保健師を志望する方にとって、説得力のある志望動機を作成することは採用への重要なステップです。
本記事では、保健師としての志望動機を効果的に形成し表現するための実践的なガイドを提供します。
動機形成の基礎から面接での伝え方まで、具体例を交えて詳しく解説します。
この記事で分かること
- 保健師志望動機の効果的な形成方法
- 採用担当者に響く表現技法
- 自分だけのアピールポイントの見つけ方
- 面接で好印象を与える志望動機の伝え方
- キャリアプランを踏まえた志望動機の作り方
- 実際に高評価を得た志望動機の特徴
- 志望動機作成時によくある失敗とその改善策
この記事を読んでほしい人
- 保健師採用試験・面接を控えている方
- 保健師への転職を考えている看護師
- 保健師として就職を目指す学生
- 志望動機に説得力を持たせたい方
- キャリアプランを明確にしたい保健師志望者
- 志望動機の書き方に悩んでいる方
- 自分の思いをうまく言語化できない方
保健師志望動機の重要性と基本的な考え方

保健師の志望動機は単なる形式的な文章ではなく、あなたの熱意や適性、将来のビジョンを伝える重要なツールです。
採用担当者は、あなたが保健師という職業をどれだけ理解し、どのような価値観を持って仕事に取り組むかを志望動機から読み取ります。
「なぜ保健師になりたいのか」という問いに対して、表面的な回答ではなく、内省を深め、自分自身の経験や価値観と結びつけることで、説得力のある志望動機が生まれます。
自分の言葉で語られた志望動機は、読み手の心に響き、あなたの熱意を伝えることができるでしょう。
他職種との違いを意識する
保健師は看護師の資格を基盤としていますが、その役割や視点は大きく異なります。
志望動機を作成する際は、なぜ臨床看護ではなく保健師を選んだのか、保健師特有の「予防」や「地域全体の健康」という視点への共感を明確に示すことが重要です。
「単に患者さんの治療に関わるだけでなく、健康問題の予防や地域全体の健康増進に携わりたいと考え、保健師を志望しています」という表現は、保健師特有の視点を理解していることが伝わります。
ただし、このような一般的な表現にとどまらず、なぜあなたがその視点に共感するのか、その背景にある経験や価値観を掘り下げて伝えることが大切です。
志望動機の重要性を理解する
採用選考において、志望動機は単なる形式的な項目ではありません。
特に保健師のような専門職では、その職業に対する理解と熱意が問われます。志望動機は以下のような重要な役割を果たします。
採用担当者への第一印象
書類選考や面接の場で、志望動機はあなたの第一印象を形成します。説得力のある志望動機は、あなたの熱意や適性を効果的に伝え、採用担当者の関心を引きます。
逆に、ありきたりな内容や表面的な表現は、あなたの本気度を疑わせる可能性があります。
自己理解の深化
志望動機を考えるプロセスは、自分自身を深く理解する機会でもあります。
なぜ保健師になりたいのか、どのような保健師になりたいのかを考えることで、自分の価値観やキャリアビジョンが明確になります。
このような自己理解は、面接での質問にも自信を持って答えるための基盤となります。
キャリアビジョンの明確化
説得力のある志望動機を作成するためには、将来のキャリアビジョンを考える必要があります。
これにより、採用後のキャリア形成にも明確な方向性が生まれ、目標達成に向けたモチベーションの維持にもつながります。
保健師に求められる心構え
保健師としての志望動機を考える際には、保健師に求められる心構えや資質について理解しておくことも重要です。
保健師の役割は多岐にわたりますが、特に以下のような資質が求められます。
予防的視点
保健師は疾病の治療よりも予防に重点を置きます。健康課題を早期に発見し、健康問題が発生する前に介入するという予防的視点が求められます。
あなたがこの予防的視点をどのように理解し、共感しているかを志望動機に盛り込みましょう。
地域全体への視点
保健師は個人だけでなく、地域全体の健康レベル向上を目指します。個別支援と集団支援、さらには地域づくりを統合的に進める視点が求められます。
地域の健康課題にどのように取り組みたいか、あなたの考えを伝えましょう。
健康の社会的決定要因への理解
健康問題は個人の生活習慣だけでなく、社会的・経済的要因にも大きく影響されます。このような健康の社会的決定要因への理解と、それに基づいた健康支援の重要性についても触れると良いでしょう。
保健師志望動機の形成方法

説得力のある志望動機を形成するためには、以下のステップを踏むことが効果的です。
段階的に自己理解を深め、保健師という職業への理解を高めながら、あなた独自の志望動機を形成していきましょう。
自己分析を徹底する
まずは自分自身を深く理解することから始めましょう。以下のポイントについて考えてみてください。
保健師を目指すきっかけや原点
保健師を目指すきっかけとなった経験や出来事は何でしょうか。それは学生時代の実習体験かもしれませんし、看護師として働く中での気づきかもしれません。
あるいは、身近な人の健康問題に関わった経験や、社会問題に対する問題意識かもしれません。
このきっかけや原点を振り返ることで、あなたの志望動機の核となる部分が見えてきます。
たとえば、「大学の実習で保健師の活動に触れ、地域全体の健康を支える役割に魅力を感じた」というシンプルなきっかけでも、その体験で何を感じ、何を学んだのかを掘り下げることで、より説得力のある動機になります。
大切にしている価値観や信念
あなたが大切にしている価値観や信念は何でしょうか。
それは「すべての人が健康に生きる権利がある」という信念かもしれませんし、「予防こそが最大の医療である」という考え方かもしれません。
あるいは、「誰一人取り残さない社会づくり」を大切にしているかもしれません。
これらの価値観や信念が、保健師という職業とどのように結びつくのかを考えてみましょう。
あなたの価値観と保健師の役割が一致する点を見つけることで、なぜ保健師を志望するのかの本質的な理由が見えてきます。
これまでの学びや経験から得た強み
学生生活や職業経験、ボランティア活動など、これまでの様々な経験から得た強みは何でしょうか。それはコミュニケーション能力かもしれませんし、問題解決能力かもしれません。
あるいは、多様な背景を持つ人々への理解力かもしれません。
これらの強みが保健師としてどのように活かせるのかを考えてみましょう。
たとえば、「看護師として培った患者教育のスキルを、地域住民への健康教育に活かしたい」というように、あなたの強みと保健師の役割を結びつけることで、説得力が増します。
将来どのような保健師になりたいか
将来、どのような保健師になりたいと考えていますか。
それは「予防活動の専門家として地域の健康レベルを高める保健師」かもしれませんし、「多様な背景を持つ人々の健康を支える保健師」かもしれません。
あるいは、「政策立案にも関わり、社会システムの改善に貢献する保健師」かもしれません。
将来のビジョンを持つことで、なぜ今保健師を目指すのかという動機にもつながります。
また、このビジョンは採用後のキャリア形成にも指針を与えてくれるでしょう。
掘り下げの重要性
自己分析を行う際は、表面的な理由だけでなく、「なぜそう思うのか」を掘り下げることが重要です。
例えば、「地域の健康を支えたい」という思いがあるなら、その背景にある経験や価値観を探りましょう。
「なぜ?」を繰り返し自問することで、あなたの本質的な動機が見えてきます。
たとえば、「地域の健康を支えたい」→「なぜ?」→「予防の重要性を実感したから」→「なぜ?」→「家族が生活習慣病で苦しんだ経験があるから」というように掘り下げていくことで、より個人的で説得力のある動機になります。
保健師の職務内容と特性を理解する
保健師の役割や特性を十分に理解することで、より具体的で説得力のある志望動機を作れます。
保健師の職務内容や特性について、以下のポイントを理解しておきましょう。
地域保健活動の特徴と意義
保健師の活動の中心である地域保健活動の特徴と意義について理解しましょう。
地域保健活動は、地域全体の健康レベルの向上を目指し、個別支援と集団支援、さらには地域づくりを統合的に進める活動です。
たとえば、乳幼児健診は単に子どもの発達を確認するだけでなく、育児不安の軽減や虐待予防、地域での子育て支援体制の構築にもつながります。
このような地域保健活動の多面的な意義を理解することで、保健師の役割への理解が深まります。
予防医学の観点からの健康支援
保健師の活動は予防医学の観点から行われます。
一次予防(健康増進・疾病予防)、二次予防(早期発見・早期治療)、三次予防(リハビリテーション・再発防止)という予防の段階に応じた活動があります。
