せっかく採用した看護師が、また辞めてしまう
苦労して採用した看護師が、半年から1年で辞めてしまう。ベテランが辞めると、残ったスタッフの負担が増え、その負担に耐えられず次の人も辞めていく。退職のたびに紹介会社へ手数料を払い、現場は慢性的な欠員状態が続く。院長として診療に集中したいのに、気づけば人の出入りの対応に追われている——。
看護師の離職は、採用以上に経営と現場を疲弊させます。採用がうまくいっても、定着しなければ欠員は埋まらず、採用コストは積み上がり続けます。そして離職には「個人の事情でやむを得ないもの」と「職場の条件次第で防げたもの」が混在しています。難しいのは、辞めていく看護師が本当の理由を口にしないまま去ることが多く、院長の手元に「なぜ辞めたのか」の正確な情報が残りにくいことです。
この記事は、看護師の離職・定着に悩む院長・経営者の方に向けて、離職率の実態と辞める理由を整理し、定着率を上げるために自院で見直せる職場の条件、そして外部の公的支援の使い方をまとめます。読者は経営側を想定しているため、「働く側がどう転職を考えるか」ではなく、「経営側として何を変えれば人が残るか」という視点で書いています。
要点まとめ
- 日本看護協会の調査では、2023年度の正規雇用看護職員の離職率は11.3%。新卒8.8%に対し既卒(中途)採用者は16.1%と高く、採用した中途看護師ほど定着支援が重要。
- 看護師が辞める理由は給与だけではなく、夜勤・残業の負担、休みの取りにくさ、人間関係、相談できない職場風土など複合的。給与改善だけでは離職は止まりにくい。
- 定着率を上げる取り組みの多くは、診療報酬や採用費とは別に、勤務環境・コミュニケーション・働き方の柔軟性といった「お金をかけずに見直せる条件」に関わる。
- 勤務環境の改善は、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターで無料の専門支援(社会保険労務士・医業経営アドバイザー)を受けられる。
- 給与・残業代・休暇など労務にまたがる個別判断は、社会保険労務士や労働局に相談しながら進める。
- 定着は「離職を防ぐ」だけでなく、結果的に採用コストと現場負担を同時に下げる経営課題として捉える。
こんな課題を持つ採用・経営の方へ
次のような状況に心当たりがある院長・経営者の方は、職場の条件を一度見直す価値があります。
- 採用しても1年以内に辞める看護師が多い
- ベテラン・中堅から順に辞めていく
- 退職のたびに紹介会社へ手数料を払っている
- 残ったスタッフの負担が増え、連鎖的に離職が起きている
- 看護師が辞める本当の理由が分からないまま見送っている
- 給与を上げたのに、それでも離職が止まらない
これらの課題に共通するのは、「採用で補おうとしても、辞めるスピードに採用が追いつかない」という構造です。穴の空いたバケツに水を足し続けるように、定着の問題を放置したまま採用を増やしても、コストばかりが膨らみます。離職を「個人の都合」と片づけず、職場の条件として見直せる部分がないかを点検することが、経営の安定につながります。
定着を経営課題として捉え直すと、その効果は離職を減らすことだけにとどまりません。看護師が長く働く職場では、業務に習熟したスタッフが増え、患者対応の質が安定し、新人の教育も回りやすくなります。逆に出入りが激しい職場では、毎回の引き継ぎや教育に時間が割かれ、ミスのリスクも高まります。つまり定着は、採用コストの削減・現場負担の軽減・医療の質の安定という、複数の経営メリットにつながる土台です。「人が辞めて困る」という日々の対症療法から一歩引いて、「人が辞めない職場をどう作るか」という中長期の視点に切り替えることが、悪循環を断ち切る出発点になります。
なぜこの課題が生まれるのか
看護師の離職には、避けにくい要因と、職場の条件次第で防げる要因が混在しています。
離職率の実態を数字で押さえる
日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」では、2023年度の離職率について、正規雇用看護職員11.3%、新卒採用者8.8%、既卒採用者16.1%という数値が示されています(出典:日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」結果)。注目すべきは、中途で採用した既卒看護師の離職率(16.1%)が、新卒(8.8%)の約2倍にのぼる点です。
これは、即戦力として採用した経験者ほど、定着していないことを意味します。経験者は「放っておいても大丈夫」と思われがちですが、実際には前職とのやり方の違い、人間関係への入りにくさ、期待されるレベルの高さなどから、孤立して辞めやすい面があります。中途採用に力を入れている職場ほど、この層の定着支援が手薄になっていないかを点検する必要があります。
