キャリア

看護師になるために必須の単位となっているのが看護実習です。看護師としての自覚を得るための貴重な経験を積むことができる看護実習ですが、調べてみたり話を聞いたりすると「つらい」というイメージが先行し、不安になる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、看護実習について徹底解説。つらいといわれる理由や、看護実習を経験したことがある方であれば思わず同調してしまうようなあるある、先輩看護師はどのようにして看護実習を乗り越えたのかなど詳しく解説していきますので、これから看護実習を控えている学生さんには必見の内容となっているので、ぜひ参考にしてください。

看護実習とは？

看護実習は、看護学生が実際の臨床環境で看護の実践スキルを習得し、臨床経験を積むための教育プログラムの一環です。これは、看護学生が教室やシミュレーション実習だけでは得られない現場の実践経験を提供し、将来の看護師としての準備を支援する役割を果たします。

看護実習の目的

看護実習のおもな目的は以下の通りです。

実践スキルの習得

看護学生は、実際の医療施設や医療チームで患者ケアに従事し、看護スキルを実践的に習得します。これには、血圧測定、点滴管理、薬物の配布、傷の処理など、患者の健康管理に必要な技術が含まれます。

臨床判断能力の向上

看護実習は、臨床判断能力の向上を促します。学生は患者の状態を評価し、適切な看護介入を計画し、緊急事態に対応する経験を積むことができます。

チームワークの養成

現場での看護実習は、多くの場合、医療チームでの協力が必要です。看護学生は他の医療専門職と連携し、患者ケアに貢献する方法を学びます。これにより、チームプレーヤーとしてのスキルが養われます。

専門倫理とコミュニケーション

看護実習は、患者とのコミュニケーション能力を向上させ、専門倫理を実践する機会を提供します。患者のプライバシーを尊重し、適切な情報提供と支援を行うことが強調されます。

看護実習の内容

看護実習の内容は、教育機関やプログラムによって異なりますが、一般的に以下の要素が含まれます。

臨床配置

看護学生は、病院、クリニック、介護施設、精神保健施設など、実際の医療環境で臨床配置に参加します。これにより、実際の患者ケアに関わり、看護スキルを磨きます。

メンターシップ

看護学生は経験豊富な看護師から指導を受けます。このメンターシップは、実践スキルの教育だけでなく、看護倫理、チームワーク、コミュニケーションスキルなどの側面も含みます。

プロフェッショナルな実践

看護学生は、患者の評価、ケア計画の立案、薬物管理、バイタルサインのモニタリング、カルテ記録など、看護のプロフェッショナルとしての実践を行います。

倫理教育

看護実習は倫理教育の一環でもあり、患者の権利、プライバシー、文化的な感受性などに関する教育が含まれます。

レポートと振り返り

看護学生は、実習経験に基づいてレポートを書き、指導教員と振り返りを行うことが一般的です。これにより、学んだことを確認し、改善の機会を得ます。

看護実習のスケジュール

看護実習のスケジュールは、実習科目や実習施設によって異なりますが、一般的には以下の通りです。

年間スケジュール

看護実習の年間スケジュールは以下の通りです。

【3年制学校】

1年生　9月〜基礎看護臨地実習Ⅰ　2月〜基礎看護臨地実習Ⅱ

2年生　7月〜2月領域別看護臨地実習

3年生　5月〜11月領域別看護臨地実習　11月〜統合実践看護臨地実習

【4年制大学】

1年生　9月〜2月基礎看護臨地実習Ⅰ

2年生　5月〜2月基礎看護臨地実習Ⅱ

3年生　9月〜3月領域実習

4年生　9月　　  統合実習

看護大学は、専門学校や短期大学よりもゆとりをもった看護実習となっています。一方専門学校や短期大学は、ぐっと過密なスケジュールになっているので、4年制大学よりも大変かもしれませんね。

1日のスケジュール

実習中は自己管理をしっかり行い、体調だけは崩さないように気をつけましょう。

看護実習のあるあるとは？

看護実習では、いろいろとうまくいかないことも多くあります。実習を経験した感想として、「落ち込んだ」「つらかった」「大変だった」と感じる方も多いようです。ここでは、思わず「あるある」といってしまう看護実習の実態をご紹介していきます。

指導者が厳しい

多くの看護学生は、実習先で指導看護師からの指導が厳しいと感じることがあります。これは、学生の成長を促し、プロの看護師としてのスキルを身につけるためのものである場合が多いです。指導者の要求に応え、フィードバックを受け入れることが大切です。

記録を取る時間が多い

看護実習では、患者の状態や処置に関する実習記録が欠かせません。始めのうちは何を書いていいかわからず、多くの時間を記録作業に費やすことになる方もいます。そのため、忙しいスケジュールに圧迫されることがあります。正確な記録は患者の安全性に関わるため、どうしたいいかわからない場合は、指導看護師に相談するのがいいでしょう。