あなたがどの段階の予防活動に関心があるのか、その理由は何かを考えてみましょう。
たとえば、「看護師として働く中で、生活習慣病の患者が再入院を繰り返す現状を目の当たりにし、一次予防の重要性を実感した」というような経験があれば、それを志望動機に盛り込むことで説得力が増します。
ライフステージに応じた健康課題への対応
保健師は母子、成人、高齢者など、ライフステージに応じた健康課題に対応します。
各ライフステージにはそれぞれ特有の健康課題があり、それに応じた保健活動が求められます。
あなたがどのライフステージの健康課題に関心があるのか、その理由は何かを考えてみましょう。
たとえば、「子育て中の親の孤立や育児不安が社会問題となる中、母子保健活動を通じて親子をサポートしたい」というように、特定のライフステージへの関心とその理由を伝えることで、あなたの志望動機がより具体的になります。
地域コミュニティとの連携や調整役としての役割
保健師は行政、医療機関、福祉施設、住民組織など、地域の様々な関係者と連携しながら活動します。
このような連携・調整役としての役割も保健師の重要な特性です。
あなたが連携・調整役としてどのように活躍したいと考えているか、その背景にある経験や考え方を整理しておきましょう。
たとえば、「ボランティア活動で様々な立場の人々と協働した経験から、多職種連携の重要性を学んだ」というような経験があれば、それを志望動機に反映させることができます。
具体的な貢献イメージ
これらの理解に基づき、自分がどのような形で保健師として貢献したいかを具体的に考えましょう。
「保健師として地域の健康増進に貢献したい」というような一般的な表現ではなく、
「高齢化が進む〇〇地区で、フレイル予防の取り組みを通じて高齢者の健康寿命延伸に貢献したい」
というように、具体的なイメージを持つことが重要です。
志望先の特徴や理念を調査する
志望する自治体や機関の特徴や理念、取り組んでいる保健活動について調査することも重要です。
志望先との関連づけがない志望動機は、どこにでも通用する一般的な内容になってしまい、説得力に欠けます。
自治体の健康課題や特徴的な保健事業
志望する自治体にはどのような健康課題があるのか、どのような特徴的な保健事業を行っているのかを調査しましょう。
たとえば、高齢化率が高い自治体であれば高齢者の健康課題、若年層の流入が多い自治体であれば子育て支援や母子保健、都市部であれば生活習慣病予防や自殺対策などが重点課題である可能性があります。
自治体のホームページや健康増進計画、地域保健医療計画などを確認することで、健康課題や保健事業の情報を得ることができます。
組織の理念や方針
自治体や機関の理念や方針、ビジョンなどを調査しましょう。多くの自治体は健康づくりに関する理念やスローガンを掲げています。
たとえば、「誰もが健康で安心して暮らせるまちづくり」「共に支え合い、健やかに暮らせる地域社会の実現」などの理念があるかもしれません。
このような理念に共感する点を見つけ、あなたの価値観と結びつけることで、志望先との相性をアピールできます。
重点的に取り組んでいる健康課題や対象集団
志望先が重点的に取り組んでいる健康課題や対象集団は何か調査しましょう。
たとえば、子育て支援に力を入れている自治体、生活習慣病予防に注力している自治体、高齢者の介護予防に取り組んでいる自治体など、それぞれ力を入れている分野が異なります。
あなたの関心や経験と一致する分野があれば、それを志望動機に盛り込むことで、志望先への理解と熱意をアピールできます。
志望先へのアピールポイント
これらの情報をもとに、あなたがどのように貢献できるかを考え、志望動機に盛り込みましょう。
「貴自治体が推進する健康長寿のまちづくりに共感し、私の高齢者支援の経験を活かして貢献したい」
「貴自治体の母子保健事業の充実に貢献できるよう、母子保健に関する知識を深めてきました」
など、志望先の特徴と自分の強みや関心を結びつけることで、説得力のある志望動機になります。
具体的なエピソードを選ぶ
抽象的な表現より、具体的なエピソードを交えることで説得力が増します。以下のような経験から、志望動機に関連するエピソードを選びましょう。
臨地実習や看護師経験での学び
保健師を目指す多くの方は、看護学生時代の実習や看護師としての臨床経験を持っています。
これらの経験から、保健師を志望するきっかけとなったエピソードを選びましょう。
たとえば、
「訪問看護師として働く中で、退院後の患者の生活環境や社会的支援の重要性を実感し、地域全体で健康をサポートする保健師の役割に関心を持ちました」
というように、具体的な経験と学びを伝えることで、あなたの志望動機の背景が伝わります。
ボランティア活動や地域活動の経験
健康教室のボランティア、災害支援活動、地域の健康イベントへの参加など、医療や健康に関連するボランティア活動や地域活動の経験があれば、それを志望動機に盛り込むことができます。
たとえば、
「大学時代に参加した健康イベントのボランティアで、予防啓発活動の重要性と難しさを学びました。
参加者の健康意識向上のためには、単に情報提供するだけでなく、生活背景や価値観を理解した上での対話が重要だと気づきました。
この経験から、地域に根ざした保健活動に関心を持つようになりました」
というように、活動内容だけでなく、そこから得た気づきや学びを伝えることが重要です。
身近な人の健康問題に関わった経験
家族や身近な人の健康問題に関わった経験も、志望動機の重要な要素になり得ます。ただし、プライバシーに配慮した表現を心がけましょう。
たとえば、
「祖母が認知症を発症し、家族全体が大きな不安と負担を抱えました。その際、地域包括支援センターの保健師さんのサポートで状況が大きく改善しました。
この経験から、家族全体を支える保健師の役割の重要性を実感し、私も同じように困難に直面している人々を支えたいと考えるようになりました」
というように、個人的な経験からの学びと志望動機のつながりを示すことができます。
エピソードの選び方と表現のポイント
エピソードを選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。
まず、保健師の特性(予防的視点、地域全体への視点、社会的決定要因への理解など)に関連するエピソードを選ぶことが重要です。
単に感動的なエピソードではなく、なぜそれが保健師志望につながるのかが明確なエピソードを選びましょう。
次に、エピソードは具体的でありながらも簡潔に表現することが大切です。細かい状況説明よりも、そのエピソードから何を学び、どのように考えが変化したのかを中心に伝えましょう。
最後に、プライバシーに配慮した表現を心がけましょう。
特に患者や利用者に関するエピソードを使用する場合は、個人が特定されないよう注意が必要です。
例えば:
「看護師として働く中で、同じ症状で何度も入院する患者さんを担当しました。
退院後の生活環境や健康管理が十分でないことが原因だと感じ、予防的なアプローチの重要性を実感しました。この経験から、地域での予防活動に携わる保健師を志望するようになりました」
というように、経験から学びを得て志望動機へとつながるストーリーを示すことが効果的です。
保健師志望動機の効果的な表現技法

形成した志望動機をどのように表現するかも重要です。
以下に効果的な表現技法を紹介します。適切な構成と表現方法を身につけることで、あなたの思いや適性を効果的に伝えることができます。
PREP法を活用する
PREP法(Point-Reason-Example-Point)は、説得力のある構成を作るのに役立ちます。
要点を簡潔に伝え、理由を説明し、具体例で裏付け、再度要点を強調するという流れで志望動機を構成します。
PREP法の基本構造
PREP法は以下の構造で構成されます。
まず、**Point(要点)**では、あなたの主張、つまり保健師になりたい理由の核心部分を簡潔に伝えます。
「私は地域全体の健康増進に貢献できる保健師を志望しています」など、明確な要点を冒頭に置きます。
次に、**Reason(理由)**では、なぜそう思うのか、その理由を説明します。
「健康問題は個人の問題だけでなく、社会的要因も大きく影響していると考えるからです」など、要点を支える理由を述べます。
そして、**Example(具体例)**では、あなたの経験や学びを具体的に示し、理由を裏付けます。
「大学の実習で参加した特定健診では、健康格差が地域によって異なることを目の当たりにし、予防的アプローチと社会環境の整備の重要性を学びました」など、具体的なエピソードを交えます。
最後に、再度**Point(要点)**で、主張を再確認します。
「こうした経験から、地域全体を視野に入れた健康支援ができる保健師として活躍したいと考えています」など、冒頭の要点に立ち返ることで、志望動機に一貫性を持たせます。
