中堅看護師

【看護師の転職時期完全ガイド】キャリア別・月別・施設別におすすめのタイミングを徹底解説

看護師として働く中で、「もっと条件の良い職場で働きたい」「スキルアップしたい」と思ったことはありませんか?

転職は新たなキャリアへの第一歩。しかし、そのタイミングは慎重に選ぶ必要があります。本記事では、看護師の転職に最適な時期を、キャリア別、月別、そして希望の施設別に詳しく解説します。

さらに、ボーナスの影響や家庭状況など、個人の事情に合わせたベストタイミングの見つけ方も紹介。転職を成功させるポイントや、在職中と退職後の転職のメリット・デメリットまで、幅広くカバーしています。あなたの理想の転職を実現するための、実践的なガイドをお届けします。

転職を考えているすべての看護師の方々に、ぜひ最後までお読みいただきたい内容です。

看護師キャリア別のおすすめ転職時期は?

 

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それではまず、キャリア別の転職時期です。自分が看護師として、どのくらいのキャリアを積んでいるかによって、転職時期として最適かどうかが変わってきます。

 

1~2年目の新人

 

新人看護師としての最初の1〜2年は、医療現場での経験を積む重要な時期です。新しい環境に慣れることや臨床スキルの向上が優先されるため、急な転職は慎重に考えるべきです。

 

また、あまりにも早い段階での転職は、相手にも「またすぐに辞めてしまう可能性がある」と思われてしまいがちです。そのため、新人のうちの転職は慎重になるべきです。ただし、どうしても転職したい場合は、卒業後3年以内の人材を指す「第二新卒」を募集している職場を選ぶのがいいでしょう。

 

3~5年目

 

3〜5年目には、臨床スキルの磨き上げとともに、自身のキャリアパスを見つめ直す重要な段階です。他の医療機関での経験を積むことで、広い視野を持ち、新たな知識やアプローチを学ぶチャンスとなります。

 

またある程度の英検と知識があるため、どの職場でも即戦力として考えてくれます。時期を問わずに採用されやすく、看護師としての転職を考えている方にとっては最適な時期といえるでしょう。

 

6~10年目

 

看護師としての経験を6〜10年積んだ段階では、マネジメントポジションの求人が増えてきます。この時期の看護師は、実績や経験が豊富で、即戦力として評価されます。また、リーダーシップやチームマネジメントの経験を積むことで、キャリアをさらに発展させることが可能です。

 

このような人材は、職場でも必要なため求人も多く、転職時期として最適な時期といえるでしょう。ただし、この時期になると、結婚や出産といった私生活の変化が出てくる時期でもあるので、それらの兼ね合いを見定めて慎重に転職をするのが必要です。

 

11年目以上

 

11年目以上となると、看護師としてベテランの域に達してきます。そのため、転職を迷われる方も多いでしょう。実際のところ、このくらいのキャリアのある看護師は、間違いなく管理者の即戦力として期待されます。

 

実績やスキルがある人材は重宝されるので、多くの医療機関から重宝されるのは間違いありません。もちろん求人数も多く、これまでの経験と知識を活かし、部門やプロジェクトの責任者として活躍することが期待されます。組織全体の運営に関わる重要なポジションを目指す際には、経営戦略や人材管理などのスキルを磨くことが重要です。

 

1年で看護師が転職しやすい時期は?

 

次に1年間の中でもっともおすすめの転職時期についてご紹介します。月によって転職状況が変わってくるので、転職を成功させたいという方はぜひ参考にしてください。

 

1月(おすすめ)

 

新年を迎える1月は、求人情報が多く更新される時期です。多くの医療機関が新たなスタッフを募集するため、転職のチャンスが豊富です。また年始ということでそこまで求職活動が活発ではありません。年明け早々に転職活動を開始し、新しい職場でのスタートを切るのも良いでしょう。

 

2月(おすすめ)

 

2月も求人情報が充実しており、転職の選択肢が広がる時期です。年度の変わり目に向けて、医療機関がスタッフの補充を行うため、積極的な転職活動がおすすめです。

 

3月

 

新年度の準備が進む3月は、転職にはやや落ち着いた時期です。ただし、前年度の終了に伴い、一部の職場で人員補充が行われることもあります。求人情報をチェックし、積極的に情報収集を行いましょう。

 

4月(おすすめしない)

 

新年度のスタートとともに、多くの看護師が新たな職場での業務に就くため、中途採用の求人が減少する傾向があります。そのため、数少ない求人で競争が激しくなり、転職活動には難しい月と言えるでしょう。

 

5月

 

5月は求人情報の数が増える傾向にありますが、まだ新年度が始まったばかりという時期です。新人看護師への研修などで医療機関も忙しく、大型連休なども重なるため積極的な採用活動を行わない医療機関がほとんどです。

 

6月(おすすめ)

 

6月はボーナスの支給付きということもあり、このタイミングで離職する看護師も多いです。新卒の研修期間も終わり、業界全体もだいぶ落ち着いてくるため、求人情報が増加する傾向があります。積極的な転職希望者にとってチャンスの多い月と言えるでしょう。

 

7月

 

ボーナス後の7月は、人員不足を解消するために募集を行う医療機関も多くあるため、転職を検討している方にとってはおすすめの時期といえるでしょう。しかし、夏季休暇に入る時期でもあるため、動きがない医療機関もあります。転職を検討している方は情報収集を怠らないようにしましょう。

 

8月

 

8月は夏季休暇やお盆などの大型連休があるため、転職に関する活動が一時的に停滞する可能性があります。ただし、秋に向けた求人情報が出始めるため、情報収集や準備を進めるのが良いでしょう。

 

9月(おすすめ)

 

夏が終わり、秋に向けて求人情報が増える9月は、転職に適した時期と言えます。特に即戦力を求める求人が多く、新しい環境でのスタートを考えている方にとって、とてもおすすめな時期といえるでしょう。

 

10月

 

10月は9月の反動により、求人が少なくなる時期です。しかし、年末の離職者に備えて下旬から求人は増える傾向にあるので、転職を希望する方は、こまめに求人チェックをするのがいいでしょう。

 

11月(おすすめ)

 

年末の離職者分の看護師を補充するために、求人情報が一気に増える11月は、転職に適したベストタイミングの一つです。うまくいけば新しい年を迎える前に、新しい職場でのスタートを切ることができるかもしれません。

 

12月(おすすめしない)

 

年末は業員自体が忙しく、医療機関側の採用活動がほぼ停止します。さらに、求人情報が減少することが多いため、転職活動には不利な月と言えます。新しい年に向けて準備を整えつつ、来年の転職に向けた計画を立てるのが良いでしょう。

 

月の中でおすすめの転職時期は?

 

1年のうちに、何月が転職時期として適しているのかご紹介してきましたが、もう一つは月の中での転職時期のタイミングです。月は上旬・中旬・下旬に分かれますが、この中でもっとも最適なのが中旬です。

 

一般的な医療機関は、上旬と下旬とは採用担当者が忙しいことが多いです。中旬であれば、比較的時間の都合がつきやすく、スムーズな面接を行うことができるでしょう。

 

ただし何月に求人活動を行うかによって異なるため、あくまでも目安としてとどめておいてください。

 

希望の施設別転職時期は?

 

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看護師の転職は、病院だけにとどまりません。クリニックや診療所、訪問看護師に転職を考えている方もいるでしょう。そこで、希望の施設別に最適な転職時期をご紹介していきます。

 

大手病院

 

大手病院は多くのスタッフを抱え、複雑な医療体制が敷かれています。転職の際には、病院の年間スケジュールや人員補充のタイミングを把握することが重要です。

 

先ほどもご紹介したように、春は多くの病院が新卒看護師を採用するシーズンのため、転職には不向きかもしれません、一方秋になると、人員補充が行われるため、経験豊富な看護師は即戦力として活躍できるでしょう。

 

ただし大手病院は、前もって手続きを行わなければ面接までに長い期間が必要になることがあります。そのため、転職時期を何月にするか決めているのであれば、最低でも3ヶ月前から準備を進めるのがいいでしょう。

 

クリニック・診療所

 

クリニックや診療所は一年を通じて患者の来院があるため、基本的には通年で転職が可能です。ただし、年末年始や夏季休暇の前後など、患者数が多い時期を避けることがおすすめです。4〜5月や9〜10月は募集が多い傾向にあるので、おすすめの時期となります。

 

訪問看護師

 

近年は高齢化の影響や在宅医療を希望する患者も多く、訪問看護師の需要は非常に高くなっています。他の施設と違い、1年通した募集を見ることができます。育成体制も整っているので安心して転職することができるでしょう。

 

看護師の現状によって転職時期は変わる

 