事前学習の量が多い

看護実習に備えての事前学習や準備が多いことがあります。薬物の知識や臨床ガイドライン、医療機器の操作方法など、幅広い知識を習得する必要があります。事前学習をしっかり行うことで、実習中の自信と実力を高めることができます。もし勉強不足と感じたら、休憩時間やスキマ時間で、知識を深めましょう。

患者さんとのコミュニケーションがうまく取れない

患者さんとのコミュニケーションは看護の重要なスキルの一つですが、初めての実習ではうまく取れないことも悩みになります。患者さんの感情や状態に適切に対応するために、コミュニケーションスキルを向上させる訓練が必要です。経験を積みながら改善していくことが大切です。

睡眠時間がない

看護実習は忙しいスケジュールと長時間の勤務を伴うことが多いため、睡眠時間が不足しがちです。しかし、適切な休息は学業と健康のために重要です。睡眠不足はミスや疲労を招き、安全に患者ケアを提供する際のリスクにつながります。自己ケアを怠らないようにしましょう。

＜看護師・ナースのリアルな声＞あなたが経験した看護実習あるあるは？

看護実習を乗り切るためには？

看護実習では、つらいこともたくさんあると思っておいた方がいいでしょう。そのうえで、看護実習を乗り切るための対処法を知っておくことが大切になってきます。ここでは、最後まで看護実習を乗り切るポイントをご紹介していきます。

仲間と励ましあう

看護実習を行っているのは自分一人ではありません。同じ悩みを持っている看護学生も多いはずです。同じ目標をもって頑張っている仲間同士、励まし合って看護実習を乗り切るというのは、多くの看護師が経験しています。

じっくり話すことができなくても、一言二言励まし合うだけでも、頑張ろうという気持ちになれるものです。一人で悩まず、多くの仲間を作って乗り切りましょう。

指導者からの指摘を素直に受け入れる

指導者とのコミュニケーションは非常に重要です。指導者からのフィードバックを受け入れるだけでなく、質問や不明点があれば遠慮せずに尋ねましょう。指導者とのコミュニケーションを通じて、自分のスキル向上と成長につなげます。

ストレスの発散をかかさない

看護実習中にはストレスがたくさん溜まることがあります。中には時間がなくて、プライベートな時間が取れないという方もいますが、それでは息が詰まり余計につらい思いが増してしまいます。

仲間や友人、家族とのコミュニケーションを大切にしたり、カラオケやスポーツ、趣味に時間を費やしたり、マッサージやリラクゼーションに通うのもいいでしょう。自分なりの、発散補法を見つけて実践しましょう。

目標設定と振り返り

看護実習を成功させるために、具体的な目標を設定しましょう。自分が何を達成したいのか、どのスキルを向上させたいのかを明確にし、それに向かって努力しましょう。また、定期的な振り返りを行い、自身の成長を確認し、改善の余地を見つけることが大切です。

＜看護師・ナースのリアルな声＞看護実習の時に心がけたことはありますか？

看護実習を有意義にするためのコツ

ここまで解説してきたように、看護実習は大変なことが多いですが、貴重な実践を積むことができる場でもあります。できることなら、有意義に時間を過ごしたいと考える方もいるでしょう。

ここからは、看護実習を有意義にするためのコツを5つご紹介します。

記録は後回しにしない

看護実習中に記録を怠ることは避けましょう。正確な記録は患者の安全とケアの品質に直結します。業務の進行中に適切な記録を行い、後でまとめるよりも、即座に情報を記録する習慣を身につけましょう。

挨拶はしっかり行う

患者さんやその家族、医療チームとのコミュニケーションが大切です。始めにしっかりとした挨拶と笑顔で接することは、信頼関係の構築に役立ちます。患者さんがあなたに対して安心感を持つことは、看護実習の成功につながります。関係者には、すれちがった際などは笑顔で挨拶をするよう心がけてください。

看護領域ごとのポイントをおさえる

看護実習では様々な看護領域を経験する機会があります。各領域ごとに特有のポイントを事前に把握し、専門知識とスキルを磨きましょう。例えば、外科、産婦人科、精神科などの看護領域ごとに異なる知識とアプローチが必要です。

患者さんに寄り添ったコミュニケーション

患者さんに対して感情的な支えを提供し、彼らの立場や感情を理解しましょう。患者に共感することを念頭に置き、患者さんとのコミュニケーションを通じて彼らのニーズを把握し、適切なケアを提供することで信頼関係を築き上げていきましょう。

