看護師として転職したばかりなのに、「もう辞めたい」と感じたことはありませんか?実は、あなたが一人で悩んでいるわけではありません。日本看護協会の調査によると、既卒採用者の16.8%が1年以内に離職しているのです。
本記事では、看護師が転職後すぐに辞めたくなる5つの主な理由を徹底分析し、7つの具体的な対策を提案します。人間関係の問題から、予想外の業務内容まで、あなたの悩みに寄り添いながら、解決への道筋を示します。
さらに、転職後すぐに辞めることのメリットとデメリット、辞める際の注意点も詳しく解説。現役看護師の生の声も交えながら、あなたの状況に最適な選択肢を見つける手助けをします。
この記事を読めば、転職の失敗を防ぎ、理想の職場環境を見つけるためのヒントが見つかるはずです。看護師としてのキャリアを諦めずに、より良い未来への第一歩を踏み出しましょう。
新卒採用者と既卒採用者の離職率
まずは、転職後すぐに退職する看護師がどのくらいいるのか見ていきます。
日本看護協会が毎年行っている「病院看護・助産実態調査」の最新調査によると、看護師に認められている「お礼奉公」を利用して仕事をしている新卒看護師の離職率は、2022年「10.3%」となっています。これは、2019年よりも約3%上昇しています。
また、それ以外の既卒採用者の離職率については、2022年「16.8%」となっています。このことから、新卒看護師よりも約6%程度の差があります。
この結果から見ても分かるように、新卒看護師でも10人に1人は就職後すぐに退職をしていることが分かります。また、既卒採用者については、お礼奉公に縛られる必要がない点や、結婚や出産を控える看護師が多いという理由があります。
このような理由から、待遇が悪かったり職場環境が合わない、勤務条件を見直したいなどの退職理由が発生した場合でも、転職を前向きに決断しやすいということになるのかもしれません。
参考元:「病院看護・助産実態調査」
看護師が転職してすぐに辞める理由

転職しても、その職場が合わずにすぐに辞めたいと感じてしまう看護師も少なくありません。それにはどんな理由があるのでしょうか。
人間関係や雰囲気が合わない
新しい職場での人間関係や雰囲気が合わないことは、転職後にすぐに辞めたくなる一因です。職場環境は日々の業務に大きな影響を与えるため、同僚や上司とのコミュニケーションが円滑でない場合、ストレスや不満がたまりやすくなります。
また、職場の理念や価値観が合わないと、自身のモチベーションややりがいなども見失ってしまいます。さらに、パワハラやいじめなどがある職場の場合、精神的にも肉体的にも疲弊し、長続きしづらくなるでしょう。
前の職場の方が良かったと感じる
前の職場と比較して、新しい職場の環境や待遇が劣っていると感じる場合、すぐに辞めたくなる理由となります。また、転職して間もない状況で、職場のいやな部分が見えてしまうと、前の職場の方が良かったと感じてしまう看護師もいるようです。
過去の良い経験と現在を比較してしまうことで、転職先の職場での満足度が低くなり、すぐに辞めたくなってしまうのかもしれませんね。
聞いていた勤務条件と異なる
転職前に期待していた勤務条件や給与と、実際の職場の状況が異なることがあります。求人で確認した内容が実は違ったというのであれば、すぐに辞めたくなる気持ちになるのも分かりますよね。
勤務時間や休日、給与、福利厚生など、思っていたものと違うのであれば、自身のライフスタイルや経済的な安定に影響を与えるため、ストレスや不安を抱き、身体的にも精神的にも影響を及ぼしてしまいます。
そうならないためにも、事前に十分な情報収集をする必要をするのが大切です。
看護師に向いていないと感じる
看護師の仕事は体力的・精神的にも大きな負荷がかかることがあり、すべての人に合うわけではありません。新しい職場での業務内容や難しさに対して、自身が向いていないと感じる場合、転職後にすぐに辞めたくなることがあります。
過度なストレスや負担を感じることで、職業の選択を再考することが生じるかもしれません。
即戦力として責任の重い仕事を任される
特に中途採用の看護師に多いのが、新しい職場で即戦力としての業務を求められることです。慣れない環境や業務内容で、一気に責任ある仕事を任されると、ストレスや不安が高まり、早期に辞める理由になることがあります。
ほとんどの医療機関は慢性的な人手不足となっています。そのため、中途採用の看護師は経験者として即戦力として扱われることが多く、適切なトレーニングやサポートがないまま、高い責任を担う業務を与えられることがあります。
これは、過度なストレスになるのと同時に、もしうまくいかなかった場合、看護師としての自信を喪失させ、職場離れにつながることがあります。
<看護師・ナースのリアルな声>転職後すぐに辞めたいと思った理由は?
