2025年最新【看護学生のための終末期ケアガイド】終末期実習で実践できる基本的なケアと心理支援

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終末期ケアの実習は、多くの看護学生が不安を感じる領域の一つです。「患者さんやご家族との関わり方が分からない」「急変時の対応が心配」「何をすればよいのかイメージできない」など、様々な不安の声が聞かれます。

この記事では、実習で実際に行える基本的なケアの方法から、患者さんとご家族への心理的支援まで、具体的な実践方法をご紹介します。

先輩看護師からのアドバイスや、実際の症例を基にしたケーススタディも交えながら、皆さんの実習をしっかりとサポートします。この記事を読むことで、終末期ケア実習に自信を持って臨めるようになりましょう。

この記事で分かること

  • 看護学生でも実践できる基本的な終末期ケアの具体的な方法
  • 患者さんの変化を見逃さないための観察ポイントと記録の仕方
  • ご家族への心理的支援と関わり方の実践例
  • チーム医療の一員として参加する方法
  • 先輩看護師から学ぶ実践的な終末期ケアのポイント

この記事を読んでほしい人

  • 終末期実習を控えている看護学生の方
  • 終末期患者さんのケアに不安を感じている学生の方
  • 観察力や実践力を高めたい看護学生の方
  • ご家族との関わり方に悩んでいる実習生の方
  • チーム医療での自分の役割を理解したい学生の方

終末期ケアの基本的な考え方

終末期ケアは、患者さんの残された時間の質を最大限に保ち、その人らしい生活を支援することを目的としています。看護学生として参加する際は、基本的な考え方と実践方法を理解することが重要です。

終末期ケアの定義と目的

終末期ケアとは、治癒が見込めない状態にある患者さんに対して、残された時間をその人らしく過ごせるよう支援することを指します。

全人的ケアの重要性

患者さんの身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面全てに配慮したケアを提供することが求められます。

QOL維持への取り組み

日常生活の質を可能な限り維持し、患者さんの希望や価値観を尊重したケアを実践します。

看護学生に期待される役割

実習では基本的なケアの実践と観察が主な役割となりますが、チーム医療の一員としての視点も重要です。

基本的ケアの実践者として

日常生活援助を通じて、患者さんの comfort を維持・向上させることに貢献します。

実践できる具体的なケア方法

終末期実習において、看護学生の皆さんが実践できるケアには様々なものがあります。

ここでは基本的な観察とアセスメントから、日常生活援助の実践方法、さらには症状別のケア方法まで、具体的に解説していきます。

基本的な観察とアセスメント

患者さんの状態を正確に把握し、適切なケアにつなげるためには、細やかな観察とアセスメントが欠かせません。看護学生として、まずはこれらの基本的なスキルを確実に身につけていきましょう。

バイタルサイン測定の実際

バイタルサイン測定は患者さんの状態を把握する最も基本的な方法です。終末期の患者さんの場合、特に呼吸状態と循環動態の変化に注意を払う必要があります。

呼吸数は1分間しっかりと測定し、呼吸の深さや規則性、呼吸音の性状なども確認します。また、脈拍は橈骨動脈で触知し、リズムや強さも評価します。血圧測定時は患者さんの体位や安静度に配慮しながら実施します。

痛みの評価方法

終末期の患者さんにとって痛みのコントロールは最も重要な課題の一つです。表情や姿勢の変化、発声の様子などから痛みの程度を観察します。数値評価スケール(NRS)やフェイススケールを用いる場合は、患者さんの理解度に合わせて適切に選択します。

日常生活援助の実践

終末期の患者さんの日常生活援助では、基本的なケアを丁寧に行うことが重要です。患者さんの残された機能を活かしながら、その人らしい生活を支援していきます。

清潔ケアの提供方法

清潔ケアは患者さんの快適性を高める重要なケアです。全身清拭では、患者さんの体力や希望に合わせて実施時間や方法を調整します。特に終末期の患者さんは体力の消耗が著しいため、一度に全身を行うのではなく、部分的に分けて実施することもあります。