自分に合ったスケジュールを立てる

スケジュール管理は看護実習の成功に重要です。自分の生活リズムや学習スタイルに合ったスケジュールを立て、効果的な時間管理を心がけましょう。計画的に課題やタスクをこなすことで、ストレスを軽減し、成果を最大化できます。

＜看護師・ナースのリアルな声＞看護実習で一番大切にしたことは？

看護実習を上手に乗り切る方法

どんなにつらく大変な看護実習であっても、悪い印象を与えず上手に乗り切りたいですよね。ここからは実際に実習を体験した看護師の発言をもとに看護実習を上手に乗り切る方法を4つご紹介していきます。

実習期間に向けて事前準備をする

実習が始まる前に、事前準備を行うことはとても大切です。

医療知識の復習

実習先で必要な基本的な医療知識を復習しましょう。薬物、疾患、医療機器などの基本的な情報を把握しておくことは大きな助けになります。

必要な文献の読み込み

実習に関連する文献やガイドラインを読み込んで、臨床実践の基盤を築いておくのも、実際の看護十種では役に立ちます。

実習を通してどのように成長したいか、何を学びたいかを明確にして、積極的な参加姿勢を持つことが、上手に乗り切る方法の一つといえるでしょう。

実習に必要なものリスト

実習に必要なものもしっかり確認しておきましょう。以下にまとめておきますので役に立ててください。

・白衣

・幼稚園実習や特養実習で使うエプロン

・聴診器

・ナースシューズ

・ヘアピン・ヘアゴム

・ナースウォッチ

・電卓

・瞳孔計ペンライト

・医療用ハサミ

・クリップボード

・多色ボールペン

・ポケットサイズのメモ帳

・検査値まとめ表

・領域別ポケット参考書

・事前学習ノート

目的や目標を見失わない

看護実習の目的と自身の学習目標を明確にし、それを意識的に追求しましょう。なぜ看護師になりたいのか、どのスキルを向上させたいのかを考え、実習の成果として達成したいことを明確化します。これにより、モチベーションを保つことができ、自己成長を促進することができます。

スキマ時間を活用して実習記録に取り組む

実習中には待ち時間や休憩時間、移動時間などスキマ時間が発生することがあります。これらのスキマ時間を無駄にしないようにしましょう。例えば、実習記録を書いたり、学んだことを振り返ったりすることができます。

また、実習記録だけでなく、仮眠や音楽を聴くなど気分転換などに役立てることもできます。実習の日々を振り返り、改善点や学びを意識的に記録しておくことは、成長と同時に、ストレスの軽減にも役立ちます。

カンファレンスもスムーズに行う

看護実習ではカンファレンス（チームミーティング）が行われることがあります。これは患者のケアや治療計画を話し合う場です。カンファレンスに積極的に参加し、自身の観察や提案を述べる機会を活用しましょう。また、他のメンバーからのフィードバックやアドバイスを受け入れ、協力的なチームメンバーとして貢献しましょう。

＜看護師・ナースのリアルな声＞看護実習が終わって自分自身へのご褒美は何かありましたか？

行動計画の立て方

＜看護師・ナースのリアルな声＞看護実習を控えている学生にアドバイスをお願いします！

行動計画の立て方

看護実習で大変だとよく耳にするのが、行動計画と実習記録の作成です。

行動計画とは、患者一人一人の看護目標を計画的に行うために作成される計画書です。毎日のケアや課題解決のための目標などを分かりやすく記載するもので、実習中の看護学生や新人看護師は、朝礼などでこの行動計画を述べることが多くあります。

実習記録は、「患者に対して行ったケアの理由」や「看護実践で何を行ったのか」について作成します。良い評価を得るためには、実習記録は充実した内容にしたいところですが、看護実習の中では苦手にする人が多くいます。

そこで、ここからは行動計画と実習記録の上手な作成の仕方を解説していきますので、苦手にしている看護実習中の方、もしくはこれから控えている方は参考にしてください。

アセスメントを行う

行動計画を立てる前に、現状を正確に評価するアセスメントを行いましょう。患者さんの健康問題や状況を分析し、重要な情報をいくつも手に入れるところからスタートしましょう。

行動計画を立てる

アセスメントの結果をもとに、具体的な行動計画を立てます。まずはルーティンワークを記入し、活動予定を記入していく方法が一般的です。

実習目標を考える

看護実習においては、実習目標を設定することが重要です。これにより、実習期間中に何を達成したいのかを明確にし、実習を効果的に活用できます。患者さんの前日・当日の状態によって、具体的な目標を立てましょう。

