
本マニュアルでは、患者の尊厳を守りながら効率的な排泄介助を実現するための実践的な方法を解説します。
基本的な介助技術から特殊な状況への対応まで、現場で即活用できる知識を網羅しています。
さらに、時間管理の工夫やチーム連携の方法など、業務効率化のポイントもご紹介します。2025年の最新情報と、経験豊富な看護師の実践知を凝縮した一冊です
この記事で分かること
- 排泄介助における時間管理と効率化の具体的な方法
- 安全性とプライバシーに配慮した実践手順
- 特殊な状況における対応技術とリスク管理
- チーム医療における効果的な情報共有と連携方法
この記事を読んでほしい人
- 病院や施設で排泄介助業務に従事する看護師の方
- 排泄介助の効率化や質の向上を目指す方
- 新人教育や指導的立場にある看護師の方
- 患者の安全とケアの質を重視する医療従事者の方
- 業務改善や時間管理の最適化に取り組む看護管理者の方
はじめに
医療・介護現場における排泄介助は、患者のQOLに直接影響を与える重要なケアです。
本マニュアルでは、安全性と効率性を両立させた最新の介助技術について、実践的な方法を解説します。
現場での即戦力となる知識と技術の習得を目指し、具体的な手順とポイントを詳しく説明します。
排泄介助の基本原則

排泄介助は単なる身体的サポートではなく、患者の尊厳を守り、自立を支援する重要な看護技術です。
本章では、効率的な介助を実現するための基本的な考え方と最新の知見を解説します。
排泄介助の意義と重要性
患者のQOL向上への貢献
排泄介助は日常生活の基本となる重要なケアであり、適切な介助は患者の身体的・精神的健康に大きく影響します。
自立支援としての役割
介助者は患者の残存機能を活かしながら、できる限り自立した排泄が行えるよう支援することが求められます。
排泄介助における基本的姿勢
個別性の重視
患者一人ひとりの身体状況や生活習慣に合わせた介助方法を選択することが重要です。
日常生活動作(ADL)の状態、認知機能、排泄パターン、既往歴などを総合的に評価し、その人に最適な介助方法を検討していきます。
また、患者の生活リズムや希望する時間帯にも配慮し、可能な限り対応することで、心理的な安心感を提供することができます。
プライバシーの保護
羞恥心に配慮した環境整備と声かけを行い、患者の心理的負担を軽減します。
カーテンやスクリーンの適切な使用、必要最小限の露出、丁寧な声かけなど、常に患者の立場に立った対応を心がけます。
また、排泄に関する情報の取り扱いにも十分な注意を払い、記録や申し送りの際にも配慮が必要です。
安全性の確保
介助時の転倒や転落を防止するため、適切な介助方法と環境整備を行います。
特に夜間の排泄介助では、照明や動線の確保、必要な物品の配置などに注意を払います。
また、患者の体調変化にも留意し、必要に応じて介助方法を柔軟に変更できる体制を整えます。
自立支援の促進
残存機能を活かした介助を行うことで、患者の自立性を高めることができます。
過度な介助は依存性を高める可能性があるため、患者の能力を適切に評価し、必要最小限の支援を提供することが重要です。
また、リハビリテーションとの連携により、排泄動作の改善を目指すことも考慮します。
排泄介助に関する最新の知見
テクノロジーの活用
最新の介護機器や支援ツールを効果的に活用することで、介助の質と効率を向上させることができます。
電動ベッドやリフト、見守りセンサーなどの機器は、適切に使用することで介助者の負担軽減と安全性の向上に貢献します。
また、記録システムのデジタル化により、情報共有の効率化も図れます。
予防的アプローチの重要性
スキントラブルや尿路感染症などの合併症を予防するため、適切なスキンケアと観察が必要です。
排泄物による皮膚への刺激を最小限に抑え、早期発見・早期対応により、重症化を防ぐことができます。
また、定期的なアセスメントにより、排泄パターンの変化や異常の早期発見にも努めます。
多職種連携によるケアの最適化
看護師、介護職、リハビリテーションスタッフ、医師など、多職種が連携することで、より効果的な排泄ケアを提供することができます。
