2025年最新【男性助産師の現状と展望完全ガイド】活躍の場と課題への取り組み

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はたらく看護師さん 編集部
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医療現場における性別の垣根が低くなりつつある今日、助産師という職業においては依然として法的な制限が存在します。現在の日本では保健師助産師看護師法により、男性は助産師になれないことが明確に定められています。

本記事では、助産師の定義や役割、男性が助産師になれない理由と法的背景、そして男性が目指せる代替キャリアパスについて詳しく解説します。

この記事では日本における男性助産師の現状と法的制限、助産師という職業の魅力とやりがい、そして男性が選択できる周産期医療における代替キャリアについて理解を深めることができます。

この記事で分かること

  • 男性助産師の最新動向と実態についての詳細な分析
  • 活躍の場の拡大と具体的なキャリアパスの展望
  • 現場で直面する課題とその克服のための実践的アプローチ
  • 将来性と新たな可能性についての展望
  • 具体的な事例とケーススタディ

この記事を読んでほしい人

  • 看護学校に通っている男性看護師
  • 周産期医療における多様性に関心がある医療従事者
  • 医療現場でのジェンダー平等に興味をお持ちの方

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助産師とは

助産師とは、出産の介助や妊産婦の相談対応、妊娠から産後までの母子の保健指導などを行う専門職です。

助産行為の専門家として、英語では「女性(wife)とともに(mid)」という意味から「Midwife(ミッドワイフ)」と呼ばれています。

日本では戦前は「産婆(さんば)」と呼ばれていましたが、保健婦助産婦看護婦法が制定されてからは「助産婦」に改称され、2001年の法改正により「助産師」と改められて現在に至ります。

助産師の仕事内容

助産師の仕事内容は、出産前・出産時・出産後の3つの段階に分かれています。

出産前の助産師は、妊婦やその家族を精神的・肉体的にサポートし、母子手帳の受け取り方や出産に対する心構えの指導など、妊婦への教育を行います。また、妊婦や父親への生活・保健指導や相談対応も重要な役割です。

出産時には、母子ともに健康な出産へと導くためのサポートをします。正常分娩の場合、助産師は医師の指示を受けずに助産介助ができ、異常分娩の場合は医師の補助を行います。

また、妊婦を心身ともにサポートするため、呼吸法の促しや声かけをすることも重要な役割です。

出産後は、産婦が母親として適応していくためのサポートを行います。おむつの替え方や沐浴の方法といった育児方法の指導や、母体に異常がないかの観察を行います。

また、新生児の体温調整や呼吸の状態など健康状態の観察も助産師の重要な役割です。さらに、1か月検診の際には精神的に不安定になりがちな母親の相談相手にもなります。

助産師が働ける場所

2022年に厚生労働省が公表した就業医療関係者の概況によると、助産師が働く場所として最も多いのは病院で、次いで診療所、助産所の順となっています。

病院は20床以上の病床を持つ医療機関であり、2020年の時点では約37,940人の助産師が病院で勤務しています。病院では産科または産婦人科に所属し、産婦人科医と連携を取りながら仕事を進めます。

診療所は19床以下の医療機関で、病院と比べて小規模でアットホームな雰囲気の施設も少なくありません。ただし分娩に対応していない診療所もあるため、分娩介助に携わりたい場合は分娩を行っている診療所での勤務が適しています。

助産院は助産師のみで運営されている9床以下の施設です。妊婦と信頼関係を築きながら出産を迎えられる特徴があり、出張型の助産院などもあります。

その他、産後ケアセンターや不妊治療専門クリニックなどでも助産師は活躍しています。

助産師の給料

令和3年における助産師の平均年収は約554万円で、看護師(約499万円)や准看護師(約407万円)と比べても高い傾向にあります。経験年数が増えるほど年収も上がり、15年以上の経験を持つ助産師の平均年収は約614万円となっています。

助産師のやりがい・魅力

助産師の仕事は予定通りにいかないことも多く大変ですが、新しい命が生まれる瞬間に立ち会えることや、女性に寄り添ったサポートができる非常にやりがいのある仕事です。

生命誕生の瞬間に立ち会えることは助産師の大きな魅力です。妊婦が何時間もかけて赤ちゃんを産み、元気な産声が分娩室に響き渡る瞬間は、何度経験しても感動的です。

出産は母子の健康が保証されておらず、流産や死産といった危険もありますが、苦難を乗り越えた先に得られる感動は大きなやりがいにつながります。

また、妊娠から出産、そして育児までの女性の人生を広くサポートできる点も助産師の魅力です。妊婦は出産への不安など様々な気持ちを抱えながら過ごしており、そんな妊婦をサポートすることは助産師の重要な役割です。

出産後も生活の変化に戸惑い、産後うつを発症する女性もいます。そうした女性をサポートできるのも助産師のやりがいです。

さらに、助産師は経験が重視される仕事のため、ベテランになるほど重宝されます。定年が設けられていない職場や、65歳以上の現役助産師が活躍している職場もあります。経験を積んだ助産師は後進の指導者として職場に残るよう打診されることもあります。

また、助産師は開業権を有しており、独立して助産院を開業することができます。助産院を立ち上げれば、自らがリーダーとなって妊婦や女性とじっくり向き合った働き方ができ、出張助産師として地域に密着した仕事をする道も開けています。

