいマニュアルの整備は、質の高い看取りケアを提供する上で重要な基盤となります。
基本マニュアルの整備
日常的なケアから急変時の対応まで、基本的な手順を網羅したマニュアルを作成します。
現場での実用性を重視し、具体的な手順とポイントを明確に記載していきます。
各種手順書の作成
状況別の詳細な手順書を整備します。
夜間帯の対応手順や、家族への連絡方法など、具体的な場面を想定した手順書を用意することで、職員が自信を持って対応できる環境を整えます。
教育研修システムの構築
職員の知識とスキルの向上を図るため、計画的な教育研修システムを構築します。
年間研修計画の策定
基礎的な知識から専門的なスキルまで、段階的に学べる研修プログラムを計画します。
外部研修への参加機会の確保や、施設内での伝達研修の実施など、効果的な学習機会を設定します。
実地研修の実施体制
実践的なスキルを習得するため、実地研修の機会を設けます。
ベテラン職員による指導のもと、実際の場面を想定したトレーニングを行うことで、実践力の向上を図ります。
ICT活用による業務効率化
現代の看取りケアには、ICTの効果的な活用が不可欠です。
業務の効率化と質の向上を両立させるため、適切なシステムの導入を進めます。
記録システムの導入
タブレット端末やスマートフォンを活用した記録システムを導入します。
リアルタイムでの情報共有や、効率的なデータ管理を実現することで、ケアの質の向上につなげます。
コミュニケーションツールの活用
職員間の連絡や家族とのコミュニケーションにおいて、ICTツールを効果的に活用します。
情報共有の迅速化と確実性の向上により、よりきめ細やかなケアの提供が可能となります。
質の高いケアを実現する運営改善

看取りケアの質を高めるためには、日々の運営における継続的な改善活動が不可欠です。
本章では、具体的な運営改善の方法と、実践的なアプローチについて解説していきます。
ケアの標準化と個別化
看取りケアにおいては、基本的な対応の標準化と、個々の入居者に応じた柔軟な対応の両立が求められます。
ここでは、その実現方法について具体的に説明します。
ケアプロトコルの確立
看取り期における基本的なケア手順を標準化し、全ての職員が同じ水準でケアを提供できる体制を整えます。
バイタルサインの確認頻度や観察ポイント、記録方法など、具体的な実施手順を定めることで、確実なケアの提供につなげていきます。
個別ケア計画の立案
入居者一人ひとりの状態や希望に応じた個別ケア計画を作成します。
本人の意向や生活歴、家族の要望などを丁寧に把握し、その方らしい最期を支えるための具体的な支援内容を計画していきます。
リスクマネジメント
看取りケアにおけるリスク管理は、安全で質の高いケアを提供する上で重要な要素となります。
予測されるリスクへの対応策を事前に検討し、適切な対策を講じていきます。
リスクアセスメント体制
定期的なリスクアセスメントを実施し、潜在的なリスクの早期発見に努めます。
身体状態の変化や環境要因など、多角的な視点からリスクを評価し、予防的な対応を行っていきます。
緊急時対応の整備
急変時や災害時など、緊急事態への対応手順を明確化します。
医療機関との連携体制や、夜間帯の応援体制など、具体的な対応方法を整備することで、迅速かつ適切な対応を可能にします。
接遇・コミュニケーション
看取りケアにおいては、入居者や家族との信頼関係の構築が極めて重要です。
適切な接遇とコミュニケーションを通じて、安心感のある関係づくりを進めます。
基本的な接遇の徹底
看取り期における配慮ある言葉遣いや態度について、具体的な指針を設定します。
特に、本人や家族の心情に寄り添った対応ができるよう、実践的な研修を通じて職員の意識向上を図ります。
効果的な情報共有
本人の状態や家族の意向について、職員間で正確な情報共有を行います。
申し送りの方法や記録の書き方など、具体的なルールを定めることで、確実な情報伝達を実現します。
記録システムの最適化
適切な記録は、ケアの質を担保し、継続的な改善を進める上で重要な基盤となります。
効率的で実効性のある記録システムの構築を目指します。
記録様式の標準化
看取りケアに関する記録様式を標準化し、必要な情報を漏れなく記録できる仕組みを整えます。
観察項目や評価指標を明確化し、客観的な記録が行えるよう工夫します。
記録業務の効率化
ICTツールを活用した記録システムの導入により、業務の効率化を図ります。
タブレット端末での入力や音声入力の活用など、現場の負担を軽減する工夫を取り入れていきます。