それぞれの専門性を活かした意見交換を行い、患者の状態に応じた最適なケア方法を検討します。
定期的なカンファレンスの開催により、継続的な評価と改善を行うことが重要です。
環境整備の重要性
排泄介助の効率と安全性を高めるためには、適切な環境整備が不可欠です。
手すりの設置位置、ベッドの高さ、必要物品の配置など、細かな調整により、患者の自立支援と介助者の負担軽減を図ることができます。
また、プライバシーの確保と感染予防の観点からも、環境整備は重要な要素となります。
事前準備と評価

効果的な排泄介助を実現するためには、綿密な事前準備とアセスメントが不可欠です。
本章では、包括的な評価方法から具体的なケアプランの立案、必要物品の準備まで、実践的な手順を解説します。
包括的アセスメント
身体機能の評価
基本的な運動機能として、座位保持能力、立位バランス、歩行状態を評価します。
また、上肢の筋力や関節可動域も確認し、どの程度自力で衣服の着脱や身体の清潔保持が可能かを判断します。
さらに、握力や手指の巧緻性も重要な評価項目となり、ボタンやファスナーの操作能力を把握することで、適切な支援方法を検討することができます。
排泄機能の評価
排尿・排便のパターンや頻度、量、性状などの基本的な情報を収集します。
また、尿意・便意の有無、失禁の状況、排泄時の痛みや不快感の有無についても詳しく確認します。
これらの情報は、適切な排泄用具の選択や介助のタイミング決定に重要な指標となります。
2.1.3 認知機能の評価
排泄に関する認識や理解力を評価します。
トイレの場所の認識、排泄の意思表示能力、介助の必要性の理解度などを確認し、安全で効果的な介助方法を検討します。
特に、見当識障害がある場合は、環境整備や声かけの方法に特別な配慮が必要となります。
心理社会的評価
排泄に対する羞恥心や不安感、介助を受けることへの抵抗感などを確認します。
また、生活習慣や文化的背景、家族関係なども考慮し、その人らしい排泄ケアを提供できるよう配慮します。
コミュニケーション能力の評価も重要で、意思表示の方法や理解しやすい説明方法を検討します。
ケアプランの立案
目標設定
アセスメント結果に基づき、具体的で達成可能な目標を設定します。短期目標と長期目標を明確に区分し、段階的な改善を目指します。
目標設定の際は、患者本人の希望や生活スタイルを考慮し、実現可能な内容とすることが重要です。
介助方法の選択
患者の状態と目標に応じて、最適な介助方法を選択します。全介助が必要な場合でも、残存機能を活かした部分介助を取り入れることで、自立支援につながります。
また、使用する福祉用具や補助具についても検討し、安全で効率的な介助を実現します。
排泄スケジュールの作成
生活リズムと排泄パターンを考慮し、個別の排泄スケジュールを作成します。定時誘導と随時対応の組み合わせにより、効率的なケアを提供します。
また、水分摂取量や活動量との関連も考慮し、より自然な排泄リズムの確立を目指します。
リスク管理計画
転倒や皮膚トラブル、感染症などのリスクを予測し、予防策を計画します。
特に夜間の排泄介助では、安全確保のための具体的な対策を立案します。
また、緊急時の対応手順も明確にし、スタッフ間で共有します。
必要物品の準備
基本的な介助物品
おむつ、パッド、清拭タオル、手袋などの基本物品を、使用頻度に応じて適切に配置します。サイズや種類は患者の状態に合わせて選択し、必要数を常に確保します。
また、使用期限や保管状態にも注意を払い、品質管理を徹底します。
衛生用品の管理
手指消毒剤、エプロン、マスクなどの感染予防用品を適切に準備します。これらの物品は使用しやすい位置に配置し、必要時にすぐに使用できる状態を保ちます。
使用後の廃棄方法についても、明確なルールを設定します。
環境整備用品
防水シーツ、体位変換用クッション、移動補助具など、安全で快適な介助に必要な環境整備用品を準備します。これらの用具は定期的に点検し、清潔な状態を保ちます。
また、収納場所を統一し、緊急時でもスムーズに対応できるようにします。
記録用具の準備
排泄チェック表、評価シート、申し送りノートなど、必要な記録用具を整備します。デジタル機器を使用する場合は、操作方法の確認と情報セキュリティの管理を徹底します。