行動計画を立てる際のポイント

行動計画を立てる際に考慮すべきポイントはいくつかあります。特に看護を行う目的や患者さんの状態に合わせて行動計画を作成するために、以下のポイントを重視しましょう。

看護を行う目的まで考えて作成する

行動計画を立てる際、まず看護を行う目的を明確にしましょう。目的が明確でないと、計画を立てても方向性がぶれてしまう可能性があります。看護の目的は患者さんの健康状態を改善し、安全かつ適切なケアを提供することです。目的に基づいて、具体的な行動項目やステップを設定しましょう。

患者さんの状態に寄り添った内容にする

看護の行動計画は、患者さんの状態やニーズに合わせて設計しなければいけません。患者さんの健康状態、病歴、身体的・精神的な要因、家庭環境、文化的背景などを考慮に入れましょう。これにより、患者中心のケアを提供し、最良の結果を得ることができます。

患者さんとのコミュニケーションは行動計画の一部です。患者さんの意見や希望を尊重し、彼らと協力して計画を進めていくのも手段の一つ。普段からコミュニケーションをしっかりとり、有益な情報を見つけられるようにしていきましょう。

実習記録の書き方

次に、よい評価を得られるような実習記録の作成方法をご紹介していきます。

情報収集とアセスメントをしっかり行う

行動計画と同じく、まずは情報収集とアセスメントを行いましょう。

患者の氏名、年齢、性別、おもな症状などの基本情報、患者の身体状態、症状、バイタルサインなど、詳細に情報収集をしましょう。これらの結果をまとめ、問題や異常を特定します。問題点や異常は客観的かつ具体的に記録しましょう。

関連図を用いて記録する

関連図は情報を整理し、視覚的に理解しやすくするのに役立ちます。患者の身体状態や病歴、ケア計画などを示すために、フローチャート、タイムライン、表などの関連図を活用しましょう。これにより、情報を効果的に伝えることができます。一般的な作成方法は以下の通りです。

・疾患の原因や発症の機序

・疾患名

・患者さんに見られる症状

・症状に対する現在の治療・ケア内容

・治療による副作用

・看護問題（疾患による生活への影響）

・看護問題に対するケア・サポート内容

これらを踏まえて作成することで、実習記録に必要な情報を分かりやすく作成することができるでしょう。

参考書を活用する

看護実習中には、専門的な知識やガイドラインが必要な場面があります。参考書や学校の教材を活用し、正確で信頼性のある情報を得るために使いましょう。また、参考書から引用した情報を適切に引用し、出典を明記することも重要です。

実習中にメモを取る

実習中には急な出来事や重要な情報が発生することがあります。そのため、実習中にメモを取る習慣を持つことは役立ちます。メモは後で実習記録を書く際に参考になります。メモには日時や状況、関連する詳細情報を記録しましょう。

まとめ

この記事では、看護実習についてのあるあるや、有意義に乗り切る方法などをご紹介してきました。

看護実習は看護学生にとって重要な学習経験であり、プロの看護師としてのスキルを磨く機会です。大変なことはあるでしょうが、今活躍されている先輩看護師も、看護実習を経て立派な看護師として活躍されています。

挑戦に立ち向かい、仲間との協力を大切にし、患者さんに寄り添う姿勢を持ちながら、プロの看護師としてのステップを進んでいくことを忘れないでください。看護実習を乗り越え、将来の看護師としての成功に向けて前進していきましょうね。

看護師を目指すため、日々大忙しの看護学生。勉強だけでなく、看護実習や就活など在学中はやることが盛りだくさんです。現役看護師として活躍されている方の中にも、当時のつらさを思い出す方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、看護学生の入学から卒業までの流れを解説しつつ、辛いと感じる出来事や、看護学生であれば必ず経験する看護実習の実態などを、現役看護師の体験談を交えながらご紹介していきます。

看護学生生活をつらいと感じたときの対策法もご紹介していきますので、ぜひ看護学生の方は参考にしてください。

看護学生の入学から卒業までの流れ

まずは、看護学校に入学してから卒業までの流れを、簡単に解説していきます。

就職活動はいつから始める？

まずは、看護学校で基礎看護学の授業を受け、看護の基本的な知識とスキルを習得します。また、看護実習を通じて、実際の臨床環境での経験を積みます。これは看護学生の成長とスキル向上に不可欠です。

看護学生の就職活動は大学3年生・専門2年生の冬〜春、もしくは大学3年生・専門2年生の夏までというのが一般的です。まずは資料請求を行い、その後、合同就職説明会に参加する流れになります。

目指すは看護師国家試験

看護師になるためには、看護師資格を取得しなければいけません。近年は試験のレベルも上がり、簡単に取得することは困難です。まずは国家試験対策をしっかり行い、試験合格を目指して頑張っていきましょう。