業務フローの改善
日々の業務の流れを最適化することで、より質の高いケアの提供を実現します。
現場の声を活かしながら、継続的な改善を進めていきます。
業務分析と改善
現状の業務フローを詳細に分析し、非効率な部分や改善が必要な箇所を特定します。
職員の意見を積極的に取り入れながら、実践的な改善策を検討していきます。
新しい運用方法の導入
分析結果に基づき、より効率的な業務の進め方を導入します。
チームケアの強化や、タイムマネジメントの工夫など、具体的な改善策を実践していきます。
多職種連携の強化策

質の高い看取りケアを実現するためには、様々な職種が専門性を活かしながら連携することが不可欠です。
本章では、効果的な多職種連携を実現するための具体的な方策について解説していきます。
職種間の役割明確化
看取りケアにおける各職種の役割と責任を明確にすることで、より効果的な連携体制を構築することができます。
ここでは、具体的な役割分担の方法について説明します。
看護職員の役割設定
医療的な観察と判断を担う看護職員の役割を明確にします。
バイタルサインの評価や症状管理、医師との連携など、専門性を活かした具体的な業務内容を定めていきます。
また、介護職員への指導や助言も重要な役割として位置づけます。
介護職員の役割設定
日常的なケアを担う介護職員の具体的な役割を設定します。
入居者の状態観察や基本的なケアの提供、家族とのコミュニケーションなど、現場で求められる役割を明確化します。
状態変化時の報告ルールなども具体的に定めていきます。
カンファレンスの効果的運用
多職種間の情報共有と意思決定の場として、カンファレンスを効果的に活用していきます。
より実践的な場となるよう、運営方法を工夫します。
カンファレンスの構造化
目的に応じて異なる種類のカンファレンスを設定します。
定期的な状態確認のためのものから、急変時の対応検討まで、状況に応じた開催形態を整えます。
参加者の範囲や進行方法なども、明確なルールとして定めていきます。
記録と共有の仕組み
カンファレンスでの決定事項を確実に実践につなげるため、効果的な記録と共有の仕組みを整備します。
検討内容や決定事項を具体的に記録し、参加できなかった職員とも確実に情報共有できる体制を作ります。
情報共有システムの構築
多職種間での円滑な情報共有を実現するため、効果的なシステムを構築します。
必要な情報が必要な時に確実に共有される仕組みを整えていきます。
共有ツールの整備
電子記録システムやコミュニケーションツールなど、効果的な情報共有ツールを導入します。
リアルタイムでの情報更新や、職種間での円滑な連絡が可能となる環境を整えていきます。
情報共有のルール化
共有すべき情報の種類や範囲、タイミングなど、具体的なルールを設定します。
特に緊急性の高い情報については、確実な伝達方法を定め、漏れのない情報共有を実現します。
外部機関との連携強化
施設内の連携に加えて、外部の医療機関や関係機関との連携も重要です。
円滑な協力体制を構築するための具体的な方策を実践していきます。
医療機関との連携体制
協力医療機関との具体的な連携方法を確立します。
日常的な連絡体制から緊急時の対応まで、状況に応じた連携の仕組みを整備します。
定期的な情報交換の機会も設けることで、より強固な協力関係を築いていきます。
地域資源との協力関係
地域の訪問看護ステーションや薬局など、様々な地域資源との連携を強化します。
それぞれの機関の特性を活かした協力体制を構築し、より充実したケアの提供を目指します。
効果測定と評価指標

看取りケアの質を継続的に向上させるためには、具体的な効果測定と評価が不可欠です。
本章では、実践的な評価方法と、その活用方法について詳しく解説していきます。
定量的評価指標
数値化できる指標を用いることで、客観的な評価と改善につなげることができます。
ここでは、具体的な測定方法と活用方法について説明します。
基本的な数値指標
看取り介護加算の算定率や看取り件数など、基本的な数値指標の測定方法を定めます。
月次での推移や前年比較など、具体的な分析方法についても明確にしていきます。
これらのデータは、施設の看取りケア体制の基礎的な評価として活用します。
詳細評価項目
症状緩和の達成度や医療連携の実施状況など、より詳細な評価項目を設定します。
それぞれの項目について、具体的な測定基準を定め、定期的なモニタリングを実施します。
数値化された結果は、具体的な改善活動の基礎資料として活用していきます。
