リハビリテーション部門での見学実習は、看護学生にとって多職種連携とチーム医療を学ぶ貴重な機会となります。
この記事では、リハビリ見学の具体的な目的から効果的な学習方法、観察のポイントまで、実践的なアドバイスと共に解説します。
先輩看護学生の経験談も交えながら、充実した見学実習を実現するためのガイドをお届けします。
この記事で分かること
- リハビリテーション見学実習の具体的な目的とその意義について
- 疾患別の重要な観察ポイントと記録の方法
- 多職種連携における看護師の役割と連携の実際
- 見学実習で得た学びを実践に活かすための具体的な方法
- 先輩看護学生の成功事例と課題克服のポイント
この記事を読んでほしい人
- リハビリ見学実習を控えている看護学生の方
- 多職種連携について深く理解したい看護学生の方
- 効果的な観察・記録の方法を習得したい方
- リハビリテーション分野での看護の視点を学びたい方
- 実習での学びを最大限に高めたい方
リハビリテーション医療の現状とトレンド

医療の高度化と高齢化社会の進展に伴い、リハビリテーション医療の重要性は年々高まっています。2025年の現在、早期離床や在宅復帰支援の観点から、看護師の役割はますます重要となっています。
ここでは、最新のデータや動向を踏まえながら、これからの看護に求められる視点について解説します。
医療制度の変化とリハビリテーション
地域包括ケアシステムにおける位置づけ
超高齢社会において、リハビリテーション医療は入院医療から在宅医療まで、切れ目のないケアを提供する重要な役割を担っています。
2024年の診療報酬改定では、地域連携とリハビリテーションの充実が重点項目として挙げられ、看護師の専門性がより一層求められる状況となっています。
回復期リハビリテーション病棟の現状
全国の回復期リハビリテーション病棟数は年々増加傾向にあり、より質の高いリハビリテーション医療の提供が求められています。
看護学生の段階から、チーム医療の中での看護の役割を理解することが重要となっています。
看護学生に求められる観察力
専門職種間の連携における視点
リハビリテーション医療では、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など、多くの専門職が協働してケアを行います。
それぞれの職種の専門性を理解し、効果的な情報共有を行うための観察力が必要とされています。
日常生活動作の評価能力
患者さんの生活機能の改善を支援するため、基本的な日常生活動作(ADL)の評価と支援方法について、実践的な知識と観察力が求められています。
特に、リハビリテーション場面での患者さんの反応や変化を的確に捉える力が重要です。
最新の治療アプローチ
テクノロジーの活用
ロボットスーツやVR(バーチャルリアリティ)を活用したリハビリテーションなど、最新技術を取り入れた治療が普及しています。
これらの新しい治療法についても、基本的な知識を持っておくことが望ましいとされています。
エビデンスに基づく実践
科学的根拠に基づいたリハビリテーション医療の重要性が高まっており、看護師も最新のエビデンスを理解し、実践に活かすことが求められています。
定期的な研究成果の確認と、実践への応用が推奨されています。
統計からみる重要性
疾患別リハビリテーションの動向
脳血管疾患、運動器疾患、呼吸器疾患など、主要な疾患別リハビリテーションの実施件数は増加傾向にあります。
特に高齢者における廃用症候群の予防と改善に向けた取り組みが注目されています。
在宅リハビリテーションの拡大
地域包括ケアシステムの推進に伴い、在宅でのリハビリテーション需要が拡大しています。
訪問看護師との連携や、在宅での生活を見据えた観察視点の習得が重要となっています。
このように、リハビリテーション医療を取り巻く環境は大きく変化しており、看護学生の段階から幅広い視点での学びが求められています。見学実習では、これらの現状を踏まえた上で、積極的な観察と学習を心がけることが大切です。
リハビリテーション部門の基礎知識

リハビリテーション部門は、様々な専門職が協働してチーム医療を実践する場です。
それぞれの職種の専門性と役割を理解することは、効果的な連携を行う上で不可欠です。
ここでは、主要な専門職の役割と特徴について詳しく解説します。
理学療法士(PT)の役割と専門性
基本的な役割
理学療法士は、基本動作能力の回復と向上を専門とする医療専門職です。
