保健師を目指すあなたは、「自分は本当に保健師に向いているのだろうか」と考えたことはありませんか?
保健師という職業は、地域の健康を支える重要な役割を担っていますが、その仕事内容は多岐にわたり、特定の資質や適性が求められます。
本記事では、現役保健師の声や最新の職務分析をもとに、保健師に向いている人の特徴や必要な資質を詳しく解説します。
自己診断方法も紹介していますので、キャリアプランを考える際の参考にしてください。
この記事で分かること
- 保健師に必要な基本的資質と能力について詳しく知ることができます
- 保健師に向いている性格の特徴を具体例とともに理解できます
- 保健師に適した思考タイプを自己分析できるようになります
- 保健師としての適性を自己診断する方法がわかります
- 実際の保健師のキャリア構築例から将来像をイメージできます
- 保健師としての適性が実際の仕事でどう活かされるか理解できます
この記事を読んでほしい人
- 保健師を目指している看護学生の方
- 看護師から保健師へのキャリアチェンジを考えている方
- 保健師として働いているが、自分の適性に疑問を感じている方
- 保健師の仕事内容や必要な資質について知りたい方
- 医療系の進路を検討している学生の方
- キャリアアドバイザーや進路指導担当の方
保健師に必要な基本的資質

保健師は単に看護師の延長線上にある職業ではなく、地域住民の健康問題を予防し、健康増進を図るために活動する専門職です。
個人だけでなく集団や地域全体を対象とするため、一般的な看護師とは異なる資質が求められます。
ここでは、保健師として活躍するために必要な基本的資質について詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション力
保健師の業務の中心は「人」との関わりです。
幅広い年齢層や多様な背景を持つ人々とコミュニケーションを取る必要があります。
特に重要なのは傾聴力で、相手の話をしっかりと聴き、真のニーズを把握する能力が求められます。
また、専門知識をわかりやすく伝える説明力や、短時間で信頼関係を築ける親しみやすさも大切です。
さらに、多職種や関係機関との連携を円滑に進める調整力も保健師に欠かせないコミュニケーションスキルと言えるでしょう。
A保健所で働くベテラン保健師の田中さん(仮名)は、
「保健師の仕事は、人と人をつなぐこと。どんなに専門知識があっても、それを適切に伝えられなければ意味がありません」と語ります。
対象者に合わせた伝え方
保健師は赤ちゃんからお年寄りまで、また健康な人から様々な健康課題を抱える人まで、幅広い対象者と関わります。
それぞれの理解度、関心、生活背景に合わせて伝え方を工夫することが求められます。
専門用語をわかりやすく言い換えたり、視覚的な資料を用いたり、対象者の関心に合わせた切り口で健康情報を伝えることが大切です。
信頼関係構築のテクニック
保健師活動の基盤となるのは信頼関係です。初
回の面談や訪問で信頼関係を構築するためには、相手の話をしっかり聴き、共感的理解を示すことが重要です。
また、約束を守り、プライバシーを尊重する姿勢も欠かせません。
特に支援を拒否しがちな対象者に対しては、押し付けではなく、相手のペースを尊重しながら関係性を築いていくことが求められます。
公衆衛生への関心と知識
保健師は、個人だけでなく集団や地域全体の健康を考える公衆衛生の専門家です。
そのため、公衆衛生に関する深い関心と知識が不可欠です。
疫学の基本概念や健康課題の分析方法、保健統計の読み解き方、地域診断の手法、健康政策の理解など、幅広い知識が求められます。
公衆衛生への関心は、日常的なニュースや健康課題への感度の高さにも表れます。
例えば、新型コロナウイルス感染症の流行時には、感染症対策の最前線で活躍した保健師も多くいました。
社会情勢や健康課題の変化に敏感であることは、保健師として重要な資質の一つです。
最新の健康課題への感度
保健師は常に最新の健康課題に対する感度を持ち、情報収集を行う必要があります。
近年では、生活習慣病の増加、高齢化に伴う課題、メンタルヘルス問題、新興感染症など、社会の変化に伴い健康課題も多様化しています。
学会や研修会への参加、専門誌の購読、オンライン情報の収集など、継続的な学習姿勢が求められます。
地域特性の理解
各地域には独自の健康課題や特性があります。人口構成、産業構造、地理的条件、文化的背景など、地域特性を理解することは保健師活動の基盤となります。
例えば、高齢化率の高い地域と若年層の多い地域では、重点的に取り組むべき健康課題が異なります。
地域の特性を踏まえた活動展開ができる洞察力が保健師には求められます。
企画力と実行力
保健師は、健康教室や健康相談会など、様々な保健事業を企画・実施します。それらを効果的に運営するためには、企画力と実行力が必要です。
まず、地域住民のニーズを的確に把握するアセスメント能力が重要です。
次に、限られた資源の中で最大の効果を上げるための計画立案能力、そして計画を実行に移す実行力が求められます。
さらに、PDCAサイクルを回す能力も大切です。
計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクルを意識して事業を展開することで、保健活動の質を高めることができます。
東北地方のある自治体では、保健師主導の健康づくり事業が継続的な改善を重ね、県内でもトップクラスの健康指標を達成しています。
効果的な事業企画のポイント
効果的な保健事業を企画するためには、まず地域の健康課題を正確に把握することが重要です。
そのうえで、対象者の特性や生活習慣を考慮した内容や実施方法を検討します。
また、単発の事業ではなく、継続的な効果を生み出す仕組みづくりを意識することも大切です。
例えば、健康教室の参加者同士のつながりを活かし、自主グループ化を支援するなど、住民主体の健康づくり活動につなげる視点が求められます。
限られた資源での最大効果
保健事業は多くの場合、限られた予算や人員の中で実施する必要があります。
効果的・効率的な事業運営のためには、地域の既存資源を上手に活用する視点が欠かせません。
地域の人材(健康づくり推進員や食生活改善推進員など)や場所(公民館や集会所など)、既存の活動などを把握し、それらを有機的につなげることで、少ない投入資源でも大きな効果を生み出すことができます。
指導力
保健師は、地域住民や特定集団に対して、健康教育や保健指導を行います。
効果的な指導を行うためには、指導力が求められます。専門知識をわかりやすく伝える能力はもちろん、相手の理解度に合わせた説明能力も必要です。
また、知識を伝えるだけでなく、行動変容を促す動機づけ能力も重要な指導力の一つです。
グループ指導の場面では、グループダイナミクスを活用する能力も発揮されます。参加者同士の相互作用を促し、学びを深める場の設定や雰囲気づくりも、保健師の指導力の見せどころです。
行動変容を促す技術
健康教育や保健指導の最終目標は、対象者の行動変容です。
知識を伝えるだけでなく、実際の行動につなげるためには、行動変容ステージモデルなどの理論的背景を理解し、対象者の準備性に合わせたアプローチが必要です。
また、小さな成功体験を積み重ねることで自己効力感を高めるなど、心理学的な視点も取り入れた指導が効果的です。
対象に合わせた指導方法の選択
保健指導では、個別指導とグループ指導、それぞれの特性を理解し、目的や対象に合わせて選択することが重要です。
個別指導ではプライバシーに配慮しながら個々の状況に応じた具体的な支援が可能であり、グループ指導では参加者同士の相互作用を活かした学びや仲間づくりが期待できます。
また、近年ではICTを活用した指導方法も増えており、状況に応じた適切な方法選択が求められます。
責任感
保健師は、地域住民の健康に責任を持つ立場です。
その責任を全うするためには、強い責任感が必要です。
業務の確実な遂行はもちろん、継続的なフォローアップも大切です。また、倫理的判断や守秘義務の徹底も保健師としての責任感の表れと言えるでしょう。
責任感の強い保健師は、自己研鑽への努力も惜しみません。
最新の知識や技術を学び続けることで、より質の高い保健活動を提供しようとする姿勢が見られます。
倫理的実践の重要性
保健師は活動の中で様々な倫理的課題に直面します。
例えば、対象者の自己決定権と健康リスクのバランス、個人情報保護と関係機関との情報共有の範囲など、難しい判断を求められることもあります。
常に倫理的視点を持ち、対象者の最善の利益を考えた実践を行うことが重要です。
保健師の倫理的感受性を高めるためには、事例検討や倫理カンファレンスなどの機会が有効です。
継続的支援とフォローアップ
保健師活動の特徴の一つは、継続的な支援とフォローアップです。
一時的な支援で終わるのではなく、必要に応じて長期的な視点でフォローアップを行います。
例えば、特定保健指導や乳幼児健診後のフォロー、精神疾患を持つ方への訪問など、継続的な関わりが重要なケースも多いです。
対象者の状況変化を見逃さず、適切なタイミングで必要な支援を提供する責任感が求められます。
保健師に求められる能力

基本的な資質に加えて、保健師として効果的に働くためには、特定の能力が求められます。
これらの能力は、保健師活動の質を高め、地域の健康課題解決に貢献するために不可欠なものです。
ここでは、保健師に特に求められる能力について詳しく見ていきましょう。
分析力と課題発見能力
保健師は、地域の健康データを分析し、潜在的な健康課題を発見する必要があります。
そのためには、データ収集能力や統計分析能力が求められます。
また、数字の羅列から意味のあるパターンを見出すパターン認識能力や、多くの課題の中から優先すべきものを見極める優先順位付け能力も重要です。
東京都内で母子保健を担当している佐藤保健師(仮名)は、
「数字の羅列から地域の課題を読み取り、そこに隠れているストーリーを見つけることが保健師の醍醐味です」と言います。
