
医療機関間の継続的な医療の提供を支える診療情報提供書。
本記事では、看護師の立場から、作成から活用までの実践的なノウハウをお伝えします。
患者さんの安全で質の高い医療を実現するため、効果的な情報提供の方法を詳しく解説します。
この記事で分かること
- 診療情報提供書の作成手順と具体的な記載のポイント
- 医療機関間の効果的な情報連携を実現するコツ
- 文書作成時の注意点と法的要件の確認方法
- デジタル化に対応した新しい運用方法とセキュリティ対策
この記事を読んでほしい人
- 診療情報提供書の作成に不安を感じている看護師の方
- 施設間の情報連携を改善したいと考えている医療従事者の方
- 効率的な文書管理の方法を探している看護管理者の方
- 医療の質向上に向けて取り組みを進めている方
診療情報提供書の基本と重要性

継続的な医療の提供には、医療機関間の適切な情報共有が不可欠です。患者さんの診療情報を正確に伝え、切れ目のない医療を実現するためには、診療情報提供書の適切な作成と運用が重要な役割を果たします。
診療情報提供書の定義と役割
診療情報提供書は、医療機関間で患者の診療情報を共有するための公式文書です。患者の基本情報、病状、治療経過、看護上の注意点など、継続的な医療に必要な情報を包括的に記載します。
法的根拠と要件
診療情報提供書は、医師法第24条の3および保険医療機関及び保険医療養担当規則第9条に基づく法定文書です。適切な作成と管理は医療機関の法的義務となっています。記載内容や保管方法には明確な基準が定められており、これらを遵守することが求められます。
看護師の役割と責任
看護師は、患者の日常生活や看護ケアに関する重要な情報を提供する立場にあります。医師の記載内容を補完し、より詳細な患者情報を伝えることで、継続的なケアの質を向上させることができます。
作成手順と記載方法

診療情報提供書の作成には、正確性と分かりやすさが求められます。このセクションでは、基本的な作成手順から具体的な記載方法まで、実践的なポイントを解説します。
基本情報の記載
医療機関間の円滑な連携のため、基本情報は漏れなく正確に記載することが重要です。
患者情報の記入
患者さんの基本情報は、氏名、生年月日、性別、住所、連絡先を正確に記載します。特に氏名は戸籍と一致させ、ふりがなも付記するようにします。
医療機関情報の明記
紹介元と紹介先の医療機関名、所在地、電話番号、担当医師名を明確に記載します。施設番号や診療科コードなども忘れずに記入します。
診療情報の整理
診療情報は時系列に沿って分かりやすく整理することが重要です。
現病歴と主訴
発症時期や症状の経過を時系列で記載します。主訴は患者さんの言葉をそのまま記載し、医療者の解釈は別途追記します。
治療経過の記載
これまでの治療内容や検査結果を簡潔かつ正確に記載します。重要な検査データは数値で示し、必要に応じてグラフや画像を添付します。
看護情報の記載
看護師の視点から見た患者情報は、継続的なケアに不可欠です。
日常生活動作の状況
食事、排泄、移動、清潔保持などの ADL 状況を具体的に記載します。介助の必要度や使用している福祉用具についても明記します。
看護上の注意点
転倒リスクや誤嚥リスクなど、特に注意が必要な点を具体的に記載します。これまでのインシデント歴なども含めて記載します。
添付資料の準備
診療情報提供書の内容を補完する資料の添付も重要です。
検査データの整理
血液検査や画像検査の結果は、経時的な変化が分かるように整理します。特に重要な所見は赤字やマーカーで強調します。
看護サマリーの作成
入院中の看護経過や退院時の状況をまとめた看護サマリーを添付します。継続が必要な看護ケアについて詳しく記載します。
確認とレビュー手順
作成した文書は複数の目で確認することが重要です。
記載内容の確認
誤記や記載漏れがないか、チェックリストを用いて確認します。特に患者情報や投薬内容は慎重に確認します。
最終レビュー
担当医師による最終確認を受け、必要に応じて修正を行います。承認印や署名の漏れがないことを確認します。
効果的な活用方法

診療情報提供書は作成するだけでなく、医療機関間の円滑な連携ツールとして効果的に活用することが重要です。このセクションでは、実践的な活用方法とそのポイントについて解説します。
正確な情報伝達のポイント
医療安全の観点から、正確な情報伝達は最も重要な要素となります。
医学用語の適切な使用
専門用語は正確に記載し、必要に応じて補足説明を加えます。略語を使用する場合は、初出時にフルスペルを記載し、誤解を防ぐようにします。特に施設間で解釈が異なる可能性がある用語については、具体的な説明を付記することが望ましいです。
記載内容の優先順位付け