男性が助産師になれない理由

現在、日本において助産師は女性だけがなれる職業です。男性には助産師国家試験の受験資格が与えられていないため、試験自体を受けることができません。

法的根拠

男性が助産師になれない理由は、「助産師になれるのは女性のみである」という条件が法律で定められているためです。保健師助産師看護師法の第三条には、以下のように記されています:

「この法律において「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。」

助産師は女性の出産に深く関わる職業であり、産後の傷・悪露(おろ)の確認や、乳房に直接触れることもある授乳指導などを男性が担当することに抵抗を感じる女性も少なくありません。

現在の日本で男性が助産師になれないのは、医師ではない男性がお産に関わることへの反対意見や抵抗感が強いことも理由の一つです。

2001年に保健婦助産婦看護婦法の一部が改正され、助産婦の名称が男女の区別のない「助産師」へ変更されました。しかし、現在でも男性が助産師になることについては賛否が分かれており、法改正には至っていません。

海外では男性でも助産師になれる国がある

現在の日本で男性が助産師になることはできませんが、アメリカやイギリスなどでは男性が助産師になれるケースもあり、実際に男性の助産師が一定数存在します。

海外でも男性助産師の数は少ないものの、お産の現場のみならず、医療政策や医学研究などの分野で活躍する男性助産師も見られます。

日本で男性が助産師になるためには、まずは法律が変わらなければなりません。しかし、男性が助産師になることについては意見が分かれており、男性助産師の誕生に向けた議論が進んでいないのが現状です。

助産師以外で男性が目指せる医療資格

現在、日本で男性が助産師になることはできませんが、助産師に近い職業として以下のような選択肢があります:

産婦人科医

産婦人科医は妊娠・出産などに関する医療や、女性特有の疾患の診断・治療を専門とする職業です。妊娠の判定や妊婦検診の実施、胎児の健康管理、妊婦への指導やケアなどを行います。

また、自然分娩の場合はお産がスムーズに進むよう妊娠管理をし、緊急時には手術を行います。産婦人科医は女性の妊娠・出産に直接関わる仕事であり、助産師に最も近い職業といえます。

小児科医

小児科医は乳幼児期から思春期までの小児期の病気を診断・治療します。子供一人ひとりに応じた病気の治療や、発達に応じた養育の指導・啓発などを行います。

小児科は様々な専門科に分かれていないため、全身の病気に関する幅広い知識が必要です。小児科医は子供と深く関わりますので、子供が好きという理由で助産師を希望する方にとっては適した選択肢かもしれません。

認定看護師

認定看護師は特定の認定看護分野で高度な看護を提供する専門職です。

21の認定看護分野のうち、新生児集中ケア認定看護師は医療的なケアが必要な赤ちゃんに対して病状変化を予測した重篤化予防や、親子形成のためのサポートなどを行います。

また、不妊症看護認定看護師は不妊症で悩むカップルを対象に、不妊治療や治療後の妊娠・育児におけるサポートなどを行います。

専門看護師

専門看護師は特定の分野において質の高い看護を提供する専門家です。

14の専門看護分野のうち、小児専門看護師は子供の成長・発達のための療養生活をサポートし、母性看護専門看護師は周産期の母子や女性の健康をサポートします。

これらの専門看護師も子供や女性と関わる仕事であり、今後も需要が高まることが予想されます。

おしえてカンゴさん!

Q.男性看護師は将来、助産師として活躍できますか?

男性が助産師になるためには、保健師助産師看護師法が改正され、法律上で助産師の定義が変わる必要があります。

男性助産師の実現については、1985年に締結された男女差別撤廃条約をきっかけに、「男性に対する差別ではないか」という視点で国会でも活発に議論されたことがあります。

1999年には男性助産師実現に向けての動きがあったものの、当時は日本助産婦会からの強い反対もあり、実現には至りませんでした。

2001年に保健師助産師看護師法が改正され、助産婦・看護婦・保健婦の名称は助産師・看護師・保健師に変更されました。

これにより名前のうえでは男女の区別がなくなりましたが、男性が助産師になることはまだ認められていません。

一方で、かつては女性限定であった看護師や保健師については現在では男性も活躍できるようになっています。医療業界で男性が増えている傾向を考えると、将来的に男性助産師が認められる可能性はあるかもしれません。

まとめ

現在の日本では男性が助産師になることはできず、今も議論が続いています。過去には女性限定の職業であった看護師や保健師も、現在では男女問わず目指せる職業になりました。将来的に男性が助産師になれる可能性もゼロではありません。

産婦人科医や小児科医、認定看護師など、男性が助産師以外で目指せる医療資格は多く存在します。自分がなぜ助産師になりたいのかを考え、助産師に近い仕事ができる職業を選ぶことも一つの方法です。

医療現場における性別の垣根は少しずつ低くなっていますが、助産師については法的制限が続いています。それぞれの職業の特性を理解した上で、自分に合ったキャリアパスを選択することが大切です。

これからを看護師を目指す方々へ

男性看護師としてのキャリアは、確かにチャレンジングですが、それだけにやりがいのある職業選択といえます。

周産期医療の現場で、専門職として活躍できる可能性は確実に広がっています。今後も、学びと実践を重ねながら、この分野での活躍を目指していただければと思います。

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