例えば、地区別の乳幼児健診受診率を分析し、特定の地域の受診率が低いことを発見したとき、その背景にある交通アクセスの問題や外国人居住者の増加などの要因を読み取り、効果的な対策を講じることができます。
地域診断の実践
地域診断は保健師の重要な能力の一つです。
人口動態や健康統計などの量的データと、住民の声や地域の様子などの質的データを組み合わせ、地域の健康課題を包括的に把握します。
具体的には、人口構成、疾病構造、受療状況、健康行動、社会資源、地理的条件などの多角的な視点から地域をアセスメントし、優先的に取り組むべき課題を特定します。
地域診断の結果に基づいて、効果的な保健活動計画を立案することが保健師には求められます。
エビデンスに基づく実践
保健師活動においても、エビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice: EBP)の重要性が高まっています。
研究成果や統計データなどの科学的根拠を活用し、効果的な保健活動を展開することが求められます。
そのためには、信頼性の高い情報源から最新のエビデンスを収集し、批判的に吟味する能力が必要です。
また、収集したエビデンスを地域の特性や対象者のニーズに合わせて適用する応用力も求められます。
政策立案・政策提言能力
保健師は、地域の健康課題を解決するための政策を立案し、必要に応じて上層部や行政に提言します。そのためには、課題の構造化能力や解決策の創出能力が求められます。
また、費用対効果の検討能力も重要です。限られた予算の中で最大の効果を上げる政策を提案するためには、経済的な視点も必要とされます。
さらに、政策の実現のためには、プレゼンテーション能力や説得力も欠かせません。
データや事例を用いて課題の重要性を伝え、関係者の理解と協力を得ることが政策実現の鍵となります。
政策サイクルの理解
保健師が政策立案・政策提言を行うためには、政策過程(政策サイクル)の理解が重要です。
政策形成、政策決定、政策実施、政策評価という一連のプロセスを理解し、それぞれの段階で保健師としてどのような関わりが可能かを考える必要があります。
特に政策形成段階では、地域の健康課題を可視化し、根拠に基づいた提言を行うことが重要です。
住民の声を政策に反映させるためのアドボカシー(代弁・擁護)も保健師の重要な役割の一つです。
財政的視点とコスト意識
公的機関で働く保健師は、税金や保険料を財源とした活動を行っています。
限られた財源の中で効果的・効率的な保健活動を展開するためには、財政的視点とコスト意識が重要です。
事業の費用対効果を検討し、投入した資源に見合った成果が得られているかを評価する視点が求められます。
また、政策提言の際には、実施にかかるコストと期待される効果を明確に示し、説得力のある提案を行うことが大切です。
危機管理能力
感染症の流行や災害時など、健康危機が発生した際には、保健師は最前線で対応する必要があります。
そのためには、冷静な判断力や迅速な対応力が求められます。
また、チームマネジメント能力も重要です。様々な関係者と協力して危機対応を行うためには、リーダーシップや調整力が発揮されます。
さらに、危機管理においてはストレス耐性や柔軟な思考力も必要とされます。
予期せぬ事態に直面しても柔軟に対応し、冷静に状況を判断する能力が求められます。
感染症対応の実際
新型コロナウイルス感染症の流行は、保健師の危機管理能力の重要性を改めて示しました。
疫学調査(積極的疫学調査)の実施、濃厚接触者の特定と健康観察、クラスター対策、リスクコミュニケーション、ワクチン接種体制の構築など、保健師は様々な場面で中心的役割を担いました。
感染症対応においては、科学的知見に基づいた判断力、関係機関との連携調整力、刻々と変化する状況への適応力が特に重要です。
災害時の保健活動
災害時には、避難所の環境整備や健康管理、要配慮者の支援、心のケア、感染症対策など、保健師による様々な活動が必要となります。
平常時から災害に備えた準備(防災計画への参画、要配慮者リストの整備、関係機関との連携体制構築など)を行うことも保健師の重要な役割です。
災害時の保健活動においては、限られた資源の中で優先順位を判断する能力、多職種・他機関との協働力、長期的な復興を見据えた活動計画立案能力などが求められます。
ICT活用能力
2025年現在、保健師業務においても情報通信技術(ICT)の活用が進んでいます。デジタルヘルスの時代に対応するためには、ICT活用能力が不可欠です。
基本的なコンピュータリテラシーやデータベース操作能力はもちろん、オンライン保健指導能力やテレヘルスの活用能力も求められるようになってきています。
また、デジタル化が進む中で情報セキュリティ意識も重要性を増しています。
個人情報を扱う保健師には、高い情報セキュリティ意識が求められます。
デジタルヘルスの活用事例
デジタルヘルスの進展により、保健師活動の可能性も広がっています。
例えば、健康アプリやウェアラブルデバイスのデータを活用した個別化された保健指導、オンラインプラットフォームを活用した健康教育の提供、GIS(地理情報システム)を用いた地域診断など、ICTを活用した新たな保健活動が展開されています。
これらのツールを効果的に活用するためには、新たな技術への適応力とデジタルリテラシーの向上が必要です。
情報リテラシーと倫理
デジタル化時代の保健師には、情報リテラシーと情報倫理の観点も重要です。
インターネット上には膨大な健康情報が溢れていますが、その中から信頼性の高い情報を選別し、批判的に評価する能力が求められます。
また、SNSなどで発信される健康情報に対する適切な対応も必要です。さらに、個人情報保護やデジタルデバイドへの配慮など、情報倫理に基づいた実践も保健師に求められる重要な能力です。
研究能力
保健師活動の質を高めるためには、実践と研究の連携が重要です。
日々の活動から研究的視点で課題を見出し、系統的に取り組む研究能力も、現代の保健師に求められる能力の一つです。
具体的には、研究デザインの理解、データ収集・分析方法の習得、研究倫理の遵守などが挙げられます。
研究成果を実践に還元することで、エビデンスに基づいた保健活動が展開できます。
また、自身の実践経験を研究としてまとめ、学会や専門誌で発表することで、保健師活動の発展に貢献することも可能です。
アクションリサーチの実践
保健師活動と親和性の高い研究方法として、アクションリサーチが注目されています。アクションリサーチは、実践者自身が研究者となり、実践の場での課題解決を目指す研究方法です。
保健師が日々の活動の中で課題を発見し、解決策を検討・実施し、その効果を評価するというサイクルは、まさにアクションリサーチのプロセスと言えます。
このような研究的視点を持った実践により、保健活動の質を高めることができます。
学会活動と専門性の向上
保健師の専門性向上のためには、学会活動への参加も重要です。
日本公衆衛生学会や日本地域看護学会などの学術団体では、最新の研究成果や実践報告が共有されています。
学会参加により得た知見を自身の実践に活かすとともに、自らの実践経験や研究成果を発表することで、保健師の専門性向上に貢献することができます。
また、専門誌への投稿や査読者としての活動も、研究能力を高める機会となります。
保健師に向いている性格の特徴

保健師という職業には、特定の性格特性が適していると言われています。
もちろん、完璧な性格というものはありませんが、以下のような特性を持つ人は保健師として活躍しやすいかもしれません。
自分の性格と照らし合わせて、保健師としての適性を考える参考にしてください。
共感力の高さ
保健師は、様々な背景や困難を抱える人々と関わります。
その際、相手の立場に立って考え、感情を理解する共感力が重要です。
共感力の高い保健師は、言葉にならないニーズにも気づき、適切な支援につなげることができます。
共感力の具体的な表れとしては、相手の感情を読み取る能力や非言語的コミュニケーションへの敏感さがあります。また、偏見なく相手を受け入れる姿勢や、相手の価値観を尊重する態度も共感力の表れと言えるでしょう。
傾聴の技術
共感力を発揮するための基本的なスキルが傾聴です。
相手の話に真摯に耳を傾け、言葉の背後にある思いや感情を理解しようとする姿勢が重要です。具体的には、適切なアイコンタクトを保ち、相手のペースに合わせ、うなずきや相づちで理解を示しながら聴くなどの技術があります。
また、オープンクエスチョンを用いて相手が話しやすい環境を作ることも大切です。
傾聴の技術は訓練によって向上させることができるため、自己の傾聴スキルを意識的に高めることも保健師にとって重要です。
文化的感受性
多様な背景を持つ人々を支援する保健師には、文化的感受性も重要な共感力の一側面です。
異なる文化的背景を持つ人々の価値観や習慣、健康観を理解し、尊重する姿勢が求められます。
例えば、外国人住民の増加に伴い、言語や文化の違いに配慮した保健活動の必要性が高まっています。
文化的背景の違いを理解し、その人らしい健康的な生活を支援するためには、自身の文化的バイアスに気づき、柔軟に対応する姿勢が大切です。
粘り強さと忍耐力
保健師の仕事は、すぐに成果が見えないことも多いです。
長期的な視点で地道に活動を続けるためには、粘り強さと忍耐力が必要です。例えば、行動変容を促す保健指導では、対象者の変化が少しずつしか現れないこともあります。
そのような時でも諦めずに支援を続けることができる粘り強さが求められます。
また、地域の健康課題への継続的な取り組みや、多職種連携における調整、困難ケースへの支援など、すぐには結果が出ない場面でも粘り強く取り組む姿勢が保健師には必要です。
長期的視点での活動
保健師活動の多くは、短期間で成果が現れるものではなく、長期的な視点での継続的な関わりが必要です。
例えば、生活習慣病予防のための健康づくり活動や、母子保健活動における子どもの成長発達の支援などは、数年あるいは数十年という単位で考える必要があります。