記録の効率化と正確性の向上を図ります。
実践的な介助技術

排泄介助の実践においては、基本的な技術の習得と、状況に応じた適切な対応が求められます。
本章では、日常的な介助技術から特殊な状況における対応まで、具体的な手順とポイントを解説します。
基本的な介助技術
ベッド上での排泄介助
体位変換から清拭までの一連の流れを、患者の安全とプライバシーに配慮しながら実施します。
まず、必要な物品をベッドサイドに配置し、カーテンを閉めてプライバシーを確保します。
体位変換の際は、患者の残存機能を活かしながら、介助者の腰部への負担を軽減する適切な姿勢で行います。
おむつ交換時は、陰部の清潔保持と皮膚の観察を丁寧に行い、新しいおむつの装着時はしわやずれが生じないよう注意を払います。
トイレへの移動介助
安全な移動のため、患者の歩行能力を適切に評価し、必要な支援を提供します。
移動前には患者の体調を確認し、足元の安全確認や適切な履物の着用を確認します。移動中は患者のペースに合わせ、必要に応じて休憩を取りながら進みます。
また、手すりの使用方法や適切な歩行器の操作方法についても、患者に分かりやすく説明します。
トイレ内での介助
トイレ内での転倒予防と、効率的な動作支援が重要です。
便座への移乗時は、手すりを活用しながら安全に行います。
衣服の上げ下げの際は、患者の自立度に応じた支援を行い、必要以上の介助は避けます。
排泄後の処理については、患者の希望を確認しながら、適切な清拭援助を提供します。
ポータブルトイレの使用
ベッドサイドでのポータブルトイレ使用時は、安定性と使いやすさを重視します。
設置位置は患者の移乗のしやすさと介助者の作業スペースを考慮して決定します。
使用後は適切な清掃と消毒を行い、次回使用時までの保管方法にも配慮します。
特殊な状況での介助技術
認知症患者への対応
認知機能の低下により、コミュニケーションや介助に困難を伴う場合があります。簡潔な言葉で説明を行い、ゆっくりとした対応を心がけます。
排泄のサインを見逃さないよう注意深く観察し、適切なタイミングでの誘導を行います。
また、排泄習慣や好みを把握し、できるだけ普段の習慣に近い形での支援を提供します。
重度の身体障害がある場合
全介助が必要な患者に対しては、安全性と快適性を重視した介助を行います。
リフトやスライディングボードなどの福祉用具を適切に活用し、介助者の負担軽減と患者の安全確保を図ります。
体位変換時は褥瘡予防にも注意を払い、適切なクッションの使用や除圧を行います。
終末期患者への対応
終末期の患者に対しては、身体的負担を最小限に抑えながら、尊厳を守る介助を提供します。体調の変化に細心の注意を払い、必要に応じて医師や他職種と連携しながら対応します。
家族の希望も考慮し、可能な限り快適な排泄ケアを提供できるよう努めます。
感染症患者への対応
感染症患者の排泄介助では、標準予防策に加えて、必要な感染対策を徹底します。適切な個人防護具を着用し、使用後の廃棄物処理も確実に行います。
また、環境の消毒や換気にも特に注意を払い、二次感染の予防に努めます。
緊急時の対応
急変時の対応手順
排泄介助中の急変に備え、迅速な対応ができるよう準備します。バイタルサインの変化や意識レベルの低下などの異常を早期に発見できるよう、観察を怠りません。
緊急時の連絡体制を整備し、必要な医療処置がスムーズに行えるよう準備します。
転倒・転落時の対応
万が一の転倒・転落時には、まず患者の状態を確認し、必要な応急処置を行います。医師への報告と記録を確実に行い、原因分析と再発防止策の検討を行います。
また、家族への説明も適切に行い、信頼関係の維持に努めます。
介助技術の評価と改善
定期的な技術評価
介助技術の質を維持・向上させるため、定期的な評価と振り返りを行います。チェックリストを活用した自己評価や、他者評価を実施し、改善点を明確にします。
また、新しい介助技術や福祉用具についての情報も積極的に収集します。
継続的な技術向上