転職を希望する看護師には、それぞれ置かれている状況は違います。それぞれ、どのような転職時期が適しているのか解説していきます。

 

子育て中の看護師の場合

 

お子様がいる看護師の方は、転職に適した時期に転職するというよりは、お子様に合わせた転職をするのがいいでしょう。

 

お子様が学校に入りたての時期は、新しい環境でトラブルが出ることもあります。そのため、その時期を避けるのがおすすめです。

 

子供の夏休みに合わせて、新しい職場でのスタートを切ることで、仕事と家庭のバランスを調整しやすくなる6〜7月、子供の学校が再開し、家庭の時間が確保しやすくなる9~11月の秋頃が転職時期としておすすめです。

 

新人・ブランクのある看護師の場合

 

新人やブランクのある看護師の場合は4月がおすすめです。新卒看護師やブランク明けの看護師を募集する医療機関が増えるシーズンで「ブランクOK」「未経験OK」という求人を多く目にします。

 

そのため、新しいスタートを切りやすく高度なスキルも必要としないため、スキルを身に着けたり勘を取り戻すためには、最適な求人が多いです。

 

派遣・パート看護師の場合

 

派遣やパートの看護師は、通年で求人情報があります。自身のスケジュールに合わせて働くことができるため、転職のタイミングは比較的柔軟です。2〜3ヶ月前からしっかり準備して転職を行ってください。

 

ベテランの場合

 

ベテラン看護師の場合も、年間通して求人情報があり即戦力としてすぐに働くことができます。看護師の中でも歓迎されやすいため、時期を気にせず転職活動を行っても問題ありません。スムーズな転職をするために、時間に余裕をもって活動をするようにしましょう。

 

ボーナス支給時期によっても転職時期は変わる

 

ボーナスを受け取った後に転職を考えることで、経済的に余裕を持って新しい職場にスムーズに移ることができます。もしボーナス対象者であれば、ボーナス支給後に転職を考えるのもいいでしょう。

 

しかし、その後の転職を考えている場合は、引き継ぎなどしっかり行い、今の職場に迷惑のかからないように努めてください。

 

看護師が転職を上手に行うポイントとは?

 

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ここでは、看護師転職を有利に進めるためのポイントについてご紹介します。希望の転職を実現するためにも、必ずチェックしておきましょう。

 

転職理由を明確にする

 

転職を検討する際、なぜ転職を考えるのかを明確にすることが大切です。自身のキャリアゴールや成長を考え、現在の状況とのギャップを整理しましょう。転職理由を具体的に示すことで、面接や履歴書の際に説得力を持たせることができます。

 

もし理由があいまいな場合、病院側からいい印象をもたれることはありません。今の職場からなぜ転職したいのかを明確にし、滞りなく転職活動をしてください。

 

情報収集をする

 

転職を成功させるためには、豊富な情報収集が不可欠です。転職先の施設や職場の特徴、雰囲気、評判などを調査し、自身の希望に合った環境かどうかを確認しましょう。また、転職サイトや求人情報、専門のキャリア相談を利用して、最新の情報を収集することが重要です。

 

面接での答え方を準備しておく

 

面接では自己PRや志望動機を的確に伝えることが求められます。転職理由やなぜその職場を選ぶのか、自身の強みやスキルをどのように活かしていくかなど、予め準備をしておくことが大切です。具体的な事例や経験を挙げ、自分のアピールポイントを引き立てましょう。

 

転職サイトを活用する

 

転職サイトは、求人情報を簡単に収集し、自身の条件に合った求人を見つけるための有用なツールです。複数の転職サイトを比較し、求人情報の正確性や充実度をチェックすることで、効果的な情報収集が可能です。また、転職サイトのアドバイスやコンテンツを活用して、転職活動のステップを支援してもらうこともおすすめです。

 

看護師が職場を円満に退社するためには?

 

看護師として職場を円満に退社するためには、適切なコミュニケーションと手続きが重要です。社会人としての最低限のマナーとして、まわりに迷惑をかけないように転職するようにしましょう。

 

直属の上司に退職の旨を伝える

 

退職を検討している場合、まずは直属の上司に退職の意思を伝えることが大切です。直接話すことで、理由や思いをしっかり伝えることができ、円満な退社への第一歩となります。上司との対話を通じて、適切な退職のスケジュールや引継ぎの方法を相談しましょう。

 

直属の上司というのは一般的には病棟の看護師長になります。退職にむけた準備を一緒に行ってくれるはずです。退職を報告するタイミングは、就業規則を確認し行うようにしましょう。

 

引き止めにくい転職理由を伝える

 

転職をする理由は様々ですが、円満な退職のためには引き止めにくい理由を明確に伝えることが大切です。引き止められにくい理由としては「前向きな理由」もしくは「引き止めにくい理由」です。

 

スキルアップや資格取得、家庭の事情や健康の理由など、相手が納得しやすい理由を提示することで、円満な退職をすることができます。

 

退職届を書類で出す

 

退職することが確定したら、正式に退職届を提出する必要があります。退職届は書類として提出し、所定の手続きを行うことで、職場との関係をしっかり整理することができます。退職届の提出期限や手続き方法については、事前に確認しておきましょう。

 

ちなみに、退職の旨をメールや電話などで伝えるのは、ルール違反なので気を付けてください。

 

退職できなさそうなときは退職代行を利用する

 

一部の職場では、退職が難しい状況に直面することがあります。このような場合には、退職代行サービスを利用することで円満な退社を支援する方法もあります。専門のコンサルタントが介入し、円滑な退職手続きをサポートしてくれます。

 

転職の準備は早めに行う

 

退職を検討している場合、転職先の探索や準備は早めに始めることがおすすめです。求人情報の収集や面接の準備を進めることで、スムーズな転職活動が可能となります。

 

看護師の状況に合わせて、転職時期には適している時期やそうでない時期があります。そこから逆算して、3ヶ月前には行動をするようにしましょう。

 

在職中と退職後の転職はどっちがいいの?

 

看護師が転職を検討する際、在職中に転職するか、それとも退職後に転職するかは検討すべきポイントです。そこで最後に、在職中と退職後の転職それぞれのメリットとデメリットについて詳しく解説します。

 

在職中に転職するメリット・デメリット

 

在職中に転職するメリット

 

在職中の転職は、収入を保ちながら新しい職場を探すことができます。安定感を保ちながら転職活動を進められるため、経済的なリスクを軽減でき、精神的にもゆとりをもつことができます。

 

また、新たな職場でのスタートをすぐにきることができます。そのため、仕事をしないという機関がないため、収入を途絶えさせることがありません。

 

在職中に転職するデメリット

 

在職中の転職活動は、仕事との両立が必要です。忙しさが増すことで、ストレスや疲労が蓄積される可能性があります。かなりタイトな生活になるので、しっかりスケジュール管理を行う必要があります。

 

退職後に転職するメリット・デメリット

 

退職後に転職するメリット

 

退職後に転職活動を行うことで、時間を転職活動一つに費やすことができます。またスケジュールに余裕があるため、転職先の都合に合わせてスケジュール調整をすることができます。

 

退職後に転職するデメリット

 

退職後の転職は、一時的に収入が途絶える可能性があります。経済的な不安が生じることがあります。そのため、経済的余裕がない場合、現職を退職した後、新しい職場までの期間をどのように過ごすかを計画する必要があります。

 

また新しい転職先が決まらない場合、経済的な焦りから大きなプレッシャーとストレスがかかります。そのため、退職後に転職する場合はある程度の貯蓄をもって行うのがいいでしょう。

 

まとめ

 

この記事では、看護師が転職する際のベストタイミングやポイントについて、様々な角度から解説してきました。

 

転職したいという看護師の中には、今すぐ転職をしたいという方も多くいるでしょうが、転職時期を間違えてしまうと、その気持ちとは裏腹にうまくいかないことも考えられます。そのため、最低でも3ヶ月間の準備期間を設けて、ゆとりをもって転職活動をするようにしましょう。

 

転職を成功させるためには、タイミングは重要です。自分にとって最適な転職時期を意識し、後悔のない転職を叶えてください。

【准看護師ができないこと完全ガイド】業務範囲・できない業務と悩みを徹底解説!

医療の現場で重要な役割を果たす准看護師。しかし、その業務には正看護師と異なる制限があることをご存知でしょうか?

本記事では、「准看護師ができないこと」に焦点を当て、その実態と背景を徹底解説します。自己判断での業務遂行や看護計画の立案、さらには管理職への昇格まで、准看護師の仕事の範囲と限界を明らかにします。

また、訪問看護の現場での特有の制限や、准看護師が抱えやすい悩みについても詳しく紹介。准看護師を目指す学生や、キャリアアップを考える現役准看護師の方々にとって、貴重な情報源となることでしょう。

准看護師の役割と可能性、そしてキャリアパスについて、最新の法規制や現場の声を交えながら探っていきます。医療チームの中で、准看護師はどのように活躍できるのか。その可能性と課題を、ぜひこの記事で確認してください。

准看護師とは?