目の前の成果だけにとらわれず、長期的な視点で粘り強く活動を続けることができる姿勢が保健師には求められます。保健師として長年活躍している方々は、この長期的視点での活動の重要性をよく理解しています。
困難事例への対応
保健師は様々な困難事例に関わることがあります。
例えば、複雑な健康問題や社会的問題を抱えた事例、支援を拒否する事例、多問題家族など、簡単には解決しない事例も少なくありません。
このような困難事例に対しても、諦めずに粘り強く関わり続けることができる忍耐力が求められます。
一度の訪問や面談で関係性が築けないこともありますが、継続的なアプローチによって少しずつ信頼関係を構築していく過程は、保健師活動の醍醐味でもあります。
好奇心と探究心
保健師は、常に新しい健康課題や解決方法に目を向け、学び続ける必要があります。
好奇心と探究心は、保健師としての成長を支える重要な特性です。
最新の健康情報の収集や新たな保健活動手法の開発、地域特性に応じたプログラムの創出など、常に学び続ける姿勢が求められます。
また、事例検討での深い分析も好奇心と探究心の発揮される場面です。
一つの事例を多角的に分析し、支援の方向性を見出す過程では、探究心が大いに活かされます。
生涯学習への意欲
保健師は、社会の変化や健康課題の多様化に対応するため、常に学び続ける姿勢が求められます。
最新の公衆衛生学の知見、効果的な保健指導の方法、関連法規の改正など、様々な分野の知識をアップデートする必要があります。
研修会や勉強会への積極的な参加、専門誌の購読、同僚との事例検討など、様々な方法で学び続ける意欲が、保健師としての成長を支えます。特に経験を重ねるにつれて、専門性を深める分野を見つけ、その領域の学びを深めていく姿勢が大切です。
創造的問題解決能力
保健師は、前例のない健康課題や複雑な地域課題に直面することも少なくありません。
そのような状況で求められるのが、創造的問題解決能力です。
既存の知識や方法にとらわれず、新たな視点から解決策を模索する柔軟な思考が重要です。
例えば、従来の方法では参加が少なかった健康教室に、デジタルツールを活用した新しいアプローチを取り入れるなど、創意工夫を凝らした活動展開ができる保健師は、地域の健康課題解決に大きく貢献することができます。
柔軟性
保健師は、様々な状況や対象者に合わせて、柔軟に対応する必要があります。
多様な文化背景を持つ住民への対応や予定外の事態への対処、多職種との協働、限られた資源での活動など、柔軟な対応が求められる場面は数多くあります。
固定観念にとらわれず、状況に応じて方針を変更できる柔軟性は、保健師にとって重要な性格特性と言えるでしょう。
状況適応能力
保健師の活動現場では、予定通りに進まないことも多々あります。
例えば、訪問先で予想外の状況に遭遇したり、健康教室の参加者が想定と異なる層だったりといった場面です。
そのような状況でも、その場の状況を素早く把握し、臨機応変に対応できる能力が求められます。
また、対象者一人ひとりの状況や特性に合わせたアプローチができる柔軟性も、保健師には欠かせない特性です。
マニュアル通りではなく、目の前の対象者に最適な支援を提供できる柔軟な思考と行動力が重要です。
多様性への理解と受容
現代社会では、多様な背景を持つ人々が共に生活しています。
保健師は、年齢、性別、国籍、文化、宗教、価値観などの違いを理解し、尊重する姿勢が求められます。
特に近年は外国人住民の増加に伴い、多文化共生の視点が重要になっています。
異なる文化的背景を持つ人々の健康観や生活習慣を理解し、その人らしい健康的な生活を支援するためには、自分の価値観を絶対視せず、多様な考え方や生き方を受け入れる柔軟性が不可欠です。
前向きな思考
保健師は、様々な困難に直面しても、前向きに取り組む姿勢が求められます。
地域の強みに着目するストレングス視点や、小さな変化を肯定的に評価する姿勢、失敗から学ぶ姿勢、周囲を勇気づける態度など、前向きな思考は保健師活動の質を高めます。
前向きな思考を持つ保健師は、対象者の可能性を信じ、エンパワメントする支援を展開することができます。
また、同僚や多職種とのチームワークにも良い影響を与えることでしょう。
ストレングス視点の活用
保健師活動においては、問題や課題だけではなく、対象者や地域の強み(ストレングス)に着目することが重要です。
どんな困難な状況にある人や地域でも、必ず強みや資源を持っています。
それらを見出し、活かすことで、より効果的な支援が可能になります。
例えば、高齢化が進む過疎地域においても、住民同士のつながりの強さや豊かな自然環境といった強みを活かした健康づくり活動を展開することで、地域全体の活性化につながる例もあります。
前向きな思考を持つ保健師は、このようなストレングス視点を自然と持つことができます。
レジリエンスと自己効力感
保健師自身が心理的回復力(レジリエンス)と自己効力感を持つことは、長期的に活動を続けるうえで重要です。
困難な状況や挫折を経験しても、そこから学び、立ち直る力があれば、より成長した保健師として活動を続けることができます。
また、自分の行動が変化を生み出せるという自己効力感は、困難な状況に立ち向かう原動力となります。
このようなレジリエンスと自己効力感は、保健師自身の前向きな思考によって育まれるとともに、対象者の回復力や自己効力感を高める支援にもつながります。
保健師に向いている思考タイプ

保健師の業務には、特定の思考タイプが適していると考えられます。
ここでは、保健師として効果的に活動するために役立つ思考タイプについて解説します。
自分自身の思考パターンと照らし合わせながら、保健師としての適性を考える参考にしてください。
予防思考型
保健師の最大の特徴は、「予防」を重視する思考です。問題が起きる前に予測し、対策を講じる思考タイプが適しています。
予防思考型の人は、リスク要因の早期発見や健康教育の積極的展開、ハイリスク者への早期介入、環境整備による予防策など、先を見越した活動を得意とします。
「治療より予防」という公衆衛生の基本理念を体現するためには、この予防思考型の発想が欠かせません。
一次予防・二次予防・三次予防の視点
予防思考型の保健師は、一次予防(健康増進・疾病予防)、二次予防(早期発見・早期治療)、三次予防(リハビリテーション・再発防止)の三段階の予防概念を理解し、それぞれの段階に応じた活動を展開します。
例えば、生活習慣病予防においては、健康的な生活習慣の定着を促す一次予防、健診受診率向上による早期発見を目指す二次予防、合併症予防のための保健指導という三次予防を、対象者の状況に応じて適切に提供します。
このように予防の段階に応じた包括的な支援ができることが、予防思考型保健師の強みです。
将来予測に基づく活動計画
予防思考型の保健師は、現在のデータから将来の健康課題を予測し、先手を打った活動計画を立案することができます。
例えば、人口動態や疾病構造の変化、社会経済状況の推移などを分析し、5年後、10年後の地域の健康課題を予測します。
その予測に基づいて、今から準備すべき保健活動や体制整備を計画的に進めることで、将来の健康課題に効果的に対応することが可能になります。
このような先見性と計画性は、予防を重視する保健師活動において大きな強みとなります。
システム思考型
保健師は、個人だけでなく、家族、地域、社会全体をシステムとして捉える思考が必要です。
システム思考型の人は、個人の健康問題を社会的文脈で捉える視点や、環境要因と健康の関連性への着目、多層的な支援体制の構築、地域全体の健康システム改善など、包括的な視野を持った活動を得意とします。
「点」ではなく「線」や「面」で捉えるこのシステム思考は、地域全体の健康レベル向上を目指す保健師にとって重要な思考タイプと言えるでしょう。
エコロジカルモデルの活用
システム思考型の保健師は、健康問題を個人レベルだけでなく、対人関係レベル、地域社会レベル、公共政策レベルなど多層的に捉えるエコロジカルモデルの視点を持っています。
例えば、肥満の問題を考える際に、個人の食習慣や運動習慣だけでなく、家族の食生活、地域の食環境、食品産業や広告、健康政策など、様々なレベルの要因を分析します。
そして、それぞれのレベルに対応した包括的な介入策を考案することで、より効果的な健康課題の解決が可能になります。
このような多層的視点は、システム思考型保健師の強みです。
関係性とつながりの重視
システム思考型の保健師は、要素間の関係性やつながりを重視します。個々の健康問題や社会資源を単独で捉えるのではなく、それらの相互関係や全体像を把握することを得意とします。
例えば、地域包括ケアシステムの構築においては、医療、介護、予防、住まい、生活支援といった各要素のつながりや関係性を重視し、それらが有機的に連携するよう調整する役割を担います。
また、複雑な健康課題を抱える事例に対しても、様々な問題の関連性を把握し、包括的な支援計画を立案することができます。
データ活用型
保健師は、様々なデータを収集・分析し、根拠に基づいた活動を展開します。
データ活用型の人は、健康統計から課題を抽出したり、エビデンスに基づいた保健指導を行ったり、活動評価のためのデータ収集を行ったり、データを政策提言に活用したりすることを得意とします。
「勘や経験だけでなく、データで語る」姿勢は、科学的根拠に基づく保健活動を展開するために欠かせません。
疫学的思考の活用
データ活用型の保健師は、疫学的思考を活用して健康課題の分析や対策立案を行います。
集団における健康事象の分布や規定要因を科学的に分析し、効果的な介入方法を導き出す疫学的アプローチは、保健師活動の基盤となります。
例えば、特定の健康問題の発生率や有病率、関連要因などを分析し、ハイリスク集団の特定や効果的な予防策の検討を行います。
また、保健活動の評価においても、適切な指標設定とデータ収集・分析により、科学的な効果検証を行うことができます。このような疫学的思考は、データ活用型保健師の強みです。