口腔ケアの実施手順

口腔ケアは感染予防と快適性の維持に不可欠です。意識レベルや嚥下機能に応じて、適切な方法を選択します。スポンジブラシやガーゼを使用する際は、粘膜を傷つけないよう細心の注意を払います。

症状別ケアの具体例

終末期の患者さんには様々な症状が現れます。それぞれの症状に応じた適切なケアを提供することが求められます。

呼吸困難時のケア

呼吸困難は終末期の患者さんが最も苦痛を感じる症状の一つです。ベッドの頭側を30~45度挙上し、呼吸しやすい姿勢を保持します。必要に応じて扇風機やハンディファンを使用し、気流を作ることで呼吸困難感の緩和を図ります。

浮腫に対するケア

浮腫は循環動態の変化や低栄養により出現することが多い症状です。四肢の挙上やマッサージにより、むくみの軽減を図ります。皮膚の状態を観察し、必要に応じて保湿クリームを使用します。

観察記録の方法

観察した内容を適切に記録することは、チーム医療における重要な役割です。看護学生として、客観的な事実を正確に記録することを心がけましょう。

SOAP記録の書き方

SOAPは問題志向型の記録方法です。Subjective(主観的情報)、Objective(客観的情報)、Assessment(アセスメント)、Plan(計画)の順に記載します。終末期の患者さんの場合、特に痛みや不快感などの主観的情報を丁寧に記録することが重要です。

経時的変化の記録方法

患者さんの状態の変化を時系列で記録することで、症状の進行や治療の効果を評価することができます。バイタルサインの変化、症状の出現時期、ケアの実施時間とその効果などを具体的に記載します。

患者さんとご家族への心理的支援

終末期における心理的支援は、患者さんとご家族の不安や苦痛を和らげる重要な看護ケアの一つです。看護学生の皆さんには、基本的なコミュニケーション技術を活用しながら、患者さんとご家族に寄り添う姿勢が求められます。

コミュニケーションの基本

終末期の患者さんやご家族とのコミュニケーションでは、相手の気持ちに寄り添い、共感的な態度で接することが大切です。まずは基本的なコミュニケーション技術を身につけていきましょう。

傾聴の実践方法

患者さんの言葉に耳を傾け、その気持ちを理解しようとする姿勢が重要です。相手の話を遮ることなく、うなずきや相槌を適切に入れながら話を聴きます。特に終末期の患者さんは、自身の思いを表現する機会を求めていることが多いため、十分な時間を確保して傾聴することが大切です。

非言語的コミュニケーションの活用

表情やジェスチャー、アイコンタクト、声のトーンなど、非言語的なコミュニケーションは患者さんとの信頼関係を築く上で重要な要素となります。

特に終末期の患者さんは、体力の消耗により言語的なコミュニケーションが困難になることもあるため、非言語的なサインを読み取る力を養うことが必要です。

実践的なコミュニケーション例

実際の臨床現場では、様々な場面で患者さんやご家族とのコミュニケーションが求められます。ここでは具体的な対応例を通じて、実践的なコミュニケーション方法を学んでいきましょう。

不安を訴える患者さんへの対応

「もう長くないのでしょうか」といった不安の表出に対しては、その気持ちを受け止め、共感的に対応することが大切です。

「そのように感じていらっしゃるのですね」と相手の気持ちを言葉で返し、さらに「もう少しお話を聞かせていただけますか」と、より深い思いを語る機会を提供します。

沈黙の活用方法

沈黙は、患者さんが自身の思いを整理する大切な時間となります。沈黙を恐れず、相手のペースを尊重しながら、共に時間を過ごすことも重要なケアの一つです。

ただし、沈黙が長すぎる場合は、「何か考えていらっしゃいますか」といった声かけで、相手の思いを確認することも必要です。

家族支援の具体的方法

ご家族への支援も、終末期ケアにおいて重要な要素です。患者さんの看病に伴う身体的・精神的な負担を理解し、適切なサポートを提供していきましょう。

家族の心理状態の理解

ご家族は、大切な人との別れを目前にして、様々な感情を抱えています。悲しみ、不安、怒り、後悔など、複雑な心理状態にあることを理解し、その時々の感情に寄り添うことが大切です。