起居動作、座位保持、立位、歩行など、基本的な動作の改善を通じて、患者さんの自立支援を行います。
主な治療アプローチ
運動療法、物理療法、運動力学的アプローチなど、科学的根拠に基づいた様々な治療手法を用います。
患者さんの状態や目標に応じて、最適な治療プログラムを立案・実施します。
評価と目標設定
関節可動域、筋力、バランス機能など、身体機能の詳細な評価を行い、具体的な数値目標を設定します。
定期的な再評価を通じて、治療効果を確認し、プログラムの調整を行います。
作業療法士(OT)の特徴と対象
日常生活活動への支援
作業療法士は、日常生活活動(ADL)の改善と社会生活への復帰支援を専門とします。
食事、更衣、整容など、具体的な生活場面での動作改善を目指します。
認知機能へのアプローチ
高次脳機能障害や認知症などに対する評価と訓練も重要な役割です。
記憶力、注意力、遂行機能などの改善を通じて、生活の質の向上を支援します。
福祉用具の選定と住環境整備
患者さんの生活環境を評価し、必要な福祉用具の選定や住環境の改善提案を行います。実際の生活場面を想定した具体的な支援が特徴です。
言語聴覚士(ST)の支援内容
コミュニケーション障害への対応
失語症や構音障害など、言語によるコミュニケーションの問題に対する評価と訓練を行います。
社会生活に必要なコミュニケーション能力の回復を支援します。
嚥下機能への介入
摂食・嚥下障害に対する評価と訓練も重要な役割です。安全な経口摂取の実現に向けて、多職種と協力しながら支援を行います。
発達支援における役割
小児の言語発達支援や、学習障害への対応なども行います。成長段階に応じた適切な支援を提供します。
その他の専門職の役割
医師の役割
リハビリテーション科医師は、チーム全体の治療方針を決定し、リスク管理を行います。定期的な評価と目標設定の見直しを主導します。
社会福祉士の支援
退院後の生活環境の調整や、社会資源の活用について専門的な助言を行います。患者さんと家族の生活支援を総合的に行います。
管理栄養士の関与
栄養状態の評価と改善は、リハビリテーションの効果を高める重要な要素です。個々の患者さんに適した栄養管理を行います。
臨床心理士の貢献
心理的サポートやモチベーション維持の支援を行います。リハビリテーションの継続に必要な精神的支援を提供します。
このように、リハビリテーション部門では多くの専門職が協働してケアを提供しています。
看護師は、これらの専門職との密接な連携を図りながら、24時間の生活支援を担う重要な役割を果たしています。
実践的な見学テクニック

リハビリテーション見学では、限られた時間で効果的に学びを得ることが重要です。
ここでは、時間帯や場面ごとの具体的な観察ポイントと、効果的なコミュニケーション方法、記録の取り方について詳しく解説します。
時間帯別の重要観察ポイント
朝のカンファレンス時
朝のカンファレンスでは、患者さんの状態変化や目標設定、プログラムの調整などが話し合われます。
特に看護師からの夜間の様子や、バイタルサインの報告に注目しましょう。
また、各職種がどのような視点で情報を共有しているかを観察することで、チーム医療の実際を学ぶことができます。
午前中のリハビリテーション
午前中は多くの患者さんが集中的にリハビリテーションを行う時間帯です。
この時間帯では、患者さんの体調管理や、運動負荷に対する反応を重点的に観察します。
特にバイタルサインの変化や疲労度の評価方法について、セラピストの判断基準を学びましょう。
昼食時の関わり
摂食・嚥下訓練や、食事動作の自立支援が行われる重要な場面です。
姿勢の調整や、食事環境の設定、誤嚥予防の具体的な取り組みについて、詳しく観察を行います。
午後のプログラム
疲労度を考慮したプログラム調整や、生活動作訓練が中心となります。
日常生活に即した具体的な動作練習や、福祉用具の使用方法について学びましょう。
場面別の着目ポイント
個別訓練場面での観察
セラピストが実施する評価や訓練の具体的な手技に注目します。
特に、安全確保の方法や、患者さんの反応に応じたプログラムの調整について、詳しく観察を行います。
集団訓練への参加
集団訓練では、患者さん同士の交流や、モチベーション維持の工夫について学ぶことができます。
リハビリテーションスタッフの環境設定や、声かけのタイミングにも注目しましょう。
病棟での生活場面
訓練で習得した動作が、実際の生活場面でどのように活かされているかを観察します。
看護師の関わり方や、環境調整の具体的な方法について学びましょう。