ヘルスリテラシー向上への貢献
データ活用型の保健師は、複雑な健康情報をわかりやすく伝え、地域住民のヘルスリテラシー向上にも貢献します。
統計データやグラフを用いて健康課題を視覚的に伝えたり、最新の健康情報を根拠に基づいて説明したりすることで、住民の理解を促進します。
また、インターネット上に溢れる様々な健康情報の中から、信頼性の高い情報を選別し、適切に活用する方法を住民に伝えることも重要な役割です。
データと向き合う姿勢は、自身の専門性向上だけでなく、地域全体の健康情報リテラシーの向上にもつながります。
協働型
保健師は、単独ではなく、多くの関係者と協働して活動します。
チームワークを重視する思考タイプが適しています。協働型の人は、多職種連携の積極的推進や住民参加型プロジェクトの展開、地域資源の発掘と連携、ネットワーク構築によるサポートシステムの形成などを得意とします。
「一人では変えられないことも、みんなで変えられる」という発想で、地域の力を結集する協働型の思考は、地域全体の健康づくりにおいて非常に重要です。
パートナーシップの構築
協働型の保健師は、様々な関係者とのパートナーシップを構築することを得意とします。
行政内の他部署、医療機関、福祉施設、教育機関、企業、NPO、住民組織など、多様な主体との協力関係を築き、健康課題解決に向けた連携を促進します。
パートナーシップを築く際には、各主体の強みや特性を理解し、互いの専門性を尊重しながら対等な関係性を構築することが重要です。
また、相互理解を深めるための場づくりや、共通目標の設定、役割分担の明確化なども協働を促進する重要な要素です。このようなパートナーシップ構築能力は、協働型保健師の大きな強みとなります。
ファシリテーション能力
協働型の保健師には、様々な場面でのファシリテーション能力が求められます。
例えば、多職種カンファレンスでの進行役、住民参加型ワークショップのリーダー、地域ケア会議のコーディネーターなど、多様な立場の人々が集まる場で、それぞれの意見や知恵を引き出し、合意形成に導く役割を担います。
効果的なファシリテーションのためには、中立的な立場での進行、参加者全員が発言しやすい雰囲気づくり、議論の可視化、建設的な対話の促進などのスキルが必要です。
このようなファシリテーション能力は、協働型保健師の活動において非常に重要な要素です。
イノベーション型
保健師には、従来の方法にとらわれず、新しいアプローチを模索する思考も求められます。
イノベーション型の人は、デジタルヘルスの活用や新たな健康支援プログラムの開発、異分野との協働による斬新な取り組み、社会的イノベーションへの参画などを得意とします。
「前例がないからできない」ではなく、「だからこそやってみる」という発想で、新たな可能性を切り拓くイノベーション型の思考は、変化の激しい現代社会において、保健師活動を進化させる原動力となります。
クリエイティブな問題解決
イノベーション型の保健師は、従来の枠組みにとらわれない創造的な問題解決を得意とします。
例えば、若年層の健診受診率が低いという課題に対して、従来の紙チラシによる広報ではなく、SNSやスマートフォンアプリを活用した新しいアプローチを考案するといった具合です。
また、異分野の知見や技術を保健活動に取り入れることで、新たな可能性を見出すこともあります。
例えば、デザイン思考を健康教育に応用したり、ゲーミフィケーションを健康づくりに取り入れたりするなど、多様な発想で課題解決に取り組みます。
このようなクリエイティブな問題解決能力は、イノベーション型保健師の強みです。
社会的インパクトの追求
イノベーション型の保健師は、より大きな社会的インパクトを生み出すことを志向します。
単に目の前の対象者を支援するだけでなく、社会システムや環境そのものを変革することで、より多くの人々の健康増進に寄与することを目指します。
例えば、健康的な食環境づくりのために食品企業と連携したり、健康経営の推進のために経済団体と協力したりするなど、異業種との協働による社会的イノベーションを推進します。
また、成功事例の横展開や政策提言などを通じて、革新的な取り組みの普及にも力を入れます。このような社会的インパクトへの志向性は、イノベーション型保健師の特徴です。
事例として、ある自治体の保健師は、住民の健康データと地理情報システム(GIS)を組み合わせた「健康マップ」を開発し、地域の健康課題の「見える化」に成功しました。
このマップを活用して、効果的な保健事業の展開や、まちづくり計画への健康視点の導入を実現しています。
こうした革新的な取り組みは、保健活動の可能性を広げるとともに、地域住民や関係機関の関心を高め、健康づくりへの参加を促進する効果も生んでいます。
また、デジタルヘルスの普及に伴い、オンラインを活用した新しい保健活動も展開されています。
コロナ禍をきっかけに、オンライン健康教室やスマートフォンアプリを活用した健康支援プログラムを開発した保健師も少なくありません。
地理的な制約を超えたサービス提供や、若年層へのアプローチ強化など、デジタル技術の活用による新たな可能性を追求する姿勢も、イノベーション型保健師の重要な特徴です。
保健師としての適性を自己診断する方法

自分が保健師に向いているかどうかを知るためには、いくつかの方法があります。ここでは、自分自身の適性を客観的に評価するための具体的な方法を紹介します。
これらの方法を通じて、自分の強みや課題を知り、保健師としてのキャリアを考える際の参考にしてください。
適性チェックリスト
自分自身の保健師としての適性を知る第一歩は、基本的な特性や思考傾向を振り返ることです。以下の項目について、どの程度当てはまるかを考えてみましょう。
多くの項目に当てはまる場合、保健師としての適性が高い可能性があります。
ただし、これはあくまで目安であり、完璧に全ての項目に当てはまる必要はありません。自分の強みや改善点を知るきっかけとして活用してください。
多くの人とコミュニケーションを取ることが好きであることは、保健師にとって重要な適性の一つです。
保健師の仕事は様々な人との関わりが中心となるため、コミュニケーションに苦手意識がある場合は、その克服が課題となるでしょう。
また、地域や社会の健康問題に関心があることも大切です。
新聞やニュースで健康関連の話題に目が留まる、健康政策や公衆衛生に興味がある、など地域全体の健康に関心がある人は保健師に向いていると言えます。
データを分析して課題を見つけることに興味があるかどうかも確認してみましょう。
統計データやグラフを見るのが好き、数字から傾向を読み取るのが得意、といった特性は保健師として役立ちます。
人に何かを教えたり伝えたりすることが得意かどうかも重要な要素です。
健康教室の講師など、人前で話す機会も多い保健師には、わかりやすく伝える能力が求められます。
長期的な視点で物事を考えることができるかどうかも振り返ってみましょう。
すぐに結果が出なくても粘り強く取り組める、将来を見据えた計画を立てるのが得意、といった特性は保健師活動で非常に重要です。
自己評価の進め方
適性チェックリストを用いた自己評価を行う際には、単に「はい」「いいえ」で判断するのではなく、具体的なエピソードを思い浮かべながら振り返ることが大切です。
例えば「多様な価値観を受け入れることができる」という項目であれば、異なる文化や背景を持つ人と関わった経験や、自分と異なる意見に対してどのように対応したかなど、実際のエピソードと結びつけて考えます。
また、自己評価だけでなく、信頼できる友人や先輩、教員などに第三者評価を依頼することも効果的です。
自分では気づいていない強みや課題を発見できることがあります。特に看護学生の場合は、実習指導者や教員からのフィードバックを参考にすると、より客観的な自己理解が進みます。
強み・弱みの分析
自己評価の結果から、自分の強みと弱みを整理することが次のステップです。
保健師に必要な資質や能力のうち、自分が特に得意とする領域と、さらに伸ばす必要がある領域を明確にします。
例えば、コミュニケーション力は高いが、データ分析に苦手意識があるといった具合です。
強みは保健師として活躍する上での基盤となります。
自分の強みを最大限に活かせる保健師活動の領域を考えることも大切です。一方、弱みについては、克服するための具体的な計画を立てましょう。
全ての領域で優れている必要はありませんが、基本的な水準には達していることが望ましいです。また、チームで活動する際には、自分の弱みを他のメンバーの強みで補完することも重要です。
保健師の実際の業務体験
保健師の適性を知る最も確実な方法は、実際の業務を体験することです。
保健所や市町村保健センターでのボランティア、インターンシップへの参加、地域の健康イベントでの活動、保健師同行実習、保健師による職場見学会への参加など、様々な体験の機会があります。
これらの体験を通じて、実際の保健師業務の内容や雰囲気を肌で感じることができます。
実習やボランティアでは、住民との関わりや多職種連携の実際、地域全体を視野に入れた活動の展開など、保健師ならではの視点や関わり方を学ぶことができます。
また、自分がその業務に興味を持てるか、やりがいを感じられるかといった主観的な感覚も大切な判断材料となります。
参加型実習の活用
看護学生であれば、保健師教育課程の実習は適性を確認する絶好の機会です。実習では見学だけでなく、可能な限り参加型の経験を積極的に求めましょう。
例えば、健康教育の一部を担当させてもらったり、家庭訪問に同行させてもらったり、地域診断に実際に参加したりするなど、主体的に関わることで、より実践的な適性判断が可能になります。
また、実習中は自分の感情や反応にも注目してみましょう。どのような場面でやりがいを感じるか、どのような対象者との関わりに関心を持つか、地域全体を視野に入れた活動に魅力を感じるかなど、自分自身の内面の反応も適性を判断する重要な手がかりとなります。