グリーフケアの基礎知識

患者さんとの死別を前にしたご家族への支援は、グリーフケアの一環として重要です。予期悲嘆への対応や、看取りの準備など、ご家族の心理的準備を支援することも看護の役割となります。

文化的配慮と個別性の尊重

終末期ケアでは、患者さんとご家族の価値観や文化的背景を理解し、それらに配慮したケアを提供することが重要です。

宗教的配慮の実践

患者さんやご家族の宗教的な信念や習慣を理解し、それらを尊重したケアを提供します。お祈りの時間や場所の確保、食事の制限への配慮など、具体的な支援を行います。

個別的なニーズへの対応

それぞれの患者さんとご家族が持つ固有のニーズや希望を把握し、可能な限りそれらに応えられるよう努めます。たとえば、思い出の音楽を聴きたい、特定の人に会いたいといった希望にも、できる限り対応していきます。

コミュニケーション困難時の対応

意識レベルの低下や、呼吸困難などにより、通常のコミュニケーションが困難な場合の対応方法についても理解しておく必要があります。

代替的コミュニケーション方法の活用

筆談やジェスチャー、文字盤の使用など、患者さんの状態に応じた代替的なコミュニケーション方法を活用します。これらの方法を用いる際は、患者さんの疲労に配慮しながら実施することが大切です。

家族を通じた意思確認

患者さんの普段の様子をよく知るご家族から情報を得ることで、言葉で表現できない思いや希望を理解することができます。ご家族との密な連携を図りながら、患者さんの最善の利益を考えていきます。

チーム医療への参加方法

終末期ケアにおいては、多職種が連携してケアを提供することが重要です。看護学生の皆さんも、チーム医療の一員として、自分にできる役割を見つけ、積極的に参加していくことが求められます。

情報共有の重要性

チーム医療において、正確な情報共有は患者さんのケアの質を左右する重要な要素です。看護学生として、観察した内容を適切に記録し、必要な情報を確実に伝えることを心がけましょう。

申し送りの基本

申し送りは、患者さんの状態や実施したケアを次の担当者に確実に伝える重要な機会です。特に終末期の患者さんの場合、些細な変化も見逃さないよう、観察した内容を具体的に伝えることが大切です。

体温や血圧などの数値データだけでなく、患者さんの表情や反応、ご家族の様子なども含めて報告します。

カンファレンスでの発言方法

カンファレンスでは、自分が担当した時間帯での観察内容や気づいたことを簡潔に報告します。

「昨日と比べて呼吸が落ち着いているように感じました」「食事の際にご家族が心配されている様子でした」など、具体的な状況を報告することで、チームでの情報共有が充実します。

記録の書き方

看護記録は、チーム医療における重要なコミュニケーションツールです。客観的な事実を正確に記載することで、質の高いケアの継続につながります。

フォーカスチャーティング

患者さんの主な症状や変化に焦点を当てた記録方法です。DAR(Data:データ、Action:行動、Response:反応)の形式で記載することで、経過が分かりやすくなります。終末期特有の症状や変化について、観察した内容を具体的に記録します。

記録における注意点

主観的な表現を避け、客観的な事実を記載することが基本です。「元気がない様子」ではなく「声かけに対する返答が一語程度となっている」など、具体的な表現を心がけます。時間の経過とともに、どのような変化があったのかが分かるように記載することも大切です。