効果的なコミュニケーション方法
セラピストとの関係構築
積極的に質問や相談を行い、専門的な知識や技術について学ぶ姿勢を示します。
ただし、治療の妨げにならないよう、適切なタイミングを選ぶことが重要です。
患者さんへの配慮
見学時は常に患者さんの心理面に配慮し、プライバシーの保護を意識します。
観察や質問を行う際は、患者さんの同意を得ることを忘れないようにしましょう。
多職種との情報共有
カンファレンスや申し送りの場面では、看護の視点で気づいた点を積極的に発言します。
他職種からのフィードバックを得ることで、より深い学びにつながります。
具体的な記録方法
観察記録のポイント
時系列に沿って、具体的な事実と自己の気づきを区別して記録します。
特に、看護に活かせる視点や、多職種連携のポイントについて、詳しく記載するようにしましょう。
効果的な質問記録
疑問点や気づきを整理し、後で質問できるよう記録しておきます。セラピストの説明や回答も、具体的に記録に残すことが重要です。
振り返りシートの活用
日々の学びを整理し、自己の課題や今後の目標を明確にします。特に、看護実践に活かせるポイントについて、具体的に記録を残しましょう。
このように、計画的な観察と記録を行うことで、リハビリテーション見学での学びを最大限に高めることができます。
次のセクションでは、疾患別の具体的な観察ポイントについて解説します。
疾患別の観察ポイント

リハビリテーションでは、疾患の特性に応じて異なるアプローチが行われます。
ここでは主要な疾患カテゴリー別に、看護学生として特に注目すべき観察ポイントと、セラピストの関わり方について詳しく解説します。
運動器疾患のリハビリテーション
変形性関節症への対応
関節の可動域制限や疼痛の程度を評価し、日常生活動作への影響を観察します。
特に、荷重時の痛みや、代償動作の有無について注目しましょう。
また、症状の増悪因子と軽減因子を理解することで、効果的な看護支援につなげることができます。
骨折後のアプローチ
骨折部位や固定方法に応じた運動制限を理解し、安全な離床支援の方法を学びます。
特に、荷重制限がある場合の移動方法や、日常生活動作の工夫について、セラピストの指導内容を詳しく観察しましょう。
腰痛症への介入
姿勢の評価や、動作時の痛みの出現パターンを観察します。生活様式の改善や、腰痛予防のための具体的な指導方法について学びましょう。
脳血管疾患のリハビリテーション
片麻痺への対応方法
麻痺の程度や回復段階に応じたアプローチ方法を学びます。
特に、姿勢反射や筋緊張の状態、バランス機能の評価について、セラピストの評価視点を理解しましょう。
高次脳機能障害の評価
注意障害や失認、失行などの症状に対する評価と対応方法を観察します。
患者さんの認知機能に合わせた声かけや環境設定の工夫について学びましょう。
コミュニケーション障害への支援
失語症や構音障害に対する言語聴覚士の関わり方を観察します。
特に、コミュニケーション手段の確立と、家族指導の方法について注目しましょう。
呼吸器疾患のリハビリテーション
呼吸機能の評価方法
呼吸パターンや呼吸補助筋の使用状況、酸素化の状態を評価します。運動負荷に対する呼吸・循環反応の観察方法について学びましょう。
呼吸介助技術の実際
呼吸リハビリテーションの具体的な手技と、その効果判定方法を観察します。特に、排痰援助や呼吸介助の技術について、詳しく学びましょう。
運動耐容能の評価
運動時の呼吸困難感や疲労度の評価方法を学びます。また、日常生活動作時の息切れ予防の指導方法について観察しましょう。
循環器疾患のリハビリテーション
心機能の評価と運動負荷
心拍数や血圧、自覚症状の変化を観察し、運動強度の設定方法を学びます。特に、リスク管理と中止基準の判断について、詳しく観察しましょう。
段階的な活動拡大
心機能の回復に応じた活動範囲の拡大方法を学びます。日常生活動作の自立に向けた具体的なプログラムについて観察しましょう。
再発予防の指導
生活習慣の改善や、自己管理方法の指導内容を観察します。特に、運動療法の自己管理方法について学びましょう。
小児疾患のリハビリテーション
発達段階の評価
運動発達や認知発達の評価方法を学びます。年齢に応じた発達課題と、支援方法について観察しましょう。
遊びを通じたアプローチ
発達を促す遊びの選択と、環境設定の工夫について学びます。特に、モチベーション維持の方法について注目しましょう。
家族支援の実際