＜看護師・ナースのリアルな声＞いつから就活を始めましたか？

看護学生が選べるおもな看護学

看護学生は様々な看護学の中から専攻分野を選ぶことができます。ここでは、一般的な看護学の専攻分野をご紹介していきます。

基礎看護学

基礎看護学は、看護の基本原則やスキルに焦点を当てた分野です。患者の基本的なケア、衛生、感染管理、看護倫理、コミュニケーションスキルなどを学びます。

成人看護学

成人看護学は、成人患者の看護に特化した分野です。青年期から向老期まで幅広い層の成人を対象としたもので、健康評価、疾患管理、看護計画の策定、薬物管理などが含まれます。安心してより質の高い療養生活を営めるように支援することが目的です。

老年看護学

老年看護学は、高齢者のケアに焦点を当てた分野です。認知症、身体的な変化、健康問題の評価、高齢者へのカウンセリングなどを学び、高齢者がいきいきとした日常生活を送ることを目的とした看護を行います。

小児看護学

小児看護学は、子供や乳幼児の看護に特化した分野です。成長と発達、小児の特別な健康問題、家族へのサポートなどを学びます。

母性看護学

母性看護学は妊娠、出産、産後のケアに焦点を当てた分野です。妊娠中の健康管理、分娩時のサポート、産後の母子ケアなどが含まれます。それ以外にも、思春期や更年期のヘルスケアやホルモンの変化などを学び、女性が生涯を通じて健康で充実した日々を過ごせるための看護の勉強をします。

精神看護学

精神看護学は、精神的な健康と精神障害の評価と治療に特化した分野です。精神疾患の理解、心理療法、薬物療法、危機介入などを学び、心の病をもった人が、その人らしさを取り戻して健康に過ごしていくための看護を目指します。

地域看護学

地域看護学は、地域での看護に焦点を当てた分野です。疾病の予防・早期発見・早期治療や健康の維持など、新生児から高齢者までのあらゆる年代の健康をサポートする看護を目的としています。

在宅看護論

在宅看護論は患者が自宅で看護を受ける場合のスキルとケアに焦点を当てた分野です。在宅療養、家族のサポート、緊急時の対応などを学びます。

看護実習とは？

看護学生には、卒業まで毎年看護実習があります。看護実習とは、学校で学んだ知識を実際の医療現場で実践して、必要な能力を養うことを目的としたものです。

患者や利用者とのコミュニケーションから始まり、チームワークや、問題解決能力、高い倫理観、自己省察などを身につけることを目的に、指導担当者がその指導を行います。

看護実習は、大学・短大・専門学校問わず行われます。それぞれの看護実習の実習期間・実施される時期についてまとめましたので、下記を参考にしてください。

学年別の看護実習期間と時期（4年制）

学年別の看護実習期間と時期（3年制）

看護実習期間中のスケジュール

これから看護実習をされる予定の看護学生の方の中には、看護実習のスケジュールが気になる方もいると思います。また、現在実習を行っている方も、他の方のスケジュールが気になるのではないでしょうか。

そこでここでは、一般的な看護実習の1日のスケジュールをご紹介していきます。

1日のスケジュール

1日の実習スケジュールは、どの科もそれほど変わりません。

成人看護学や母性看護学の急性期実習では、緊急の分娩や帝王切開術の見学が入るため、スケジュールがイレギュラー的に変更になることがあります。

また、帰宅後も引き続き実習記録や翌日の行動計画・看護計画の立案、予習・復習が必要となるため、いかに効率よく進めて睡眠時間を確保するかが重要です。

看護実習はつらい？乗り切る方法をご紹介

現在看護師として活躍している皆さんも、必ず経験してきたのが看護実習です。「看護実習あるあるで盛り上がったことがある」という現役看護師も多いはず。それだけ、看護実習は印象深いものなんです。

そこでここでは、よくある看護実習のここがつらいという事例を8つご紹介していきます。

看護学生の中にも、「こんなことがあった」「これがつらい」と思うこともあるでしょうが、まさに今看護実習を頑張っている方は、「先輩看護師も同じ悩みの中頑張っていたんだ」という励みにしてもらえればと思います。

指導担当者がこわい

指導担当者は専門家であり、学生の成長をサポートする役割を果たしますが、初対面の場合や厳格な指導者のもとで実習を行うことは、相当な緊張感を引き起こすことがあります。

誤解を招くような厳しさ、あまり好ましくありませんよね。自分が指導担当になったときには、こんな教え方はしないと思う方も多いはずです。

看護記録やレポートを付けるのが大変

正確な看護記録とレポートは看護実習の一部であり、責任の重い仕事です。特に初めての経験では、厳しくチェックされ時間がかかることがよくあります。しかし、実習を通じてスキルが向上し、効率的に記録を付ける方法を習得することができると思い頑張っていきましょう。