転職後すぐに辞めるメリット
転職してすぐに辞めることに対してマイナスのイメージを持たれる方も多いと思いますが、メリットもあります。そこで、転職後にすぐに辞めることでのメリットとデメリットについてそれぞれご紹介していきます。
希望の転職先を見つけやすい
すぐにでも辞めることができれば、自分に合った転職先をそれだけ早く見つけることができます。特に、自分のスキルや経験にマッチする求人が出ている時期に転職することができれば、希望の転職先をより見つけやすくなるでしょう。
様々な悩みを抱え、ストレスを感じながら仕事をするよりも、すぐに仕事を辞め、自分に合った職場を早急に見つけるのがいいでしょう。
ストレスが減る
現在の職場でのストレスや不満が大きい場合、すぐに辞めることで、そのストレスから解放されるメリットがあります。新たな環境に移ることで、前の職場で感じていた問題や不満を避けることができ、心身ともにリフレッシュして次の職場で活躍することができるでしょう。
職場に迷惑がかからない
短期間での辞職は、職場に迷惑をかけずに済む可能性があります。新しい職場での業務に慣れる前に辞めることで、他のスタッフやチームに与える影響が少なく、職場全体への影響を最小限に抑えることができるでしょう。
<看護師・ナースのリアルな声>転職後すぐに退職して良かったこと
転職後すぐに辞めるデメリット
次に、転職後にすぐ辞めるデメリットについてご紹介していきます。
辞め癖がついてしまう
頻繁に転職する習慣がついてしまうと、ちょっとしたことで仕事が嫌になり、何かあれば辞めればいいという辞め癖がついてしまいます。辞め癖がついてしまうと、職場での困難な状況や挑戦に対する忍耐力を養うことができません。
社会に出ると、自分の思い通りにいかないことも多くあります。そのため、我慢しなければいけない場面も多くあるのが社会の在り方でもあります。そのため、自分の中で譲れないものに優先順位をつけて我慢できるところは我慢し、辞め癖をつけないようにするのが大事です。
スキルの習得に時間が掛かる
転職後、新しい職場や業種でスキルを習得するには時間がかかります。短期間の勤務ではスキルや知識の習得が難しく、すぐに辞めてしまうと、新しい職場で一からのスタートになってしまうため時間がかかってしまい、結果的に将来のキャリアに影響を及ぼす可能性があります。
もし、スキルアップやキャリアアップを目指しての転職なのであれば、すぐに辞めずに、地道にスキルや知識の習得を目指すことも大事になります。
職業履歴に記入する必要がある
短期間の転職が続くと、次の転職活動時に履歴書や職務経歴書に記入する際に説明が必要になります。採用担当者からの疑問や不信感を招く可能性があり、転職活動の際にハードルが上がるかもしれません。
採用担当者からは「またすぐに辞めるのではないか」と思われがちになってしまいます。そのため、採用担当者を納得させられるだけの退職理由を準備し、事前に面接対策も必要になってくるでしょう。
<看護師・ナースのリアルな声>転職後すぐに退職して失敗したなと思うこと
看護師が転職してすぐに辞めたいと思った時の対処法

転職してすぐに辞めたいと思ったら、すぐに行動してしまう方も多いと思いますが、そんな時こそ冷静になることが大事です。まずは以下のことを試してみて、どうにもならないようであれば然るべき処置をとりましょう。
辞めたい理由を明確にする
まず、なぜ転職後に辞めたくなったのか、その理由をできるだけ具体的に洗い出しましょう。例えば、人間関係のトラブル、職場の雰囲気、業務負担の大きさなど、どの点が不満やストレスを引き起こしているのかを整理します。
これらを整理することで、退職しなくても解決することができる解決策が見つかるかもしれません。誰かに相談したり、時間がたつことで解決されることもあるかもしれません。すぐに辞めるのではなく、まずは辞めたい理由を分析してみましょう。
辞めたいことを上司に相談する
辞めたい気持ちを上司に伝えることで、現状を理解してもらえる可能性があります。上司はあなたの不満や課題に対するアドバイスやサポートをしてくれるかもしれません。また、職場改善のための提案を行うことで、問題解決に向けた一歩を踏み出すことができます。相談しても無理と諦めるのではなく、ダメもとで試してみるのが大事です。
また、上司に相談できないようであれば、身近な親友や同僚、家族に相談してみるのもいいでしょう。自分の考えとは違ったアドバイスをもらえて、それが問題解決につながるかもしれません。
異動を申し出る
もし辞めたい理由が特定の部署や職種に関連している場合、異動を検討することも一つの選択肢です。特に多くの部署がある総合病院や大学病院などでは、他の部署やポジションでの業務に変わることで、新たなやりがいや挑戦が見つかるかもしれません。
計画的に退職する
辞職を決断する場合でも、突然辞めるのではなく、計画的に退職することが大切です。看護師の求人が少ない時期に退職してしまうと、次の仕事が見つからない可能性もあります。
そのため、適切なタイミングを見極めて、退職の意思を上司や人事部に伝えましょう。引き継ぎや後任の確保、必要な手続きなどを進めることで、円滑な職場移動ができます。また職場によって退職の申し出時期が異なるため、就業規則はしっかり確認してください。
<看護師のリアルな声>転職後すぐに辞めたいと思った時あなたがとった行動は?