 

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准看護師は、看護師と同様に患者の健康管理や医療ケアに関わりながら、医師や看護師の指示のもと、様々な業務を担当します。

 

看護師が国家資格に対し、准看護師は各都道府県の自治体が免許を発行しているため、国家資格ではありません。主な仕事内容は以下の通りです。

 

・患者の入浴や食事の介助、体位の変更、排泄のケアなど、基本的な日常生活のサポートを行います。

 

・血圧や脈拍、体温などのバイタルサインの測定を行い、患者の状態をモニタリングします。

 

・医療器具や処置に必要な材料の準備や片付けを行い、清潔な状態を保ちます。

 

・患者の状態や処置内容などを適切にカルテに記録し、連携を図ります。

 

・患者やその家族とのコミュニケーションを通じて、安心感を提供し、必要なサポートを行います。

 

・看護師の指示の下で、薬の配薬や点滴の管理、傷の処置など、さまざまな医療処置を補助します。

 

准看護師は、看護師と同様に患者の健康管理や医療ケアに関わる仕事です。仕事内容は看護師とさほど変わらないように見えますが、一体何が違うのでしょうか。

 

准看護師と看護師の仕事内容の違い

 

准看護師と看護師の仕事内容には大きな違いはありませんが、両者の大きな違いは仕事の進め方です。

 

准看護師は、医師や看護師の指示のもとで業務を行いますが、看護師はより幅広いケア業務を独自に担当します。また、指示に従い業務を行うため、診断や治療計画の立案などの判断を行うことはありません。つまり、医師や看護師の指示を仰ぎながらサポートをするのが准看護師の業務といえます。

 

准看護師ができないこと

 

このように、看護師と准看護師は定義や免許が異なることで、看護師にはできても准看護師にはできないことがありますのでご紹介していきます。

 

自己判断で看護業務ができない

 

准看護師は、看護師とは異なり、独自の判断で診断や治療計画を立案することはできません。そのため医療判断は、医師や看護師の指示が出るまで行うことができません。

 

例えば、入院患者から入浴や食事の介助をお願いされたとしても、一度医師や看護師に報告をし、支持をもらわなければ患者のお願いを聞くことができません。これは一例ですが、どんな業務に対しても自己判断はすべてNGです。

 

他の看護師への指示出し

 

准看護師は看護師の補助的な役割を果たすため、他の看護師に対して指示を出すことはできません。

 

例えば、准看護師がベテランで新人看護師がどのような対応をすれば困っていたとしても、それに対して意見をすることやアドバイスをすることは禁じられています。

 

看護計画を立案

 

看護計画とは、患者さんの入院から退院までの計画表のようなもので、どのように過ごすのか、退院までどのような目標を掲げるかを明確にしたもので、患者一人一人にあるものです。

 

看護計画についての勉強は看護学校や看護大学で行われます。しかし、准看護師を目指すための学校では、看護計画についての勉強はしません。看護計画の立案は主に看護師の責任です。准看護師は看護師の指示に基づいて業務を行うため、自ら看護計画を独自に立案することはありません。

 

管理職への昇格

 

准看護師は看護師とは異なり、管理職への昇進やリーダーシップポジションに就くことは難しい場合があります。管理職への昇進には通常、看護師免許が必要とされます。

 

確実にキャリアアップを目指したいという方は、指示出しや看護計画を立案ができる看護師資格を取得するのがいいでしょう。

 

訪問看護の現場で准看護師ができないこと

 

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ここまでは、病院やクリニック、診療所などの准看護師ができないことをご紹介しましたが、訪問看護の現場で活躍している准看護師にも、特有のできないことがあるのでご紹介していきます。

 

看護計画書および報告書の作成

 

訪問看護の現場では、患者の状態やケア内容を正確に記録することが不可欠です。しかし、看護計画書や報告書の作成を行うのは、主に看護師か保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と厚生労働省によって決められています。

 

准看護師は医師や看護師の指示に従いケアを行いますが、独自に計画書や報告書を作成することはできないので注意が必要です。

 

訪問看護ステーションの管理者

 

訪問看護ステーションの管理業務やリーダーシップポジションは、通常、看護師免許を持つ看護師、もしくは保健師と決まっています。

 

准看護師は看護師の補助的な役割であるため、ステーション全体の管理者としての役割は果たすことができません。

 

オンコールの対応ができない

 

訪問看護の現場では、急な患者の状態変化や緊急のケアが必要な場合に備えて、オンコール体制が整えられることがあります。オンコールの対応は、看護師や保健師と決められています。そのため、准看護師は24時間対応体制の担当ができません。

 

准看護師にできること

 

これまで解説してきたように、准看護師は医師や看護師の支持を受けて業務をするわけですが、業務の内容は看護師とさほど変わりません。ここでは、准看護師の業務内容を簡単にご紹介していきます。

 

准看護師の業務内容

 

・血圧、脈拍、体温の測定

 

・点滴の作成、投与

 

・静脈路の確保

 

・カルテ入力業務

 

・カンファレンスに参加

 

・食事、入浴、排泄介助と体位変換

 

・手術、処置の補助

 

・夜勤巡回、夜間患者対応

 

・手術、処置の補助

 

・採血・静脈内注射

 

・服薬管理

 

・患者さんの送迎

 

・シーツ交換

 

このように業務内容は看護師とほとんど変わらない業務を行います。

 

准看護師が抱えやすい悩み

 

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看護師を近くで見ながら業務に励んでいる准看護師の中には、ほぼ同じ業務をこなしながらも、待遇にやや差があるケースもあることから悩みを抱えている准看護師も多いようです。最後に、准看護師がどんな悩みを抱えているのか見ていきましょう。

 

求人数が少ない

 

准看護師の求人数が看護師に比べて限られていることがあります。医療機関や施設によっては、准看護師の需要が少ないため、求職に際して選択肢が制限されることがあるかもしれません。

 

例えば、大学病院や総合病院では看護師の求人数のほうが圧倒的に多いため、大きな病院で「最新医療を学びたい」「様々なスキルを身に付けたい」という准看護師がいても、求人数は圧倒的に少ないです。

 

ただ重要がないわけではなく、クリニックや個人診療所では准看護師の求人が多いので、クリニックや個人診療所に絞って、できるだけ理想に近い職場を見つけてみるのもいいでしょう。

 

看護師と同レベルの仕事を求められるのに給料に差がある

 

准看護師は看護師の補助的な役割を担うため、同じ業務内容を求められながらも、給料が看護師よりも低いです。これは准看護師の給与体系が整備されていないことが一因です。

 

厚生労働省が発表した「准看護師と看護師の収入差」を見てみると、賞与・手当を含む年収額は看護師の「約499万円」に対し、准看護師は「約407万円」となっています。

 

参考元:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査

 

業務内容は変わらないのに、給料が月に5万程度差がつくというのは、准看護師をしていくモチベーションの低下を招いてしまう要因になるケースもあります。

 

学ぶ機会が少ない

 

准看護師のなかには、効率よくスキルアップを図りたいと考える方も多いでしょうが、まず看護師資格の取得・キャリアアップが最優先事項となるため、看護師と平等に勉強できる機会や研修への参加が設けられていません。

 

そのため、新しい医療技術や知識の習得の機会を望む方には、物足りないと感じる不満が出てしまうでしょう。

 

キャリアアップができない

 

准看護師のキャリアアップには制約があることがあります。管理職やリーダーシップポジションへの昇進には、通常、看護師の免許が必要とされるため、その道が難しい場合があります。そのため、いくら長く准看護師として働いたとしても、次のステップに進むのはできません。

 

まとめ

 

この記事では、准看護師ではできないこと、また准看護師が抱える悩みについて解説してきました。

 

准看護師は、自己判断で看護ができない、キャリアアップができないという制限がありますが、業務内容は看護師とさほど変わりません。そのため、待遇の差により不満や悩みを持つ准看護師も多くいます。もし、悩みを解消したい場合は、更なるキャリアアップを図るためにも看護師の資格取得を目指してみるのもいいでしょう。

 

とはいえ、准看護師の需要が少ないわけではありません。准看護師は看護師よりも1年以上早く資格を取得できるため、費用をかけずに看護の現場に看護師よりも早く立つことができます。准看護師としてキャリアを積みながら、看護師の資格取得を目指すこともできるので、早めにキャリアを積んでいきたいという方は、まずは准看護師を目指すのもいいのではないでしょうか。

 

今回ご紹介した内容を参考に、納得のいく看護師キャリアを進んでみてください

【看護師の種類完全ガイド】4つの資格と専門分野、キャリアパスを徹底解説

看護師といえば、病院で働いている看護師をイメージする方も多いでしょうが、看護職には看護師を含め4つの種類があります。それぞれ仕事の内容や資格の取得方法も異なってくるため、これから看護職を目指す方にとって、どんな仕事が自分に合っているのか変わらない方は、ぜひ知っておきたいですよね。

 

そこで本記事では、看護師の種類について、それぞれの仕事内容や職場、資格取得までの道のりなど詳しく解説していきます。

 

看護職の種類とは?