同じ調査では、新卒採用者の離職率が2年ぶりに10%台から8%台へ改善したことも報告されており、新人については多くの病院で受け入れ・教育の仕組みが整ってきていることがうかがえます。一方で、中途採用者向けの体系的な受け入れの仕組みを持つ職場はまだ少なく、ここに改善の余地が残されています。新人にはプリセプターをつけるのに、経験者には初日のオリエンテーションだけで現場に放り込む——そうした非対称が、中途の高い離職率の一因になっている可能性があります。「経験者だから」という思い込みを外し、中途にも一定期間のフォローを用意することが、定着率の底上げにつながります。
辞める理由は給与だけではない
離職の理由は給与だけではありません。夜勤・残業の負担、休みの取りにくさ、上司や同僚との人間関係、相談できない職場の風土、教育・フォローの不足など、複数の要因が重なって「辞める」という決断に至ります。給与を上げても、夜勤がきつい、休みが取れない、相談できる相手がいないといった条件が変わらなければ、離職は止まりにくいのです。
特に見落とされやすいのが「相談できない職場風土」です。不満や不安を口にできないまま抱え込むと、ある日突然「辞めます」と切り出されます。院長の手元に辞める理由が届かないのは、辞める前に相談できる仕組みがないからかもしれません。
また、退職時に語られる理由と、本当の理由が一致しないことも多くあります。「家庭の事情で」「一身上の都合で」と告げて辞める看護師の中には、実際には人間関係や働き方への不満を抱えていた人が少なくありません。波風を立てずに円満に辞めたい、残る人に気を遣わせたくない、という心理から本音を伏せるためです。その結果、院長には「やむを得ない個人の事情で辞めた」とだけ伝わり、職場側に改善できた点があったことが見えなくなります。だからこそ、退職の場だけでなく、在職中から定期的に小さな不満を拾い上げる仕組みが、定着改善の土台になります。
加えて、規模の小さい診療所やクリニックでは、看護師一人ひとりの存在感が大きいぶん、人間関係のこじれが離職に直結しやすいという特徴があります。スタッフ数が少ないと、合わない相手から距離を取りにくく、特定の人間関係のストレスが逃げ場のないものになりがちです。院長自身との関係性や、ベテランスタッフの言動が職場の空気を左右することもあります。組織が小さいほど、トップである院長が職場の風通しに与える影響は大きく、相談しやすい雰囲気づくりそのものが定着策になります。
離職が次の離職を呼ぶ連鎖
一人が辞めると、残ったスタッフに負担が集中します。その負担が限界を超えると、次の人が辞め、さらに負担が増える——という連鎖が起きます。この悪循環に入ると、採用で補おうとしても追いつかず、職場全体が疲弊します。連鎖を止めるには、欠員を埋めることと同時に、残っているスタッフの負担を軽くする手当てが必要です。
この連鎖は、欠員が出た直後の対応の遅れによって加速します。「次の人が決まるまで何とか回してほしい」と現場に無理を強いる期間が長引くほど、残ったスタッフの疲弊と不満は蓄積します。採用には時間がかかるため、欠員が出てから動き始めても、現場の負担が限界に達するまでに人を補充できないことが多いのです。だからこそ、欠員が出た瞬間に、業務の優先順位を見直して一時的に減らす、応援を回す、外部の単発・短時間の人材を一時的に使うなど、現場の負担を即座に和らげる初動が重要になります。欠員を「採用が決まれば解決する問題」と捉えるのではなく、「採用が決まるまでの間、現場をどう守るか」という視点を持つことが、連鎖を止める分かれ目になります。
今すぐ確認したいポイント
定着率の立て直しに入る前に、自院の現状を確認します。
- 離職率:直近1〜2年の看護師の離職率。新卒・中途別、勤続年数別に見られるか。
- 離職のタイミング:辞める人は入職後どのくらいで辞めているか。1年以内が多いのか、3年前後が多いのか。
- 退職理由:退職時に理由を聞けているか。本音が出やすい仕組み(面談・アンケート)があるか。
- 勤務環境:夜勤回数、残業時間、有給取得率、希望休の通りやすさが把握できているか。
- 相談体制:スタッフが不満や不安を相談できる窓口・面談の機会があるか。
- 教育・フォロー:新人・中途それぞれにフォロー担当がついているか。
- コスト:離職に伴う紹介会社手数料・採用費の年間総額。
特に「辞めるタイミング」と「退職理由」は、原因の切り分けに直結します。1年以内の離職が多いなら受け入れ・ミスマッチの問題、3年前後が多いならキャリアや待遇への不満が疑われます。退職理由を本音で聞けていない場合は、まずそこから整えるのが出発点です。労務・給与に関わる判断は、社会保険労務士や後述の公的窓口に相談しながら進めてください。
解決のための3ステップ
