2025年最新版【活動範囲からキャリアパスまでのアプローチ徹底解説ガイド】保健師と看護師のキャリアと役割の違い

この記事を書いた人
はたらく看護師さん 編集部
「はたらく看護師さん」編集部
「はたらく看護師さん」は看護師の働き方や専門知識を発信するメディアです。現役看護師や医療現場経験者による編集体制で、臨床現場の実態に基づいた信頼性の高い情報をお届けしています。看護師のキャリア支援と医療知識の普及を通じて、看護師さんの「はたらく」をサポートします。

医療現場で重要な役割を担う保健師と看護師。両職種には、活動の視点や業務内容、必要なスキルなど、さまざまな違いがあります。

この記事では、2025年の最新データと現場で活躍する医療従事者の声を基に、保健師と看護師の違いを徹底的に解説します。

医療系学部での進路選択やキャリアチェンジを考えている方に向けて、資格取得から給与水準、将来性まで、意思決定に役立つ情報をお届けします。それぞれの職種の特徴や魅力を理解し、あなたに合ったキャリアパスを見つけていきましょう。

この記事で分かること

  • 保健師と看護師の役割における本質的な違いと特徴
  • 両職種の具体的な業務内容と活動範囲の詳細な比較
  • 資格取得から給与、キャリアパスまでの違いを徹底解説
  • 医療現場における実践的な活動事例とケーススタディ

この記事を読んでほしい人

  • 医療系学部で進路を検討している学生の方
  • 看護師から保健師へのキャリアチェンジを考えている方
  • 両職種の違いを体系的に理解したい医療従事者の方
  • 医療系資格取得を目指している一般の方
  • 医療機関での人材採用や育成に関わる方

保健師と看護師の基本的な違いと特徴

保健師と看護師は、いずれも人々の健康を支える医療専門職ですが、その活動の視点や対象者、業務内容には大きな違いがあります。

このセクションでは、両職種の基本的な特徴と違いについて詳しく解説していきます。

活動の視点と対象者から見る違い

両職種の最も大きな違いは、その活動の視点と対象者にあります。看護師が個々の患者に対して直接的なケアを提供するのに対し、保健師は地域社会全体の健康管理を担当します。

看護師の活動視点

看護師は患者一人ひとりの健康状態や治療経過に注目し、個別性の高い看護ケアを提供します。医療機関での治療やケアが中心となり、患者の回復や症状の改善を目指した支援を行います。

保健師の活動視点

保健師は地域や職域などの集団全体の健康課題に着目し、予防的な視点から住民の健康増進を図ります。地域全体の健康水準の向上を目指し、健康教育や保健指導などの活動を展開します。

活動場所と勤務形態の特徴

活動場所と勤務形態は、両職種の業務特性を反映して大きく異なります。それぞれの特徴的な働き方について、詳しく見ていきましょう。

看護師の活動環境

看護師の主な活動場所は医療機関です。病院や診療所において、24時間体制での患者ケアを担当します。三交代制や二交代制による勤務が一般的で、夜勤や休日勤務も業務の重要な部分となります。

また、訪問看護ステーションや介護施設など、活動の場は広がりを見せています。2025年現在、地域包括ケアシステムの推進に伴い、在宅医療での役割も増加傾向にあります。

保健師の活動環境

保健師は主に行政機関や企業で活動します。保健所や市区町村保健センター、企業の健康管理室などが主な活動場所となります。勤務は通常の日勤制が中心で、地域の健康課題に応じて休日の健康相談会や健診なども担当します。

災害時や感染症流行時には、緊急対応体制での活動も求められます。

法的位置づけと権限の範囲

両職種の活動は、法律によって明確に規定されています。それぞれの職種が持つ権限と責任について理解を深めましょう。

看護師の法的根拠

看護師は保健師助産師看護師法に基づき、傷病者や妊婦に対する療養上の世話と診療の補助を行います。

医師の指示のもと、注射や採血などの医療行為を実施する権限を持ちます。また、2024年の法改正により、特定行為研修を修了した看護師の裁量権が拡大され、より高度な医療行為が可能となっています。

保健師の法的根拠

保健師は同じく保健師助産師看護師法に基づきますが、加えて地域保健法や健康増進法などの各種法律に基づいて活動します。保健指導や健康相談については、独自の判断で実施する権限を持ちます。