多職種との連携方法

終末期ケアでは、医師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士など、様々な職種が関わります。それぞれの専門性を理解し、適切なコミュニケーションを図ることが重要です。

報告・連絡・相談の実際

医師や他職種へ報告する際は、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して伝えます。特に急変時や状態の変化が見られた際は、簡潔かつ正確な報告が求められます。

質問や確認の仕方

分からないことがある場合は、適切なタイミングで質問することが大切です。「この患者さんの○○について教えていただきたいのですが、お時間はありますでしょうか」など、相手の業務を妨げないよう配慮しながら確認します。

チーム内での学生の役割

看護学生として、チーム医療にどのように貢献できるのか、具体的な役割を理解することが重要です。

観察者としての役割

受け持ち患者さんの些細な変化も見逃さないよう、丁寧な観察を心がけます。学生だからこそ時間をかけて観察できることもあり、その特性を活かした関わりが可能です。

情報収集者としての役割

患者さんやご家族との会話の中から得られた情報を、チームに共有することも重要な役割です。ただし、プライバシーに関わる内容については、共有の範囲を指導者に確認しましょう。

ケーススタディ

実際の終末期ケアの場面では、様々な状況に遭遇します。

ここでは、看護学生の皆さんが実習で経験する可能性の高い具体的な事例を通して、適切なケアの方法について考えていきましょう。

ケース1:呼吸困難を訴える患者さんへの対応

終末期がんの患者さんが呼吸困難を訴えるケースは多く見られます。このケースでは、看護学生としてできる観察とケアについて学びます。

事例の概要

A氏、70歳男性。肺がん終末期で、安静時の呼吸困難感が増強しています。酸素療法を実施中ですが、体動時の息切れを強く訴えられています。妻が付き添われており、心配な様子で看護師に頻繁に声をかけている状況です。

実践したケア方法

ベッドの頭側を45度に挙上し、呼吸が楽になる体位を工夫しました。加えて、エアコンの風が直接当たらないよう配慮しながら、ハンディファンを使用して気流を作り、呼吸困難感の軽減を図りました。また、不安の軽減のため、ゆっくりと話を聴く時間を設けました。

指導者からのフィードバック

呼吸困難のある患者さんへの対応では、バイタルサインの測定と合わせて、表情や呼吸の様子を細かく観察することが重要です。また、患者さんとご家族の不安に対するケアも必要不可欠です。

ケース2:疼痛コントロールが必要な患者さん

がん性疼痛のある患者さんへの対応は、終末期ケアにおいて重要な課題の一つです。薬物療法と併せて、非薬物療法による苦痛の緩和も重要となります。

事例の概要

B氏、65歳女性。膵臓がん終末期で、腹部の持続痛と突出痛があります。医師の指示のもと、定期的な鎮痛薬の投与が行われていますが、体位変換時に強い痛みを訴えられます。

アセスメントとケアの実際

痛みの部位、性質、強さ、増強因子について詳しく観察し、記録しました。体位変換時は、患者さんのペースに合わせてゆっくりと行い、できるだけ苦痛を軽減できるよう配慮しました。

また、リラックスできる環境づくりとして、音楽を聴いていただくなどの工夫も行いました。

学びのポイント

疼痛コントロールでは、薬物療法の効果を正確に評価することと、日常生活動作による痛みの増強を予防することが重要です。看護学生として、特に非薬物療法による苦痛緩和の方法を積極的に学ぶ必要があります。

ケース3:看取り期の患者さんとご家族への支援

看取り期には、患者さんの身体的ケアと共に、ご家族への精神的支援が特に重要となります。このケースでは、看護学生としてできる関わり方を考えます。

事例の概要

C氏、80歳男性。大腸がん終末期で、徐々に意識レベルが低下してきています。ご家族は24時間付き添われていますが、疲労が蓄積している様子です。時折、「何もしてあげられない」と涙ぐまれることもあります。