多様な現場の体験
保健師の活動領域は多岐にわたります。行政機関(保健所・市町村保健センター)、産業保健(企業の健康管理室など)、学校保健、医療機関など、様々な現場があります。可能であれば複数の現場を体験し、自分に合った活動領域を探ることも大切です。
例えば、行政保健師の場合でも、母子保健、成人保健、高齢者保健、精神保健など様々な分野があり、それぞれに求められる適性や魅力が異なります。
また、都市部と地方、大規模自治体と小規模自治体など、地域による違いも大きいため、機会があれば異なる特性を持つ地域での体験も貴重です。
小規模自治体では幅広い業務を担当することが多く、大規模自治体では特定分野に特化した活動が中心となるなど、働き方の違いも見えてくるでしょう。
現役保健師へのインタビュー
現役保健師から直接話を聞くことで、リアルな仕事のイメージをつかむことができます。
やりがいを感じる瞬間、困難に感じる場面、保健師になって良かったと思うこと、保健師に向いていると思う人の特徴、保健師を目指す人へのアドバイスなど、生の声を聞くことは非常に参考になります。
インタビューは、実習やボランティアの機会を利用したり、大学の先輩保健師に連絡を取ったり、保健師会などの専門職団体に相談したりして実現できることがあります。また、オンラインでの交流の場や、保健師向けのイベントなども活用できるでしょう。
キャリアモデルの探索
インタビューを通じて、自分が目指したいキャリアモデルを見つけることも大切です。現役保健師のキャリアパスや成長の過程を聞くことで、自分自身の将来像を具体的にイメージしやすくなります。
特に、キャリアの節目での選択や、専門性を高めるための努力、仕事とプライベートのバランスの取り方など、実践的な情報は非常に参考になります。
また、何年後かに「こんな保健師になりたい」と思えるロールモデルを見つけることは、保健師としての適性を考える上でも、モチベーション維持の上でも重要です。
多様なキャリアモデルに触れることで、保健師という職業の可能性の広さを知ることができます。
現場の課題と対処法
現役保健師へのインタビューでは、現場の課題や困難、そしてそれらへの対処法についても聞くことが重要です。保健師の仕事にはやりがいだけでなく、大変さや限界もあります。
例えば、業務量の多さ、住民ニーズと行政の方針とのギャップ、多職種連携の難しさなど、現場ならではの課題があります。
それらの課題に対して、現役保健師がどのように対処し、乗り越えてきたかを知ることで、より現実的な職業理解につながります。
また、自分自身がそのような課題に直面した時に対処できそうか、その環境でも意欲を持って働けそうかという視点で考えることで、自分の適性をより深く検討することができます。
自己分析ワークシート
以下のような質問に答えることで、自分の価値観や興味と保健師の仕事の適合性を確認できます。これらの質問は、自分自身の内面を深く掘り下げることで、保健師としての適性をより多角的に考えるためのものです。
時間をかけて丁寧に取り組むことで、自己理解が深まります。
あなたが健康や医療に関して最も関心があるテーマは何ですか?この問いに対する答えは、保健師として取り組みたい分野のヒントになります。
例えば、母子の健康に関心がある場合は母子保健分野、職場の健康環境に関心がある場合は産業保健分野など、自分の関心と保健師の専門分野との関連を考えてみましょう。
これまでの人生で、誰かの役に立った経験や、誰かを支援した経験を書き出してください。保健師は人々の健康と生活を支援する仕事です。
過去の支援経験を振り返ることで、どのような支援に喜びややりがいを感じるかが見えてきます。
価値観と職業の一致度
自己分析ワークシートの回答を通じて、自分の価値観と保健師という職業の一致度を検討します。
例えば、「地域に貢献したい」「予防的な関わりを大切にしたい」「多様な人々と関わりたい」といった価値観を持つ人は、保健師の役割や理念と親和性が高いと言えるでしょう。
一方、「専門技術を極めたい」「個別の深い関わりを重視したい」「即時的な成果を求める」といった価値観の場合は、臨床看護師や専門看護師など、他の看護職の道も同時に検討する価値があります。
価値観と職業の一致度が高いほど、長期的なキャリア満足度も高くなる傾向があります。
適性と環境のマッチング
自己分析の結果を踏まえ、自分の適性と様々な保健師の活動環境とのマッチングを考えることも重要です。
例えば、幅広い業務を担当したい人には小規模自治体や町村の保健師が、特定分野の専門性を高めたい人には大規模自治体や専門機関の保健師が適している可能性があります。
また、チームでの協働を重視する人には多職種連携が活発な環境が、独自性や裁量を求める人には比較的自由度の高い環境が合っているかもしれません。
このように、自分の特性や志向と、働く環境とのマッチングを考えることで、より自分に合った保健師としてのキャリアを描くことができます。
保健師としてのキャリア構築例

保健師として活躍するためのキャリアパスは多様です。
以下に、実際の保健師のキャリア構築例を紹介します。これらの例を参考に、自分自身のキャリアビジョンを描く際のヒントにしてください。
保健師の魅力の一つは、様々な分野や立場で活躍できることです。自分の興味や適性に合わせたキャリア構築が可能です。
自治体保健師としてのキャリア
自治体の保健師は、地域住民の健康を支える中心的な役割を担います。
市町村保健センターや保健所などで働く保健師のキャリアパスを見ていきましょう。
Bさんの例では、看護大学卒業後、市町村保健センターに就職しました。初めの3年間は母子保健を担当し、乳幼児健診や育児相談、新生児訪問などを通じて、基礎的な保健師スキルを身につけました。
その後、成人保健、高齢者保健と担当分野を拡大し、幅広い経験を積みました。
10年目に係長に昇進し、保健事業の企画立案に関わるようになりました。住民のニーズ調査や健康データの分析をもとに、効果的な保健プログラムを開発する役割を担いました。さらに15年目には保健師主幹となり、市全体の健康施策に携わるようになりました。
健康増進計画の策定や、多部署・多機関との連携体制の構築など、より広い視野での業務を担当しています。
20年以上のキャリアを積んだ現在は、後進の育成にも力を入れており、新人保健師の指導や実習生の受け入れにも積極的に関わっています。
自らの経験を次世代に伝えることで、地域保健活動の質の向上に貢献しています。
専門性を高めるための研修体系
自治体保健師として専門性を高めるためには、計画的な研修受講が重要です。
新任期(1~3年目)は基礎的な知識・技術の習得、中堅期(4~10年目)は特定分野の専門性向上、管理期(11年目以降)は組織管理能力の強化など、キャリアステージに応じた研修体系があります。
各都道府県が実施する保健師研修や、国立保健医療科学院の専門課程、日本看護協会の認定保健師制度なども活用しながら、計画的に専門性を高めていくことが可能です。
また、大学院で公衆衛生学や地域看護学を学び、修士号を取得する道もあります。
人事異動と専門性の両立
自治体保健師の場合、定期的な人事異動があることも特徴です。
母子保健から成人保健、高齢者保健、精神保健など、様々な分野を経験することで、総合的な視点が養われます。
一方で、特定の分野に特化した専門性を高めたい場合は、自己研鑽や研修の選択が重要になります。
近年は、ジェネラリストとしての幅広い経験と、特定分野のスペシャリストとしての専門性の両方を兼ね備えた保健師が求められる傾向にあります。
自分の志向や組織のニーズを踏まえながら、バランスの取れたキャリア構築を目指すことが大切です。
特定の保健分野に特化したスペシャリストとしてのキャリアも、保健師の重要な選択肢の一つです。専門分野に深く携わることで、より高度な知識と技術を身につけ、その分野のエキスパートとして活躍することができます。
分野特化型のキャリア
Cさんの例では、保健所に就職後、感染症対策に興味を持ち、その分野の専門性を高めるキャリアを選びました。
5年目に感染症専門の研修を受講したことをきっかけに、感染症対策への関心が一層深まりました。その後、大学院で感染症疫学を学び、修士号を取得。
さらに国立感染症研究所の研修に参加するなど、専門的な知識と技術を磨きました。
現在は、感染症対策の専門保健師として、広域的な活動に携わっています。
新興感染症への対応やアウトブレイク調査、感染症サーベイランスシステムの運用など、高度な専門性を活かした業務を担当しています。
また、専門知識を活かして国際保健活動にも参加し、途上国の感染症対策支援にも貢献しています。
認定資格の取得
専門分野特化型のキャリアを目指す場合、関連する認定資格の取得が有効です。
例えば、感染管理認定看護師、産業保健分野であれば産業保健師、メンタルヘルス分野であれば精神保健福祉士や公認心理師など、分野に応じた専門資格を取得することで、知識と技術の裏付けとなります。
また、日本公衆衛生学会認定専門家や日本地域看護学会認定地域看護専門看護師など、保健師としての専門性を証明する資格もあります。
こうした認定資格は、専門的な知識・技術の証明になるだけでなく、キャリアアップにもつながります。
専門的ネットワークの構築
専門分野特化型のキャリアでは、同じ分野の専門家とのネットワーク構築も重要です。
専門分野の学会や研究会への参加、メーリングリストやSNSグループへの参加など、様々な方法で専門家同士のつながりを作ることができます。
このようなネットワークは、最新の知見や情報の共有だけでなく、困難事例への助言や共同研究の機会など、様々なメリットをもたらします。
また、自身の専門分野の幅を広げたり、より高度な専門性を身につけたりする上でも重要な役割を果たします。
教育・研究分野へのキャリア
実践経験を積んだ後、教育・研究の場でその知識と経験を活かすキャリアパスも保健師の選択肢の一つです。