研修や勉強会への参加により、最新の知識と技術の習得に努めます。実践で得られた経験や課題を、チーム内で共有し、より効果的な介助方法の開発につなげます。また、患者からのフィードバックも重要な改善の手がかりとして活用します。
安全管理とリスク予防

排泄介助における安全管理とリスク予防は、質の高いケアを提供するための基本となります。
本章では、感染予防から転倒予防まで、具体的な対策と実践方法について解説します。
感染予防対策
標準予防策の実践
医療関連感染を予防するため、すべての患者に対して標準予防策を実施します。
手指衛生は、患者との接触前後、清潔操作の前、体液に触れた後など、必要なタイミングで確実に行います。
手洗いは適切な手順で実施し、手指消毒剤の使用も状況に応じて組み合わせます。
個人防護具の適切な使用
状況に応じて適切な個人防護具を選択し、正しい着脱手順を遵守します。
手袋は排泄物との接触が予測される際に使用し、必要に応じてエプロンやマスクも着用します。
使用後の防護具は、周囲を汚染させないよう注意深く外し、適切に廃棄します。
環境整備と消毒
排泄介助に使用する環境の清潔を保つため、定期的な清掃と消毒を実施します。
特にトイレやポータブルトイレは使用後の清掃を徹底し、消毒薬は適切な濃度で使用します。
また、介助に使用する物品の清潔管理と定期的な消毒も重要です。
医療廃棄物の適切な処理
感染性廃棄物は専用の容器に分別し、周囲への汚染を防止します。
使用済みのおむつや防護具は適切に処理し、廃棄物の運搬時にも感染予防に配慮します。
また、廃棄物の一時保管場所の管理も適切に行います。
転倒予防対策
環境整備によるリスク軽減
転倒のリスクを減らすため、適切な環境整備を行います。
床は常に乾燥した状態を保ち、必要に応じて滑り止めマットを使用します。
照明は適切な明るさを確保し、特に夜間の排泄介助時は安全な視界を確保します。
移動時の安全確保
移動介助時は、患者の状態に応じた適切な支援を提供します。
歩行補助具の使用方法を確認し、必要に応じて2人介助を実施します。
また、移動距離を最小限に抑えるよう、ポータブルトイレの適切な配置を検討します。
リスクアセスメントの実施
定期的なリスクアセスメントにより、転倒リスクの早期発見と予防に努めます。
服薬内容や身体機能の変化、環境要因などを総合的に評価し、必要な予防策を講じます。
アセスメント結果は記録し、スタッフ間で共有します。
予防的介入の実施
転倒リスクの高い患者に対しては、予防的な介入を行います。
筋力維持のための運動支援や、適切な履物の選択、環境調整など、多角的なアプローチを実施します。
また、患者教育も重要な予防策として位置づけます。
スキントラブル予防
皮膚アセスメント
定期的な皮膚状態の観察と評価を行います。発赤や湿潤、傷などの早期発見に努め、必要な予防ケアを実施します。
特に、おむつ使用部位や圧迫を受けやすい部位は重点的に観察します。
スキンケアの実施
適切なスキンケア製品を選択し、予防的なケアを実施します。清潔保持と保湿を基本とし、必要に応じて保護剤も使用します。
また、おむつの交換頻度や選択も、皮膚状態に応じて適切に判断します。
緊急時対応の整備
緊急時対応マニュアルの整備
急変時や事故発生時の対応手順を明確化し、スタッフ間で共有します。
連絡体制や必要な処置、記録方法などを具体的に定め、定期的な確認と更新を行います。
スタッフ教育と訓練
定期的な研修や訓練を実施し、緊急時対応能力の向上を図ります。シミュレーション訓練を通じて、実践的な対応力を養います。また、インシデント・アクシデントの振り返りを通じて、予防策の改善にも取り組みます。
時間管理と効率化

質の高い排泄介助を提供しながら、業務の効率化を図ることは重要な課題です。
本章では、時間管理の工夫からチーム連携まで、実践的な効率化の方法について解説します。
業務の効率化
タイムマネジメントの基本
効率的な業務遂行のため、時間の使い方を最適化します。患者の排泄パターンを把握し、予測的な対応を心がけます。
また、優先順位を明確にし、緊急性と重要性のバランスを考慮した時間配分を行います。
他の看護業務との調整も考慮し、効率的な動線を意識した行動計画を立てます。
業務の標準化
介助手順の標準化により、安全性と効率性を両立させます。