PREP法の活用例
PREP法を用いた志望動機の例を示します。
「私は予防的視点から地域の健康課題に取り組む保健師を志望しています(Point)。
看護師として臨床経験を積む中で、多くの疾患が予防可能であるにも関わらず、治療に重点が置かれている現状に疑問を感じたからです(Reason)。
特に、糖尿病で入院する患者さんの多くが、適切な保健指導や環境調整があれば重症化を防げたのではないかと感じる場面が何度もありました。
実際、医療機関を退院した後の生活環境や社会的支援の不足から再入院するケースを数多く経験しました(Example)。
これらの経験から、医療の上流にある予防や健康増進に関わる保健師として、地域全体の健康レベル向上に貢献したいと考えています(Point)」
このように、PREP法を用いることで、論理的で説得力のある志望動機を構成することができます。
2. STAR法で経験を構造化する
具体的な経験を伝える際は、STAR法が効果的です。
STAR法は、状況(Situation)、課題(Task)、行動(Action)、結果(Result)の順に経験を構造化する方法です。
STAR法の基本構造
STAR法は以下の構造で経験を伝えます。
まず、**Situation(状況)**では、どのような場面だったのかを説明します。
「大学の地域看護学実習で住民健診に参加した際」など、状況を簡潔に設定します。
次に、**Task(課題)**では、その状況で何が求められていたのか、どのような課題があったのかを説明します。
「健診受診率が低い地区の課題分析と対策を考えるよう求められました」など、取り組んだ課題を明確にします。
そして、**Action(行動)**では、あなたが何をしたのかを具体的に述べます。
「そこで私は、地域住民へのインタビューを行い、健診への関心や障壁を調査しました」など、あなたの取った行動を示します。
最後に、**Result(結果)**では、その行動によってどのような結果や学びがあったのかを伝えます。
「その結果、交通手段の問題や健診の重要性の認識不足が明らかになり、これらの課題に対応するためには地域に根ざした活動が重要だと学びました」など、成果や気づきを示します。
STAR法の活用例
STAR法を用いた志望動機の一部の例を示します。
「看護師として内科病棟で勤務していた時(Situation)、同じ疾患で何度も再入院する患者さんの数が多いことに問題意識を持ちました(Task)。
そこで、退院指導の改善と地域連携の強化に取り組み、退院前カンファレンスに積極的に参加して多職種との情報共有を密にしました(Action)。
この経験を通じて、医療機関での治療だけでなく、地域での継続的な支援や予防活動の重要性を実感し、より上流からの働きかけができる保健師を志望するようになりました(Result)」
このように、STAR法を用いることで、経験を構造化し、その経験がどのように保健師志望につながったのかを明確に示すことができます。
情熱と専門性のバランスを取る
志望動機には熱意と専門的な視点の両方が必要です。
感情だけに訴えるのではなく、専門的な知識や視点も示しましょう。
情熱を示す表現
保健師という職業への熱意や思いを伝えることは重要です。
「子どもたちの健やかな成長を支援したい」「地域の健康課題解決に貢献したい」など、あなたの情熱を示す表現を含めましょう。
ただし、単に「人の役に立ちたい」「健康に貢献したい」といった抽象的な表現では、なぜ保健師なのかが伝わりません。
あなたの情熱が具体的にどのような形で保健師としての活動につながるのかを示すことが大切です。
専門性を示す表現
同時に、保健師という専門職への理解や専門的な視点も示すことが重要です。
「ACEs(Adverse Childhood Experiences:逆境的小児期体験)の予防と早期介入」「健康の社会的決定要因へのアプローチ」「ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの統合」など、
保健師の専門的な視点や知識を示す表現を取り入れると良いでしょう。
専門的な用語を使う際は、採用担当者が必ずしも保健師としての専門知識を持っているとは限らないことを考慮し、簡潔な説明を加えるとより伝わりやすくなります。
バランスの取れた表現例
情熱と専門性のバランスを取った表現の例を示します。
「私は子どもたちの健やかな成長を支援したいという思いから保健師を志望しています。
特に、ACEs(逆境的小児期体験)の予防と早期介入に関心があり、エビデンスに基づいた支援プログラムの実施に携わりたいと考えています。
大学での実習を通じて、子どもの健康は家庭環境や社会的要因に大きく影響されることを学びました。
この経験から、子どもだけでなく家族全体、さらには地域全体を視野に入れた予防的支援の重要性を実感しています」
このように、情熱(子どもの成長支援)と専門性(ACEs、エビデンスに基づいた支援、予防的視点)をバランスよく組み合わせることで、説得力のある志望動機になります。
4. 簡潔かつ具体的に表現する
長すぎる志望動機は読み手の負担になります。要点を絞り、具体的に伝えることを心がけましょう。
冗長な表現を避ける
志望動機では、経験や考えを時系列で詳細に説明するのではなく、要点を絞って伝えることが重要です。
NG例: 「私は小さい頃から人を助けることが好きで、高校生の時にボランティア活動をして、そこで看護の道に興味を持ち、大学では看護を学び、実習では様々な経験をして、その中で特に地域看護に関心を持ち、保健師を目指すようになりました」
このような長い一文は読みにくく、要点が分かりにくくなります。経験や考えの変遷をすべて説明するのではなく、保健師志望に直接関連する重要な経験や考えに絞って伝えましょう。
具体的な表現を心がける
抽象的な表現よりも、具体的な表現の方が伝わりやすくなります。
OK例:
「保健師を志望する理由は、予防的視点から地域全体の健康課題に取り組みたいと考えるからです。
大学の実習で関わった独居高齢者の健康支援活動を通じて、個別支援と地域の環境整備の両面からのアプローチの重要性を学びました。
特に、高齢者の社会的孤立が健康悪化につながる事例を経験し、人と人とのつながりづくりも含めた健康支援に取り組みたいと考えています」
このように、具体的な経験や考えを交えることで、あなたの志望動機がより明確に伝わります。
文章の構成と分量
志望動機の文章構成も重要です。一つの段落には一つのポイントを入れ、段落ごとに内容を整理すると読みやすくなります。また、全体の分量にも配慮しましょう。
書類での志望動機は通常800〜1200字程度、面接での志望動機は2分程度で話せる分量が適切です。
長すぎる志望動機は読み手や聞き手の負担になり、かえって要点が伝わりにくくなります。
志望動機の冒頭で要点を簡潔に伝え、その後に具体的な経験や考えを補足するという構成にすると、読み手が理解しやすくなります。
保健師志望動機のアピールポイントの抽出
志望動機に盛り込むべきアピールポイントを見つけるためのヒントを紹介します。
あなたならではの強みや経験を志望動機に反映させることで、他の応募者との差別化を図ることができます。
保健師に求められる資質と自己の強みの接点
保健師に求められる資質と自分の強みがどのように結びつくかを考えましょう。
保健師に求められる主な資質としては、以下のようなものがあります。
コミュニケーション能力
保健師は多様な住民や関係機関と関わる中で、信頼関係を構築し、効果的なコミュニケーションを図る能力が求められます。
この能力は保健指導や健康教育、多職種連携などあらゆる場面で必要とされます。
あなたがコミュニケーション能力に自信がある場合は、具体的なエピソードと共にアピールしましょう。
例えば、
「前職の訪問看護師として様々な家庭環境の方々と関わる中で培ったコミュニケーション能力は、地域住民や関係機関との連携が必要な保健師の業務に活かせると考えています」
というように、その能力がどのように保健師の役割に活かせるかを示すことが重要です。
課題発見・解決能力
保健師は地域の健康課題を見出し、解決策を考え、実行するという一連のプロセスを担います。データ分析能力や問題解決能力が重要な資質となります。
あなたが学生時代の研究やプロジェクト、職場での改善活動などで培った課題発見・解決能力がある場合は、それを志望動機に盛り込みましょう。
「看護師として病棟の業務改善プロジェクトをリードした経験から、データに基づく課題分析と解決策の立案・実行のプロセスを学びました。
この経験は、地域の健康課題を分析し、効果的な保健活動を計画・実施する保健師の役割に活かせると考えています」