大学や研究機関で次世代の保健師を育成したり、エビデンスに基づいた保健活動の基盤を作ったりする役割を担うことができます。
Dさんの例では、市町村保健師として10年間勤務した後、実践経験を活かして看護大学の非常勤講師を務め始めました。
教育に関わる中で研究への関心も高まり、大学院で公衆衛生学を学び、博士号を取得しました。その後、看護大学の教員として、保健師教育に携わるようになりました。
研究者としては、地域保健活動の効果検証に取り組み、科学的根拠に基づいた保健師活動の推進に貢献しています。実践と理論をつなぐ立場で、保健師の専門性向上に寄与している点が特徴です。
現場の保健師と連携した研究プロジェクトを通じて、研究成果の実践への還元も積極的に行っています。
研究能力の開発
教育・研究分野でのキャリアを目指す場合、研究能力の開発が重要です。
大学院での学びはもちろん、現場にいながらも研究的視点を持って実践に取り組むことで、研究の基礎を築くことができます。
例えば、保健活動の効果を客観的に評価する習慣をつけたり、事例検討を通じて分析的思考を磨いたりすることが有効です。
また、学会や研究会で発表する経験を積むことも大切です。自らの実践を言語化し、客観的に分析する経験は、研究能力の向上につながります。
さらに、共同研究への参加や論文執筆の経験も、研究者としての成長に不可欠な要素です。
実践と教育・研究の往復
教育・研究分野に進んだ後も、実践の場との関わりを維持することが重要です。
例えば、地域の保健事業に専門家として関わったり、行政の委員会やプロジェクトに参画したりするなど、実践の場とのつながりを持ち続けることで、より現場に即した教育・研究が可能になります。
また、実践と教育・研究を行き来するキャリアも選択肢の一つです。
一定期間教育機関で働いた後、再び実践の場に戻るなど、両方の経験を積むことで、それぞれの立場への理解が深まり、両者をつなぐ役割を果たすことができます。
産業保健分野でのキャリア
職場の健康管理や健康経営の推進に関わる産業保健は、保健師のキャリアとして注目されている分野です。企業の健康管理室や健康保険組合、産業保健サービス提供機関などで活躍する道があります。
Eさんの例では、保健センターで5年間勤務した後、企業の健康管理室に転職しました。
産業保健師として、従業員の健康管理を担当し、健康診断の事後措置や保健指導、メンタルヘルス対策などに取り組みました。より専門的な知識を身につけるため、産業保健の専門資格も取得しました。
その後、健康経営推進プロジェクトのリーダーに抜擢され、従業員の健康増進と企業の生産性向上を両立させる取り組みを推進しました。
特にメンタルヘルス対策に力を入れ、社内のメンタルヘルス支援システムの構築に大きく貢献しています。
現在は、複数企業の産業保健顧問として活躍しており、健康経営の専門家として企業の健康施策に助言を行うほか、産業保健師の育成にも関わっています。
産業保健の知見を活かして、地域の商工会議所と連携した中小企業向け健康経営支援なども行っています。
産業保健特有のスキル開発
産業保健分野でキャリアを構築するためには、産業保健特有のスキル開発が重要です。
労働安全衛生法などの関連法規の理解、職場環境改善の手法、ストレスチェック制度の運用、両立支援(治療と仕事の両立)のノウハウなど、産業保健特有の知識とスキルを習得する必要があります。
産業保健師としての専門性を高めるために、産業保健師研修や産業カウンセラー、衛生管理者などの資格取得も有効です。また、産業医や人事部門、労働組合など関連部門との連携力も重要なスキルとなります。
健康経営と産業保健師の役割
近年、企業の経営戦略として従業員の健康管理を位置づける「健康経営」の概念が広がっています。
産業保健師は健康経営推進の中心的な役割を担うことが期待されており、従業員の健康データの分析から効果的な健康施策の立案、健康投資の費用対効果の検証まで、幅広い業務に関わっています。
健康経営銘柄や健康経営優良法人認定などの取り組みにも産業保健師の専門性が活かされています。
キャリアの発展としては、一企業の健康管理室から、健康経営コンサルタントとして独立したり、健康経営戦略の立案に関わる経営層に近い立場へとステップアップしたりするケースも増えています。
産業保健師としての専門性に加え、経営的視点や組織戦略への理解を深めることで、より影響力のある立場でキャリアを構築することも可能です。
ケーススタディ:保健師適性マッチ事例

保健師としての適性が、実際の仕事でどのように活かされているのか、具体的な事例を紹介します。
様々な特性を持つ保健師が、それぞれの強みを活かして活躍している姿を通して、自分自身の適性と重ね合わせながら考えるヒントにしてください。
保健師の仕事は多岐にわたりますが、自分の特性に合った活動領域を見つけることで、より充実したキャリアを築くことができます。
コミュニケーション力を活かした事例
コミュニケーション力は保健師にとって最も重要な適性の一つです。ここでは、コミュニケーション力を特に活かして成果を上げている保健師の事例を紹介します。
Fさんは、傾聴力と信頼関係構築力に優れた保健師です。
地域の孤立高齢者支援プロジェクトでは、訪問を拒否する高齢者に対しても粘り強くアプローチし、少しずつ信頼関係を築いていきました。
高齢者からの小さなサインを見逃さない観察力と、相手のペースに合わせたコミュニケーション能力により、支援の糸口をつかむことができました。
最初の訪問では玄関先で断られることも多かったのですが、Fさんは決して押し付けることなく、「また伺っても良いですか」と伝えて少しずつ関係性を築いていきました。
3回目の訪問でようやく家の中に招かれるようになり、その後徐々に高齢者の生活課題が明らかになっていきました。
引きこもり状態だった高齢者が、最終的には地域のサロン活動に参加するようになったのは、Fさんのコミュニケーション力の成果と言えるでしょう。
この事例では、共感力と忍耐力という保健師に向いている性格特性が、業務の成功につながりました。高齢者の気持ちに寄り添い、決して焦らない姿勢が信頼関係構築の鍵となったのです。
信頼関係構築の工夫
Fさんがこの事例で行った工夫として特筆すべきは、「押しつけない関わり」と「小さな成功体験の積み重ね」です。
最初から大きな変化を求めるのではなく、「お話を聞かせていただきたい」という謙虚な姿勢で訪問を重ね、相手のペースを尊重しました。
また、高齢者が少しでも前向きな発言をした際には、その気持ちを肯定的に受け止め、小さな変化を認める姿勢を示しました。
例えば
「今日は天気がいいから少し窓を開けてみました」という発言に対して、「外の空気を取り入れるのは素晴らしいですね」
と共感し、その小さな行動変容を称えることで、高齢者の自己効力感を高めていきました。
こうした関わりを通じて、Fさんは高齢者との信頼関係を深め、徐々に支援の範囲を広げていくことができました。
コミュニケーション力とは、単に話すことが上手なだけではなく、相手の気持ちに寄り添い、適切なタイミングで適切な言葉をかける能力だということをFさんの事例は示しています。
多職種連携におけるハブ機能
Fさんのコミュニケーション力は、高齢者との関わりだけでなく、多職種連携においても大きな力を発揮しました。
高齢者の支援には、医療機関、地域包括支援センター、民生委員、社会福祉協議会など様々な機関が関わります。
Fさんはそれぞれの専門職の言葉を理解し、適切に「翻訳」しながら連携を促進する役割を担いました。
例えば、医師からの医学的な指示を高齢者にわかりやすく伝えたり、高齢者の生活状況を簡潔に要約して医療機関に伝えたりすることで、関係者間の情報共有をスムーズにしました。
また、定期的なケース会議では、それぞれの専門職が発言しやすい雰囲気づくりを心がけ、全員の意見が反映されるよう配慮しました。
このように、コミュニケーション力の高い保健師は、多職種連携のハブとなって地域のケアシステムを円滑に機能させる重要な役割を果たします。
Fさんの事例は、保健師に求められるコミュニケーション力の多面性を示すものと言えるでしょう。
分析力と企画力を活かした事例
データ分析力や企画力も、保健師にとって重要な適性です。ここでは、これらの能力を特に活かして成果を上げている保健師の事例を紹介します。
Gさんは、データ分析と企画力に長けた保健師です。
地域の健康データを分析した結果、若年層の健康意識の低さを課題として抽出しました。
特に20〜30代の健診受診率が極めて低く、生活習慣病予備群の早期発見・早期介入ができていないことが問題でした。
この課題に対して、Gさんは従来の広報チラシや健康教室では若年層にリーチできないと考え、SNSを活用した健康情報発信や若者向け健康イベントの企画など、従来にない手法で若年層にアプローチするプロジェクトを立案・実施しました。
特に地元の人気カフェと連携した「健康カフェ」イベントは大きな反響を呼び、若年層の健康意識向上につながりました。
この取り組みの結果、若年層の特定健診受診率が前年比20%増加し、健康相談への若年層の参加も増えるという成果が得られました。
Gさんのデータ分析による課題抽出と、ターゲット層の特性を考慮した創造的な企画力が成功の鍵となりました。
エビデンスに基づく企画立案
Gさんの取り組みが成功した理由の一つは、エビデンスに基づく企画立案にあります。
単に「若者が来ないから」という印象論ではなく、年齢層別の健診受診率や生活習慣病リスク保有率などのデータを詳細に分析し、どの層にどのようなアプローチが必要かを科学的に検討しました。
また、企画立案に先立ち、若年層へのグループインタビューも実施し、健診を受けない理由や健康情報の入手経路などを調査しました。
その結果、「平日の健診時間が合わない」「健診の必要性を感じない」「健康情報はSNSから得ている」といった実態が明らかになり、それに対応した企画を立案することができました。
このように、データ分析と対象者理解に基づいた企画立案は、効果的な保健活動の基本です。