基本的な手順をマニュアル化し、スタッフ間で共有することで、均質なケアの提供が可能になります。
ただし、患者の個別性にも配慮し、必要に応じて柔軟な対応ができるよう工夫します。
記録の効率化
記録業務の効率化のため、デジタル機器やテンプレートを活用します。必要な情報を簡潔かつ正確に記録し、チーム内での情報共有を円滑にします。
また、記録時間を確保するため、業務の合間を有効活用する工夫も必要です。
物品管理の効率化
必要物品の適切な配置と在庫管理により、業務の効率化を図ります。使用頻度の高い物品は手の届きやすい位置に配置し、補充のタイミングも明確にします。
また、定期的な在庫確認により、不足を防ぎます。
チーム連携
情報共有の最適化
効果的な情報共有によりチームケアの質を向上させます。申し送りは重要点を簡潔に伝え、必要な情報が確実に伝わるよう工夫します。
また、デジタルツールを活用し、リアルタイムの情報共有も促進します。
役割分担の明確化
チームメンバーの役割と責任を明確にし、効率的な業務遂行を実現します。各職種の専門性を活かした役割分担を行い、業務の重複を避けます。
また、状況に応じて柔軟な支援体制も整備します。
多職種連携の促進
看護師、介護職、リハビリスタッフなど、多職種間の連携を強化します。
定期的なカンファレンスを通じて、ケアの方向性を共有し、それぞれの専門性を活かした効果的なケアを提供します。
業務改善の取り組み
継続的な業務改善により、効率化を推進します。現場の声を積極的に収集し、実践可能な改善策を検討します。
また、改善の効果を評価し、さらなる効率化につなげます。
教育と質の向上
スタッフ教育の効率化
効果的な教育プログラムにより、スタッフの能力向上を図ります。
実践的な研修や、経験者による指導を通じて、効率的なスキル習得を支援します。
また、個々のスタッフの習熟度に応じた教育計画を立案します。
ケアの質の評価
定期的な評価により、ケアの質を維持・向上させます。
患者満足度の調査や、ケアの実施状況の分析を通じて、改善点を明確にします。
評価結果は、次の業務改善につなげていきます。
付録
本章では、日々の実践に役立つ評価シートやチェックリスト、さらに参考となる文献情報を提供します。
これらの資料は、必要に応じてコピーして使用することができます。
実践的なツール
排泄ケアアセスメントシート
患者の排泄状況を包括的に評価するためのシートです。
身体機能、認知機能、排泄パターン、使用している排泄用具など、必要な情報を一目で把握できるように構成されています。
定期的なアセスメントにより、ケアの評価と見直しに活用することができます。
日常ケアチェックリスト
毎日の排泄ケアの実施状況を確認するためのチェックリストです。
時間帯ごとの排泄状況、スキンケアの実施状況、水分摂取量などを記録します。
継続的な記録により、排泄パターンの把握と適切なケア計画の立案に役立ちます。
安全管理ツール
リスクアセスメントシート
転倒リスクや皮膚トラブルのリスクを評価するためのシートです。
定期的な評価により、予防的な介入の必要性を判断することができます。
評価結果に基づいて、具体的な予防策を検討し実施します。
インシデント報告書
安全管理に関する出来事を記録し、分析するための報告書です。発生状況や要因分析、改善策の検討結果を記録します。
これらの記録を活用し、同様の事例の再発防止に努めます。
参考情報
関連ガイドライン
排泄ケアに関連する最新のガイドラインや基準について紹介します。
エビデンスに基づいた実践のため、定期的な更新情報の確認が推奨されます。
実践に活かせる具体的な推奨事項を参照することができます。
参考文献リスト
本マニュアルの作成に参考とした文献や、さらに深く学ぶための推奨文献を掲載しています。
実践的な技術書から研究論文まで、目的に応じて参照することができます。
継続的な学習のための資料として活用してください。
おしえてカンゴさん!排泄介助のQ&A

みなさんからよくいただく質問にお答えします。
日々の実践でお困りの際は、ぜひ参考にしてください。
Q1:排泄介助にかかる時間の目安はどのくらいですか?