というように具体的に伝えましょう。
調整力
保健師は様々な立場の人や機関との調整を行う「つなぎ役」としての役割も担います。
異なる立場や意見を尊重しつつ、共通の目標に向かって調整する能力が求められます。
職場やボランティア活動などで培った調整力がある場合は、それを志望動機に盛り込みましょう。
「多職種連携チームのメンバーとして、異なる専門性を持つ職種間の調整役を担った経験があります。
この経験から、それぞれの強みを活かしながら共通の目標に向かって連携することの重要性と難しさを学びました。
この調整力は、地域の様々な機関や住民と協働する保健師の役割に活かせると考えています」
指導力
保健師は健康教育や保健指導を通じて、住民の健康意識を高め、行動変容を促す役割を担います。
わかりやすく伝える力や、相手の状況に合わせた指導を行う力が求められます。
教育経験や指導的立場での経験がある場合は、それを志望動機に盛り込みましょう。
「看護学生の実習指導に関わった経験から、相手の理解度や状況に合わせて情報を提供し、行動変容を支援することの重要性を学びました。
この経験は、地域住民への健康教育や保健指導を行う保健師の役割に活かせると考えています」
柔軟性
保健師は様々な状況や対象者に合わせて柔軟に対応する能力も求められます。
マニュアル通りではなく、状況に応じた判断と対応ができる柔軟性が重要です。
臨機応変な対応が求められる場面での経験がある場合は、それを志望動機に盛り込みましょう。
「救急外来での勤務経験から、予測困難な状況下での迅速な判断と柔軟な対応力を培いました。
この経験は、多様な住民ニーズや予期せぬ健康危機にも適切に対応できる保健師として役立つと考えています」
独自の経験や視点を見出す
他の応募者と差別化できるような独自の経験や視点を見つけることが重要です。
以下のような観点から、あなたならではの経験や視点を探してみましょう。
特定の対象者への関心とその理由
母子、高齢者、精神保健など、特定の対象者に関心がある場合は、なぜその対象者に関心を持つのか、その理由とともに伝えましょう。
「私は精神保健分野に特に関心を持っています。
看護師として3年間精神科に勤務した経験から、メンタルヘルスの課題は早期発見・早期介入が重要だと実感しました。
また、精神疾患に対する偏見や誤解が治療の障壁になっている現状も目の当たりにしました。
この経験から、地域におけるメンタルヘルス予防活動や啓発活動に力を入れたいと考え、保健師を志望しています」
このように、単に関心があるというだけでなく、その背景にある経験や思いを伝えることで、あなたの独自性が際立ちます。
特別な経験とその学び
ボランティア活動、海外経験、他職種経験など、特別な経験がある場合は、その経験から何を学び、どのように保健師の活動に活かせるかを伝えましょう。
「大学時代に参加した途上国での健康支援ボランティアでは、医療資源の乏しい環境での予防活動の重要性を学びました。
また、文化や価値観の違いを尊重しながら健康支援を行うことの難しさと大切さも実感しました。
この経験は、多様な文化的背景を持つ住民が増えている当地域での保健活動に活かせると考えています」
このように、特別な経験からの学びと保健師の役割とを結びつけることで、あなたの独自の視点をアピールできます。
学術的な関心や研究テーマ
卒業研究や自己学習を通じて深めてきた学術的な関心や研究テーマがある場合は、それを志望動機に盛り込みましょう。
「大学の卒業研究では、高齢者の社会的孤立と健康状態の関連について調査しました。
この研究を通じて、健康の社会的決定要因の重要性や、コミュニティづくりと健康支援を統合的に進める必要性を学びました。
この学びを活かし、地域のつながりを強化しながら健康支援を行う保健師として活動したいと考えています」
このように、学術的な関心と保健師の役割を結びつけることで、あなたの専門性と熱意をアピールできます。
将来のビジョンと結びつける
単に過去の経験だけでなく、将来どのような保健師になりたいかというビジョンも重要なアピールポイントです。
以下のような観点から、あなたの将来ビジョンを志望動機に盛り込みましょう。
目指す保健師像
あなたが目指す保健師像を具体的に描きましょう。
それは「住民に寄り添い、共に健康課題を解決していく保健師」「エビデンスと実践を統合できる保健師」「政策立案にも関われる保健師」など、あなたの理想とする保健師像です。
「私は将来、科学的根拠と住民の声の両方を大切にし、効果的な保健活動を展開できる保健師を目指しています。保健活動の効果を適切に評価し、常に改善していくサイクルを大切にしたいと考えています」
このように、目指す保健師像を示すことで、あなたの成長意欲と方向性を伝えることができます。
取り組みたい保健活動
将来特に力を入れて取り組みたい保健活動があれば、それを志望動機に盛り込みましょう。
「将来的には、子育て世代包括支援センターでの活動を通じて、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援体制の構築に貢献したいと考えています。
特に、産後うつの予防と早期発見、多職種連携による包括的支援に力を入れていきたいです」
このように、具体的な活動イメージを持っていることを示すことで、あなたの目的意識の高さをアピールできます。
長期的なキャリアプラン
5年後、10年後といった長期的なキャリアプランを持っていることも、あなたの成長意欲を示す重要なポイントです。
「将来的には、地域のニーズを的確に捉え、エビデンスに基づいた保健活動を企画・実施できる保健師になりたいと考えています。
そのために、実務経験を積みながら大学院での学びも視野に入れ、実践と理論の両面から専門性を高めていきたいと思います。
将来的には、後進の育成にも関わり、保健師の専門性向上に貢献できる存在になりたいと考えています」
このように、長期的な視点でのキャリアプランを示すことで、あなたの成長意欲と将来への展望をアピールできます。
面接での志望動機の伝え方

書類上の志望動機を面接でどのように伝えるかについても準備が必要です。
面接では、書類だけでは伝わらない熱意や人柄も含めて評価されます。
効果的に志望動機を伝えるためのポイントを紹介します。
簡潔に要点を伝える
面接では限られた時間の中で要点を押さえて伝えることが重要です。
あらかじめ2分程度で話せるよう準備しておきましょう。
重要ポイントの整理
志望動機の中でも特に伝えたい重要なポイントを整理しておきましょう。
一般的には以下の3点を押さえておくと良いでしょう。
まず、保健師を目指す主な理由を明確に伝えましょう。
「予防的視点から地域全体の健康課題に取り組みたい」「健康の社会的決定要因にアプローチしたい」など、保健師を志望する本質的な理由を簡潔に伝えます。
次に、それを裏付ける具体的な経験を1〜2例示しましょう。
「看護師として働く中で予防の重要性を実感した」「実習で地域全体への視点の重要性を学んだ」など、志望理由の背景にある具体的な経験を交えることで説得力が増します。
最後に、志望先での貢献意欲を伝えましょう。
「貴自治体の○○事業に関心があり、私の経験を活かして貢献したい」など、志望先を選んだ理由と貢献意欲を伝えることで、採用後のイメージをより具体的に示すことができます。
構成の工夫
面接での志望動機は、書類よりもさらに簡潔に、要点を絞って伝える必要があります。
以下のような構成を意識すると良いでしょう。
冒頭で結論(保健師を志望する主な理由)を述べ、その後に具体的な経験や考えを補足するという構成にすると、聞き手が理解しやすくなります。
また、「大きく分けて3つの理由があります」などと、あらかじめ話の構成を示しておくと、聞き手は内容を整理しながら聞くことができます。
志望動機の結びには、志望先への熱意や貢献意欲を伝える言葉を置くと印象的です。
「これらの経験と学びを活かし、貴自治体の保健活動に貢献できるよう尽力したいと考えています」など、前向きな姿勢を示す言葉で締めくくりましょう。
練習の重要性
面接での志望動機は、何度も声に出して練習することが大切です。
練習を重ねることで、言葉に詰まらず、自然な口調で話せるようになります。また、実際に話してみることで、言いにくい表現や長すぎる文章に気づくことができます。
可能であれば、家族や友人に聞いてもらい、フィードバックをもらうと良いでしょう。
「話すスピードは適切か」「要点が伝わるか」「熱意が感じられるか」などの観点からアドバイスをもらうことで、より効果的な伝え方になります。
熱意を言葉だけでなく態度でも表現
志望動機を伝える際は、言葉だけでなく表情や声のトーンなどにも注意しましょう。
非言語コミュニケーションも重要なメッセージとなります。