感染症予防法に基づく調査権限なども保有しており、公衆衛生の専門職としての立場が法的に保障されています。

業務における責任と判断

両職種の業務における責任の範囲と求められる判断力について、具体的に見ていきましょう。

看護師の責任範囲

看護師は患者の直接的なケアに関する責任を担います。医師の指示に基づく医療行為の確実な実施、患者の状態観察と適切な報告、緊急時の初期対応などが含まれます。チーム医療の一員として、他職種との密接な連携も重要な責務となります。

保健師の責任範囲

保健師は地域の健康課題の把握から対策の立案、実施、評価までを担う責任があります。個別支援に加えて、地域全体の健康水準の向上に対する責任を持ちます。また、健康危機管理における初動対応や、地域の保健医療福祉ネットワークの構築も重要な責務です。

専門職としての倫理観

医療専門職として、両職種には高い倫理観が求められます。それぞれの立場における倫理的配慮について理解を深めましょう。

看護師の倫理的課題

看護師は患者の権利擁護者として、個人情報の保護や自己決定の尊重に最大限の配慮が必要です。終末期医療における意思決定支援や、医療資源の制約下での優先順位の判断など、複雑な倫理的判断を求められる場面も増加しています。

保健師の倫理的課題

保健師は地域全体の利益と個人の権利のバランスを考慮しながら活動を展開します。感染症対策における個人の行動制限や、虐待予防における介入のタイミングなど、公衆衛生の専門職として特有の倫理的判断が必要となります。

具体的な業務内容の比較

保健師と看護師の業務内容は、それぞれの職種の特性を反映して大きく異なります。

このセクションでは、両職種の具体的な業務内容について、実際の現場での活動を踏まえながら詳しく解説していきます。近年のデジタル化や感染症対策の影響による業務変化にも触れていきましょう。

看護師の主な業務内容

看護師の業務は、大きく診療の補助と療養上の世話に分けられます。医療の高度化に伴い、求められる専門性も年々高まっています。

診療補助業務の実際

医師の指示のもと実施する診療の補助業務には、様々な医療処置が含まれます。バイタルサインの測定や検体採取、投薬管理、注射や点滴の実施などが代表的です。

2025年現在、特定行為研修を修了した看護師は、より高度な医療行為を実施することが可能となっています。また、医療機器の管理や操作も重要な業務となっており、最新技術への対応力も求められます。

療養支援業務の展開

患者の日常生活を支援する療養上の世話も、看護師の重要な業務です。食事介助や清潔ケア、排泄支援などの基本的な生活援助に加え、リハビリテーション支援や退院指導なども行います。

患者の状態に合わせた適切な援助方法の選択と実施が求められ、その内容は多岐にわたります。

患者観察とアセスメント

看護師には鋭い観察力と的確な判断力が求められます。患者の状態を継続的に観察し、わずかな変化も見逃さず、適切なケアにつなげていく必要があります。バイタルサインや症状の変化、検査データの推移など、様々な情報を統合して患者の状態を評価します。

保健師の主な業務内容

保健師は地域の健康課題に対応し、予防的な視点から住民の健康を支援します。個別支援と集団支援の両方を展開していくことが特徴です。

地域診断と計画立案

保健師の業務の基本となるのが地域診断です。人口統計や健康指標、生活環境など、様々なデータを収集・分析し、地域の健康課題を明らかにします。それに基づいて、効果的な保健事業を計画立案していきます。

2025年では、AIやビッグデータの活用により、より精密な地域診断が可能となっています。

健康教育と保健指導

地域住民の健康増進を目的とした健康教育や保健指導も、重要な業務です。生活習慣病予防教室や母親学級、職場での健康教育など、対象に合わせた教育プログラムを企画・実施します。

近年は、オンラインでの健康教育も増加しており、新しい技術を活用した効果的な指導方法が開発されています。

健康相談と家庭訪問

個別支援として、健康相談や家庭訪問を実施します。育児不安を抱える母親への支援や、高齢者の介護予防相談、精神保健相談など、様々な健康課題に対応します。必要に応じて医療機関や福祉サービスにつなぐ役割も担います。

両職種の業務における共通点

看護師と保健師の業務には、いくつかの重要な共通点も存在します。両職種の連携により、より効果的な健康支援が可能となります。

健康支援の基本姿勢

両職種とも、対象者の健康と生活の質の向上を目指すという点で共通しています。科学的根拠に基づく支援と、対象者の意思を尊重した関わりが基本となります。また、継続的な支援と評価を行いながら、より効果的な支援方法を模索していきます。

多職種連携の実践

医療や福祉の専門職との連携も、両職種に共通する重要な業務です。それぞれの専門性を活かしながら、チームの一員として協働していきます。情報共有や合同カンファレンスの開催など、連携のための具体的な取り組みも行います。