 

看護職には看護師をはじめ、准看護師・助産師・保健師の4種類があります。それぞれ専門的なスキルが必要で、違った形で人々の健康と命を守るサポートをすることになります。

 

看護師

 

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看護師は、医療現場で重要な役割を果たす専門職です。患者のケアを担当し、医療チームの一員として働きます。看護師の主な仕事内容や職場、資格の取得方法をご紹介していきます。

 

看護師の仕事内容

 

看護師の仕事は以下の通りです。

 

・看護師は、患者の状態をモニタリングし、体調の変化や問題をいち早く発見するポジションです。適切な処置が求められる役割も担っており、薬物投与や点滴など、医師の指示のもと患者の健康を保つためのケアを提供します。

 

・医師や他の医療専門家と協力して、患者の治療プランを立て、その実行をサポートするのも看護師の大きな仕事です。適切な処置や検査のスケジュール、病状に合ったケアの提供などを行います。

 

・緊急事態や急変した状況に対応し、適切な応急処置を行います。心停止や呼吸困難など、命に関わる状況でも冷静な判断力と行動力が求められます。

 

・看護師は医師や薬剤師、リハビリスタッフなど他の医療専門家と連携し、患者のケアをしていく役割も担っています。また、食事介助など補助が必要な患者には、身の回りのケアなどをサポートしていきます。

 

・患者やその家族に対して、精神的・身体的な痛みに対して支えになってあげるのも大きな仕事です。不安にならないよう、心の支えになってあげるのも看護師の役割です。

 

看護師が活躍できる職場

 

看護師として活躍できる職場は以下の通りです。

 

病院(クリニック・診療所)

 

もっとも一般的な職場になります。一般病棟や一般病棟や外来、手術室などで患者ケアを担当します。さまざまな疾患や状態に対応する能力が求められます。

 

・介護施設(福祉施設・障害者施設など)

 

高齢者や障害者のケアを提供する介護施設でも看護師は必要です。日常生活のサポートから医療的なケアまで幅広い役割を果たします。

 

・在宅ケア(訪問看護ステーションなど)

 

在宅でのケアも重要な分野です。患者の自宅でのリハビリや治療をサポートし、その家族にも支援を提供します。

 

・教育機関(保育園・幼稚園・学校など)

 

保育園・幼稚園・学校などの教育機関でも活躍することが可能です。子供たちの健康を、しっかりサポートして、ケガや体調不良などに対し適切な対処を行います。

 

・看護学校や医療専門学校

 

看護学校や医療専門学校での教育職も選択肢です。次世代の看護師の育成に関わることで、医療の未来に貢献します。

 

・産業界(医療機器企業・製薬会社など)

 

医療機器や製薬会社などで、製品の開発や販売、健康情報の提供など、産業界でのキャリアもあります。

 

資格取得方法

 

看護師の資格を取得するには、以下のステップを踏む必要があります。

 

看護師を目指すためには、看護学校に入学する必要があります。高校卒業程度以上の学歴が求められる場合が多く、3年制の専門学校、もしくは4年制の看護大学に入学し、国家試験に合格する必要があります。

 

看護学校では基本的な医学的知識や看護技術、倫理などが学べます。実務実習も行われ、実際の医療現場での経験を積みます。

 

国家試験に合格した後、実際の医療現場での実務研修を経て、正式に看護師としての資格を取得します。

 

准看護師

 

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准看護師は看護師と変わらない仕事内容になりますが、大きな違いとして看護師が国家資格を必要するのに対し、准看護師は各自治体が実施する試験に合格すれば資格を取得することができるという点です。

 

また、自らの判断で業務を行うことは禁止されているので注意しなければいけません。

 

それでは、准看護師の主な仕事内容や職場、資格の取得方法をご紹介していきます。

 

准看護師の仕事内容

 

准看護師の仕事は以下の通りです。

 

・准看護師は医師や看護師の指示に従い、患者の身の回りのケアを行います。食事の提供、入浴のサポート、排泄の介助など、患者の日常生活のサポートを行います。

 

・診療時に医師や看護師のサポートとして患者の準備を行ったり、検査材料の準備を手伝ったりする役割があります。検査結果の記録や報告も担当します。

 

・看護師の指示に基づいて患者への薬物投与を行うことも多くあります。薬の用意や説明、投与の監視を通じて、患者の安全な治療をサポートします。

 

・患者の体温、脈拍、血圧などのバイタルサインのモニタリングを行い、異常を検出した場合には看護師に報告します。

 

・緊急事態に備え、准看護師も基本的な応急処置を行います。心肺蘇生や出血の止め方など、必要な場面で的確に対応します。

 

・看護師同様、患者やその家族に対して、心のケアを行うのも大きな仕事です。不安にならないよう、心の支えになってあげます。

 

准看護師が活躍できる職場

 

准看護師として活躍できる職場は以下の通りです。

 

・病院

 

病院の一般病棟や外来、手術室などで、看護師と連携して患者ケアを行います。医師や看護師のサポート役として、診療補助をするのが主な仕事になります。

 

・介護施設(社会福祉施設など)

 

高齢者施設やデイケアなど、介護の現場でも准看護師は求められます。入浴介助や薬物管理、健康状態のモニタリングなどを行います。

 

・診療所やクリニック

 

診療所やクリニックでは、医師のもとで患者の診療サポートを行う役割があります。検査の準備や診察の補助、診療記録の管理などが含まれます。

 

・在宅介護施設

 

在宅でのケアでも、准看護師の存在は重要です。患者や家族のニーズに合わせて、様々なケアサービスを提供します。

 

・リハビリ施設

 

リハビリテーションセンターやリハビリ施設で、患者のリハビリプログラムを支援する役割を果たします。訓練の補助や進捗のモニタリングを行います。

 

資格取得方法

 

准看護師の資格を取得するには、以下のステップを踏む必要があります。

 

准看護師を目指すには、看護課程がある2年制の専門学校、もしくは高校の看護衛生科に通って単位を取得する必要があります。その後、准看護師の資格試験に合格することで資格取得になります。

 

看護師よりも早く資格が取得でき、費用を抑えることもできるため、一定の人気のあった資格ですが、現在は、准看護師の養成機関は減少中となっており、厚生労働省も准看護師より看護師の取得を推奨しています。

 

助産師

 

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助産師は、妊娠・出産・産後のケアを提供する専門職です。母体と赤ちゃんの健康をサポートし、安全な出産体験を提供します。

 

また出産のサポートだけでなく、不妊治療に関する相談や思春期の女子への性の相談などにも対応する必要があります。

 

それでは、助産師の主な仕事内容や職場、資格の取得方法をご紹介していきます。

 

助産師の仕事内容

 

助産師の仕事は以下の通りです。

 

・妊娠中の女性に対して、定期的な健康チェックや健康アドバイスを提供します。体重管理、栄養指導、運動のアドバイスなど、妊娠期間中の健康管理を支援します。

 

・助産師は分娩時に立ち会い、出産をサポートします。陣痛のモニタリングや安定した環境の提供、分娩プロセスのガイダンスを行い、母親の安全な出産を助けます。

 

・出産後の母親と赤ちゃんのケアを提供します。授乳指導、産後の健康チェック、身体的な回復支援などを行い、母子の健康をサポートします。

 

・助産師は妊娠・出産に関する情報を提供し、母親と家族に適切なケア方法や健康管理の手法を教えます。予防接種や子育てに関するアドバイスも行います。

 

・助産師は、不妊治療に関するサポートも大きな仕事です。不妊の原因や治療方法について説明し、適切な検査や治療プランを立てるサポートを行います。また、心理的なサポートも重要であり、希望と不安を共有しながら励まし合います。

 

・思春期の女子は性に関する不安や疑問を抱えることがあります。月経についてや身体の変化、性感染症の予防や避妊方法など、オープンなコミュニケーションを通じて、安心して質問できる環境を提供し、適切な回答やアドバイスを行います。

 

助産師が活躍できる職場

 

助産師として活躍できる職場は以下の通りです。

 

・病院の産婦人科

 

病院の産婦人科では、助産師は妊娠中から出産、産後までのケアを提供します。分娩室や産後ケア室での勤務が一般的です。

 