Gさんの事例は、保健師に求められる分析力と企画力の重要性を示すものと言えるでしょう。
PDCAサイクルの徹底
Gさんのもう一つの強みは、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)の徹底にありました。
最初の企画で完璧を目指すのではなく、小規模なパイロット事業から始め、参加者からのフィードバックを得ながら継続的に改善していく手法を取りました。
例えば、最初の「健康カフェ」イベントでは参加者の男女比に偏りがあったため、次回は男性が参加しやすいテーマや内容に調整しました。
また、参加者アンケートで「具体的な行動につながりにくい」という意見があったため、セルフチェックツールやアクションプランシートを導入するなど、常に改善を重ねました。
このようなPDCAサイクルの徹底により、活動の質が徐々に向上し、より効果的な若年層へのアプローチが実現しました。
データ分析力のある保健師は、活動の評価指標を適切に設定し、客観的な効果測定を行うことで、科学的根拠に基づいた保健活動を展開することができます。
システム思考と協働型の思考を活かした事例
地域全体をシステムとして捉え、多様な関係者と協働する思考も、保健師にとって重要な適性です。
ここでは、これらの思考を特に活かして成果を上げている保健師の事例を紹介します。
Hさんは、システム思考と多職種連携の調整力に優れた保健師です。高齢化が進む地域で、医療・介護・福祉・住民組織など多様な関係者を巻き込んだ地域包括ケアシステムの構築に尽力しました。
個別の課題を地域全体の問題として捉え、様々な立場の人々をつなぐ役割を果たしました。
例えば、認知症高齢者の徘徊問題に対して、医療機関や介護施設だけでなく、地元の商店街や交通機関、学校、自治会など、地域の様々な組織を巻き込んだ「認知症にやさしいまちづくりネットワーク」を構築しました。
このネットワークにより、認知症高齢者の早期発見・見守り体制が整い、安心して暮らせる地域づくりが進みました。
この事例では、システム思考型と協働型という保健師に向いている思考タイプが、地域のケアシステム構築に貢献しました。
個別の課題を地域全体の問題として捉え、多様な立場の人々を巻き込む視点が成功の鍵となっています。
コミュニティエンパワメントの実践
Hさんの活動の特徴は、専門職だけでなく地域住民も含めた「コミュニティエンパワメント」の実践にあります。
認知症サポーター養成講座を商店街や学校で開催したり、住民による見守りネットワークを構築したりすることで、地域全体で認知症の人を支える仕組みを作りました。
このプロセスでは、住民が「お任せ」ではなく「自分たちの問題」として主体的に参加できるよう工夫しました。
例えば、認知症カフェの運営を住民グループに委託したり、徘徊模擬訓練を住民主体で実施したりすることで、地域の自発的な活動を促進しました。
こうした住民の主体性を引き出す関わりは、保健師のシステム思考と協働型思考があってこそ実現できるものです。
個人に対する支援と地域全体への働きかけを同時に行い、持続可能な支援システムを構築する視点は、保健師ならではの強みと言えるでしょう。
フォーマルとインフォーマルの融合
Hさんのもう一つの特徴は、フォーマルサービス(公的な医療・介護サービスなど)とインフォーマルサポート(住民による見守りや助け合いなど)を融合させた包括的なケアシステム構築にあります。
従来は別々に機能していた両者をつなぎ、相互補完的な関係を作り出しました。
例えば、介護サービス事業所と地域住民グループが定期的に情報交換する場を設けたり、民生委員と地域包括支援センターの連携会議を開催したりすることで、それぞれの強みを活かした支援体制を構築しました。
また、地域の社会資源マップを作成し、フォーマル・インフォーマル両方の資源を可視化することで、適切なサービス調整にも役立てました。
このように、様々な立場や機能を持つ人々や組織をつなぎ、全体として機能するシステムを作り上げる能力は、システム思考と協働型思考を持つ保健師の大きな強みです。
Hさんの事例は、保健師に求められるこれらの思考タイプの重要性を示すものと言えるでしょう。
看護師さんからのQ&A「おしえてカンゴさん!」
保健師の適性や資質に関して、よくある質問にお答えします。
これから保健師を目指す方や、現在保健師として働いている方の疑問や悩みに、経験豊かな先輩保健師「カンゴさん」がアドバイスします。
自分自身の状況と照らし合わせながら参考にしてください。
Q1: 保健師に向いていない人の特徴はありますか?
A: 保健師に向いていない特徴として考えられるのは、まず一対一の対応のみを好み、地域全体や集団へのアプローチに興味がない場合です。
保健師の仕事は個別支援だけでなく、地域全体を視野に入れた活動が中心となりますので、集団や地域への関心が低い方は適性面で課題があるかもしれません。
また、目の前の問題解決のみに集中し、予防的視点が持ちにくい方も、保健師の仕事と相性が良くない可能性があります。
保健師活動の基本は「予防」にありますので、問題が起きてから対応するのではなく、問題が起きる前に予測して対策を講じる思考が重要です。
データ分析や統計に苦手意識が強い方も、保健師業務においては課題を感じるかもしれません。
地域診断や事業評価など、データを扱う場面が多いためです。ただし、これは学習によって克服可能なスキルでもあります。
多職種との連携や調整に抵抗感がある方も、保健師業務では苦労する可能性があります。
保健師は様々な関係者をつなぐ役割を担うことが多いため、調整能力やコミュニケーション能力が求められます。
長期的な視点よりも、即時的な成果を求める傾向が強い方も、保健師の仕事に難しさを感じるかもしれません。
保健活動は長期的な視点で取り組むことが多く、すぐに目に見える成果が得られないこともあります。
ただし、これらの特徴があっても、意識的に克服することで素晴らしい保健師になった方も多くいます。
完全に全ての要素が揃っている必要はなく、自分の強みを活かしながら、苦手な部分は同僚と協力したり、研修などで補っていくことも大切です。自分に合った分野を見つけることも、保健師として活躍するための一つの方法です。
Q2: 看護師から保健師になるメリットはありますか?
A: 看護師経験を活かして保健師になるメリットは多くあります。まず、臨床で培った疾病や治療に関する知識が、予防活動の質を高めることが挙げられます。
病気の成り立ちや治療過程を理解していることで、より効果的な予防策や保健指導を行うことができます。
次に、患者さんとの関わりで得た経験が、地域住民との信頼関係構築に役立ちます。
臨床での患者さんとのコミュニケーション経験は、地域住民との関わりにも直接活かすことができます。
また、医療現場のリアルな課題を知っているため、医療機関との連携がスムーズになるというメリットもあります。
病院がどのように機能しているか、医師や他の医療職がどのような視点で働いているかを理解していることで、より効果的な連携が可能になります。
臨床と地域をつなぐ視点で、切れ目のない支援を提案できることも大きな強みです。例えば、退院支援において、病院での生活と自宅での生活のギャップを理解し、適切な支援計画を立てることができます。
さらに、キャリアの選択肢が広がり、ライフステージに合わせた働き方ができることもメリットの一つです。
保健師資格を持つことで、行政機関、企業、学校など様々な場での活躍が可能になります。また、比較的規則的な勤務形態が多いため、育児や介護との両立もしやすくなります。
実際に、臨床経験を経て保健師になった方の多くは、両方の視点を持つことの強みを感じています。
臨床での具体的な経験と、保健師としての予防的・包括的な視点を組み合わせることで、より質の高い保健活動を展開することができるのです。
Q3: 保健師に必要なスキルを向上させるには、どのような方法がありますか?
A: 保健師として必要なスキルを向上させるための方法はいくつかあります。まず、専門研修やセミナーへの参加が効果的です。
特に公衆衛生や疫学、地域診断に関する研修は、保健師の専門性を高める上で重要です。各自治体や保健師会、日本看護協会などが実施する研修プログラムを積極的に活用しましょう。
より高度な専門性を身につけたい場合は、大学院での学びも選択肢の一つです。
公衆衛生学修士(MPH)などの取得を通じて、科学的根拠に基づいた保健活動の展開や研究方法を学ぶことができます。
他自治体の先進的な取り組みの視察も、視野を広げる良い機会となります。
自分の地域とは異なる環境での保健活動を知ることで、新たな視点や方法を学ぶことができます。
多職種合同の事例検討会への参加も重要です。
様々な専門職の視点や知識に触れることで、より包括的な支援の視点を養うことができます。また、自らの実践を振り返り、他者からフィードバックを得る貴重な機会にもなります。
学会や研究会での発表と情報交換も、スキルアップの好機です。自らの実践をまとめて発表することで、論理的思考力や表現力が高まります。
また、同じ分野に関心を持つ全国の保健師とのネットワークを構築することもできます。
保健師同士のピアサポートグループでの学び合いも効果的です。日常の実践での悩みや成功体験を共有することで、互いに成長することができます。
職場内だけでなく、地域や同期の保健師同士でのつながりも大切にしましょう。
具体的なスキルとしては、データ分析やファシリテーションなどの実践的スキルの習得も重要です。
エクセルやSPSSなどの統計ソフトの使い方、効果的な会議運営方法、プレゼンテーション技術など、業務に直結するスキルを意識的に磨きましょう。
継続的な学びと実践の積み重ねが、保健師としての成長につながります。日々の業務の中での「気づき」を大切にし、常に向上心を持って取り組むことが、長期的なスキルアップの鍵となります。
Q4: 保健師として働く中で、バーンアウトを防ぐにはどうしたらよいですか?