家族への指導内容と、家庭での訓練方法について観察します。特に、育児支援の視点を含めた関わり方について学びましょう。
高齢者のリハビリテーション
フレイル予防の視点
身体機能、認知機能、社会参加の状況を総合的に評価します。特に、予防的な関わりの重要性について理解を深めましょう。
生活機能の維持・向上
基本的ADLと手段的ADLの評価方法を学びます。特に、残存機能を活かした生活支援の方法について観察しましょう。
転倒予防への取り組み
バランス機能の評価と、環境調整の具体的な方法について学びます。特に、リスクアセスメントの視点について注目しましょう。
このように、疾患の特性を理解した上で、適切な観察と評価を行うことが重要です。
次のセクションでは、多職種連携の実際について解説します。
多職種連携の実際

リハビリテーション医療における多職種連携は、患者さんの生活機能の向上と、質の高いケアの提供に不可欠です。
ここでは、実際の連携場面での情報共有方法や、効果的なチームアプローチについて解説します。
カンファレンスでの情報共有
定期カンファレンスの進め方
週に1回程度開催される定期カンファレンスでは、患者さんの目標設定や進捗確認が行われます。
医師による治療方針の確認後、各職種が専門的な視点から評価と提案を行います。
看護師は日常生活場面での様子や、夜間の状態変化など、24時間の観察情報を提供する重要な役割を担います。
リハビリカンファレンスの特徴
リハビリテーション専門職と看護師による詳細な情報共有の場です。
訓練内容の確認や、病棟での実施状況、介助方法の統一などについて話し合われます。
特に、移乗動作や姿勢保持など、具体的な介助技術の確認が重要となります。
ケースカンファレンスの運営
退院支援や治療方針の変更時には、多職種が一堂に会して検討を行います。
家族の意向確認や、社会資源の活用について、具体的な支援計画を立案します。看護師は生活者としての視点から、実現可能な支援方法を提案します。
日常的な情報共有の方法
申し送りの重要性
看護師間の申し送りでは、リハビリテーションに関する情報も重要な項目となります。
特に、活動制限や注意事項、新しく獲得した動作などについて、確実な引き継ぎが必要です。
電子カルテの活用
多職種間での情報共有ツールとして、電子カルテが活用されています。
リハビリテーション実施記録や評価結果を確認し、日々の看護ケアに反映させることが重要です。
病棟でのコミュニケーション
日常的な声かけや短時間のミーティングを通じて、タイムリーな情報共有を行います。
特に、患者さんの状態変化や、新しい介助方法の導入時には、直接的なコミュニケーションが重要となります。
看護計画への反映方法
アセスメントの視点
多職種からの情報を統合し、包括的なアセスメントを行います。特に、ADLの自立度や介助方法、リスク管理について、具体的な計画立案が必要です。
目標設定のアプローチ
患者さんの希望と、専門職の評価を統合した現実的な目標設定を行います。短期目標と長期目標を明確にし、段階的な支援計画を立案します。
評価と計画の修正
定期的な評価を行い、必要に応じて計画の修正を行います。
特に、ADLの向上や、新しい課題の出現時には、多職種の意見を反映した計画の見直しが重要です。
連携における注意点
専門用語の理解
各職種で使用される専門用語や評価指標について、基本的な理解が必要です。
特に、よく使用される用語や略語については、積極的に確認と学習を行います。
役割分担の明確化
各職種の専門性と役割を理解し、効果的な協働を行います。特に、重複する業務については、責任の所在を明確にすることが重要です。
プライバシーへの配慮
患者さんの個人情報を扱う際は、適切な管理と共有方法を心がけます。特に、申し送りやカンファレンスでは、場所や声の大きさにも配慮が必要です。
このように、多職種連携を効果的に行うためには、それぞれの専門性を理解し、適切な情報共有と協働を心がけることが重要です。
次のセクションでは、見学実習でよくある課題と対策について解説します。
見学実習でよくある課題と対策

リハビリテーション見学実習では、様々な課題に直面することがあります。
ここでは、多くの看護学生が経験する代表的な課題と、その具体的な対策方法について解説します。実習を充実したものにするために、これらの対策を参考にしてください。
時間管理の課題
スケジュール調整の難しさ
複数の患者さんのリハビリテーションを効率的に見学するため、時間配分が重要です。