・助産院

 

助産院では、自然な出産を重視したケアを提供します。個別のアプローチで妊婦のケアを行い、出産のサポートを行います。

 

・診療所やクリニック

 

助産師は診療所やクリニックでも妊娠中の健康管理や出産のサポートを行います。アドバイスや健康教育を通じて、母子の健康をサポートします。

 

・保健センター

 

助産師としての経験を活かして、地域の保健センターで活躍することもできます。保健センターは、地域の住民に対して健康や子育てに関する支援やサービスを提供する施設で、様々な活動を通じて地域の健康増進に貢献します。

 

資格取得方法

 

助産師の資格を取得するには、以下のステップを踏む必要があります。

 

助産師の資格は、看護師の資格を取得しなければ取得することができない資格です。そのため、助産師を目指す方の中には、看護大学に進学し看護師と助産師の勉強を行い、同時に受験する方もいます。

 

もしくは、3年制の専門学校や短大で看護師の資格を取得し、助産師養成所に1年通い、国家試験を受けて資格を取得することもできます。

 

保健師

 

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保健師は、地域や職場で健康づくりや予防活動を推進し、住民の健康をサポートする専門職です。生活習慣病やメンタルヘルスに関することなど、現代病ともいわれる様々な健康上の問題に対応することが求められます。

 

また保健師には、学校で働く「学校保健師」民間企業で働く「産業保健師」行政機関で働く「地域保健師」などがあり、地域や企業、生徒などすべての人が対象となります。

 

それでは、保健師の主な仕事内容や職場、資格の取得方法をご紹介していきます。

 

保健師の仕事内容

 

保健師の仕事は以下の通りです。

 

・保健師は住民の健康状態を把握するため、健康調査を行います。健康診断結果の分析や個別の健康相談を通じて、健康に関する問題やニーズを特定し、適切なアドバイスや支援を提供します。

 

・母子の健康をサポートするのも仕事です。予防接種、健康教室、栄養指導などを通じて、乳幼児や母子の健康をサポートする仕事を行います。

 

・特定健康診査や生活習慣病の管理を通じて、住民の健康状態をモニタリングします。喫煙者に対する禁煙指導やメタボリックシンドロームなど、適切な健康アドバイスや生活改善の提案を行い、健康な生活の習慣を促進します。

 

・災害時には、保健師は避難所での健康管理や感染症の予防などを担当します。地域の安全と健康を守るために、迅速な対応が求められます。

 

保健師が活躍できる職場

 

保健師として活躍できる職場は以下の通りです。

 

・保健センターや保健所

 

保健センターでは、地域住民の健康増進や健康相談を担当します。健康診断や予防プログラムの実施、子育て支援などが行われます。

 

・学校や保育施設

 

学校や保育施設で、児童・生徒や保護者への健康指導や健康教育を行います。予防接種の実施や学校給食の管理も担当します。

 

・企業や施設の健康管理部門

 

企業や福祉施設などの健康管理部門で、従業員や利用者の健康管理を担当します。健康診断や健康プログラムの企画・実施、健康相談などを行います。

 

・医療機関(病院・診療所・クリニック)

 

病院やクリニックで、患者の健康相談や健康教育を行います。生活習慣病の予防や健康管理のサポートを提供し、医療チームと連携して患者の健康をサポートします。特に慢性疾患の管理やリハビリテーションのサポートが重要です。

 

・公衆衛生センター

 

公衆衛生センターや保健所では、感染症対策や健康調査などの公衆衛生活動を支援します。地域の衛生状態の向上を目指します。

 

保健師の仕事は多岐にわたります。始めに解説したように、学校保健師・産業保健師・地域保健師など、どのような保健師になりたいかによって働ける場所が異なります。そのため、まずはどのような保健師になりたいのかということを決めておくことが肝心といえるでしょう。

 

資格取得方法

 

保健師の資格を取得するには、以下のステップを踏む必要があります。

 

保健師は助産師同様、看護師の資格を持っていることが条件となります。現在は、看護師と保健師の免許を同時に取得できるカリキュラムが組まれている4年制大学もあるので、そのような大学で看護師と同時に国家資格取得を目指すことができます。

 

またそれ以外の場合は、看護師の資格を取得したあとで、さらに1年間保健師の養成機関に通学したうえで、保健師の国家試験を受けることも可能です。

 

さらに、助産師と同じように、看護系大学院に2年、看護短期大学に別途1年通う方法もあるので、自分のライフプランに合った取得を目指しましょう。

 

日本看護協会認定の看護師資格

 

看護師の資格には、看護師としてのキャリアを積みながら取得できる資格もあります。自分のキャリアアップを目指すために取得されることが多い資格を3つご紹介します。

 

認定看護師

 

認定看護師は、特定の看護分野で高度な知識と技術を持つ看護師です。日本看護協会が認定する分野ごとに資格を取得することができ、例えば認知症看護や救急看護、乳がん看護など、21分野があります。認定看護師はその分野における専門的な看護ケアを提供し、病院やクリニックなどで活躍します。

 

認定看護師になるには、5年以上の実務経験が必要で、そのうち3年以上は取得を希望する認定看護分野で経験を積む必要があります。

 

その後、1年間で800時間の教育を認定看護師教育機関で受け、特定行為研修のプログラムを受講し、認定審査に合格することで資格を取得することができます。

 

資格取得後は、5年おきに更新が必要となります。

 

専門看護師

 

専門看護師は、特定の臨床分野で高度な専門知識とスキルを持つ看護師で、いわば看護のエキスパートです。例えば、老人看護やがん看護、精神看護など、13分野があります。専門看護師は、その分野の患者に対する看護ケアを専門的かつ高度なレベルで提供する役割を担います。専門看護師は病院やリハビリ施設、ホームケアなどで活動します。

 

専門看護師になるためには、看護系大学院修士課程修了者でなければ資格を取得することができず、日本看護系大学協議会が定めている、専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得する必要があります。

 

その条件をクリアしたうえで、年に1度実施されている専門看護師認定審査に合格し、初めて資格を取得することができます。看護師の中でも、この資格を持っている看護師は約2%なので、非常に狭き門という感じですが、目指してみるのも大きなやりがいにつながるかもしれません。

 

認定看護管理者

 

認定看護管理者は、看護部門や看護チームのリーダーシップを担う管理者を目指す方のための資格です。看護部門の運営や人材管理、看護ケアの品質管理などを専門的かつ効果的に行うための知識とスキルを持っています。認定看護管理者は、病院や診療所、介護施設などで管理職として活躍します。

 

認定看護管理者の資格を取得するためには、5年以上の実務経験が必要で認定看護管理者教育課程を180時間受講する必要があります。定められた条件を満たしたうえで、認定看護管理者認定審査に合格することで獲得できます。

 

この資格を取得することができれば、看護従事者に関するマネジメントのエキスパートとして、多くの職場で活躍することができるでしょう。

 

まとめ

 

この記事では、看護師の種類について、それぞれの仕事内容や活躍できる職場、資格取得について詳しく解説してきました。

 

看護職には看護師、准看護師、助産師、保健師など様々な種類があり、それぞれ異なる分野で活躍します。どの看護師も、資格や専門性を活かして、患者や地域の健康を支える重要な役割を果たしていることに違いはありません。

 

自分がどのような看護職をめざしたいのか、将来的にどのようなキャリアを築いていきたいのかなど、十分に考慮したうえで進路を決めるようにしていきましょう。

【現役看護師が語る】看護師がつらいと感じる7つの瞬間と乗り越え方 – 離職を防ぐ実践的アドバイス

看護師として働く中で、「つらい」と感じる瞬間は誰にでもあります。人間関係の難しさ、ミスへの不安、激務による疲労…。

でも、あなたは一人じゃありません。本記事では、現役看護師の声をもとに、つらいと感じる7つの状況とその乗り越え方を詳しく解説します。新人看護師の悩みにも触れ、仕事を辞めたくなった時の効果的な対処法まで網羅。看護師としてのキャリアを前向きに続けるためのヒントが見つかるはずです。

意外と多い!仕事がつらいと思う看護師

多くの人が看護師の仕事を誇りに思い、患者の健康と命を支えるために日夜努力しています。しかし、その一方で、多くの看護師たちが仕事をつらいと感じる瞬間が存在します。

現実に、看護師たちは仕事を通じてさまざまな困難に直面しています。こうした感情は、あなただけでなく多くの看護師が同じように感じているかもしれません。

看護師が仕事をつらいと感じる瞬間

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看護師のほとんどの方が経験しているつらいと感じる瞬間。一生懸命仕事をやっているのに、報われないと感じる瞬間が多くあります。その理由は、看護師の方であれば共感できることばかり。それでは、「もう仕事に行きたくない」と感じるほどの、つらい瞬間とはいったいどんな内容なのか見ていきましょう。

