看護専門学校への進学を考えるとき、最も大きな関心事となるのが学費や生活費の問題です。
3年間の総費用は300万円から500万円以上にのぼることもあり、しっかりとした資金計画が欠かせません。
しかし、近年は給付型奨学金や高等教育の修学支援新制度など、様々な支援制度が充実してきています。
これらの制度を上手に活用することで、経済的な負担を大きく軽減することができます。
この記事では、2025年度の最新情報をもとに、看護専門学校にかかる費用の詳細な内訳から、利用可能な支援制度の申請方法、そして先輩看護師たちの実際の費用計画まで、包括的に解説していきます。
これから看護師を目指す皆様の不安を少しでも解消し、充実した学生生活を送るための参考としていただければ幸いです。
この記事でわかること
- 看護専門学校の入学から卒業までにかかる総費用と詳細な内訳
- 高等教育修学支援新制度や日本学生支援機構などの奨学金制度の活用方法
- 先輩看護師による実践的な費用管理と返済計画の立て方
- 看護学生の生活費シミュレーションと節約のポイント
この記事を読んでほしい人
- 看護専門学校への進学を検討している学生や社会人
- 学費や生活費の準備に不安を感じている方
- 奨学金や支援制度を最大限活用したい方
- 効率的な返済計画を立てたい方
看護専門学校にかかる総費用の内訳

看護専門学校への進学を考える際、最も気になるのが費用の問題です。
ここでは、入学から卒業までにかかる費用を細かく分析し、実際の金額や支払い時期について詳しく解説していきます。
地域や学校によって費用は異なりますが、具体的な数字を示しながら、必要な準備について説明していきましょう。
入学前の必要経費
入学が決まってから実際に授業が始まるまでの間に、いくつかの重要な支払いが発生します。これらの費用は入学手続きに必要不可欠なものばかりですので、しっかりと準備しておく必要があります。
入学金の詳細
入学金は看護専門学校に入学する際の基本的な費用です。公立と私立で大きく金額が異なり、公立の場合は15万円から20万円程度、私立の場合は25万円から30万円程度が一般的です。
一度限りの支払いとなりますが、返金されない費用であるため、慎重に学校選びを行う必要があります。
入学検定料について
入学検定料は受験時に必要となる費用です。一般的に1万円から3万円程度で、学校によって金額は異なります。複数の学校を受験する場合は、この費用も累積していくため、受験計画を立てる際に考慮する必要があります。
制服・実習着の準備
看護専門学校では、専用の制服や実習着が必要となります。制服一式で3万円から5万円、実習着一式で2万円から3万円程度の費用がかかります。サイズ交換や追加購入の可能性も考慮に入れておくと安心です。
年間の学費構成
看護専門学校の年間学費は、主に授業料、実習費、施設設備費などで構成されています。これらの費用は毎年必要となるため、長期的な視点での計画が重要です。
授業料の内訳と支払い方法
授業料は年間50万円から70万円程度で、学校によって大きく異なります。多くの学校では前期と後期の分割払いに対応していますが、一括払いの場合に割引が適用される学校もあります。公立と私立では20万円程度の差があることが一般的です。
活用できる支援制度と奨学金

看護専門学校での学びをサポートする様々な支援制度や奨学金が用意されています。
ここでは、国や地方自治体、医療機関が提供する支援制度について、申請方法や審査のポイントまで詳しく解説していきます。
国の支援制度
国が提供する支援制度は、多くの学生が活用できる基本的な制度です。特に2020年から始まった高等教育の修学支援新制度は、多くの看護学生の経済的負担を軽減しています。
高等教育の修学支援新制度の詳細
この制度は授業料等の減免と給付型奨学金の支給を組み合わせた支援です。世帯収入に応じて支援額が決定され、年収380万円未満の世帯を対象としています。授業料は最大で年間70万円まで免除され、給付型奨学金は月額最大で約7万円が支給されます。
申請に必要な書類
申請には、マイナンバー関係書類、収入に関する証明書、在学証明書などが必要です。入学前の予約採用では、高等学校等からの推薦書も必要となります。早めの準備と提出が重要となってきます。
審査のポイント
審査では世帯収入の他に、高校での成績や出席状況も考慮されます。特に予約採用の場合は、高校での評定平均値が3.5以上であることが求められます。
日本学生支援機構奨学金制度
日本学生支援機構の奨学金は、第一種(無利子)と第二種(有利子)の2種類があります。家計状況や学力基準により、どちらかもしくは両方を利用することができます。