実践した支援方法

ご家族の休息時間を確保するため、看護師と共に患者さんの見守りを行いました。

また、患者さんの普段の様子や思い出話を傾聴することで、ご家族の心理的負担の軽減を図りました。清拭や口腔ケアの際は、ご家族にもケアに参加していただき、「できることがある」という実感を持っていただけるよう支援しました。

臨床での学び

看取り期のケアでは、患者さんの安楽を確保すると同時に、ご家族の心理的サポートが重要です。看護学生として、ご家族の思いに寄り添い、共に時間を過ごすことで、大きな支援となることを学びました。

実習での学びを深めるために

終末期ケア実習では、患者さんとご家族との関わりを通して、多くの学びを得ることができます。

ここでは、実習をより充実したものにするための準備と、日々の振り返りの方法についてお伝えします。

事前準備のポイント

実習を効果的なものにするためには、しっかりとした事前準備が欠かせません。特に終末期ケアでは、基本的な知識と技術の確認が重要となります。

基礎知識の確認方法

終末期に現れやすい症状とその観察ポイントについて、教科書や参考書を用いて復習します。

特に、呼吸困難、疼痛、倦怠感などの主要な症状については、アセスメントの視点をしっかりと整理しておくことが大切です。また、使用頻度の高い医療機器や医療材料についても、基本的な取り扱い方を確認しておきましょう。

コミュニケーション技術の準備

終末期患者さんとの関わりでは、特にコミュニケーション技術が重要です。クラスメートとロールプレイを行うなどして、基本的な声かけの方法や傾聴の技術を練習しておくことをお勧めします。

日々の振り返りの実践

実習での経験を学びに変えていくためには、その日の出来事を丁寧に振り返ることが大切です。記録を通して自己の課題を明確にし、次の実習に活かしていきましょう。

実習記録の書き方

その日の実習で印象に残った場面について、具体的に記録します。

「何を観察したか」「どのように判断したか」「なぜそのケアを選択したか」という視点で整理することで、自己の思考過程が明確になります。また、指導者からいただいたアドバイスも必ず記録に残し、次の実習に活かせるようにします。

効果的な学習方法

実習中の気づきや疑問点は、その場でメモを取るようにします。

休憩時間や実習終了後に、指導者に質問したり、文献で調べたりすることで、理解を深めることができます。また、同じ実習グループのメンバーと学びを共有することで、新たな気づきが得られることもあります。

次の目標設定

日々の振り返りを通して、自己の課題を明確にし、具体的な目標を設定することが重要です。できなかったことを単に反省するのではなく、「次はどうしたいか」という前向きな視点で考えることが大切です。

具体的な目標の立て方

「患者さんの訴えをよく聴く」といった抽象的な目標ではなく、「痛みの評価時には、表情の変化も含めて観察する」など、具体的な行動レベルでの目標を立てます。このように具体的な目標を設定することで、実践につながりやすくなります。

学びの共有方法

カンファレンスなどの機会を活用して、自己の経験や気づきを他者と共有します。他の学生の経験を聞くことで、新たな視点や学びを得ることができます。

また、分からないことや困ったことも、積極的に共有し、解決策を一緒に考えることで、グループ全体の学びが深まります。

おしえてカンゴさん!よくある質問

終末期ケア実習では、様々な不安や疑問が生じることと思います。

ここでは、看護学生の皆さんからよく寄せられる質問について、経験豊富な看護師がわかりやすく回答します。

コミュニケーションに関する質問

実習中、最も多く寄せられるのがコミュニケーションに関する質問です。具体的な対応方法について解説します。

患者さんとの会話について

Q1:終末期の患者さんとの会話で、避けた方がよい言葉はありますか。

 A:「頑張って」という言葉は、患者さんにプレッシャーを与えてしまう可能性があります。代わりに「今日の体調はいかがですか」「お話を聞かせていただけますか」など、患者さんの気持ちに寄り添う言葉かけを心がけましょう。