人間関係がうまくいかない

病院や医療機関は、多くのスタッフが協力して成り立っていますが、その中でも看護師の役割は特に重要です。しかし、様々な人と関わり合いながら仕事をしていくことは、コミュニケーションの難しさを伴います。

そのため、誤解や意見の不一致が生じ、ストレスが蓄積されることにより、看護師の仕事を困難にしてしまう要因になります。また、看護師の多くは女性です。女性ばかりの職場というところに、特有の難しさを感じる方も多くいるようですね。無視やパワハラなどの経験をされている方も少なくないようです。

ミスに対しての不安

真面目な性格の人ほど陥りやすいのがミスに対しての不安です。看護師の仕事は、正確さと注意力を要求される業務です。しかし、人間誰しもミスをする可能性があります。

看護師の業務には、薬剤の誤投与、診断のミス、手順の過ちなど、看護師がミスを犯すことは避けられない場合もあります。このような責任感からくる不安から、体調を崩してしまう看護師さんも多くいます。

「医療ミスを起こしたらどうしよう」という不安を持ち続けることで、仕事に行きたくないと感じてしまう看護師さんも多いようです。

激務による過労

看護師たちは24時間体制で患者のケアに当たることが求められます。急患の増加や予期せぬ状況への対応など、緊急性の高い状況に直面することが多いため、激務は避けられないのが現実です。

長時間の勤務や連日の夜勤により、体力の消耗や精神的な疲労が蓄積され、看護師たちは自身の健康を犠牲にしがちです。激務による過労がストレスとなり、看護師の生活に疲れ果ててしまうという方も多くいます。

夜勤がつらい

看護師のシフト勤務の中で特につらいとされるのが夜勤です。普通の生活と逆の生活になる夜勤勤務は、生活リズムの乱れを引き起こし、睡眠不足や疲労感を招いてしまいます。

また夜勤は、患者の急変や緊急事態への対応が求められるため、高い集中力と判断力が要求されます。しかし、深夜の静けさや孤独感が、看護師たちの心にプレッシャーや孤独感をもたらすこともあります。通常業務が激務の上に、夜勤のつらさが合わさることで、心身の不調を訴える方もいます。

仕事に対してのプレッシャー

看護師の仕事は高度な専門知識や正確性を求められるため、プレッシャーを感じることが少なくありません。患者の命にかかわる業務に従事しているため、業務の中で「患者の容態が急変して死に直面したとき」には、責任を感じてしまう方も多く、気持ちをうまく切り替えられないという方も多くいます。

また中堅看護師になってくると、リーダーという立場にプレッシャーを感じてしまう方も多くいるようですね。精神的な疲労は、仕事に対するパフォーマンスの低下を招いてしまいます。

そもそも仕事が合わない

看護師として働き始めても、実際の業務内容や職場の雰囲気が自分に合わないと感じることがあります。特に希望していない診療科に配属になった場合や、看護以外の業務に追われると、看護師になった理由を見失ってしまうこともあります。

どんな業種でも、理想通りの仕事ができるわけではありませんが、仕事内容が想像と全く違っていたときや、理想の看護師生活が送れない場合は、仕事に対するモチベーションの低下を招いてしまうこともあるようです。

患者からのハラスメント

患者を助けることが業務でもある看護師ですが、残念ながら心無い言葉を浴びせてくる患者も中にはいます。

患者の中には、病気やストレスによって感情が不安定になっているケースもあり、その影響を看護師にぶつけることがあるため、このような状況に直面することは、看護師たちにとって精神的に負担がかかることがあるようです。

新人が感じるつらいと感じる瞬間

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夢と希望をもって職場に配属になった新人看護師。そんな新人看護師には、新人ならではのつらいと感じる瞬間があるようですね。新人期間を過ぎた方は、当時を思い出してみてください。

理想と現実のギャップ

新人看護師のうちは、看護学校や研修で学んだことと、実際の現実とのギャップに直面することがあります。実務では想像していなかった課題やトラブルが生じることもあり、これが理想との違いを感じさせ、つらさを抱えることがあります。

これは「リアリティショック」と呼ばれる現象で、自分が描いていたイメージと実際の現場がの違いを消化しきれず、モチベーションの低下を引き起こしてしまうそうです。

知識が足りない

新人看護師は経験が浅いため、まだまだ知識が足りないと感じることがあります。複雑な医療行為や治療に対する知識の不足によって、自分はこの仕事に向いていないという、自信の喪失や不安を引き起こす要因となっています。

指導が厳しい

新人看護師は、ベテラン看護師や上司からの指導を受けながら成長していく段階にあります。しかし、中には厳しい指導や厳しい指導を受けることがあり、それによってプレッシャーやつらさを感じることがあります。

つらい時にやってはいけないこと

このように、看護師の仕事をしていると「つらい」と感じる場面は多くあります。そんな時に、その現状を何とかしようと、いろいろ試す方もいると思いますが、つらい時にだからこそやってはいけないことというのがあります。ここでは、3つの行動をご紹介します。

仕事がつらいのを自分のせいにしない

つらい状況に直面したとき、自分自身を責めたり罪悪感を感じたりすることは避けましょう。真面目な性格の人ほど自分のせいだと思い込んでしまいがちになります。自分を責めるとさらに我慢を積み重ねてしまい、状況が悪化する可能性があります。

看護師としての道は、経験を通じて成長していく過程です。つらい瞬間を経て学びを得ることは、成長の一環として前向きに捉えることが大切です。

無理をして仕事をする

つらい状況に対処するために無理をして仕事を続けることは、身体的・精神的な健康を害する可能性があります。適切な休息やストレス解消を怠らないようにしましょう。

体の不調を見ないふりをする

仕事が忙しくつらい時には、体調を無視して働き続けることがあります。しかし、体の不調を無視することは、病気や疲労の悪化を招く可能性があります。体のサインを無視せず、適切なケアを行いましょう。

つらいと感じたときにするべき対処法

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看護師としての仕事は、尊い使命を担う一方で、時にはつらい瞬間も訪れることがあります。最後に、看護師の仕事を辞めたくなったと感じる場合、どのように対処すればいいのかご紹介していきます。

一度自分を見つめなおす

仕事に疲れや不満を感じるとき、まずは自分自身と向き合ってみましょう。なぜ仕事がつらいと感じるのか、どの部分が辛いのかを考えることで、具体的な問題点を把握することができます。また、自身の目標や価値観と照らし合わせて、今の仕事が本当に自分に合っているのかを再評価しましょう。

数年先を考えてみる

仕事が辛い瞬間があるとき、現在の状況だけに囚われず、数年後の自分をイメージしてみることも大切です。今の辛い状況が将来の成長やキャリアに繋がる可能性があるかを考え、今の苦労が将来の自分をより強くするための一歩であるかもしれません。

リフレッシュする

仕事のストレスから解放されるために、定期的なリフレッシュが必要です。休暇を取る、趣味に時間を割く、自然の中で過ごすなど、仕事から離れて心身をリセットすることで、新たなエネルギーを得ることができます。

上司に相談する

仕事がつらいと感じたとき、上司との面談を通じて問題を共有することも一つの方法です。上司はあなたのキャリアをサポートする立場にあり、改善策やサポートを提案してくれる可能性があります。コミュニケーションを通じて解決策を見つけることができるかもしれません。

看護師の資格を活かせる職場に転職する

もし看護師の仕事を続けても辛さが解消されない場合、看護師の資格を活かせる別の職場への転職も考慮してみてください。医療機関以外でも、訪問看護や在宅介護、保健師としての活動など、看護師のスキルを活かせる職場はさまざま存在します。

まとめ\

この記事では、看護師の仕事をつらいと感じる瞬間についてご紹介してきました。看護師の仕事は充実感と責任を伴う一方で、つらさやストレスを感じる瞬間も存在します。人間関係の複雑さや肉体的・精神的な負荷に直面したとき、適切な対処法を実践することが重要です。

コミュニケーションの改善、ワークライフバランスの確保、感情のケア、ミスへの向き合い方、ストレス管理など、どのように対処していくかが、看護師として重要なポイントとなってくるでしょう。今回の記事を参考に、看護師としての充実したキャリアを築いてみてください。

【看護師の必要資格と国家試験攻略法 完全ガイド】キャリアアップに繋がる10の追加資格も解説

「看護師になりたい」その夢を実現するために、どんな資格が必要か知っていますか?また、看護師としてのキャリアをさらに発展させる方法をお探しですか?