事前に各患者さんの訓練スケジュールを確認し、優先順位をつけた見学計画を立てましょう。
また、カンファレンスや申し送りの時間も考慮に入れて、無理のないスケジュールを組むことが大切です。
記録時間の確保
見学と記録の両立に苦労する学生は多いものです。その日のうちに記録を完成させるため、短時間の休憩時間も活用して、メモを整理する習慣をつけましょう。
キーワードを中心にメモを取り、後で詳細を補完する方法も効果的です。
質問時間の設定
セラピストの業務を妨げないよう、適切な質問のタイミングを見極めることが重要です。
訓練の合間や、まとめの時間を活用して質問できるよう、疑問点を整理しておきましょう。
優先順位の考え方
見学対象の選定
限られた実習期間で効果的に学ぶため、見学する症例の優先順位づけが必要です。
特に、看護に直結する場面や、多職種連携が活発な症例を重点的に見学することで、学びを深めることができます。
観察項目の整理
全ての項目を詳細に観察することは困難です。その日の学習目標に沿って、重点的に観察する項目を事前に決めておくことが効果的です。
特に、看護実践に活かせる視点を優先的に観察しましょう。
学習課題の明確化
日々の実習目標を具体的に設定し、それに沿った学習を進めることが重要です。
特に、前日の振り返りを通じて、翌日の課題を明確にしておくことで、効率的な学習が可能となります。
効果的な質問方法
質問内容の準備
単なる疑問の表明ではなく、自己の考えや推論を含めた質問を心がけましょう。
「なぜそのような介入を選択したのか」「どのような根拠に基づいているのか」など、思考を深める質問を準備します。
タイミングの選択
患者さんの治療の妨げにならないよう、適切なタイミングで質問することが重要です。
特に、個別性の高い内容については、患者さんの前での質問を避け、別の機会を設けることも検討しましょう。
フィードバックの活用
質問への回答を単に聞くだけでなく、その内容を自己の学習に活かす視点を持ちましょう。
特に、看護実践との関連性を意識した質問と振り返りを心がけます。
記録の時間確保
効率的なメモの取り方
キーワードやポイントを中心に、簡潔なメモを取る習慣をつけましょう。
特に、時系列や場面ごとに整理しながらメモを取ることで、後の記録作成が容易になります。
記録テンプレートの活用
事前に記録の枠組みを準備しておくことで、効率的な記録作成が可能となります。
観察項目や気づきの欄を設けておき、見学中に簡単に記入できるよう工夫しましょう。
振り返りの時間確保
その日の学びを整理し、記録に反映させる時間を確保することが重要です。
特に、印象に残った場面や、看護に活かせる視点について、具体的に記録することを心がけましょう。
このように、見学実習での課題に対しては、計画的なアプローチと効率的な学習方法が重要です。次のセクションでは、具体的なケーススタディを通じて、実践的な学びを深めていきます。
ケーススタディ

実際の見学実習での学びをより具体的に理解するため、ここでは4つの代表的なケースを紹介します。
それぞれの事例から、効果的な見学の方法と、看護実践への活用について考えていきましょう。
脳梗塞患者の回復期リハビリテーション
患者プロフィール
Aさん(65歳、男性)は右片麻痺と軽度の失語症を呈する脳梗塞患者です。
発症から3週間が経過し、積極的なリハビリテーションを実施しています。妻と二人暮らしで、自宅退院を目指しています。
見学での学び
理学療法では歩行訓練、作業療法では日常生活動作訓練、言語聴覚療法では構音訓練を見学しました。
特に注目したのは、各職種が共通の目標に向かって異なるアプローチを行う様子でした。
セラピストたちは常に患者さんの疲労度に配慮しながら、段階的な難度の調整を行っていました。
看護への活用
病棟での生活場面で訓練内容を実践する際の注意点や、効果的な声かけの方法について学ぶことができました。
特に、麻痺側上肢の管理や、転倒予防の具体的な方法は、直接看護ケアに活かすことができます。
人工膝関節全置換術後のリハビリテーション
患者プロフィール
Bさん(70歳、女性)は両側変形性膝関節症に対して、右膝の人工関節置換術を施行されました。
術後1週間が経過し、積極的な離床とADL拡大を目指しています。
見学での学び
術後の段階的な荷重訓練と、関節可動域訓練の実際を見学しました。
特に印象的だったのは、痛みのコントロールと運動負荷の調整方法です。セラピストは常に患者さんの表情や反応を観察しながら、適切な運動強度を設定していました。