苦しそうな患者さんを見るのがつらい

看護実習中には、難病を持つお子様、病気や痛みを抱える患者を見ることがあり、その姿を見ることがつらいと感じるケースもあります。

感情的な負担を感じることは自然なことです。慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、看護師の使命は患者さんの健康と安全を支えることであり、これに専念することが大切です。

眠れない

看護実習は長時間の勤務や夜勤が含まれることがあり、不規則な勤務時間が睡眠に影響を及ぼすことがあります。

慣れるまでは「ほとんど眠れない」「休みも外出することが少なくなった」など、すくなあらず影響を及ぼすようですね。適切な休息と睡眠を確保するために、シフト勤務に対応する方法を学んでいき、自己ケアを大切にしましょう。

患者とコミュニケーションがとれない

コミュニケーションは看護の重要な要素であり、患者との信頼関係を築くために必要です。初めての実習では、コミュニケーションに不安を感じたという声もよく耳にします。

しかし、慣れてくると、落ち込んだ時に「患者のやさしさに助けられた」ということもあります。それまでは経験を積み、コミュニケーションスキルを向上させるために努力していきましょう。

看護計画が立てられない

看護計画は患者のニーズに合ったケアを提供するために重要です。慣れないうちは、疲れて看護計画さえ立てられないということもあるようですね。また、初めての実習では計画の立て方に不安を感じるかもしれませんが、指導担当者や同僚からアドバイスを受け、スキルを磨いていきましょう。

事前学習が多すぎる

看護実習だけでなく、その時間以外に行う事前学習が多くて大変だったという方もいるのではないでしょうか。看護実習には事前学習が必要であり、情報を吸収する量が多いことがあります。

中には、頑張って事前学習をしても、「担当者に突っ込まれてつらかった」という看護学生も。実習中はもちろん、時間外学習の大変さに大変さを感じることもあります。

ストレス解消するために暴飲暴食

ストレスが溜まっても、そのはけ口がなく暴飲暴食をしてしまったという方もいます。ストレスがたまることは理解できますが、暴飲暴食は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

看護実習の大変さはわかりますが暴飲暴食はNG。1時間でもかまわないので時間を作り、運動や趣味、友人との交流など健康的な生活を行うようにしてください。

＜看護師・ナースのリアルな声＞看護実習のここがつらかった！という体験を教えてください

看護実習を乗り切るためのアドバイス

看護学生にとって看護実習は重要な経験です。しかし、看護実習をつらいと感じる学生が多いのも現実です。ここでは、どのように看護実習を乗り切るのかアドバイスを送りたいと思います。現役看護師の声を反映させたものですので、ぜひ参考にしてください。

実習生同士で仲間を作る

やはり、まわりに仲間がいるというのは心強いものです。看護実習の場でも、実習生仲間との協力と連帯感は、実習を乗り切るのに大きく役立ちます。共通の目標や経験を共有することで、情報交換や支え合いが可能です。

実習生同士で励まし合い、すっきりすることで「明日からまた頑張ろう！」という気持ちに慣れるという声が多いです。

こわい指導員も以前は違ったはずと割り切る

怖いと感じる指導員も、昔は同じ看護実習を経験した方です。「この人も同じ経験をした人」と割り切って指導を受けるという方も多くいます。

もしそのような指導員にあたった方の中には、自分の知識やスキルを向上させるために、質問を恐れずに積極的に指導員に対して質問をしまくるという方もいます。もしかしたら、そのくらい肝が据わってるほうが、指導員にとってはいいのかもしれませんね。

目標を作ってとにかく頑張る

実習期間中に達成したい目標を設定しましょう。目標を持つことはモチベーションを高め、方向性を提供します。具体的な目標を設定し、計画を立ててそれに向かって努力しましょう。

また、この実習が終わったら「自分へのご褒美日」を作るという方も多くいます。それを心のよりどころに最後まで頑張りぬくというのも一つの手段ですね。

効果的な時間管理

実習生活は忙しいことが多いため、時間を効果的に管理することが重要です。日程をあらかじめ計画し、タスクを優先順位に従って処理しましょう。計画的な時間管理はストレスを軽減し、実習をスムーズに進めるのに役立ちます。

自己ケアを大切にする

実習中にはストレスや疲労がたまりやすいですが、自己ケアを怠らないことが大切です。十分な休息、バランスの取れた食事、運動、ストレス解消法を取り入れましょう。体と心の健康を維持することで、実習生活をより充実させることができます。

常にポジティブに

:実習中は、困難や挫折があるかもしれませんが、ポジティブなマインドを持ちましょう。自分の成長と学びの機会として実習を捉え、チャレンジを楽しむ姿勢を持つことが、成功への鍵となります。