本記事では、看護師になるための必須資格から、国家試験の攻略法、さらにはキャリアアップに役立つ10の追加資格まで、詳しく解説します。准看護師との違いや、最新の合格率データも掲載。あなたの看護師としての未来を切り開くための、確かな情報が満載です。

看護の世界でさらなる高みを目指す方、看護師として働くために必要な資格についてフォーカスし、看護師国家試験の概要やキャリアアップに繋がる資格などを徹底解説していきます。

看護師として働くために必要な資格

看護師として働くためには、看護師あるいは准看護師の資格を取得しなければなりません。

一般的に想像する看護師の資格は国家資格であり、取得することで医師の診療に基づき様々な医療の補助や患者の症状に応じた看護を自らの判断で行えます。

詳しくは後述しますが、看護師資格を取得するためには指定の学校を卒業した上で国家試験に合格しなければなりません。

看護師と准看護師の違い

看護師資格は厚生労働省により付与される一方で、准看護師は各都道府県知事によって付与される資格となっています。よって、あくまでも国家資格ではないことを覚えておきましょう。

また、准看護師の場合、仕事内容自体は看護師と変わらないのにもかかわらず、自らの判断では患者に対する看護業務ができないという特徴があります。

つまり、医師あるいは看護師からの指示を仰いだ上で業務に当たらなければならないため、医療現場において裁量の低い立場であることがネックとなっており、制度創設当時から日本看護協会が准看護師養成の停止に取り組んでいるのが現状です。

看護師国家試験の概要

看護師国家試験は前述した通り、厚生労働省により付与される看護師国家資格を取得するための試験です。

国家試験を受験するためには、文部科学大臣や都道府県知事が定める各種学校を修了していることなど、いくつかの受験資格のいずれかに該当する必要があります。

ここでは看護師国家資格について掘り下げていきます。

看護師国家試験を受験するには

看護師国家資格を受験するには、主に次のいずれかの受験資格を有していなければなりません。

  • 看護大学を卒業
  • 看護短期大学を卒業
  • 看護師養成所を卒業
  • 5年一貫看護師養成課程校を卒業
  • 准看護師資格を持っている

看護大学を卒業

高等学校を卒業後に4年制の看護大学を受験し、看護師養成カリキュラムをはじめとする様々な看護知識を身につけた上で卒業すると、看護師国家試験の受験が可能となります。

また、看護大学では、看護師だけでなく保健師や助産師などに関わる授業も受けられることがあるので、将来的に様々なキャリアを考えているなら看護大学でしっかりと勉強しておくと良いでしょう。

看護短期大学を卒業

高等学校卒業後、3年制の看護短期大学で学び卒業することでも看護師国家試験の受験が可能となります。

4年制看護大学よりも1年早く看護師国家資格を受験できるだけでなく、学費も抑えられ、実技実習を中心に受講できるというメリットがある一方、国家試験に向けての勉強期間が短くなるというデメリットがあることを覚えておいてください。

看護師養成所を卒業

同じく、高等学校卒業後に3年間看護師養成所に通い卒業すれば、看護師国家試験の受験ができます。

看護師養成所の多くは看護専門学校となっていて全カリキュラムのうち約3分の1程度は実習なため、実際に看護師となってから即戦力となれるような教育を受けられます。

ただし、看護大学や看護短期大学のカリキュラムにあるような一般教養を学ぶ機会はほとんどないので頭に入れておきましょう。

5年一貫看護師養成課程校を卒業

高等学校を卒業していなくても、義務教育である中学校を卒業していれば、5年一貫看護師養成課程校を卒業することで看護師国家試験を受験可能です。

一般的な5年一貫看護師養成課程校においては、3年間は准看護師資格を取得するための看護科の勉強、残りの2年間は看護師国家試験を受験するための専攻科での勉強を行います。

准看護師資格を持っている

前述した特定の学校を卒業する以外に、准看護師資格を持っていて3年以上看護業務に従事あるいは、中学校及び高等学校を卒業している准看護師で、指定の大学や学校、養成所などで2年以上修業していれば、看護師国家試験を受験できることも覚えておきましょう。

※ここに記載した受験資格は、あくまでも簡単な概要だけを抜粋しています。他にも受験資格があるので詳しくは厚生労働省のホームページを参照し最新の情報を取得してください。

看護師国家試験の日程・会場

看護師国家試験は毎年2月中旬頃に日本各地の会場で実施されます。

ちなみに2024年度の試験日程は下記の通りです。

<試験期日*>

2024年2月11日

<試験実施地域*>

  • 北海道
  • 青森県
  • 宮城県
  • 新潟県
  • 東京都
  • 愛知県
  • 石川県
  • 大阪府
  • 広島県
  • 香川県
  • 福岡県及び沖縄県

*厚生労働省ホームページ「看護師国家試験の試行」参照(https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/kangoshi/

年に1回しか実施されないため、一度落ちてしまうとまた1年間勉強しなければならないので注意が必要です。

ただし、大きな災害などが発生した際には試験の時間などが変更となる場合があります。その際には厚生労働省のホームページに掲載されるのでチェックしてください。

看護師国家試験を受験する際に提出する書類

看護師国家試験を受験する際には、全員が下記の書類を不備なく用意する必要があります。

  • 願書
  • 証明写真(縦6cm×横4cmのサイズで出願前6ヶ月以内に正面から撮影し、裏面に撮影年月日と指名を記載した上で指定台紙に貼り付ける)
  • 返信用封筒(縦23.5cm×横12cmのサイズで表面に宛先と宛名を記載、さらに定形郵便94円と一般書留480円の切手を貼り付け書留表示必要)

また、看護大学をはじめ、看護短期大学や看護指定養成所を卒業した人など一部の人は、次の書類の提出も必要になります。

  • 学校の修業証明書あるいは看護師になるために必要な学科を3年以上修めたことを証明する修業判定証明書

そして、准看護師免許取得後3年以上業務に従事している人や、中学校あるいは高等学校を卒業している准看護師で指定の大学や学校、養成所で2年以上修業、5年一貫看護師養成課程校を卒業して准看護師免許を持つ人などは下記の書類も準備しましょう。

  • 指定の大学あるいは学校の修業証明書もしくは2年以上修業したことが証明される書面、または修業見込み証明書や指定養成所の卒業証明書など

※ここに記載した提出書類については、あくまでも簡単な概要だけを抜粋しているので、詳しくは厚生労働省のホームページを参照し最新の情報を取得してください。

看護師国家試験の受験手数料

看護師国家試験を受験するには、提出書類だけでなく受験手数料の支払いも必要です。

ちなみに2024年度の受験手数料は5,400円*となっており、相当する収入印紙を願書に貼付して納付しなければなりません。

看護師国家試験の試験科目

次の10の科目が看護師国家試験の試験科目となっています。

  • 人体の構造と機能
  • 疾病の成り立ちと回復の促進
  • 健康支援と社会保障制度
  • 基礎看護学
  • 成人看護学
  • 老年看護学
  • 小児看護学
  • 母性看護学
  • 精神看護学
  • 在宅看護論及び看護の総合と実践

どの科目もまんべんなく知識を深めておかなければ合格はできないので注意しましょう。

人体の構造と機能

人体の構造と機能では、その名の通り正常な人体の構造と機能についての基本的な理解が問われます。

疾病の成り立ちと回復の促進

疾病の成り立ちと回復の促進では、疾病がなぜ発生するのかという原因や回復に至る課程、疾病による身体内部の変化、疾病の特性についての基本的な理解が問われます。

健康支援と社会保障制度

健康支援と社会保障制度では、人間の社会的側面をはじめ、社会保障の理念と制度及び法律に基づく社会福祉の方法と課題や公衆衛生及び保健活動の進め方、人々の健康を守るためのサービス提供機関及びサービス提供機関従事者の役割や機能に関する法律についての基本的な理解が問われます。

基礎看護学

基礎看護学では、看護の基礎となる概念をはじめ、看護技術の基礎、保険・医療・福祉分野の中で看護の果たす役割についての基本的理解が問われます。

成人看護学

成人看護学では、成人各期の健康保持や疾病予防をはじめ、成人の健康問題に応じた看護や機能障害を持つ成人への看護についての基本的な理解が問われます。

老年看護学

老年看護学では、高齢者自身や家族の生活及び健康をはじめ、健康レベルや療養形態に応じた高齢者と家族に対する看護、保険医療福祉制度における看護の役割についての基本的な理解が問われます。

小児看護学

小児看護学では、小児の成長や発達、そして健康増進のための小児と家族への看護をはじめ、健康障害を持つ小児と家族が生活及び療養するための看護についての基本的な理解が問われます。

母性看護学

母性看護学では、母性看護の概念及び人間の性と生殖や、女性のライフライフサイクルにおける各期の看護についての基本的な理解が問われます。

精神看護学

精神看護学では、精神の健康と保持及び増進に向けた看護をはじめ、精神看護の基盤となるサポートや精神疾患を持つ人の生物・心理・社会的側面への看護、そして精神疾患を持つ人の人権と安全を守りつつ回復をサポートする看護についての基本的な理解が問われます。