重要度の高い情報から順に記載を行います。特に注意が必要な事項は、目立つ位置に記載するか、アンダーラインや太字で強調します。緊急性の高い情報は、冒頭に明確に示すことで、受け手の注意を喚起します。
連携強化のテクニック
効果的な医療連携には、相手先施設との良好な関係構築が欠かせません。
相手先施設のニーズ把握
事前に紹介先施設の特徴や対応可能な医療レベルを確認します。施設の専門性や受け入れ基準を考慮した情報提供を行うことで、スムーズな連携が可能となります。また、定期的な連携会議や情報交換会を通じて、施設間の相互理解を深めることも有効です。
フォローアップ体制の確立
情報提供後も必要に応じて追加情報の提供や状況確認を行います。特に複雑な症例の場合は、電話やメールでの補足説明を行い、確実な情報伝達を心がけます。
効率的な運用方法
業務の効率化と質の向上を両立させる運用方法を確立することが重要です。
作成プロセスの標準化
診療情報提供書の作成手順をマニュアル化し、院内で統一した運用を行います。テンプレートの活用や記載例の共有により、効率的な作成が可能となります。作成時のチェックポイントを明確にし、質の均一化を図ります。
タイムリーな情報提供
患者の転院や転科が決定した際は、速やかに情報提供書の作成に着手します。準備に時間を要する検査データや画像資料は、あらかじめリストアップしておくことで、円滑な作成が可能となります。
活用事例と成功のポイント
実際の活用事例から、効果的な運用のポイントを学びます。
地域連携パスでの活用
地域医療連携において、診療情報提供書を活用した成功事例を紹介します。疾患別の連携パスと組み合わせることで、より効果的な情報共有が実現できます。定期的な見直しと改善を行うことで、連携の質を向上させることができます。
多職種連携での活用
医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフなど、多職種からの情報を効果的に集約し、包括的な情報提供を行います。各職種の視点を活かした情報提供により、継続的なケアの質を向上させることができます。
ケーススタディ

実際の診療情報提供書作成・活用事例を通じて、効果的な運用方法を学びます。各事例では、具体的な課題と解決策を詳しく解説し、実践に活かせるポイントをお伝えします。
Case A:急性期病院から回復期病院への転院
回復期リハビリテーション病院への転院事例から、効果的な情報提供の方法を考察します。
事例の概要
82歳男性、右脳梗塞による左片麻痺のため、急性期治療後にリハビリ目的での転院が必要となったケースです。入院から14日間の急性期治療を経て、回復期リハビリテーション病院への転院が決定しました。
情報提供のポイント
急性期での治療経過を時系列で整理し、特にリハビリテーションの進捗状況を具体的に記載しました。
麻痺の程度や日常生活動作の自立度について、具体的な数値やスケールを用いて表現しています。服薬管理や嚥下機能の状況など、継続的なケアに必要な情報を漏れなく記載しました。
Case B:在宅療養への移行
終末期がん患者の在宅療養移行に関する事例を通じて、地域連携における情報提供の重要性を解説します。
事例の概要
65歳女性、膵臓がん終末期の患者さんが、残された時間を自宅で過ごすことを希望されたケースです。在宅診療所と訪問看護ステーションとの連携が必要となりました。
情報提供のポイント
痛みのコントロール状況や必要な医療処置の詳細を具体的に記載しています。家族の介護力評価と支援体制の整備状況、緊急時の対応方法について明確に記載しました。在宅での生活を支えるために必要な医療資源の情報も含めています。
Case C:専門医紹介
専門的な治療が必要となり、大学病院への紹介を行った事例について解説します。
事例の概要
45歳女性、難治性の皮膚疾患のため、大学病院の専門外来への紹介が必要となったケースです。複数の医療機関での治療歴があり、詳細な情報の集約が求められました。
情報提供のポイント
これまでの治療経過と使用薬剤の詳細な記録を時系列で整理しています。アレルギー歴や副作用の有無など、安全管理に関わる情報を重点的に記載しました。専門医による診断や治療方針の決定に必要な情報を優先的に記載しています。
Case D:救急搬送
救急搬送時の迅速な情報提供が必要となった事例について解説します。
事例の概要
73歳男性、施設入所中に意識レベルが低下し、救急搬送が必要となったケースです。基礎疾患として糖尿病、高血圧があり、複数の内服薬を使用していました。
情報提供のポイント
バイタルサインの変化や意識レベルの低下の経過を時系列で記載しています。基礎疾患と服用中の薬剤情報を簡潔かつ正確に記載しました。施設での日常生活状況と普段の様子についても情報提供を行っています。