地域の支援制度
各都道府県や市区町村では、独自の支援制度を設けています。地域医療への貢献を条件とした返還免除制度なども多く用意されています。
都道府県ナース養成支援事業
各都道府県で実施している看護師養成支援事業では、月額3万円から10万円程度の奨学金が用意されています。卒業後、指定された医療機関で一定期間勤務することで返還が免除される制度が一般的です。
ケーススタディ:先輩看護師の費用計画例

実際に看護専門学校を卒業した先輩看護師たちの具体的な費用計画と支援制度の活用例をご紹介します。
これらの事例を参考に、ご自身の状況に合わせた効果的な費用計画を立てていきましょう。
Case A:給付型奨学金を最大限活用したケース
基本情報と家庭状況
Aさんは高校卒業後すぐに看護専門学校に進学した18歳の方です。ひとり親家庭で、母親の年収は320万円でした。家計の状況から、給付型奨学金の受給資格を満たしていました。
費用計画の詳細
総費用380万円の内訳として、入学金25万円、年間授業料60万円、実習費15万円、教材費10万円という構成でした。生活費は実家から通学することで抑えることができました。
支援制度の活用方法
高等教育の修学支援新制度を利用し、授業料の大部分が免除されました。さらに、月額5万円の給付型奨学金を受給することで、教材費や通学費への充当が可能となりました。
Case B:複数の支援制度を組み合わせたケース
基本情報と家庭状況
Bさんは25歳で社会人経験を経て進学を決意した方です。貯金は100万円程度で、実家を離れての一人暮らしを検討していました。
費用計画の詳細
総費用420万円の中には、学費以外に家賃や生活費も含まれていました。月々の生活費は12万円を想定し、3年間の総額として432万円を見込みました。
支援制度の活用方法
県の看護師養成支援制度と日本学生支援機構の第一種奨学金を組み合わせて活用しました。卒業後は県内の指定医療機関に5年間勤務することで、支援金の返還が免除される制度を利用しています。
Case C:働きながら学ぶ社会人学生のケース
基本情報と家庭状況
Cさんは32歳で、別業種での正社員経験を持つ方です。配偶者の収入があり、基本的な生活費は確保できる状況でした。
費用計画の詳細
総費用350万円の支払いに向けて、貯金150万円と奨学金を組み合わせる計画を立てました。週末のアルバイトも活用し、月に5万円程度の収入を確保しています。
Case D:家族のサポートを受けながら進学したケース
基本情報と家庭状況
Dさんは19歳で、両親と祖父母からの支援を受けられる環境でした。家族で話し合い、学費の半分を家族でサポートする計画を立てました。
費用計画の詳細
総費用400万円のうち、家族からの支援が200万円、自身で100万円を準備し、残りを奨学金で賄う計画を立てました。
Case E:地域医療に貢献する条件付き支援を受けたケース
基本情報と家庭状況
Eさんは20歳で、地域医療への貢献に興味を持っていました。地方の医療施設が提供する奨学金制度を活用することを決めました。
費用計画の詳細
総費用390万円に対し、医療施設からの奨学金で月額15万円の支援を受けることができました。卒業後は5年間、同施設で勤務することが条件となっています。
これらの事例から、支援制度の活用方法や返済計画の立て方について、具体的なイメージを持っていただけたのではないでしょうか。次のセクションでは、よくある質問とその回答をご紹介していきます。
おしえてカンゴさん!よくある質問

看護専門学校の学費や支援制度について、実際によく寄せられる質問をQ&A形式でご紹介します。
皆様の疑問や不安に、現役看護師のカンゴさんが丁寧にお答えしていきます。
入学前の費用に関する質問
Q1:看護専門学校の3年間の総費用はいくらくらいかかりますか
通学の場合は300万円から400万円程度、寮生活や一人暮らしの場合は500万円から600万円程度が目安となります。
ただし、これらの金額は学校の種類や地域によって大きく異なることがあります。公立と私立では100万円以上の差が生じる可能性もありますので、複数の学校を比較検討することをお勧めします。
Q2:入学前に必要な費用の内訳を教えてください
入学金が15万円から30万円、入学検定料が1万円から3万円、制服代が5万円から8万円程度必要です。さらに、実習着や教科書代として10万円から15万円程度を見込んでおく必要があります。
これらの費用は入学直後にまとめて必要となることが多いため、事前の準備が重要です。
奨学金に関する質問
Q3:奨学金は併用できますか
給付型と貸与型など、多くの奨学金は併用が可能です。