定性的評価指標
数値では表現できない質的な側面についても、適切な評価方法を設定します。
ケアの質や満足度など、多面的な評価を行います。
ケアの質的評価
看取りケアの内容や方法について、質的な評価基準を設定します。
本人の望む最期が実現できたか、家族の心理的支援は十分だったかなど、具体的な評価項目を設定し、定期的な振り返りを行います。
満足度調査の実施
入居者家族を対象とした満足度調査を実施します。
具体的な調査項目の設定から、実施方法、結果の分析方法まで、体系的な評価の仕組みを整えていきます。
PDCAサイクルの運用
効果測定の結果を実際の改善活動につなげるため、効果的なPDCAサイクルを構築します。
具体的な運用方法を確立し、継続的な質の向上を目指します。
計画段階の具体化
現状分析に基づいて具体的な改善計画を立案します。
目標設定から実施スケジュール、必要な資源の確保まで、実践的な計画づくりを行います。
数値目標と質的な目標をバランスよく設定することで、総合的な改善を目指します。
実行過程の管理
計画に基づいた取り組みの進捗状況を適切に管理します。
定期的なチェックポイントを設定し、必要に応じて軌道修正を行える体制を整えます。
現場の意見も積極的に取り入れながら、実効性の高い改善活動を進めていきます。
フィードバックシステム
測定・評価の結果を効果的に現場にフィードバックし、実践的な改善につなげていく仕組みを構築します。
結果の共有方法
効果測定の結果を、わかりやすい形で職員に共有します。
グラフや図表を活用した視覚的な表現方法や、具体的な事例を用いた説明など、理解しやすい形での情報提供を心がけます。
改善活動への展開
共有された結果を基に、具体的な改善活動を展開します。
職員からの提案を積極的に取り入れながら、現場の実情に即した改善策を検討していきます。
小さな改善から着実に積み重ねることで、持続的な質の向上を実現します。
継続的な質向上への取り組み

看取りケアの質を持続的に向上させていくためには、計画的かつ体系的な取り組みが必要です。
本章では、継続的な質向上を実現するための具体的な方策について解説していきます。
教育研修の体系化
看取りケアに関わる職員の知識とスキルを継続的に向上させるため、体系的な教育研修システムを構築します。
現場のニーズに即した効果的な学習機会を提供していきます。
年間研修計画の策定
施設全体の教育方針に基づき、具体的な年間研修計画を作成します。
基礎的な知識から専門的なスキルまで、段階的に学習できるプログラムを設計します。
外部研修への参加機会や、施設内での伝達研修など、様々な学習機会を計画的に配置していきます。
個別育成計画の作成
職員一人ひとりの経験や課題に応じた個別の育成計画を立案します。
現在の知識やスキルレベルを評価し、具体的な目標設定と育成方針を定めていきます。
定期的な面談を通じて進捗を確認し、必要に応じて計画の見直しを行います。
モチベーション管理
質の高いケアを継続的に提供するためには、職員のモチベーション維持・向上が不可欠です。
具体的な支援策を展開していきます。
達成感の創出
看取りケアにおける具体的な成果や positive な経験を共有する機会を設けます。
デスカンファレンスでの振り返りや、家族からの感謝の声の共有など、職員が達成感を感じられる機会を意図的に作っていきます。
心理的サポート体制
看取りケアに携わる職員の心理的負担に配慮し、適切なサポート体制を整えます。
定期的な個別面談や、グループでの意見交換会など、職員が思いを表出できる場を設定します。
必要に応じて外部の専門家による支援も活用していきます。
人材育成計画
将来を見据えた人材育成を計画的に進めていきます。
施設全体の看取りケアの質向上につながる具体的な育成方針を展開します。
キャリアパスの明確化
看取りケアに関する専門性向上のための具体的なキャリアパスを設定します。
必要な知識やスキル、取得すべき資格などを明確にし、段階的な成長を支援する体制を整えます。
目標となる役割モデルを示すことで、職員の成長意欲を高めていきます。
指導者の育成
施設内で看取りケアの指導的役割を担える人材を計画的に育成します。
外部研修への派遣や、専門資格の取得支援など、具体的な育成プログラムを実施します。
指導者間の情報交換の機会も定期的に設けていきます。
働きやすい職場づくり
質の高いケアを持続的に提供するためには、職員が働きやすい環境整備が重要です。
具体的な職場改善策を実践していきます。