A: 保健師は様々な健康課題や困難ケースに対応するため、バーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクがあります。
予防策としては、まず仕事とプライベートの境界を明確にすることが重要です。勤務時間外には仕事のメールをチェックしない、休日は趣味や家族との時間を大切にするなど、オンとオフの切り替えを意識しましょう。
同僚や上司とのサポート体制を築くことも効果的です。
困難事例や悩みを一人で抱え込まず、チームで共有することで精神的負担を軽減できます。定期的なケース検討会や情報共有の場を設けることもおすすめです。
定期的に自己の心身の状態をチェックすることも大切です。
疲労感や意欲の低下、睡眠障害などの兆候が見られたら、早めに休息を取ったり相談したりする習慣をつけましょう。セルフケアのチェックリストを活用するのも一つの方法です。
困難事例は一人で抱え込まず、チームで対応することも重要です。
複雑な問題を抱える対象者への支援は、複数の目で見ることでより効果的な方法が見つかりますし、精神的負担も分散されます。
スーパービジョンを受ける機会を持つことも有効です。経験豊かな先輩保健師や専門家からの助言や支持を得ることで、自分の実践を客観的に振り返り、成長につなげることができます。
行政機関ではスーパービジョン体制が整っていないこともありますが、外部の研修や勉強会などでの機会を活用しましょう。
自分自身の健康管理を優先することも忘れてはいけません。
十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、基本的なセルフケアを実践しましょう。瞑想やヨガなどのリラクゼーション技法も効果的です。
達成感を得られる小さな成功体験を大切にすることもモチベーション維持につながります。全てを完璧にこなそうとするのではなく、できたことに目を向け、自己肯定感を保つよう心がけましょう。
専門職としての成長を実感できる学びの機会を持つことも、バーンアウト予防に役立ちます。新しい知識や技術を学ぶことで、仕事への意欲や自信を取り戻すことができます。
保健師自身が健康であることが、地域住民の健康支援の基盤となります。「自分の健康があってこその保健活動」という意識を持ち、セルフケアを実践することは、専門職としての責任でもあります。
Q5: 保健師として活躍するために、看護学生のうちに準備しておくべきことはありますか?
A: 看護学生のうちに準備しておくと良いことはいくつかあります。
まず、地域看護学や公衆衛生看護学の基礎をしっかり学ぶことが大切です。教科書や講義だけでなく、関連するニュースや時事問題にも関心を持ち、公衆衛生の視点で考える習慣をつけましょう。
疫学や統計学の基本を理解することも重要です。
データを読み解き、健康課題を抽出する能力は保健師の基本的スキルですので、苦手意識がある場合は早めに克服するよう努めましょう。
地域活動やボランティアに積極的に参加することもおすすめです。
健康イベントや地域の清掃活動、高齢者サロンのお手伝いなど、様々な活動を通じて地域と触れ合う経験を積むことで、地域の特性や住民の生活実態を理解することができます。
多様な背景を持つ人々との交流経験を増やすことも大切です。年齢、職業、文化的背景などが異なる人々と関わることで、コミュニケーション能力やダイバーシティへの理解が深まります。
プレゼンテーションやファシリテーションのスキルを磨くことも有効です。保健師は健康教育や会議の進行役を務めることも多いため、人前で話す経験や、グループワークをリードする経験を積んでおくと良いでしょう。
保健師の実習では、地域全体を見る視点を意識的に養うことが重要です。個別支援だけでなく、その背景にある地域の特性や社会資源、健康課題などに目を向け、包括的な視点で実習に取り組みましょう。
現役保健師へのインタビューや職場見学の機会を作ることも有意義です。実際に働いている保健師の生の声を聞くことで、より具体的な仕事のイメージを持つことができます。
社会情勢や健康政策に関心を持つことも大切です。保健師の活動は社会の動向や政策と密接に関連していますので、常にアンテナを張り、社会の変化に敏感になる習慣をつけましょう。
学生時代に幅広い経験と知識を得ることで、保健師としての適性や志向性が明確になります。また、就職後もスムーズに業務に取り組むための基盤を作ることができます。
何よりも、地域の健康に貢献したいという熱意を大切にしてください。知識やスキルは後からでも身につけられますが、人々の健康と幸せに貢献したいという思いが、保健師としての原動力となります。
Q6: 保健師として働く上で、どのような資格や認定があると有利ですか?
A: 保健師免許に加えて、様々な資格や認定が保健師としてのキャリアアップに役立ちます。
まず、保健師助産師看護師法に基づく「保健指導(看護)に関する実習指導者」の認定があります。これは実習生の指導に関わる場合に有用で、後進の育成に携わりたい保健師にはおすすめです。
日本公衆衛生学会認定専門家の資格も、保健師の専門性を証明するものとして価値があります。公衆衛生学の専門的知識と実践能力を持つ人材として認められ、キャリアアップにもつながります。
感染症対策に特化したい場合は、日本感染症学会認定感染管理認定看護師の資格が役立ちます。特に保健所等で感染症対策を担当する保健師には有用な資格です。
産業保健師として働く場合は、産業カウンセラーや第一種衛生管理者の資格が強みになります。企業の健康管理や労働安全衛生管理において、より専門的な関わりが可能になります。
健康教育や保健指導の場面では、健康運動指導士や食生活改善指導士といった資格も活かせます。科学的根拠に基づいた具体的な指導が可能になり、保健指導の質を高めることができます。
地域包括ケアに関わる場合は、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格も有用です。介護保険制度の理解が深まり、高齢者支援においてより包括的な視点で関わることができます。
メンタルヘルス分野に特化する場合は、公認心理師の資格も選択肢の一つです。こころの健康支援において専門的なアプローチが可能になります。
データ分析スキルを証明するものとして、統計検定などデータサイエンスに関する資格も近年注目されています。エビデンスに基づく保健活動の展開において、データ分析能力は大きな強みとなります。
自分のキャリア目標や興味のある分野に応じて、計画的に資格取得を目指すとよいでしょう。
ただし、資格取得自体が目的になるのではなく、実践の質を高めるための手段として捉えることが大切です。専門知識を深め、実践に活かしていくことで、資格の真価が発揮されます。
Q7: 保健師の仕事とワークライフバランスについて教えてください。
A: 保健師の働き方とワークライフバランスについては、勤務先や担当分野によって状況が異なります。自治体保健師の場合、基本的に平日日勤が中心ですが、健診や健康教室など休日出勤がある場合もあります。
年間を通じて忙しい時期と比較的落ち着いた時期があるため、年間スケジュールを把握して計画的に休暇を取ることが大切です。
ただし、災害時や感染症流行時には、緊急対応で勤務時間が不規則になることもあります。
新型コロナウイルス感染症の流行時には、多くの保健師が長時間勤務や夜間・休日対応を余儀なくされました。
このような非常時の対応は保健師の重要な役割ですが、長期化する場合は交代制をとるなど、組織的な対応が求められます。
産業保健師は企業によって勤務形態が異なりますが、一般的には比較的規則的な勤務が多いです。
企業の営業時間に合わせた勤務となりますので、夜勤などは基本的にありません。ただし、健康診断の時期など繁忙期には残業が発生することもあります。
保健師は育児や介護との両立がしやすい職種とされており、時短勤務や部分休業を活用している保健師も多いです。
特に自治体では育児支援制度が充実している場合が多く、キャリアを中断せずに続けられる環境があります。
経験を積むと、非常勤や特定の事業担当など、働き方の選択肢が広がることもワークライフバランスを取りやすい要因の一つです。
ライフステージに合わせて、フルタイムから時短勤務、非常勤へと働き方を変更し、その後またフルタイムに戻るといった柔軟な対応が可能な場合が多いです。
地域の特性や担当分野によって、業務の繁閑があることも知っておくとよいでしょう。
例えば、母子保健担当であれば乳幼児健診の日は特に忙しくなりますし、成人保健担当であれば特定健診・特定保健指導の時期は業務量が増加します。
自分の生活スタイルと照らし合わせて、適した分野を選ぶことも一つの方法です。
全体として、他の看護職に比べて規則的な勤務体系が多く、ライフイベントと両立しやすい傾向にあります。
ただし、担当業務や所属先によって状況は異なりますので、就職や異動の際には事前に確認することをおすすめします。
保健師同士のネットワークを活用して、実際の状況を聞いてみるのも良い方法です。
まとめ
保健師には、コミュニケーション力や公衆衛生への関心、企画力、指導力、責任感といった基本的資質が求められます。
また、共感力や粘り強さ、好奇心、柔軟性、前向きな思考など特定の性格特性も適性として挙げられます。
予防思考型やシステム思考型、データ活用型といった思考タイプも重要です。自分の適性を知り、強みを活かすことで、様々な分野で保健師として活躍できるでしょう。
大切なのは、人々の健康と幸せに貢献したいという熱意と、常に学び続ける姿勢です。
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