表情や姿勢
明るく前向きな表情で話すことで、あなたの熱意が伝わります。
無表情や緊張した表情では、せっかくの志望動機も心からのものとは感じられません。
自然な笑顔を心がけましょう。
姿勢も重要です。背筋を伸ばし、堂々とした姿勢で話すことで、自信と誠実さが伝わります。猫背や落ち着きのない動作は、不安や自信のなさを印象づけてしまいます。
アイコンタクト
適切なアイコンタクトも大切です。面接官の目を見て話すことで、誠実さと自信が伝わります。
ただし、じっと見つめすぎるのも不自然ですので、自然な視線の動きを心がけましょう。
複数の面接官がいる場合は、質問した人を中心に、時々他の面接官にも視線を向けると良いでしょう。
すべての面接官に対して話しかけるような意識を持つことで、場全体とのコミュニケーションが生まれます。
声のトーンと話し方
クリアで自信のある声で話すことも重要です。小さすぎる声や単調な口調では、熱意が伝わりにくくなります。
適度な声の大きさと抑揚のある話し方を心がけましょう。
また、話すスピードにも注意が必要です。緊張すると早口になりがちですが、聞き取りにくくなるため、適度なペースを保つよう意識しましょう。
重要なポイントではやや間を取るなど、メリハリのある話し方も効果的です。
感情の込め方
志望動機を伝える際は、言葉の意味だけでなく、その背後にある感情も大切です。
「この経験から保健師を志望するようになりました」と淡々と言うよりも、その経験で感じた思いや気づきを込めて話す方が、あなたの本気度が伝わります。
ただし、感情表現が大げさすぎると不自然に感じられますので、自然な範囲での感情表現を心がけましょう。
あなたにとって本当に大切な経験や思いを語る際には、自然と声や表情に感情が表れるものです。
質問に備える
志望動機に関連して、さらに深掘りした質問に備えておきましょう。よくある質問とその対応方法を紹介します。
「なぜ臨床看護ではなく保健師なのか」
この質問は、保健師を志望する本質的な理由を問うています。
臨床看護と保健師の違いを理解した上で、なぜ保健師の道を選ぶのかを明確に答えられるよう準備しておきましょう。
「臨床看護では個別の患者さんの治療に関わる重要な役割を担いますが、私は予防的視点から地域全体の健康レベル向上に貢献したいと考えています。
看護師として働く中で、多くの疾患が予防可能であるにもかかわらず、治療に重点が置かれている現状に疑問を感じました。
より上流からの働きかけができる保健師として、予防活動や健康増進に関わりたいと考えています」
このように、臨床看護の重要性も認めつつ、あなたが特に保健師に惹かれる理由を具体的に伝えましょう。
「なぜ他の自治体ではなく当自治体なのか」
この質問には、志望先について十分な調査をしていることを示す回答が求められます。
志望先の特徴や取り組みについて具体的に言及できるよう、事前準備をしておきましょう。
「貴自治体が推進している『健康長寿のまちづくり』プロジェクトに大変関心を持っています。
特に、高齢者の社会参加を促進しながら健康づくりを進めるという視点に共感しました。
私自身、高齢者の健康支援に関心があり、実習でも高齢者の健康づくりに関わった経験があります。
この経験を活かして、貴自治体の取り組みに貢献したいと考えています」
このように、志望先の特徴と自分の関心や経験を結びつけることで、なぜその自治体を選んだのかが明確に伝わります。
「具体的にどのような保健活動に興味があるのか」
この質問には、保健師の多様な活動領域の中で、あなたが特に関心を持つ分野とその理由を答えましょう。
ただし、特定の分野だけに興味があるという印象を与えないよう注意が必要です。
「特に母子保健活動に関心を持っていますが、保健師として様々な分野の活動に携わりたいと考えています。
母子保健に関心を持つようになったのは、実習で関わった若年層の母親支援の経験からです。適切な支援があれば防げる健康問題が多いにもかかわらず、支援につながっていないケースを目の当たりにし、早期からの予防的支援の重要性を実感しました。
ただ、母子保健だけでなく、成人保健や高齢者保健など様々な分野での経験を積みながら、幅広い視点を持った保健師になりたいと考えています」
このように、特に関心のある分野を示しつつも、保健師として幅広く活動する意欲も伝えることが大切です。
想定質問への準備
これら以外にも、「あなたの強みと弱みは何か」「5年後、10年後のキャリアプランは」「保健師として最も大切だと思うことは何か」など、様々な質問が想定されます。
これらの質問に対しても、事前に回答を準備しておくと安心です。
また、あなたの志望動機やこれまでの経験に関連して、どのような質問が来る可能性があるかを考え、それに対する回答も準備しておきましょう。
準備しておくことで、本番での余裕が生まれ、自信を持って答えることができます。
志望先に合わせた伝え方をする
面接前に改めて志望先の特徴や課題について調査し、それに合わせた志望動機の表現を準備しましょう。
志望先に合わせた伝え方をすることで、あなたのその自治体や機関への熱意と理解度が伝わります。
自治体や機関の特徴の調査
面接前には、志望先の特徴をより詳しく調査しましょう。
自治体のホームページ、健康増進計画、地域保健医療計画などから、以下のような情報を収集します。
自治体や機関の基本情報(人口構造、産業構造、地理的特徴など)を把握しましょう。これらの特徴は健康課題にも関連します。
例えば、高齢化率が高い地域では高齢者の健康課題が、若年層の多い地域では母子保健が重要課題である可能性があります。
健康課題や特徴的な保健事業についても調べましょう。
多くの自治体は健康課題や重点的に取り組む保健事業を公表しています。これらの情報から、あなたがどのように貢献できるかを考えます。
組織の理念やビジョンも重要です。自治体の健康づくりの理念やスローガンに共感する点を見つけ、あなたの価値観と結びつけることで、組織との相性をアピールできます。
志望先に合わせた表現の工夫
調査した情報をもとに、志望先に合わせた志望動機の表現を工夫しましょう。
例えば、子育て支援に力を入れている自治体であれば、「貴自治体が力を入れている子育て支援活動に特に関心があります。
私の小児科での経験を活かして、子どもの健やかな成長を支援する保健活動に貢献したいと考えています」というように、自治体の特徴と自分の経験や関心を結びつけます。
また、健康格差の解消に取り組んでいる自治体であれば、「貴自治体が推進する健康格差の解消に向けた取り組みに共感しています。
看護師として様々な背景を持つ方々と関わる中で、健康の社会的決定要因の重要性を実感してきました。この経験を活かし、誰もが健康に暮らせる地域づくりに貢献したいと考えています」
というように、自治体の課題と自分の視点や経験を結びつけます。
地域特性の理解を示す
志望先の地域特性(都市部、郊外、農村部など)についても理解を示すことで、より具体的な貢献イメージを伝えることができます。
例えば、過疎化や高齢化が進む地域であれば、
「高齢化と人口減少が進む貴地域では、地域のつながりを活かした健康づくりが重要だと考えています。
私は実習で過疎地域での健康教室に参加し、地域のつながりが健康づくりの大きな資源になることを学びました。
この経験を活かし、地域のつながりを支援しながら健康づくりを進める保健師として貢献したいと思います」
都市部であれば、
「都市部特有の健康課題として、地域のつながりの希薄化や生活習慣病の増加があると理解しています。
私は都市部の訪問看護師として働く中で、地域のつながりづくりの重要性を実感しました。
この経験を活かし、都市部でのコミュニティ形成と健康づくりを統合した保健活動に取り組みたいと考えています」
このように、地域特性を踏まえた具体的な貢献イメージを示すことで、その地域で働きたいという熱意と理解度が伝わります。
キャリア設計を踏まえた志望動機の作成
長期的なキャリアプランを踏まえた志望動機は説得力があります。
将来のキャリアビジョンを明確に持ち、それに向かって計画的に成長していく姿勢を示すことで、採用担当者に前向きな印象を与えることができます。
1. 短期的・中期的・長期的なキャリア目標を明確にする
キャリアプランは、短期的(1〜3年)、中期的(3〜5年)、長期的(5年以上)な目標を設定すると、具体性と計画性が伝わります。
それぞれの期間でどのような成長を目指すのか、明確にしましょう。
短期的目標(1〜3年)
保健師としての基本的なスキルの習得が短期的な目標になります。
新人保健師として、様々な保健活動を経験し、基本的な知識や技術を身につける時期です。
「まずは保健師として必要な基本的スキルを習得し、様々な保健活動を経験したいと考えています。