近年の業務変化と新たな課題

医療を取り巻く環境の変化により、両職種の業務内容も変化しています。新たな課題への対応が求められる中、それぞれの職種の専門性がより一層重要となっています。

デジタル化への対応

電子カルテやタブレット端末の活用、オンライン診療の普及など、医療のデジタル化が進んでいます。両職種とも、新しい技術を効果的に活用しながら、質の高い支援を提供することが求められています。2025年現在、AI支援システムの導入も進み、業務の効率化が図られています。

感染症対策の強化

新興感染症への対応は、両職種にとって重要な課題となっています。看護師は感染管理の専門性を活かした実践的な対応を、保健師は地域全体の感染予防対策の企画・実施を担当します。オンラインでの健康支援など、新しい支援方法の開発も進められています。

地域包括ケアへの対応

地域包括ケアシステムの推進に伴い、両職種の連携がより重要となっています。看護師は在宅医療の充実を、保健師は地域全体の健康管理を担当し、互いの専門性を活かした支援を展開しています。医療と介護の連携強化も重要な課題となっています。

必要なスキルと専門性の違い

保健師と看護師には、それぞれの職務を効果的に遂行するために特有のスキルと専門性が求められます。

このセクションでは、両職種に必要な基本的なスキルセットから、より専門的な能力まで、詳しく解説していきます。2025年の医療現場で求められる新しいスキルについても触れていきましょう。

基本的な専門スキル

医療専門職として、両職種に共通して求められる基本的なスキルがあります。その上で、それぞれの職種特有の専門性が必要となります。

医学的知識と技術

看護師には、直接的な医療行為を安全に実施するための確実な医学知識と技術が求められます。解剖生理学や病態生理学の理解はもちろん、最新の医療技術や治療法についても常にアップデートが必要です。

特に急性期医療の現場では、迅速かつ正確な医療処置のスキルが重要となります。

保健指導と健康教育のスキル

保健師には、地域住民の健康増進を支援するための効果的な保健指導と健康教育のスキルが不可欠です。科学的根拠に基づいた健康情報の提供や、対象者の生活背景を考慮した実践的な指導方法の習得が求められます。

また、集団に対する教育プログラムの企画・運営能力も重要です。

コミュニケーション能力

医療専門職として、効果的なコミュニケーション能力は両職種に不可欠です。それぞれの活動の場面に応じた、適切なコミュニケーションスキルが求められます。

患者・家族とのコミュニケーション

看護師には、患者や家族との信頼関係を構築するための高いコミュニケーション能力が必要です。病状説明や治療方針の共有、精神的支援など、様々な場面で効果的なコミュニケーションが求められます。

特に困難な状況下での対話力や、非言語的コミュニケーションの理解も重要となります。

地域住民とのコミュニケーション

保健師には、地域住民との良好な関係構築が求められます。健康相談や保健指導の場面では、相手の生活背景や価値観を理解し、適切な支援につなげるコミュニケーション能力が必要です。また、地域組織や関係機関との連携を円滑に進めるための交渉力も重要です。

アセスメントと計画立案能力

両職種とも、的確なアセスメントに基づく計画立案能力が求められますが、その視点と範囲は異なります。

個別アセスメントスキル

看護師には、個々の患者の状態を的確に評価するアセスメント能力が必要です。身体的・精神的状態の観察、検査データの解釈、生活背景の理解など、多角的な視点からのアセスメントが求められます。

それに基づいて、個別性の高い看護計画を立案し、実施・評価していきます。

地域アセスメントスキル

保健師には、地域全体の健康課題を把握するためのアセスメント能力が求められます。人口統計や健康指標の分析、地域の社会資源の評価など、マクロな視点からのアセスメントスキルが必要です。

また、得られたデータを基に、効果的な保健事業を計画する能力も重要となります。

危機管理能力

医療現場では様々な危機的状況が発生する可能性があり、両職種ともそれぞれの立場での危機管理能力が求められます。

臨床現場での危機管理

看護師には、急変時の対応や医療事故防止など、臨床現場での危機管理能力が必要です。緊急時の適切な判断と対応、安全管理の徹底、感染管理など、様々な場面での危機管理スキルが求められます。2025年現在、新興感染症対策も重要な能力の一つとなっています。

地域における危機管理

保健師には、地域の健康危機に対応する管理能力が求められます。感染症の集団発生や自然災害時の保健活動など、地域全体の健康危機管理を担当します。また、平常時からの予防活動や体制整備も重要な業務となります。