＜看護師・ナースのリアルな声＞実習期間を乗り越える方法を教えてください！

看護学生のためのキャリア準備

看護師のキャリアを始めるための準備期間にあたる学校生活ですが、計画性を立てて、看護師としてのスキルを向上させていく必要があります。ここからは、看護師を目指すうえで必要な準備について解説していきます。

ライセンス取得の手順

国家試験を受験する必要があります。国家試験に合格することで、看護師としてのライセンスを取得できます。国家試験の内容やスケジュールは、地域によって異なりますので、詳細を確認しましょう。

職場探しのアドバイス

看護学生は様々な職場でキャリアをスタートできます。病院、クリニック、介護施設、学校、公衆衛生機関などの選択肢があります。自分の興味や専門分野に合った職場を探しましょう。

看護学生時代にインターンシップや実習を通じて、自分を売り込むのも大事です。学校のキャリアサービスを活用し、実習先でのパフォーマンスを先方に印象づけましょう。

また職場探しには、専門的な履歴書や面接が必要です。これらの文書やスキルを整理し、自己アピールのポイントを強調することが大切です。

看護学生向けのキャリアサポート

多くの看護学校は学生向けのキャリアサポートを提供しています。カウンセリング、履歴書の作成、面接練習などを受けることができます。これらのサービスを活用しましょう。

また、看護協会への参加も大きな意味合いを持ちます。看護協会に参加することで、キャリアの機会やネットワーキングの機会を得ることができます。また、継続的な教育や看護のプロからのアドバイスにより成長のサポートも提供されます。

看護学生から看護師になることは大きなステップですが、適切な準備とサポートを受けることで、スムーズに進むことができます。自己評価と成長、キャリアの方向性を意識的に考えながら、看護のキャリアを着実に築いていきましょう。

看護師に向いてないのは看護学生とは？

看護師になるために、日々勉強に励んでいる看護学生の中にも、看護師に向いている人とそうでない人がいるのが現実です。まずは、看護師に向いてない看護学生の特徴をご紹介していきます。

ミスを引きずりやすい

看護職は患者の安全と健康に関わる非常に責任のある職業です。ミスは避けられない場合もありますが、それを引きずり続ける性格だと、ストレスや精神的な負担が大きくなる可能性があります。看護師は、ミスから学びつつも前に進む強さと柔軟性を持つ必要があります。

他人に興味を持てない、人の話を聞くのが苦手

看護師は患者とコミュニケーションを取る必要があります。患者の症状や感情を理解し、共感することが不可欠です。他人に興味を持たず、人の話を聞くことが苦手な場合、看護の基本的な要素が欠けていると思われる可能性があります。

手先が不器用

看護師は患者の身体的なケアを提供する役割も担います。例えば、採血や点滴など手先の器用さが求められる細かい作業が必要です。手先が不器用である場合、習得に時間がかかることもあり、患者に対するケアが難しく、安全性に問題が生じる可能性があると思われるかもしれません。

ただし、これらの特性があるからといって、看護学生として絶対に向いていないわけではありません。個人の成長や努力、適切なトレーニングによって、多くの看護学生がこれらの課題を克服して看護師として成功しています。

看護学生は、熱意、学習意欲、協力性、コミュニケーション能力など、他の側面で優れた特性を持っている場合もあります。個々の特性に合った看護の分野を見つけ、適切な支援と指導を受けることで、看護学生は成長し、自信を持つことができます。

看護学生が「自分は看護師に向いていない」と思う瞬間

学校では多くの実習を行いますが、その過程で壁にあたる学生も少なくありません。その壁にあたることで自分は看護師に向いていないのではないかと思う瞬間があります。そこで、看護学生によくある、その瞬間をいくつかご紹介していきます。

知識不足で業務が不安

看護学生は初期段階では医療知識が限られていることが一般的です。この知識不足感は、患者の安全に責任を持つ看護師としての役割を果たすことが難しいと感じさせることがあります。しかし、知識は時間と経験を積むことで補われるものです。継続的な学習と自己向上を通じてこの不安を克服することが可能です。

体力や精神力に自信がない

看護師の仕事は肉体的にも精神的にも非常に要求が高いものです。患者のケア、急患対応、長時間のシフト勤務など、体力と精神力が必要です。これらの要素に自信がない場合、看護師に向いていないと感じることがあります。

しかし、体力や精神力はトレーニングや経験を通じて向上させることができます。また、適切な休息とストレス管理を行うことで、これらの不安は払拭されるので、自分なりの解決法を見いだしましょう。

コミュニケーションをとるのが苦手

看護師は患者、医師、他の看護師と密接に連携し、効果的なコミュニケーションをとる必要があります。コミュニケーションが苦手な場合、患者の信頼を得たり、チームで協力することが難しく感じることがあります。