転職後にすぐ辞めていいケース
転職後すぐに辞めることは、決して悪いことではないですが、理由と状況によるものが大きく影響します。しかし、すぐに辞めてもまったく問題ないケースもあります。もし、当てはまるのであれば、すぐにでも辞めて新しい職場を検討しましょう。
ブラックな環境の職場
職場で上司や同僚からの嫌がらせや卑劣な言動、セクハラなどがある職場では、メンタルや身体への影響を及ぼし、ストレスから体調を崩してしまうかもしれません。
さらに、過重労働や違法な労働条件によって、健康や生活が損なわれる可能性がある場合は、早めに転職を検討することが必要です。
聞いていた環境と違う
転職前に期待していた勤務条件や職場の雰囲気と、実際の現場があまりにも大きく異なる場合、その職場での満足度が低くなる可能性があります。自身のライフスタイルやキャリア目標に合わない状況での勤務は、将来的な成長や満足度に影響を与えるため、早めの転職を検討することが考えられます。
いじめがある
職場でのいじめや嫌がらせがある場合、健康やメンタルを大きく損なう可能性があります。安全で健全な職場環境が確保されない限り、その職場で働き続けることは難しいです。
もし上司に相談をして改善されなければ、自分自身を守るためにも、早めの退職を選択することを考えてください。
<看護師・ナースのリアルな声>今の職場にブラックな環境やいじめはある?
転職後すぐ辞める時の注意点

今後の転職をスムーズに進めるために、もし転職後すぐに辞めることになった場合、以下のポイントを押さえておきましょう。
退職理由をネガティブに伝えない
転職先での短期間の勤務や急な退職は、次の転職活動に影響を与える可能性があります。次の転職先の面接では、必ずと言っていいほど前の職場の退職理由を聞かれることになります。
退職理由を説明する際には、ネガティブな言葉や感情を避け、冷静なトーンで伝えるよう心がけましょう。前向きな面や成長した点にも言及することで、次の転職先に対する印象を良くすることができます。
辞めるにことになった理由を分析する
転職後にすぐに辞める理由を深く分析しましょう。その理由が個人的なことが要因なのか、職場環境や人間関係の問題なのかを把握することで、将来の転職活動で同じ問題を繰り返さないようにできます。
辞めた後の見通しを立てる
転職後すぐに辞めることになった場合でも、その後のプランや目標を立てておくことが重要です。無計画なままの状態では、次の転職活動やキャリアの方向性が不透明になる可能性があります。
自分のスキルや経験を振り返り、次のステップを考えることで、スムーズな転職活動に繋げることができます。
看護師が転職後すぐに退職しないためには?
転職してすぐに辞めてしまうという失敗は何度も経験したくないはずです。そこで、ここでは看護師が転職を失敗しないための方法をご紹介していきます。
転職先について事前に調べる
転職先の病院や施設について、事前に詳しく調査することが大切です。その施設の評判や雰囲気、働く看護師の声などをインターネットや口コミから探してみましょう。これによって、自分がどのような環境に入るのかを予測し、ミスマッチを防ぐことができます。
自己分析をする
自己分析を通じて、自身の希望や目標を明確にしましょう。どのような勤務条件や職場環境が自分に合うのか、どのようなスキルや能力を活かしたいのかを考えることで、適切な転職先を選ぶ手助けになります。
転職サイトを利用する
転職サイトや求人情報を活用して、幅広い選択肢を比較検討することが重要です。希望条件に合った求人を見つけることで、自分に合った職場に出会うチャンスが増えます。また、転職サイトの情報を通じて、求人先の詳細な情報や現場の雰囲気を知ることもできます。
まとめ
この記事では、看護師が転職してすぐに辞めたくなる理由について解説してきました。
できることなら、転職したらその職場で長く働くことが理想的ですが、中には転職後すぐに辞めたいと思う看護師も多くいます。転職後すぐに辞めるには、メリットもデメリットもあります。まずは、「辞めたい理由」を明確にし、自己分析を行ってみてください。
自分のキャリアを考える上で、転職後すぐに退職する際には慎重な判断が必要です。冷静な視点で選択肢を検討し、将来のキャリアを考えながら行動するようにしましょう。