在宅看護論及び看護の総合と実践

在宅看護論及び看護の総合と実践では、在宅看護の特徴や在宅療養者及び家族をはじめ、看護におけるマネジメントや災害看護、国際社会における看護についての基本的な理解が問われます。

看護師国家試験の受験者数と合格率

2022年度に実施された第112回看護師国家試験の受験者数と合格率は下記表**の通りです。

 

 受験者数合格者数合格率
合計64,051人58,152人90.8%
新卒者のみ59,290人58,911人95.5%

 

表を見るとわかる通り、新卒者の合格率は高い水準であることがわかります。

ちなみに2022年度第112回の看護師国家試験の合格基準は、必修問題を40点以上なおかつ一般問題及び状況設定問題を152点以上獲得しなければなりませんでした。

**厚生労働省ホームページ「第109回保健師国家試験、第106回助産師国家試験及び第112回看護師国家試験の合格発表」参照(https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2023/siken03_04_05/about.html

看護師国家試験の合格発表の確認方法

看護師国家試験の合格発表を確認する際には、厚生労働省ホームページにある資格・試験情報のページを参照しましょう。受験地及び受験番号が掲載されます。

ちなみに2024年度の合格発表は2024年3月22日の14時予定です。

看護師免許申請の方法

看護師国家試験に合格した後は、免許の申請をしなければなりません。看護師の有資格者として業務に携わるためには、厚生労働省が管理する籍簿に登録されないといけないからです。

看護師免許の申請をせず、なおかつ厚生労働省の籍簿に登録される前に業務に携わった場合には行政処分の対象となるので注意してください。

ちなみに免許申請の時期は随時となっており、9,000円の収入印紙による手数料がかかります。

看護師資格と併せて持っておくとキャリアアップに繋がる資格

ここまで看護師資格について解説してきましたが、看護師資格と併せて持っておくとキャリアアップに繋がる資格が多数あることをご存知でしょうか。

色々な資格を組み合わせて保持することで、看護師以外の職種にも就くことが可能です。

ここでは10の資格をご紹介していきますので、看護師以外の将来のキャリアの可能性についても考えてみてください。

  • 認定看護師資格
  • 専門看護師資格
  • 認定看護管理者資格
  • 3学会合同呼吸療法認定士資格
  • 消化器内視鏡技師資格
  • 循環器専門ナース資格
  • 精神科認定看護師資格
  • 保健師資格
  • 助産師資格
  • 介護支援専門員資格

認定看護師資格

認定看護師資格は、看護師としての実践経験を5年以上有し、日本看護協会が定めている600時間以上の認定看護師教育を修めた上で、認定看護師認定審査に合格すれば取得できる資格です。

認定看護師は、患者及び家族に対しより良い看護を提供するために実践・指導・相談を果たすことで看護の質の向上に努めることになります。

認定看護師は、病院やクリニック以外に、訪問看護ステーション、介護保険施設などで活動の場があり、他の看護師に対して指導を行うこともできます。

専門看護師資格

専門看護師資格は、看護師としての実務経験が5年以上でなおかつ看護系の大学院において修士課程を修了し必要な単位を取得した後、専門看護師認定審査に合格することで取得可能な資格です。

資格を取得して終わりではなく、5年ごとに資格を更新しなければならず、常に自己研鑽が求められるものとなっています。

専門看護師は、患者及び家族に起きている問題について総合的に捉えて実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究という役割を果たしながら、従事する施設全体だけでなく地域における看護の質の向上に努めることになります。

専門看護師になると、病院やクリニック、訪問看護ステーションなどで患者に寄り添うだけでなく、大学などの教育現場でも活動できるので、後進を育てていきたいと考える人にもおすすめといえるでしょう。

認定看護管理者資格

認定看護管理者資格は、看護師としての実務経験を5年以上持っており、なおかつ通算3年以上看護師長相当以上の管理経験を有していることを前提に、認定看護管理者教育課程サードレベルを修了あるいは看護管理に関連する学問領域において修士以上の学位を取得した上で、認定審査に合格することで取得できる資格です。

専門看護師資格と同様に認定看護管理者資格も5年ごとに更新が必要となります。

認定看護管理者は、高品質な組織的看護サービスを提供するため、看護管理者の資質及び看護水準の維持や向上に寄与して保健医療福祉に貢献する存在です。

3学会合同呼吸療法認定士資格

3学会合同呼吸療法認定士資格は、患者の高齢化が進む医療現場において呼吸管理を行える人材のレベル向上及び維持を目的としている資格です。

看護師としての実務経験を2年以上有し、なおかつ認定委員会が認めている学会及び講習会などに出席し、申請書類提出日までの5年以内に12.5点以上を取得した上で、2日間にわたる認定講習会に出席し、認定試験に合格すると取得できます。

もちろん資格の更新も必要で5年ごとに学会及び講習会などに出席し、論文発表などで50点以上を取得して常に研鑽をつむ必要があります。

消化器内視鏡技師資格

消化器内視鏡技師資格を取得するためには、試験に合格しなければなりませんが、試験受験には次の条件を満たしている必要があります。

  • 看護師資格を持っている
  • 過去5年以内に日本消化器内視鏡学会認定の専門医が従事する事業所において、内視鏡に従事した勤務年数が満2年以上
  • 日本消化器内視鏡技師会・技師会各支部主催の消化器内視鏡技師学会あるいは消化器内視鏡技師研究会に2回以上出席
  • 日本消化器内視鏡学会支部長が承認した消化器内視鏡技師会・技師会各支部主催の「機器取扱い講習会基礎編」に1回以上出席
  • 申請する年から遡り5年以内に日本消化器内視鏡技師会・技師会各支部主催の医学講習会に参加あるいは勤務先の日本消化器内視鏡学会認定専門医による医学講義を20時間以上受講
  • 上部消化管・下部消化管・胆・膵における消化器内視鏡介助症例数合計が原則直近1年間100件以上なおかつ認定専門医より証明及び推薦が得られること

消化器内視鏡技師であれば、内視鏡を使用する医師の補助を専門的に行う立場として医療業務に従事できます。

循環器専門ナース資格

循環器専門ナース資格は、循環器専門ナース研修web講義を受講し、認定試験に合格すると取得できる資格です。

認定期間は5年であるため、必要に応じて更新しなければなりません。

循環器専門ナースとして認められると、心筋梗塞や心不全などといった心臓循環器疾患についての実践的な知識を有する看護師であることが証明でき、循環器分野で活躍できます。

精神科認定看護師資格

精神科認定看護師資格は、看護師資格をもちなおかつ通算5年以上うち通算3年以上の精神科看護実務に従事しているだけでなく、臨床での実務を行っているかつ臨床で実践する場として1ヶ月28時間以上あり証明できる人で、精神科認定看護師教育課程を修了した上で、認定審査に合格すると取得できる資格です。

精神科認定看護師資格取得後には5年ごとに更新する必要があります。

精神科認定看護師資格を持っていると、精神科における看護領域で優れた看護能力及び知識を有していると認められます。

保健師資格

保健師資格は、看護師資格を持ちなおかつ1年以上の保健師養成課程を修了し保健師国家試験に合格することで取得できる資格です。

看護師の場合患者の病気や怪我などの治療を行うことになりますが、保健師の場合には病気や怪我を防ぐための予防医療がメインとなります。

よって、保健師になると病院に限らず、保健所をはじめ、健康保険組合や学校、企業などといった様々な場で活躍できます。

助産師資格

助産師資格は、看護師資格を持ちなおかつ助産師養成学校において1年以上学び、実習で技術を身につけた人だけが受験できる助産師国家試験に合格すると取得できる資格です。

助産師になると妊婦の健康管理から生活指導、分娩、出産、育児指導などを幅広く行う業務に就くことができます。

介護支援専門員資格

介護支援専門員資格は、看護師としての実務経験を5年以上有し、介護支援専門員実務研修受講試験に合格すると取得できる資格です。

介護支援専門員資格を持っていると、ケアマネジャーとして介護サービス事業所と連携し介護サービス利用者に高い品質のケアを提供できるようになります。

まとめ

看護師の必要資格について、この記事では看護師国家試験の概要やキャリアアップに繋がる資格などを徹底解説してきました。

看護師になるためには国家試験に合格し、免許を取得しなければなりませんが、看護師免許取得がゴールではありません。

看護師資格取得後も日々自己研鑽を怠らず経験を積んでいき、必要に応じてキャリアアップできる資格を取得するなどしてさらなる高みを目指していきましょう。