Case E:多職種連携
複数の専門職が関わるケースにおける効果的な情報提供について解説します。
事例の概要
58歳男性、脊髄損傷により、リハビリテーション病院での集中的なリハビリ後、地域の診療所と訪問リハビリを利用することになったケースです。
情報提供のポイント
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士など、多職種からの情報を統合的に記載しています。各専門職の視点からの評価と今後の課題を明確に示しました。地域での継続的なケアに必要な福祉サービスの利用状況についても記載しています。
デジタル化対応
医療のデジタル化が進む中、診療情報提供書の作成・管理方法も大きく変化しています。このセクションでは、最新のデジタル化対応について、具体的な方法とポイントを解説します。
電子カルテでの作成
電子カルテシステムを活用した診療情報提供書の作成方法について説明します。
システムの基本操作
電子カルテシステムでは、テンプレート機能を活用することで効率的な作成が可能です。患者情報や検査データは自動で取り込まれ、必要に応じて編集することができます。入力時は文字化けや改行の乱れに注意し、プレビュー機能で最終確認を行うことが重要です。
データの連携方法
検査結果や画像データを取り込む際は、形式の互換性に注意が必要です。システム間でデータ形式が異なる場合は、適切な変換処理を行います。特に画像データは容量が大きくなりがちなため、適切な圧縮方法を選択します。
セキュリティ対策
患者情報の保護は最も重要な課題の一つです。
アクセス管理
システムへのアクセス権限は、職種や役割に応じて適切に設定します。定期的なパスワード変更やログイン履歴の確認など、基本的なセキュリティ対策を確実に実施します。特に個人情報を含む文書の作成時は、画面の覗き見防止にも注意が必要です。
データの暗号化
患者情報を電子的に送信する場合は、適切な暗号化処理を行います。添付ファイルにはパスワードを設定し、別途送信するなどの対策を講じます。また、データのバックアップも定期的に行い、システム障害に備えます。
システム連携
医療機関間でのスムーズな情報連携を実現するためのポイントを解説します。
標準規格への対応
医療情報の交換規格に準拠したデータ形式を使用することで、スムーズな連携が可能となります。SS-MIXやHL7などの標準規格に対応することで、異なるシステム間でもデータの互換性を確保できます。
相互運用性の確保
連携先の医療機関のシステム環境を確認し、必要に応じて出力形式を調整します。PDFやテキストファイルなど、汎用的な形式での出力にも対応できるようにしておくことが重要です。
将来展望
デジタル化の今後の展開について考察します。
オンライン連携の拡大
オンラインでの診療情報提供書の送受信が一般化すると予想されます。セキュアなネットワークを介した情報連携により、より迅速な対応が可能となります。また、クラウドベースのシステムの導入により、場所を問わない情報アクセスが実現します。
AI活用の可能性
人工知能技術の活用により、記載内容のチェックや必要な情報の抽出が自動化される可能性があります。ただし、最終的な確認は必ず人の目で行う必要があり、技術に過度に依存しないよう注意が必要です。
地域医療連携

医療の質向上には地域全体での連携が不可欠です。このセクションでは、診療情報提供書を活用した効果的な地域医療連携の方法について解説します。
地域連携の基本
地域医療における連携体制の構築は、切れ目のない医療提供の基盤となります。
連携体制の確立
地域の医療機関との信頼関係を築くことから始まります。定期的な連携会議や症例検討会を通じて、顔の見える関係を構築することが重要です。各医療機関の特徴や得意分野を把握し、適切な連携先の選定ができるようにしておきます。
情報共有の仕組み作り
地域での統一した情報共有フォーマットの作成が効果的です。共通の記載ルールを設定することで、誤解のない情報伝達が可能となります。電話やメールなど、補完的な連絡手段も確保しておくことが大切です。
多職種連携
患者さんの総合的なケアには、様々な職種の協力が必要です。
チーム医療の推進
医師、看護師、薬剤師、リハビリスタッフなど、多職種からの視点を統合した情報提供を行います。各職種の専門性を活かした情報を集約することで、より質の高いケアが可能となります。定期的なカンファレンスを通じて、情報の共有と方針の統一を図ります。
連携調整の実践
多職種間の連携をスムーズに進めるため、連携窓口の一本化を図ります。医療相談室や地域連携室が中心となり、各職種間の調整を行います。必要に応じて、退院調整看護師が介入し、きめ細かな連携調整を行います。
連携パスの活用