しかし、コミュニケーションスキルは訓練で向上させることが可能です。内気な方は、人と話すのが苦手という方も多いと思います。そんな方は、まず相手の話をよく聞くことから始めてみましょう。また、話を聞いているときの表情を意識するだけでも、相手の反応は全然違います。

普段からコミュニケーションをとることを念頭に、これらを実践していくことで、自信を持てるようになるはずです。

看護師になる道は困難なこともありますが、多くの学生が克服し、素晴らしい看護師としてのキャリアを築いています。

誰しも壁にはあたります。それを乗り越えることで、一回り大きくなることができ、正看護師になったときに役に立ちます。壁を克服するために自分なりの方法を考え、看護師への道を切り開いていきましょう。

＜看護師・ナースのリアルな声＞学生時代、自分は看護師に向いていないと感じたことはありますか？その理由は？

看護師に向いてないと悩んだときの対処法

看護師に向いていないと感じたとき、悩みを克服するための対処法はいくつかあります。看護学生におすすめの対処法を3つ紹介します。

看護師になりたかった理由を思い出す

なぜ看護師になりたいと思ったのか、その理由を振り返りましょう。看護師になりたいと思った理由には、患者のケアや社会貢献への情熱、人々の健康を支える使命感や看護師への憧れなどがあるはずです。これらの理由を思い出すことで、モチベーションを取り戻すことができます。

勉強方法を工夫して知識をつける

知識不足を感じた場合、勉強方法を見直しましょう。学習スケジュールを立てて、時間を効果的に使いましょう。また、教科ごとに学習計画を立て、自分に合った学習方法を探求しましょう。教材や近年はオンラインを活用して、知識を充実させることができるので、自分にあった勉強方法を確立していきましょう。

誰かに相談する

悩んだときは、一人で抱え込まずに誰かに相談しましょう。指導教員、友人、家族など、信頼できる人に感情や不安を共有することが大切です。相談することで新たな視点やアドバイスを得ることができ、問題解決に役立つことがあります。

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看護学生の素朴な疑問コーナー

看護学生、もしくは看護学生を目指している高校生の中には、「素朴な疑問」が多くあるようです。最後に、看護学生が感じる素朴な疑問をいくつかお答えしていきます。

Q.看護学生はアルバイトできる？

一般的には、看護学生もアルバイトをすることができます。ただし、看護学生のスケジュールは非常に忙しく、臨床実習や学業に多くの時間を費やすことがあるため、アルバイトの時間や種類には制約があるかもしれません。

また、看護学生の学校やプログラムによってもアルバイトの制限が異なることがあります。アルバイトを検討する場合、学業や臨床実習に支障が出ないように計画を立てることが重要です。

Q.夏休みはあるの？

看護学生にも夏休みはあります。専門学校の場合は大学よりも短くなりますが、もちろんあります。夏季休暇中には、学業から一時解放される期間が設けられ、リフレッシュや休息の機会として活用することができます。ただし、夏休み中にも課題がある場合もあるため、計画的に過ごす必要があります。

Q.看護学生にリュックがおすすめってほんとですか？

看護学生にとってリュックは便利なアクセサリーの一つです。多くの学生は教科書、ノート、臨床実習用の道具などを持ち歩く必要があり、リュックは荷物を均等に分散し負担を軽減してくれるのでおすすめです。ただし、学校や臨床実習先の規則に従って、適切なリュックサイズやデザインを選ぶことが大切です。

Q.おしゃれしても大丈夫？

看護学生もおしゃれにすることは可能ですが、臨床実習や学校の規定に従う必要があります。臨床実習では、清潔感があり、患者に信頼感を与える服装が求められます。通常は制服や白衣が必要で、個々のスタイルやファッションはこれに合わせて選ぶことが一般的です。

また、ジュエリーやネイルアートなど、患者の安全に影響を及ぼす可能性のあるものは制限されることがあります。そのため、休日に羽を伸ばしたい！というときは、一日だけ染まるヘアカラーやネイルチップでおしゃれを楽しむのがおすすめです。

まとめ

この記事では、看護学生の卒業までの流れや看護実習についてご紹介してきました。

看護学生生活は、楽しいこともあればつらいこともあるでしょう。それは、今現役看護師として活躍している皆さんも、同じ道をたどって今があります。もしつらいことがあっても、なぜ自分が看護師を目指したのか一度原点回帰してみましょう。また、それ以外の対処法もご紹介したので、自分にあった方法を見つけ、立派な看護師を目指してください。

看護の仕事は、誰にも真似することができない偉大な職業です。あなたのケアが患者の人生に希望と安心をもたらすことがあります。その力に自信を持ち、自分の役割を誇りに思いましょう。

自分の力が人の助けになるという使命感とプライドを持ち、看護学生生活を歩んでみてください。皆さんも成功を願っています。