特に家庭訪問や健康教育、健康相談などの基本的な活動に積極的に取り組み、保健師としての土台を固めていきたいと思います。
また、地域の特性や健康課題についても理解を深め、地域に根ざした活動ができるよう努めます」
このように、基本的なスキル習得に向けた具体的な取り組みを示すことで、新人期の目標が明確になります。
中期的目標(3〜5年)
経験を積み重ねる中で、特定分野の専門性を高めていくことが中期的な目標になります。
基本的なスキルを習得した上で、自分の関心や適性に合った分野での専門性を高めていく時期です。
「3〜5年目には、基本的なスキルを習得した上で、特に母子保健分野での専門性を高めていきたいと考えています。
子育て世代包括支援センターでの活動や、発達支援、虐待予防などの分野で知識とスキルを深め、より専門的な支援ができる保健師を目指します。
また、若手保健師のプリセプターとして、後輩の育成にも関わりたいと思います」
このように、専門分野の明確化と、それに向けた具体的な学びや活動のイメージを示すことで、中期的な成長プランが伝わります。
長期的目標(5年以上)
リーダーシップの発揮や政策立案への参画が長期的な目標になります。
実務経験を積み、専門性を高めた上で、より広い視点で保健活動に関わっていく時期です。
「5年以上のキャリアを積んだ後は、チームのリーダーとして後輩の指導や育成に関わりながら、地域の健康課題に対する効果的な保健活動の企画・立案・評価のサイクルを主導できる保健師を目指します。
また、地域の健康課題を政策につなげる視点も持ち、政策立案にも関われる保健師として成長したいと考えています」
このように、リーダーシップや政策への関与など、より広い視点での貢献イメージを示すことで、長期的なキャリアビジョンが伝わります。
専門性の方向性を示す
将来的にどのような分野で専門性を高めたいかを示すことで、具体性のある志望動機になります。
保健師の活動分野は多岐にわたりますが、その中でも特に関心を持つ分野とその理由を明確にしましょう。
母子保健
母子保健分野に関心がある場合は、その理由と具体的な活動イメージを伝えましょう。
「私は将来的に母子保健分野のスペシャリストとして活躍したいと考えています。
子どもの健やかな成長を支えることは、将来の社会を支える基盤づくりであり、予防的視点が最も効果を発揮する分野だと考えるからです。
実習では乳幼児健診や両親学級に参加し、母子に寄り添った支援の重要性を学びました。
特に発達支援や虐待予防に関心があり、リスクの早期発見と適切な支援により、すべての子どもが健やかに育つ地域づくりに貢献したいと思います」
成人・高齢者保健
成人・高齢者保健分野に関心がある場合は、その理由と具体的な活動イメージを伝えましょう。
「私は将来的に成人・高齢者保健分野での専門性を高めたいと考えています。
特に生活習慣病予防と健康寿命の延伸に関心があります。看護師として内科病棟で勤務する中で、多くの生活習慣病が予防可能であることを実感しました。
また、高齢化が進む中で、単に寿命を延ばすだけでなく、健康で自立した生活を送れる期間を延ばすことの重要性も認識しています。
特定健診・特定保健指導や介護予防事業などを通じて、住民一人ひとりの健康づくりを支援するとともに、健康を支える地域づくりにも取り組みたいと思います」
精神保健
精神保健分野に関心がある場合は、その理由と具体的な活動イメージを伝えましょう。
「私は将来的に精神保健分野での専門性を高めたいと考えています。
現代社会ではストレスや孤立などによるメンタルヘルスの問題が増加しており、早期発見・早期支援の重要性が高まっています。
精神科看護師としての経験から、適切な支援があれば回復や社会参加が可能であることを学びました。
特に自殺予防や引きこもり支援、認知症の方と家族の支援に関心があり、当事者の声を大切にしながら、地域全体で支える体制づくりに貢献したいと思います」
感染症対策
感染症対策分野に関心がある場合は、その理由と具体的な活動イメージを伝えましょう。
「私は将来的に感染症対策分野での専門性を高めたいと考えています。
新興・再興感染症の脅威が高まる中、平時からの備えと発生時の迅速な対応が重要性を増しています。
以前の新型ウイルス流行時には感染症病棟で勤務し、医療現場の対応と同時に、地域での予防啓発や健康観察の重要性を実感しました。
今後は、科学的根拠に基づいた感染症対策の普及啓発や、有事の際の円滑な対応体制の構築に貢献したいと思います」
災害保健
災害保健分野に関心がある場合は、その理由と具体的な活動イメージを伝えましょう。
「私は将来的に災害保健分野での専門性を高めたいと考えています。
災害大国である日本では、いつ起こるか分からない災害への備えと、発生時・発生後の健康支援が重要です。
私は東日本大震災の被災地でのボランティア経験があり、避難所での健康管理や被災者の心のケアの重要性を実感しました。
平時からの防災意識の啓発や要配慮者の把握と支援体制づくり、そして災害時の迅速かつ効果的な保健活動の展開に貢献したいと思います」
学びの姿勢を伝える
キャリアアップのための学びへの意欲も志望動機に盛り込むとよいでしょう。
専門職として常に学び続ける姿勢は、成長意欲の表れとして高く評価されます。
大学院進学の意向
より専門的・学術的な学びを深めるための大学院進学の意向があれば、それを志望動機に盛り込みましょう。
「保健師として経験を積みながら、将来的には公衆衛生学修士(MPH)の取得も視野に入れています。
大学院では疫学や統計学、保健政策などを学び、エビデンスに基づいた保健活動を展開できる力を身につけたいと考えています。
理論と実践を統合しながら、より効果的な保健活動を追求していきたいと思います」
専門資格の取得計画
保健師としてのキャリアに役立つ専門資格があれば、その取得計画を示すことも効果的です。
「保健師としての基礎を固めた後、特に関心のある母子保健分野での専門性を高めるため、IBCLC(国際認定ラクテーション・コンサルタント)の資格取得を目指しています。
科学的根拠に基づいた母乳育児支援を通じて、子どもの健やかな発達と母親の育児支援に貢献したいと考えています」
自己研鑽の方法
日々の業務の中での学びや、研修参加、文献学習など、自己研鑽の方法についても触れると良いでしょう。
「日々の業務から学ぶことを大切にしながら、積極的に研修や学会に参加し、最新の知見を得ることも重要だと考えています。
また、保健師の専門誌や関連文献の定期的な学習、他自治体との情報交換なども通じて、視野を広げていきたいと思います。
特に、地域住民の生の声を聴き、そのニーズから学ぶことを大切にし、常に住民目線での保健活動を心がけたいと考えています」
保健師志望動機の作成例

ここでは、新卒保健師志望者と臨床看護師からの転職の場合の志望動機の作成例を紹介します。
これらの例を参考に、あなた自身の経験や思いを反映した志望動機を作成しましょう。
【作成例A】新卒保健師志望者の場合
新卒保健師志望者の場合は、学生時代の実習経験や学びを中心に志望動機を構成します。
以下に新卒者向けの志望動機例を示します。
「私は、一人ひとりの健康問題に寄り添いながらも、地域全体の健康レベル向上に貢献できる保健師を志望しています。
この思いは、大学3年次の地域看護学実習で参加した健康教室がきっかけです。
そこでは、単に健康知識を伝えるだけでなく、参加者同士の交流を促進することで、地域のつながりも同時に強化されていました。
このように、個人の健康支援と地域づくりを統合的に進める保健師の役割に魅力を感じました。
また、高齢化が進む地域での実習では、高齢者の健康課題と社会的孤立の問題が密接に関連していることを学びました。
血圧や血糖値などの身体的指標だけでなく、人とのつながりや生きがいといった社会的・心理的要因も健康に大きく影響していることを実感しました。
この経験から、健康の社会的決定要因にアプローチする保健師の視点に共感し、特に社会的弱者への支援に関心を持つようになりました。
さらに、母子保健の実習では、子育て世代包括支援センターでの切れ目ない支援の重要性を学びました。
妊娠期から子育て期までの継続的な関わりが、母子の健康だけでなく、児童虐待予防にもつながることを知り、予防的視点の重要性を実感しました。
貴自治体が推進する「誰もが安心して暮らせるまちづくり」の理念に共感し、私のコミュニケーション能力と課題分析力を活かして、住民一人ひとりの健康と地域全体の健康増進に貢献したいと考えています。
まずは保健師としての基本的なスキルを身につけ、様々な分野の保健活動を経験しながら、将来的には地域のニーズを的確に捉え、エビデンスに基づいた保健活動を企画・実施できる保健師になることを目指しています。