看護への活用
疼痛管理と運動療法の関係性、創部の観察方法、そして術後合併症予防のための具体的な介入方法について学ぶことができました。
これらの知識は、術後患者の看護ケアに直接活用できます。
慢性閉塞性肺疾患患者の呼吸リハビリテーション
患者プロフィール
Cさん(72歳、男性)は重度の慢性閉塞性肺疾患により、日常生活動作時の呼吸困難を認めています。
在宅酸素療法を導入しながら、外来リハビリテーションを継続しています。
見学での学び
呼吸法の指導や、運動耐容能の評価方法について見学しました。
特に、日常生活動作時の息切れ予防のための具体的な指導方法や、セルフモニタリングの方法について、詳しく学ぶことができました。
看護への活用
呼吸困難時の対応方法や、効果的な呼吸介助の技術、そして在宅での自己管理指導について、実践的な知識を得ることができました。
これらは呼吸器疾患患者の看護ケアに直接応用できます。
小児発達障害のリハビリテーション
患者プロフィール
Dちゃん(4歳、女児)は発達障害により、粗大運動の発達遅延と言語発達の遅れを認めています。
保育園に通園しながら、定期的にリハビリテーションを受けています。
見学での学び
遊びを通じた発達支援の方法や、保護者への指導方法について見学しました。
特に印象的だったのは、子どもの興味や発達段階に合わせた介入方法の工夫です。また、家族支援の重要性についても深く学ぶことができました。
看護への活用
発達段階に応じた関わり方や、家族を含めた包括的な支援の方法について、具体的な知識を得ることができました。これらは小児看護の実践に直接活用できます。
このように、様々なケースを通じて、リハビリテーション見学での学びを深めることができます。
次のセクションでは、実践的なワークシートの活用方法について解説します。
実践的なワークシート活用法

効果的な見学実習のために、適切なワークシートの活用は欠かせません。
ここでは4種類の基本的なワークシートの具体的な使用方法と、それぞれの活用のポイントについて解説します。
見学前チェックリストの活用法
基礎知識の確認項目
見学前には解剖生理や疾患の基礎知識を確認します。特に担当患者の疾患に関連する項目を中心に、事前学習の内容を整理します。
教科書やテキストで確認した内容を簡潔にまとめ、実習時に随時参照できるようにしておきましょう。
必要物品の準備
実習に必要な物品や資料を漏れなく準備するため、持ち物リストを活用します。
筆記用具、メモ帳、テキスト類に加え、実習施設から指定された物品についても確認します。
実習初日に慌てることのないよう、前日までに準備を完了させることが重要です。
目標設定の記入
その日の具体的な学習目標を記入します。
漠然とした目標ではなく、「呼吸リハビリテーションにおける呼吸介助の方法を3つ以上理解する」といった、具体的な行動目標として設定することが効果的です。
日々の観察記録テンプレート
時系列記録の方法
見学時の観察内容を時系列で記録します。時間、場所、実施内容、観察した内容、気づきの欄を設け、簡潔に記入できる形式にします。
特に重要な場面では、セラピストの具体的な関わり方や患者さんの反応について、詳細に記録します。
専門用語の整理
見学中に聞いた専門用語や略語については、その場で意味を確認し、用語集として整理します。
繰り返し使用される用語については、特に重点的に学習することが重要です。
質問事項の記録
疑問に思った点や確認したい内容について、随時メモを取ります。
質問の機会を逃さないよう、具体的な場面と合わせて記録しておくことが大切です。
振り返りシートの構成
学びのポイント整理
その日の主な学びについて、「知識」「技術」「態度」の3つの側面から整理します。
特に印象に残った場面や、看護実践に活かせる内容について、具体的に記録します。
課題の明確化
学びを通じて気づいた自己の課題について記録します。
次の実習日までに調べる必要のある事項や、さらに深く学びたい内容を具体的に書き出します。
目標達成度の評価
その日の目標に対する達成度を自己評価します。達成できなかった項目については、その理由を分析し、次の実習に向けた改善策を考えます。
学びの整理シート
カテゴリー別の整理
見学を通じて得られた学びを、「リハビリテーションの基本」「多職種連携」「看護ケアへの応用」などのカテゴリーに分けて整理します。
関連する内容をグループ化することで、体系的な理解を深めることができます。