そして何より、相手の言葉に耳を傾け、共感的な態度で接することが大切です。

Q2:患者さんが死について話し始めたとき、どのように対応すればよいでしょうか。

A:そのような重要な話題を共有してくださることに感謝の気持ちを持ち、まずはしっかりと傾聴します。「そのようなお気持ちなのですね」と共感を示しながら、患者さんのペースで話ができるよう見守ります。

ただし、内容によっては必ず指導者に報告し、対応について相談しましょう。

実践的なケアについて

日常的なケアの実践について、具体的な方法を解説します。

基本的なケアの実施方法

Q3:清拭の際、特に気をつけることはありますか。

 A:終末期の患者さんは体力が低下していることが多いため、体調と疲労度に十分注意を払う必要があります。一度に全身を行うのではなく、部分的に分けて実施することもあります。

また、室温管理や露出する範囲を最小限にするなど、環境への配慮も重要です。体位変換の際は必ず介助者を確保し、安全かつ安楽な方法で行いましょう。

ご家族への対応について

ご家族とのコミュニケーションや支援方法についての質問にお答えします。

家族支援の方法

Q4:付き添われているご家族への声かけで、気をつけることは何ですか。

 A:ご家族の心身の疲労に気を配ることが大切です。「休憩を取られませんか」「何かお手伝いできることはありますか」など、具体的な支援を提案することも有効です。

また、患者さんのケアに参加したいと思われているご家族もいらっしゃいますので、その意向を確認し、可能な範囲でケアに参加していただくことも検討します。

精神的なケアについて

看護学生自身のメンタルケアも含めて、心理的支援について解説します。

心理的サポート

Q5:患者さんの状態悪化に動揺してしまいます。どのように対処すればよいですか。 

A:そのような感情を持つことは自然なことです。まずは指導者に相談し、自分の気持ちを整理することが大切です。

また、実習グループのメンバーと経験を共有することで、新たな視点や対処方法が見つかることもあります。自分の感情に向き合いながら、できることを一つずつ実践していくことを心がけましょう。

記録と報告について

実習記録の書き方や報告方法についての疑問に答えます。

記録方法

Q6:終末期患者さんの記録で特に注意すべき点は何ですか。

 A:痛みや苦痛の程度、それに対するケアの効果などを具体的に記載することが重要です。また、患者さんやご家族の言葉は、重要な情報として記録に残します。ただし、個人情報の取り扱いには十分注意し、記録の内容は必ず指導者に確認してもらいましょう。

8. まとめ

終末期ケア実習は、看護学生の皆さんにとって大きな学びの機会となります。これまでの内容を振り返りながら、実践に向けた準備を整えていきましょう。

実践に向けたまとめ

これまでの内容を通して、終末期ケアにおける基本的な考え方から具体的な実践方法まで学んできました。実習に向けて、最後にもう一度重要なポイントを確認します。

看護学生としての心構え

終末期ケアでは、患者さんとご家族の気持ちに寄り添い、その人らしさを大切にした関わりが求められます。基本的な観察とケアを丁寧に行いながら、日々の関わりを通して学びを深めていくことが大切です。

また、分からないことや困ったことがあれば、必ず指導者に相談する姿勢を忘れないようにしましょう。

継続的な学習の重要性

実習での経験を今後の学習につなげていくためには、日々の振り返りと記録が重要です。実習記録には、その日の気づきや学びを具体的に記載し、次の実習に活かせるようにしていきましょう。

また、実習グループ内での学びの共有も、新たな気づきを得る貴重な機会となります。

最後に

終末期ケアの実習では、基本的な観察とケアの実践から始め、徐々に経験を積み重ねていくことが大切です。

患者さんとご家族の気持ちに寄り添い、チーム医療の一員として、自分にできることから着実に取り組んでいきましょう。実習中に困ったことや分からないことがあれば、必ず指導者に相談することを忘れないでください。

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