資格取得とキャリアパス

保健師と看護師は、それぞれの資格取得に必要な教育課程や試験が異なります。また、キャリアパスにも特徴的な違いがあります。

このセクションでは、資格取得からキャリア形成まで、両職種の道筋を詳しく解説していきます。

資格取得までのプロセス

医療専門職として活動するためには、それぞれの国家資格の取得が必要です。教育課程や受験資格について詳しく見ていきましょう。

看護師の資格取得

看護師の資格を取得するためには、看護専門学校(3年課程)、短期大学(3年課程)、または大学(4年課程)で必要な教育を受け、看護師国家試験に合格する必要があります。

2025年現在、全国の養成施設では、高度化する医療に対応するためのカリキュラム改革が進められています。

保健師の資格取得

保健師になるためには、まず看護師の資格を取得した上で、さらに保健師養成課程(大学専攻科1年、または大学学部での選択制)を修了し、保健師国家試験に合格する必要があります。公衆衛生看護学や疫学などの専門的な学習が求められます。

継続教育と専門性の向上

資格取得後も、両職種ともに継続的な学習と専門性の向上が求められます。それぞれの職種に応じた研修制度や認定制度が設けられています。

看護師の専門性向上

看護師には、認定看護師や専門看護師などの専門資格制度があります。特定の分野で高度な看護実践能力を身につけることで、より専門的な医療ケアを提供することが可能となります。

また、特定行為研修制度により、一定の診療の補助を自律的に行うことができる看護師の育成も進められています。

保健師の専門性向上

保健師には、自治体や職能団体が実施する専門研修制度があります。地域保健活動の専門家として、政策立案能力や健康危機管理能力の向上を図ることができます。また、大学院での研究活動を通じて、より高度な専門性を身につけることも可能です。

キャリアパスの展開

両職種とも、経験を積むことでさまざまなキャリアパスが開かれています。それぞれの特徴を見ていきましょう。

看護師のキャリア展開

看護師は、臨床現場でのスペシャリストを目指す道、看護管理者として組織運営に携わる道、教育者として後進の育成に関わる道など、多様なキャリアパスが用意されています。また、訪問看護や産業保健分野への転向も可能です。

近年は、医療機器メーカーや医療情報企業での活躍の場も広がっています。

保健師のキャリア展開

保健師は、行政機関での昇進(係長、課長、部長など)を目指す道、企業の産業保健師として活躍する道、大学教員や研究者として公衆衛生の発展に寄与する道などがあります。また、政策立案に関わるシンクタンクや国際機関での活動も可能です。

新しいキャリアの可能性

医療を取り巻く環境の変化により、両職種とも新しいキャリアの可能性が広がっています。デジタルヘルスケアの進展や地域包括ケアシステムの構築に伴い、これまでにない役割や活動の場が生まれています。

ケーススタディ

実際の現場で活躍する保健師と看護師の具体的な活動事例を通じて、両職種の特徴や違いについてより深く理解していきましょう。それぞれの職場における1日の業務の流れや、直面する課題、やりがいなどについて、詳しく見ていきます。

急性期病院の看護師の事例

大学病院の救急外来で働く看護師の活動事例から、臨床現場での具体的な業務内容や必要なスキルについて見ていきます。

Aさんの場合:救急外来勤務7年目

Aさんは大学病院の救急外来で勤務する看護師です。日々、重症度の高い患者さんの対応に追われる中、迅速な判断と正確な医療処置が求められます。スタッフ間の密接な連携と、常に最新の医療知識のアップデートを心がけています。

1日の業務の流れ

Aさんの勤務は早朝7時からスタートします。まず夜勤看護師からの申し送りを受け、その日の救急外来の状況を把握します。

その後、トリアージナースとして来院患者の重症度判定を行いながら、次々と運び込まれる救急患者への対応を行います。午後からは予定された処置の介助や検査対応、夕方には夜勤看護師への申し送りを行い、19時に勤務を終えます。

直面する課題と対応

救急外来では、予期せぬ重症患者の受け入れや、複数の救急搬送が重なることも少なくありません。

限られた人員と設備の中で、いかに効率的に対応するかが常に課題となっています。Aさんは、日頃からスタッフ間のコミュニケーションを密にし、緊急時の応援体制を整えることで、この課題に対応しています。