そのために、現場での学びを大切にしながら、将来的には公衆衛生学の専門教育も受け、理論と実践を統合できる保健師を目指します」
【作成例B】臨床看護師からの転職の場合
臨床看護師からの転職の場合は、臨床での経験から感じた問題意識や、臨床で培ったスキルをどのように保健師の活動に活かせるかを中心に志望動機を構成します。
以下に臨床看護師からの転職者向けの志望動機例を示します。
「私は総合病院の内科病棟で5年間看護師として勤務する中で、生活習慣病の患者さんが再入院を繰り返す現状に問題意識を持ちました。
退院指導を行っても、その人の生活環境や地域の特性を考慮した支援ができていないことに限界を感じたのです。
特に、独居高齢者や経済的に困窮している方など、社会的な課題を抱えた患者さんが多く、医療だけでは解決できない問題が背景にあると実感しました。
この経験から、疾病の治療だけでなく、予防や地域全体の健康環境づくりに関わる保健師への転職を決意しました。
臨床で培った疾患管理の知識や患者教育のスキルは、保健師としての活動にも活かせると考えています。
特に、糖尿病患者への療養指導に力を入れてきた経験から、生活習慣病予防のための効果的な保健指導や健康教育に取り組みたいと思います。
また、患者さんの生活背景や価値観を理解し、その人に合った支援を考える姿勢は、地域住民への健康支援にも応用できるでしょう。
また、院内の多職種連携チームのメンバーとして活動した経験は、地域の様々な機関や職種と協働する保健師の役割にも活かせると考えています。
医師、薬剤師、栄養士、リハビリ職など様々な職種と連携する中で培ったコミュニケーション能力や調整力は、地域での連携にも役立つはずです。
貴自治体の特定健診受診率向上プロジェクトに興味を持っており、臨床での経験と知識を活かして、地域住民の健康意識向上と生活習慣病予防に貢献したいと考えています。
特に、健診未受診者へのアプローチや、健診後のフォローアップ体制の強化に関心があります。
将来的には、病院と地域をつなぐ役割も担える保健師として成長したいと思います。
医療機関での経験を活かし、地域と医療機関の連携を強化することで、切れ目のない支援体制づくりに貢献できると考えています。
そのために、保健師としての基礎を固めながら、地域包括ケアシステムや在宅医療・介護連携に関する知識も深めていきたいと思います」
保健師志望動機の評価事例
実際に採用試験や面接で高評価を得た志望動機と、改善が必要だった志望動機の特徴を分析し、効果的な志望動機作成のヒントにしましょう。
【評価事例J】採用担当者からの高評価を得た志望動機
A市の保健師採用試験で高評価を得た志望動機には、以下の特徴がありました。これらの特徴を参考に、あなたの志望動機を磨き上げましょう。
具体的な経験と学びが明確に示されていた
高評価を得た志望動機では、実習や職場での具体的なエピソードを交えながら、そこから何を学んだのかが明確に示されていました。
「〇〇という経験から、△△を学びました」というように、経験と学びが明確につながっていることが特徴です。
たとえば、「特定健診の実習では、健診結果を単に伝えるだけでなく、対象者の生活背景や価値観を理解した上で、その人に合った生活改善の提案をすることの重要性を学びました。
特に印象的だったのは、何度も保健指導を受けても行動変容が難しかった方が、趣味のグループ活動に参加することをきっかけに生活習慣を改善できたケースです。
この経験から、個別アプローチだけでなく、社会参加の機会づくりなど環境面からのアプローチも重要だと気づきました」というように、具体的な経験と学びが示されていました。
志望先自治体の特徴や課題との関連づけがあった
高評価を得た志望動機では、志望先自治体の特徴や課題に触れ、それに対してどのように貢献したいかが具体的に示されていました。
事前の調査に基づく理解と熱意が伝わる内容になっていることが特徴です。
たとえば、「貴自治体が推進する『健康長寿のまちづくり』プロジェクトに共感しています。
特に、高齢者の社会参加を促進しながら健康づくりを進めるという視点に関心を持ちました。
私自身、実習で高齢者サロンの活動に参加し、社会参加が高齢者の健康維持に大きく貢献していることを実感しました。
この経験を活かし、貴自治体の高齢者健康づくり事業に貢献したいと考えています」というように、自治体の特徴と自分の経験や関心が結びついていました。
保健師としての専門的視点が示されていた
高評価を得た志望動機では、保健師特有の視点や専門的な知識が示されていました。
予防的視点、ポピュレーションアプローチの重要性、健康の社会的決定要因への理解など、保健師としての専門的な視点が伝わる内容になっていることが特徴です。
たとえば、「看護師として臨床経験を積む中で、多くの健康問題が予防可能であるにもかかわらず、治療に重点が置かれている現状に疑問を感じました。
また、健康問題の背景には社会的・経済的要因が大きく影響していることも実感しました。
この経験から、より上流からの働きかけができる保健師として、健康の社会的決定要因にもアプローチした予防活動に取り組みたいと考えています」
というように、保健師特有の視点が示されていました。
将来のビジョンが明確だった
高評価を得た志望動機では、短期的・長期的な目標が具体的に示され、成長への意欲が感じられる内容になっていました。
単に「保健師になりたい」というだけでなく、どのような保健師を目指しているのか、そのために何をしたいのかが明確になっていることが特徴です。
たとえば、
「まずは保健師として基本的なスキルを身につけ、様々な分野の保健活動を経験したいと思います。
3〜5年後には母子保健分野での専門性を高め、特に発達支援や虐待予防に力を入れたいと考えています。
将来的には、エビデンスに基づいた効果的な保健活動を企画・実施できる保健師になるため、実践経験を積みながら大学院での学びも視野に入れています」
というように、具体的なキャリアビジョンが示されていました。
【評価事例K】改善が必要だった志望動機
一方、評価が低かった志望動機には以下の問題点がありました。これらの問題点を避け、より効果的な志望動機を作成しましょう。
抽象的な表現が多く、具体性に欠けていた
評価が低かった志望動機では、「人の役に立ちたい」「健康に貢献したい」などの抽象的な表現が多く、具体的な経験や学びのエピソードが不足していました。
このような抽象的な表現だけでは、あなたの本気度や適性が伝わりにくくなります。
たとえば、「私は人々の健康を支援する仕事がしたいと思い、保健師を志望しています。
健康は大切なものであり、多くの人が健康になれば社会も良くなると思います。
保健師として地域の健康づくりに貢献したいと考えています」というような抽象的な表現では、なぜ保健師なのか、あなたの経験や思いが伝わりません。
保健師特有の視点が示されていなかった
評価が低かった志望動機では、看護師と保健師の違いへの言及がなく、保健師特有の予防的視点や地域全体への視点が欠けていました。
保健師を志望する理由として、保健師ならではの役割や視点への共感を示すことが重要です。
たとえば、
「看護師の資格を活かしながら、より安定した環境で働きたいと思い、保健師を志望しています。
看護師として患者さんの健康を支援してきましたが、保健師としてもその経験を活かしたいと思います」
というような表現では、なぜ臨床看護ではなく保健師なのかが明確ではありません。
志望先との関連づけがなかった
評価が低かった志望動機では、どこの自治体でも通用する一般的な内容になっており、志望先の特徴や課題への言及がありませんでした。
志望先への理解と熱意を示すためには、その自治体や機関の特徴に触れることが重要です。
たとえば、
「保健師として地域の健康づくりに貢献したいと思い、貴自治体を志望しました。保健師の仕事に興味があり、様々な活動に取り組みたいと考えています」
というような表現では、なぜその自治体なのかが伝わりません。
キャリアビジョンが不明確だった
評価が低かった志望動機では、将来どのような保健師になりたいかが示されておらず、成長への意欲が感じられませんでした。
採用後のキャリア形成について具体的なビジョンを持っていることを示すことも重要です。
たとえば、
「保健師として様々な経験を積みながら成長していきたいと思います。多くのことを学び、良い保健師になれるよう頑張ります」と
いうような漠然とした表現では、具体的な目標や成長意欲が伝わりにくくなります。
看護師さんからのQ&A「おしえてカンゴさん!」

保健師の志望動機に関する疑問や悩みに、経験豊かな看護師「カンゴさん」が答えます。
よくある質問とその回答を参考に、あなたの志望動機をブラッシュアップしましょう。
Q1: 保健師の志望動機を形成する際に最も重要なポイントは何ですか?