カンゴさん:介助の所要時間は患者さんの状態によって異なりますが、基本的な目安をお伝えします。
おむつ交換の場合は準備から片付けまで15分程度、トイレへの移動介助を含む場合は20〜30分程度を想定します。
ただし、皮膚トラブルの処置が必要な場合や、認知症の方への対応など、状況に応じて余裕を持った時間設定が必要です。
効率化を意識しすぎて急かすことは避け、患者さんのペースを大切にしましょう。
Q2:夜勤帯での効率的な排泄介助のコツを教えてください。
カンゴさん:夜勤帯では、患者さんの睡眠を妨げないよう配慮しながら介助することが重要です。
定時の巡回時に排泄介助が必要な方を把握し、優先順位をつけて効率的に回します。
また、就寝前の排泄介助を確実に行い、夜間帯の回数を最小限に抑える工夫も効果的です。
必要な物品は事前に準備し、動作を最小限に抑えることで、患者さんの安眠を妨げないよう心がけましょう。
Q3:認知症の方の排泄介助で、拒否が強い場合の対応方法は?
カンゴさん:急かしたり強制したりせず、タイミングを変えて声かけすることが大切です。
普段から患者さんの好む声かけの方法や、落ち着く話題を見つけておくと効果的です。
また、排泄のサインを見逃さないよう観察し、できるだけ自然なタイミングでの誘導を心がけましょう。
無理な介助は転倒リスクも高まるため、必要に応じて複数名での対応を検討します。
Q4:スキントラブルを防ぐための具体的な対策を教えてください。
カンゴさん:予防が最も重要です。
おむつ交換時は必ず皮膚の観察を行い、発赤や湿潤がないか確認します。
清拭は優しく丁寧に行い、完全に乾燥させてから新しいおむつを装着します。
また、適切な吸収性のおむつを選択し、交換の間隔も個々の排泄状況に応じて調整することが大切です。
皮膚保護剤の使用も効果的ですが、使用方法は院内の基準に従いましょう。
Q5:ポータブルトイレの消臭対策について教えてください。
カンゴさん:基本は使用後すぐの処理と清掃です。
消臭剤の使用も効果的ですが、患者さんによっては香りが気になる場合もあるため、使用前に確認しましょう。
また、定期的な換気と、必要に応じて活性炭などの消臭材の使用も検討します。
特に夏場は臭気が強くなりやすいため、より頻繁な清掃と消毒が必要です。
Q6:多忙な業務の中で、排泄介助の優先順位はどのように決めればよいですか?
カンゴさん:まず、定時の排泄介助が必要な方と随時対応の方を明確に区別します。
その上で、皮膚トラブルのリスクが高い方、認知機能の低下により待つことが難しい方を優先的に対応します。
また、食後などの排泄パターンが予測できる時間帯は、あらかじめ時間に余裕を持って対応できるよう計画を立てましょう。
チームでの情報共有と協力体制も重要です。
まとめ
排泄介助は患者さんの尊厳を守りながら、安全性と効率性を両立させる高度な看護技術です。
基本的な介助技術の習得に加え、個々の患者さんに合わせた対応力を磨くことが重要です。
本マニュアルで解説した実践的な技術と知識を、日々のケアに活かしていただければ幸いです。
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