市保健センターの保健師の事例

地域の母子保健を担当する保健師の活動を通じて、地域保健活動の実際と保健師に求められる能力について理解を深めます。

Bさんの場合:母子保健担当6年目

Bさんは市の保健センターで母子保健を担当する保健師です。妊婦や乳幼児を持つ母親への支援を中心に、地域全体の母子の健康増進に取り組んでいます。関係機関とのネットワークづくりにも力を入れています。

1日の業務の流れ

Bさんの1日は、朝8時30分から始まります。この日は乳幼児健診日で、健診の準備から始めます。9時30分から健診を開始し、成長発達のチェックと保健指導を行います。

午後からは要支援家庭への家庭訪問を実施し、育児不安の軽減や発達支援のフォローを行います。その後、データ入力や記録の整理を行い、17時15分に業務を終了します。

活動における工夫

母子保健活動では、支援の必要な家庭を早期に発見し、適切な支援につなげることが重要です。Bさんは、健診時の様子や相談内容を丁寧に記録し、支援が必要な家庭のフォローアップ体制を整えています。

また、地域の子育て支援センターや医療機関との連携を密にし、切れ目のない支援の実現を目指しています。

訪問看護ステーションの看護師の事例

在宅医療の最前線で活躍する訪問看護師の活動を通じて、地域における看護師の役割について見ていきます。

Cさんの場合:訪問看護5年目

Cさんは訪問看護ステーションで働く看護師です。医療依存度の高い在宅療養者への看護ケアを提供しながら、家族への支援も行っています。在宅での看取りにも関わることがあり、終末期ケアの経験も豊富です。

活動の特徴と課題

訪問看護では、限られた時間の中で必要なケアを提供する必要があります。また、医療機器の管理や緊急時の対応など、高度な判断力が求められます。Cさんは、綿密な訪問計画を立て、効率的なケア提供を心がけています。

また、24時間対応が必要な場合も多く、勤務時間外のオンコール対応も重要な業務となっています。

企業の産業保健師の事例

企業で働く産業保健師の活動を通じて、職域における保健師の役割と特徴を理解します。

Dさんの場合:企業の健康管理室4年目

Dさんは大手企業の健康管理室で働く産業保健師です。従業員の健康診断の実施から保健指導、メンタルヘルス対策まで、職場の健康管理全般を担当しています。

予防活動の展開

企業における保健活動では、疾病の予防と早期発見が重要です。Dさんは、健康診断データの分析結果を基に、効果的な保健指導プログラムを企画・実施しています。また、職場のメンタルヘルス対策として、ストレスチェックの実施や管理職への研修なども行っています。

給与・待遇比較

保健師と看護師の給与体系や待遇には、それぞれの特徴があります。

このセクションでは、2025年現在の最新データを基に、両職種の給与水準や待遇の違いについて詳しく解説していきます。

初任給と年収の比較

両職種の収入について、勤務先や経験年数による違いを含めて見ていきましょう。

看護師の収入事情

看護師の初任給は、大学卒業の場合、一般的な総合病院で月額23万円から25万円程度となっています。

夜勤手当や各種手当を含めると、年収は初年度で350万円から400万円程度となります。経験を積むことで段階的に昇給し、10年目では年収500万円を超えることも珍しくありません。

保健師の収入事情

保健師の初任給は、行政職の場合、月額24万円から26万円程度です。夜勤がない分、基本給は看護師よりもやや高めに設定されています。年収は初年度で330万円から380万円程度となり、経験年数に応じて昇給していきます。

行政職の場合、役職への昇進により、さらなる収入アップが期待できます。

勤務形態と労働時間

勤務形態や労働時間の違いは、実質的な収入や仕事とライフバランスに大きく影響します。

看護師の勤務形態

看護師は一般的に三交代制や二交代制での勤務となり、夜勤を含む不規則な勤務時間が特徴です。夜勤手当は一回あたり8000円から15000円程度で、月間の夜勤回数により収入が変動します。

近年は、働き方改革の影響で、夜勤専従や日勤専従など、多様な勤務形態が導入されています。

保健師の勤務形態

保健師は主に平日の日勤勤務が基本となります。勤務時間は一般的に8時30分から17時15分までで、休日は土日祝日となります。ただし、地域での健康教室や健診事業などで、休日出勤が必要となることもあります。その場合は、振替休日や時間外手当での対応となります。

福利厚生と休暇制度

両職種とも、働く場所により福利厚生や休暇制度に違いがあります。

各種手当と福利厚生

看護師の場合、夜勤手当の他に、通勤手当、住宅手当、扶養手当などの各種手当が充実しています。

また、院内保育所の利用や職員寮の完備など、福利厚生も充実している施設が多くなっています。保健師は、行政職の場合、公務員としての安定した福利厚生制度が適用されます。

よくある質問 おしえてカンゴさん!