業務環境の整備
物理的な環境改善から業務プロセスの見直しまで、総合的な環境整備を進めます。
必要な機器や備品の充実、作業スペースの確保など、具体的な改善を実施します。
職員からの改善提案も積極的に取り入れていきます。
ワークライフバランスの支援
シフト管理の工夫や休暇取得の促進など、具体的な支援策を展開します。
特に、看取りケア時の勤務調整や、精神的負担の大きい業務後のフォローなど、現場の実情に即した支援を行っていきます。
看護師さんからのQ&A「おしえてカンゴさん!」
現場で実際に発生する疑問や課題について、経験豊富な看護師が具体的な解決方法をご紹介します。
ここでは、特に多く寄せられる質問とその回答を、実践的な視点でお伝えしていきます。
看取りケア体制の構築について
Q1:体制構築の期間について
Q:看取りケア体制の構築には、どのくらいの期間が必要でしょうか。
A:基本的な体制構築には3〜6ヶ月程度を見込むことをお勧めします。
準備期では現状分析とスタッフ教育計画の立案を行い、1〜2ヶ月かけて基礎を固めます。
続く導入期では、マニュアル作成と試験運用を実施し、約2ヶ月かけて実践的な調整を行います。
最後の定着期では、本格運用と評価・改善を行いながら、継続的な教育を実施します。
施設の規模や現状によって期間は変動しますが、焦らず段階的に進めることが重要です。
Q2:職員教育の進め方
Q:看取りケアに不慣れな職員への教育は、どのように進めればよいでしょうか。
A:段階的なアプローチをお勧めします。
まずは基礎的な知識の習得から始め、徐々に実践的なスキルの向上を図っていきます。
座学による学習と並行して、経験豊富な職員によるOJTを実施することで、実践的な学びを深めることができます。
また、定期的なケースカンファレンスを通じて、具体的な事例を基にした学習機会を設けることも効果的です。
教育内容は記録に残し、振り返りができる体制を整えることも大切です。
多職種連携について
Q3:医師との連携方法
Q:協力医療機関の医師との効果的な連携方法を教えてください。
A:日常的なコミュニケーション体制の構築が重要です。
定期的なカンファレンスの開催や、状態変化時の報告基準を明確にすることで、スムーズな連携が可能となります。
特に、看取り期に入る可能性がある入居者については、事前に医師と方針を確認し、具体的な対応手順を共有しておくことをお勧めします。
また、24時間の連絡体制を確立し、緊急時の対応方法についても明確にしておくことが大切です。
ケアの質向上について
Q4:症状緩和の工夫
Q:看取り期の症状緩和について、効果的な方法を教えてください。
A:個々の状態に応じた総合的なアプローチが重要です。
痛みや不快症状については、医師と連携しながら適切な医療的管理を行います。
同時に、環境整備やポジショニングの工夫、スキンケアの徹底など、非薬物的なケアも組み合わせていきます。
また、精神的な安楽を図るため、本人の好みや生活習慣を考慮したケアを提供することも大切です。
家族の希望も取り入れながら、総合的な緩和ケアを実践していきましょう。
家族支援について
Q5:家族との関係づくり
Q:看取り期における家族との良好な関係づくりのコツを教えてください。
A:早期からの丁寧なコミュニケーションが鍵となります。定期的な状態報告や、些細な変化でも共有することで、信頼関係を築いていきます。また、家族の心情に寄り添い、不安や疑問に丁寧に対応することも重要です。家族カンファレンスなどの機会を活用し、今後の方針について十分に話し合う時間を設けることをお勧めします。家族の思いを受け止めながら、施設としてできることを明確に伝えていくことで、協力関係を築くことができます。
まとめ
本稿では、特別養護老人ホームにおける看取りケア体制の構築と運用について、実践的なアプローチ方法をご紹介してきました。
現状分析から始まり、体制構築、多職種連携、効果測定まで、段階的な実践方法をお伝えしました。
これらの取り組みを通じて、入居者様とご家族に寄り添った質の高い看取りケアを実現することができます。
より詳しい実践事例や、現場で活用できる具体的なツールについては、【はたらく看護師さん】のメンバーズライブラリをご活用ください。会員登録いただくと、看取りケアに関する動画研修や、書式テンプレート、実践マニュアルなど、さらに充実したコンテンツをご利用いただけます。
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