ただし、併用する場合の上限額が設定されている場合もありますので、事前に各制度の規定を確認することが重要です。特に、日本学生支援機構の奨学金と各都道府県の奨学金制度は、併用についての詳細な規定がありますので注意が必要です。
Q4:奨学金の返済は卒業後すぐに始まりますか
多くの奨学金は卒業後6ヶ月の猶予期間があり、その後から返済が始まります。ただし、制度によって返済開始時期や返済方法が異なりますので、事前に確認することをお勧めします。
また、資格取得や就職が遅れた場合の返済猶予制度もありますので、困ったときは相談することをお勧めします。
生活費に関する質問
Q5:一人暮らしの場合、月々の生活費はどのくらい必要ですか
東京23区内の場合、家賃が6万円から8万円、光熱費が1万円から1.5万円、食費が3万円から4万円、通学費が1万円から2万円程度が一般的です。
その他、携帯電話代やインターネット代、娯楽費なども含めると、月々15万円程度は必要となります。地方都市の場合は、これよりも2万円から3万円程度少なく済むことが多いです。
Q6:アルバイトと学業の両立は可能ですか
看護専門学校は授業や実習が多く、特に実習期間中はアルバイトとの両立が難しくなります。ただし、長期休暇中や週末に限定してアルバイトを行う学生も多くいます。学業に支障が出ない範囲で、月に4万円から5万円程度の収入を得ている例が一般的です。
まとめ:効率的な費用計画のポイント
看護専門学校への進学を考える際、費用面での準備は非常に重要です。
これまでご紹介してきた内容を踏まえ、効果的な費用計画の立て方と、将来を見据えた資金管理のポイントについてまとめていきます。
早期からの情報収集と準備
入学前の準備ポイント
進学を決意したら、まずは志望校の費用体系を詳しく調べることから始めましょう。入学金や授業料だけでなく、実習費や教材費なども含めた総費用を把握することが重要です。
また、支払いのタイミングも確認し、必要な時期に必要な金額が用意できるよう、計画的に準備を進めていきましょう。
利用可能な支援制度の確認
給付型奨学金や授業料減免制度など、返済が不要な支援制度を最優先で検討します。その上で、貸与型奨学金や教育ローンなど、返済が必要な支援についても、金利や返済条件を慎重に比較検討することが大切です。
現実的な資金計画の立案
収支バランスの見直し
月々の収入と支出を細かく見直し、無理のない資金計画を立てることが重要です。特に、予期せぬ支出に備えて、ある程度の余裕を持った計画を立てることをお勧めします。
返済計画の具体化
奨学金などを利用する場合は、卒業後の返済計画も具体的に立てておくことが大切です。看護師として働き始めてからの収入見込みや、生活費などを考慮に入れた現実的な返済プランを策定しましょう。
柔軟な予算管理の実践
支出の優先順位付け
学費や実習費など、必須の支出を最優先に考え、その他の支出については優先順位をつけて管理していきます。特に、実習期間中はアルバイトが制限される可能性も考慮に入れ、計画的な支出管理が求められます。
予備費の確保
急な出費や想定外の費用に備え、一定額の予備費を確保しておくことをお勧めします。特に、実習器具の補充や通学定期の更新など、定期的に発生する支出にも注意が必要です。
将来を見据えた資金管理
キャリアプランとの連動
看護師としてのキャリアプランと資金計画を連動させることで、より現実的な計画を立てることができます。特に、専門看護師や認定看護師などの資格取得を目指す場合は、その費用も考慮に入れた長期的な計画が必要です。
継続的な見直しと調整
入学後も定期的に収支状況を確認し、必要に応じて計画の見直しや調整を行うことが大切です。特に、生活スタイルの変更や予期せぬ支出が発生した場合は、早めの対応を心がけましょう。
以上のポイントを意識しながら、無理のない費用計画を立てていただければと思います。看護専門学校での学びを充実したものにするためにも、しっかりとした経済的基盤を整えることが重要です。わからないことがあれば、学校の担当者や先輩看護師に相談することをお勧めします。また、定期的に自身の計画を見直し、必要に応じて調整を行うことで、より安定した学生生活を送ることができるでしょう。
看護専門学校への進学には、入学金から生活費まで様々な費用が必要となりますが、適切な計画と支援制度の活用により、経済的な負担を軽減することが可能です。
早めの情報収集と準備、複数の支援制度の組み合わせ、そして現実的な返済計画の立案が重要です。これらの準備に不安を感じる方は、ぜひ【ナースの森】にご相談ください。
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