カンゴさん:志望動機形成で最も重要なのは、「なぜ臨床ではなく保健師なのか」を明確にすることです。
保健師特有の「予防」「地域全体」「社会的要因へのアプローチ」という視点に、あなたがなぜ共感するのかを掘り下げましょう。
そのためには自己分析が欠かせません。ただ「地域に貢献したい」ではなく、その思いの背景にある経験や価値観を探ることが説得力のある志望動機につながります。
たとえば、「臨床で何度も再入院する患者さんを担当し、予防の重要性を実感した」「実習で地域の健康課題に取り組む中で、環境整備の重要性に気づいた」など、あなた自身の具体的な経験から志望理由を見出すことが大切です。
自分の言葉で語られた志望動機は、読み手の心に響きます。
Q2: 保健師の志望動機を効果的に表現するコツはありますか?
カンゴさん:効果的な表現のコツは、具体的なエピソードを交えることです。
「保健師に向いていると思う」という抽象的な表現より、「実習で関わった独居高齢者の支援を通じて、予防的アプローチの重要性を実感した」など具体的に伝えましょう。
また、PREP法やSTAR法などの構成技法を活用すると、論理的で説得力のある志望動機になります。
PREP法では「要点→理由→具体例→要点の再確認」という流れで、STAR法では「状況→課題→行動→結果」という流れで経験を構成します。
文章は簡潔に、要点を絞ることも大切です。長すぎる志望動機は読み手の負担になります。志望先の特徴を調査し、それとの関連づけを行うことも効果的です。
「貴自治体の〇〇事業に関心があり…」というように、志望先を選んだ理由を具体的に示すことで、熱意と理解度が伝わります。
Q3: 保健師の面接で志望動機を伝える際の注意点は?
カンゴさん:面接では、書類で書いた内容と一貫性を持たせつつ、より簡潔に要点を伝えることが大切です。2分程度で話せるよう準備しておきましょう。
まず保健師を志望する主な理由、次にそれを裏付ける具体的な経験、最後に志望先での貢献意欲という流れで構成すると分かりやすくなります。
また、言葉だけでなく熱意が伝わる態度や表情も重要です。
明るく前向きな表情で、適切なアイコンタクトを心がけ、クリアで自信のある声で話すことで、あなたの本気度が伝わります。
質問されそうな内容(「なぜ当自治体か」「保健師のどんな活動に興味があるか」など)にも備えておくと安心です。
面接直前に志望先の最新情報をチェックするのも忘れないでください。
Q4: 臨床経験のある看護師が保健師を志望する場合、どのようなアピールポイントがありますか?
カンゴさん:臨床経験は大きな強みになります。
具体的なアピールポイントとしては、①疾患や治療に関する知識を予防活動にどう活かせるか、②患者指導の経験をどう保健指導に応用できるか、③多職種連携の経験を地域での連携にどう活かせるか
などが挙げられます。
例えば、「糖尿病患者への療養指導の経験を生かし、より早期からの予防的支援に取り組みたい」「病棟内の多職種連携の経験を活かし、地域の様々な機関との連携を図りたい」
といった具体的なアピールが効果的です。
また、臨床で感じた限界(例:退院後のフォローができない)から、「予防」や「継続的な支援」を重視する保健師を志望するようになった経緯を伝えると説得力が増します。
臨床での課題意識から保健師を目指す道筋は、非常に共感を得やすいストーリーになります。
Q5: 保健師の志望動機でよくある失敗例は何ですか?
カンゴさん:よくある失敗例としては①抽象的で具体性に欠ける表現が多い、②保健師と看護師の違いへの言及がない、③志望先の特徴や課題との関連づけがない、④将来のビジョンが不明確、⑤一般的で個性がないなどが挙げられます。
「人の役に立ちたい」「健康に貢献したい」といった抽象的な表現だけでは説得力に欠けます。
また、「看護師として働いてきたので、その経験を活かしたい」だけでは、なぜ保健師なのかが伝わりません。
「安定した職場だから」「勤務条件が良いから」といった実務的な理由だけを強調するのも避けた方が良いでしょう。
志望動機は、あなたの熱意と適性を伝える機会です。表面的な理由ではなく、内面からの思いを掘り下げて伝えましょう。
Q6: 保健師志望動機でキャリアプランはどこまで具体的に書くべきですか?
カンゴさん:キャリアプランは、短期的(1〜3年)、中期的(3〜5年)、長期的(5年以上)な目標を示すと良いでしょう。
ただし、あまりに詳細すぎる計画は現実的でないと思われる可能性があります。
「まずは基本的な保健師スキルを習得し、3年後には特定分野(例:母子保健)での専門性を高め、将来的には政策立案にも関われる保健師になりたい」程度の具体性が適切です。
また、「そのために専門的な研修や大学院進学も検討している」など、自己研鑽の姿勢も伝えると良いでしょう。
キャリアプランを示す際は、単に自分の希望を述べるだけでなく、それが志望先の組織にどう貢献するかという視点も含めると、より説得力が増します。
目標があることで、採用後も意欲的に取り組める人材だという印象を与えることができます。
Q7: 特定の自治体や機関を志望する理由はどのように伝えるべきですか?
カンゴさん:特定の志望先を選んだ理由は、事前リサーチに基づいて具体的に伝えましょう。
「貴自治体が推進するX事業に関心がある」「Y市の健康課題Zに対して、私の経験を活かせると考えている」など、志望先の特徴的な取り組みや課題と自分の強みや関心を結びつけることが重要です。
単に「通勤に便利」「有名だから」といった理由よりも、その自治体や機関の保健活動に対する理解と共感を示すことで、採用担当者に「うちで働きたい理由」が伝わります。
また、その地域に特別な思い入れがある場合(出身地である、実習でお世話になった、など)もアピールポイントになりますが、それだけでなく専門職としての視点も必ず加えましょう。
志望先のホームページや公開資料をチェックし、最新の情報を盛り込むことも効果的です。
まとめ:効果的な保健師志望動機の作成に向けて
保健師の志望動機作成では、「なぜ臨床ではなく保健師なのか」という本質的な理由を具体的なエピソードと共に伝えることが重要です。
自己分析で志望理由を掘り下げ、志望先の特徴と自分の強みを結びつけ、将来のビジョンを示しましょう。
PREP法やSTAR法を活用し、書類と面接で一貫性のある表現を心がけることで、あなたの熱意と適性が伝わる志望動機になります。
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