保健師と看護師の違いについて、現場で活躍する先輩看護師「カンゴさん」が、みなさまからよく寄せられる質問にお答えします。進路選択やキャリアチェンジを考える際の参考にしてください。

資格取得に関する質問

資格取得のプロセスや必要な準備について、具体的にお答えします。

看護師から保健師への転向について

看護師として臨床経験を積んだ後、保健師を目指すケースも増えています。そのための具体的な手順について解説します。保健師の資格を取得するためには、看護師資格を持っていることが前提となります。

その上で、保健師養成課程(1年)を修了し、国家試験に合格する必要があります。2025年現在、働きながら学べる通信制の課程も充実してきており、より柔軟な学習環境が整っています。

必要な実務経験について

保健師として働く際に、看護師としての実務経験は必須ではありません。しかし、臨床経験があることで、より実践的な保健指導が可能となります。特に、地域保健活動において、医療機関との連携がスムーズになるというメリットがあります。

働き方に関する質問

仕事と生活の両立について、実践的なアドバイスを提供します。

ワークライフバランスの違い

看護師は交代制勤務が基本となるため、生活リズムの調整が必要です。一方、保健師は主に日勤勤務となるため、比較的規則正しい生活を送ることができます。ただし、どちらの職種も地域や施設によって働き方は様々です。

ご自身の希望する生活スタイルに合わせて、勤務先を選択することが重要です。

産休・育休の取得状況

両職種とも、法定の産休・育休制度が整備されています。看護師の場合、人員配置の関係で取得時期の調整が必要となることもありますが、近年は働き方改革の推進により、取得しやすい環境が整ってきています。

保健師は行政職の場合、公務員としての制度が適用され、比較的取得しやすい環境にあります。

キャリアアップに関する質問

将来のキャリアパスについて、具体的な展望を示します。

専門性を高めるための方法

看護師の場合、認定看護師や専門看護師などの資格取得により、専門性を高めることができます。

また、特定行為研修の修了により、より高度な医療行為を担当することも可能です。保健師は、行政職としてのキャリアアップの他、産業保健師や大学教員など、活躍の場を広げることができます。

海外での就職について

グローバル化の進展に伴い、両職種とも海外での活躍の機会が広がっています。看護師は、英語圏を中心に就職の可能性があり、現地の看護師資格試験に合格することで、正規の看護師として働くことができます。

保健師は、国際機関やNGOでの活動機会があり、グローバルヘルスの分野で専門性を活かすことができます。

まとめと今後の展望

保健師と看護師、それぞれの職種の特徴と違いについて詳しく見てきました。このセクションでは、これまでの内容を総括するとともに、2025年以降の医療を取り巻く環境の変化を踏まえた、両職種の将来展望について解説します。

役割と専門性の総括

医療と健康を支える両職種には、それぞれの立場で重要な役割があります。その特徴を改めて確認していきましょう。

活動の視点と対象

看護師は個々の患者に対する直接的なケアを通じて、治療と回復を支援します。一方、保健師は地域全体の健康管理を担当し、予防的な視点から住民の健康増進を図ります。この基本的な違いは、今後も両職種の活動の基盤となっていくでしょう。

デジタル化時代の新たな可能性

医療のデジタル化が進む中、両職種ともにテクノロジーを活用した新しい活動形態が広がっています。オンライン診療支援や遠隔保健指導など、時代に即した支援方法の開発が進められています。今後は、さらにAIやビッグデータを活用した効果的な健康支援が期待されます。

最後に

保健師と看護師は、それぞれの専門性を活かしながら人々の健康を支える重要な職種です。看護師は個別の医療ケアを、保健師は地域全体の健康管理を担当し、両者が連携することで、より充実した医療・保健サービスが実現されています。

将来の医療現場では、さらに多様な活躍の場が広がることが期待されます。

キャリアプランの検討や資格取得に関する詳しい情報は、【ナースの森】看護師のためのサイト・キャリア支援サイトをご覧ください。

最新の求人情報や、経験者による体験談、資格取得のための学習支援など、あなたのキャリアアップを支援する豊富なコンテンツをご用意しています。

▼詳しくはこちら 【ナースの森】看護師のためのサイト・キャリア支援サイト 

はたらく看護師さんの最新コラムはこちら

コメントを残す

*