地域連携パスを活用することで、標準化された医療の提供が可能となります。
パスの運用方法
疾患別の連携パスを整備し、シームレスな医療提供を実現します。パスの運用ルールを明確にし、参加医療機関での情報共有を徹底します。定期的なパスの見直しと改善を行い、より効果的な連携を目指します。
評価と改善
連携パスの運用状況を定期的に評価します。患者さんの満足度調査や医療機関からのフィードバックを基に、必要な改善を行います。バリアンス分析を通じて、パスの質的向上を図ります。
成功事例分析
実際の連携成功事例から、効果的な運用のポイントを学びます。
急性期・回復期連携
急性期病院から回復期病院への円滑な転院事例を分析します。早期からの連携開始と、詳細な情報提供が成功のポイントとなっています。患者さんやご家族への丁寧な説明と同意取得も重要な要素です。
在宅医療連携
病院から在宅医療への移行事例について解説します。かかりつけ医や訪問看護ステーションとの緊密な連携により、安心できる在宅医療の提供が実現しています。地域の医療資源を効果的に活用した支援体制の構築が成功の鍵となっています。
トラブル防止

診療情報提供書の作成・運用において、様々なトラブルが発生する可能性があります。このセクションでは、よくあるトラブルとその防止策、発生時の対応方法について具体的に解説します。
よくある記載ミス
診療情報提供書の作成時に発生しやすい記載ミスとその対策について説明します。
患者情報の誤記
患者さんの基本情報の誤記は重大なトラブルにつながります。氏名、生年月日、性別などの基本情報は、必ず原本と照合して確認します。
特に同姓同名の患者さんがいる場合は、患者IDなども含めて慎重に確認を行います。入力時のオートコンプリート機能による誤入力にも注意が必要です。
薬剤情報の誤り
投薬内容の誤記は医療安全上、特に重要です。薬剤名、用量、用法を正確に記載し、中止薬や変更歴についても明確に記載します。特に用量の単位や小数点の位置には細心の注意を払い、必ずダブルチェックを行います。
予防策
トラブルを未然に防ぐための具体的な対策について解説します。
チェックリストの活用
作成時のチェックポイントを明確にし、漏れのない確認を行います。チェックリストは定期的に見直し、必要に応じて項目の追加や修正を行います。特に重要な項目については、複数人での確認を必須とします。
教育研修の実施
定期的な研修を通じて、スタッフの知識とスキルの向上を図ります。実際のトラブル事例を教材として活用し、具体的な予防策を学びます。新人教育では特に丁寧な指導を行い、基本的な注意点を徹底します。
トラブル対応
発生したトラブルへの適切な対応方法について説明します。
初期対応の重要性
トラブルを発見した場合は、速やかに上司に報告し、対応方針を決定します。患者さんの安全に関わる事案の場合は、直ちに関係部署に連絡し、必要な対策を講じます。記録を適切に残し、後の分析と改善に活用します。
再発防止策の検討
トラブルの原因を分析し、具体的な再発防止策を立案します。必要に応じて、マニュアルの改訂やシステムの改善を行います。対策の実効性を定期的に評価し、継続的な改善を図ります。
リスク管理
組織的なリスク管理体制の構築について解説します。
管理体制の整備
リスクマネジメント委員会を中心に、組織的な管理体制を整備します。インシデントレポートの分析を通じて、リスクの早期発見と対策を行います。定期的な監査を実施し、管理体制の有効性を評価します。
情報共有の徹底
トラブル事例や対策について、部署間で情報共有を徹底します。朝礼やカンファレンスなどの機会を活用し、注意喚起を行います。他施設での事例についても情報収集し、予防策に活かします。
質の向上
診療情報提供書の質を継続的に向上させることは、医療の質向上に直結します。このセクションでは、具体的な質向上の取り組みと、その実践方法について解説します。
研修プログラム
効果的な研修を通じて、スタッフのスキル向上を図ります。
プログラムの設計
新人からベテランまで、経験年数に応じた段階的な研修プログラムを実施します。基本的な作成手順から、複雑なケースの対応まで、実践的な内容を盛り込みます。事例検討を多く取り入れ、実際の業務に活かせる知識とスキルの習得を目指します。
実施方法の工夫
グループワークやロールプレイを活用し、参加型の研修を心がけます。実際の記載例を用いた演習を行い、実践的なスキルの向上を図ります。オンライン研修も併用し、より多くのスタッフが参加できる環境を整えます。
監査体制
定期的な監査を通じて、作成された文書の質を評価します。
監査方法
月1回の定期監査を実施し、記載内容の適切性を確認します。チェックリストを用いた評価と、詳細な内容確認を組み合わせて行います。特に重要な項目については、複数の視点からの確認を行います。