実践への応用計画
学んだ内容を実際の看護実践にどのように活かすことができるか、具体的な場面を想定して記録します。
特に、病棟での日常生活支援や患者指導への応用方法について、詳しく検討します。
文献との照合
見学で得られた知識と、教科書や文献の内容を照らし合わせて整理します。
エビデンスに基づいた実践について理解を深め、より確実な知識として定着させることが重要です。
このように、適切なワークシートを活用することで、見学実習での学びをより効果的に深めることができます。次のセクションでは、よくある質問とその回答について解説します。
おしえてカンゴさん!よくある質問

リハビリテーション見学実習に関して、看護学生からよく寄せられる質問について、経験豊富な看護師の立場からお答えします。
実習に向けた不安や疑問の解消にお役立てください。
実習準備に関する質問
Q1:見学実習前に必要な準備は何ですか
事前学習として、担当患者さんの疾患や治療についての基礎知識を復習しておくことが大切です。
特に解剖生理やリハビリテーションの基本用語について確認しておきましょう。
また、実習施設の規則や注意事項も事前に確認することをお勧めします。
Q2:効果的な事前学習の方法を教えてください
まずは教科書で基本的な知識を整理し、わからない用語があれば医学辞典で調べておきましょう。
特に担当する可能性のある疾患について、リハビリテーションの目的や方法を理解しておくことが重要です。
基礎看護技術の復習も忘れずに行ってください。
Q3:持参物品で特に必要なものはありますか
筆記用具、メモ帳、テキストの他に、ポケットサイズの医学辞典があると便利です。
また、動きやすい服装と、シューズの準備も重要です。施設から指定された物品がある場合は、忘れずに準備しましょう。
実習中の学習方法
Q4:観察のポイントをどう絞ればよいですか
その日の実習目標に沿って、重点的に観察する項目を決めておくことをお勧めします。
特に看護に直結する場面、例えば移乗動作の介助方法や、日常生活動作の訓練場面などは、詳しく観察するようにしましょう。
Q5:質問するタイミングが分かりません
基本的には、患者さんの治療の妨げにならないよう、セラピストの方と事前に確認しておくことが望ましいです。
訓練の合間や、まとめの時間を活用して質問できるよう、疑問点はメモしておきましょう。
記録と課題
Q6:効率的な記録の取り方を教えてください
キーワードを中心に簡潔なメモを取り、その日のうちに詳細な記録に起こすことをお勧めします。
特に印象に残った場面や、看護に活用できそうな内容は、具体的に記録するようにしましょう。
Q7:学びを深めるためのコツはありますか
単なる見学に終わらせず、「なぜそのような介入を行うのか」「看護としてどのように活かせるか」という視点を持って観察することが重要です。
また、多職種の方々との積極的なコミュニケーションも、学びを深める良い機会となります。
多職種連携
Q8:セラピストとの関わり方で気をつけることは
まずは挨拶と自己紹介をしっかりと行い、見学の目的を伝えることが大切です。
質問や確認事項がある場合は、タイミングを見計らって丁寧に伝えましょう。
また、患者さんの前での専門的な質問は避けるなどの配慮も必要です。
今後のキャリア
Q9:この実習は将来どう活かせますか
リハビリテーション見学で学ぶ観察力や連携の視点は、あらゆる看護場面で活用できます。
特に、患者さんの生活機能の評価や、ADL向上に向けた支援方法について、実践的な知識を得ることができます。
このように、見学実習での疑問や不安は、適切な準備と心構えで解決することができます。次のセクションでは、これまでの内容をまとめていきます。
まとめ:充実した見学実習に向けて
リハビリテーション見学実習は、多職種連携の実際を学び、患者さんの生活機能の向上を支援するための貴重な学習機会です。
効果的な見学のためには、明確な目的意識を持ち、計画的な準備と観察を行うことが重要です。特に、各職種の専門性を理解しながら、看護の視点でどのように活かせるかを考察することで、より深い学びが得られます。
また、観察内容を丁寧に記録し、振り返りを行うことで、将来の看護実践に活かせる具体的な知識と技術を習得することができます。実習を通じて得られた学びを、今後の看護キャリアの基盤として大切に育んでいってください。
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