ステップ1:辞める理由を「聞ける」仕組みを作る
定着改善は、辞める理由を正確に把握することから始まります。退職が決まってから本音は出にくいため、在職中の定期面談や匿名アンケートで、不満・不安の兆候を早めにつかむ仕組みを作ります。退職時にも、責めずに理由を聞く面談を設けると、職場の課題が見えてきます。「なぜ辞めるのか分からない」状態のまま打ち手を考えても、的を外します。まずは情報が集まる仕組みを整えることが先決です。
面談を形式的なものにしないコツは、評価や査定とは切り離した場として位置づけることです。評価面談の延長で不満を聞こうとすると、看護師は「正直に言うと不利になるかもしれない」と警戒し、本音を出しません。年に数回、業務評価とは別に「困っていることはないか」「働き方で変えたいことはないか」を聞くだけの場を設けると、小さな不満が表面化しやすくなります。匿名アンケートを併用すれば、面と向かって言いにくい人間関係や負担の偏りも拾えます。集まった声は、件数や傾向として整理し、「どの不満が多いか」を可視化すると、次の打ち手の優先順位が決まります。一件一件に個別対応するのではなく、共通して挙がる課題に手をつけることが、限られた経営資源で効果を出す近道です。
ステップ2:負担と働き方の柔軟性を見直す
集まった声をもとに、夜勤回数・残業・休みの取りやすさといった負担と、短時間勤務や夜勤免除など働き方の柔軟性を見直します。すべてを一度に変える必要はありません。最も多く挙がった不満から手をつけます。たとえば「休みが取れない」が多いなら希望休の運用を、「夜勤がきつい」が多いなら夜勤回数の調整や多様な夜勤の導入を検討します。柔軟な働き方を用意できれば、ライフステージの変化で辞めざるを得なかった看護師を残せる可能性が高まります。
働き方の柔軟性は、特に出産・育児・介護といったライフイベントを迎える看護師の定着に直結します。看護師は女性が多く、結婚・出産を機に常勤を続けられず離職するケースが少なくありません。フルタイム・夜勤ありの一択しか用意していない職場では、こうした層がそのまま流出します。逆に、短時間勤務、夜勤免除、日勤のみといった選択肢を制度として整えておけば、一度ライフステージで働き方を変えても、職場に残り続けてもらえる可能性が高まります。経験豊富な看護師を、働き方の硬直性だけで失うのは経営上の損失です。負担の平準化と柔軟な働き方は、「辞めなくて済む選択肢」を増やす取り組みだと捉えると、優先度が見えてきます。
ステップ3:勤務環境の改善を継続的な仕組みにする
定着改善は一度きりの施策では続きません。勤務環境改善マネジメントシステム(PDCAを活用した継続的な改善の仕組み)のように、現状把握・改善・効果確認を回し続ける仕組みにすることが重要です。この取り組みは、後述する医療勤務環境改善支援センターの無料支援を使って進められます。継続することで、離職が減り、結果的に採用コストと現場負担が同時に下がっていきます。
自院で取り組めること
外部に頼る前に、院長・経営者の判断で進められる定着の取り組みがあります。
- 在職中の定期面談を設け、不満・不安を早めに把握する。退職が決まる前に兆候をつかむ。
- 退職時に、責めずに理由を聞く面談を行い、職場の課題として記録する。
- 中途採用者にフォロー担当をつけ、入職後3か月の孤立を防ぐ。経験者ほど手厚く受け入れる。
- 希望休の運用を見直し、休みが取りやすい仕組みにする。
- 夜勤回数の偏りをならし、特定の人に負担が集中しないようにする。
- 短時間勤務・夜勤免除など、ライフステージに合わせた働き方を用意する。
- 一人が辞めたとき、残ったスタッフの負担をすぐに軽くする手当て(応援体制・業務の見直し)を講じ、連鎖を止める。
これらの多くは、診療報酬や採用費とは別に、勤務環境とコミュニケーションの工夫で着手できます。特に「面談で本音を聞く仕組み」と「中途採用者のフォロー」は、費用をかけずに離職を減らせる領域です。ただし、勤務時間・休暇・残業代に関わる制度変更は、就業規則や労務との整合を社会保険労務士に確認しながら進めてください。
院長自身ができる定着策として見落とされがちなのが、日々のちょっとした声かけと、感謝を言葉にすることです。組織が小さいほど、トップである院長の態度が職場の空気を決めます。忙しさの中で看護師の働きが当たり前のものになり、ねぎらいの言葉が減っていないかを振り返ってみてください。「いつも助かっている」「あの対応は良かった」と具体的に伝えるだけで、相談しやすい雰囲気が生まれ、辞める前のサインを拾いやすくなります。制度や仕組みの整備と並行して、こうした関係性の積み重ねが、数字に表れにくいけれども確実に効く定着策になります。一方で、院長の意向だけが優先され、看護師の声が反映されない職場では、不満が静かに蓄積します。意思決定の前に現場の意見を聞くプロセスを一つ挟むだけでも、納得感は変わります。