フィードバックの実施
監査結果を個別にフィードバックし、改善点を明確に伝えます。良好な事例は部署内で共有し、全体のレベルアップにつなげます。課題が見つかった場合は、具体的な改善策を提案します。
改善活動
継続的な改善活動を通じて、より質の高い情報提供を目指します。
改善サイクルの確立
PDCAサイクルに基づく改善活動を実施します。現状の課題を分析し、具体的な改善策を立案します。実施後の効果を評価し、必要に応じて計画の修正を行います。
標準化の推進
作成手順や記載方法の標準化を進めます。テンプレートの整備や、記載例の充実を図ります。定期的な見直しを行い、より使いやすい形式への改善を進めます。
評価指標
質の向上を客観的に評価するための指標を設定します。
指標の設定
記載内容の完成度や、情報の正確性など、具体的な評価指標を設定します。連携先からのフィードバックも重要な指標として活用します。患者さんの満足度調査結果も参考にします。
評価結果の活用
定期的に評価結果を分析し、改善活動に活かします。部署間で結果を共有し、組織全体での質向上を図ります。好事例の分析を行い、その要因を明らかにします。
Q&A「おしえてカンゴさん!」
診療情報提供書に関する看護師の皆さまからよく寄せられる質問について、経験豊富な先輩看護師「カンゴさん」が分かりやすく解説します。
基本的な作成について
Q1:記載の順序はどのように決めればよいですか?
重要度と緊急度を考慮して情報を整理することが大切です。まず患者さんの基本情報、次に現病歴や主訴、そして治療経過や看護上の注意点という順序で記載していきましょう。特に注意が必要な事項は、目立つ位置に記載することをお勧めします。
Q2:記載漏れを防ぐコツはありますか?
チェックリストを活用することが効果的です。基本情報、現病歴、処置内容、看護ケアの内容など、項目ごとに確認を行います。また、作成後は必ず複数の目で確認することで、より確実な予防が可能です。
実践的な活用法
Q3:連携先との効果的なコミュニケーション方法は?
診療情報提供書の送付前に、電話で概要を伝えることをお勧めします。特に緊急性の高いケースや複雑な事例の場合は、直接話すことで重要なポイントを確実に伝えることができます。
Q4:患者情報の更新が必要な場合はどうすればよいですか?
重要な変更があった場合は、速やかに追加情報として提供します。電話での第一報の後、文書での追加情報提供を行うことで、確実な情報伝達が可能です。
運用上の疑問
Q5:電子カルテからの情報転記時の注意点は?
単純なコピー&ペーストは避け、必要な情報を精査して記載します。特に検査データは経時的な変化が分かるように整理し、重要な値には解釈を付記することが望ましいです。
Q6:添付資料の選択基準はありますか?
継続的なケアに必要な情報を優先して選択します。検査結果や画像データは、経過が分かる重要なものを厳選します。容量が大きくなりすぎないよう、適切な範囲で提供することが大切です。
セキュリティ対策
Q7:個人情報保護のために特に注意すべき点は?
患者さんの個人情報は、必要最小限の記載にとどめます。FAXやメールでの送信時は、誤送信防止のためのダブルチェックを必ず行います。また、送信後は確実に受信されたことを確認します。
Q8:文書の保管期間はどのくらいですか?
医療機関の規定に従いますが、一般的には診療録と同様に5年間の保管が必要です。電子データの場合は、バックアップの作成と定期的なデータ確認も重要です。
特殊なケース
Q9:緊急時の簡略化は可能ですか?
緊急時は必要最小限の情報に絞って作成することも可能です。ただし、基本情報、現病歴、アレルギー歴など、患者安全に関わる重要事項は必ず記載します。
Q10:認知症患者さんの場合の留意点は?
普段の生活リズムや、コミュニケーション方法の特徴を詳しく記載します。また、ご家族や施設職員からの情報も積極的に収集し、より詳細な生活背景を伝えることが大切です。
まとめ
診療情報提供書は、医療機関間の連携において重要な役割を果たします。正確な情報提供と適切な運用により、患者さんにより良い医療を提供することができます。
基本的な作成手順を押さえ、デジタル化への対応や多職種連携を進めることで、より効果的な活用が可能となります。日々の業務の中で、本記事で解説した内容を実践していただければ幸いです。
さらに詳しい情報や、看護師の皆さまの実践例については、【はたらく看護師さん】の会員専用コンテンツでご覧いただけます。診療情報提供書のテンプレートや、作成時のチェックリストなども提供していますので、ぜひご活用ください。
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