外部の支援・専門家に頼れること
自院だけで解決しにくい部分は、公的な無料支援や専門家を活用できます。
医療勤務環境改善支援センター(各都道府県)
各都道府県に設置されている公的な支援機関で、医療労務管理アドバイザー(社会保険労務士)と医業経営アドバイザー(医業経営コンサルタント)が、勤務環境改善に取り組む医療機関の相談に専門的支援を無料で行います(出典:厚生労働省「いきいき働く医療機関サポートWeb」医療勤務環境改善支援センター)。離職防止・定着促進は、この制度が想定する主要な目的の一つです。勤務環境改善マネジメントシステムの導入支援も受けられます。
ナースセンター・eナースセンター
「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づく各都道府県のナースセンターは、無料の職業紹介に加え、離職した看護職への復職支援も行っています(出典:日本看護協会「ナースセンターとは」)。離職時等の届出制度「とどけるん」を通じて、潜在看護師の復職を支える仕組みもあります。定着支援と並行して、無料の採用経路として活用できます。
社会保険労務士・労働局
勤務時間・休暇・残業代・夜勤体制など、労務にまたがる個別判断は、社会保険労務士や労働局に相談するのが安全です。職場の制度を変える際は、就業規則との整合や法令遵守の確認が欠かせません。残業代の未払いや有給の取得拒否といった労務上の問題は、それ自体が離職の引き金になるため、制度の不備がないかを専門家と点検しておくことも、間接的な定着策になります。
相談先の整理
定着の立て直しは、課題の性質に応じて相談先を使い分けると進めやすくなります。勤務環境・定着の専門的な改善は医療勤務環境改善支援センター、復職・無料の採用経路はナースセンター・eナースセンター、労務・給与・残業代の個別判断は社会保険労務士・労働局、というように分けて考えると、自院だけで抱え込まずに済みます。看護師が職場のどこに不満を感じやすいか、辞める前にどんな本音を抱えているかを把握したいときは、はたらく看護師さんの相談ページも参考になります。
まとめ
看護師の離職には、避けにくい要因と、職場の条件次第で防げる要因が混在しています。日本看護協会の調査が示す通り、特に中途採用者の離職率は高く、即戦力として採った経験者ほど定着支援が手薄になりがちです。そして辞める理由は給与だけではなく、夜勤・残業・休み・人間関係・相談できない風土が複合的に絡みます。給与改善だけでは離職は止まりにくいのです。
定着率を上げるには、まず辞める理由を「聞ける」仕組みを作り、最も多い不満から負担と働き方を見直し、勤務環境の改善を継続的な仕組みにすることが重要です。これらの多くは費用をかけずに着手でき、医療勤務環境改善支援センターの無料支援も使えます。定着は離職を防ぐだけでなく、採用コストと現場負担、そして医療の質の安定を同時に支える経営課題です。穴の空いたバケツに水を足し続ける前に、まず穴をふさぐ視点を持つことが、職場の安定につながります。
完璧な職場を一度に作る必要はありません。在職中の面談を一つ始める、中途採用者にフォロー担当を一人つける、希望休の運用を一つ見直す——こうした小さな一歩の積み重ねが、辞めずに済む職場をつくります。看護師が「ここで働き続けたい」と思える条件は、特別な投資ではなく、日々の働きやすさと相談しやすさの中にあります。院長として、まずできることから着手してみてください。
よくある質問
看護師の離職率はどのくらいが普通ですか?
日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」では、2023年度の正規雇用看護職員の離職率は11.3%、新卒採用者8.8%、既卒採用者16.1%でした(出典:日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」結果)。自院の離職率をこの水準と比べることで、課題の大きさを把握できます。中途採用者の離職率が高い傾向は、定着支援を見直す手がかりになります。
採用した経験者ほどすぐ辞めるのはなぜですか?
経験者は「放っておいても大丈夫」と思われがちですが、前職とのやり方の違い、人間関係への入りにくさ、期待されるレベルの高さなどから孤立しやすい面があります。既卒採用者の離職率が新卒より高い実態とも合致します。中途採用者にもフォロー担当をつけ、入職後3か月の受け入れを手厚くすることが有効です。
給与を上げれば離職は止まりますか?
給与は要因の一つですが、それだけでは止まりにくいです。夜勤・残業の負担、休みの取りにくさ、人間関係、相談できない風土など複数の要因が重なって離職は起きます。給与改善と並行して、勤務環境やコミュニケーションの見直しが必要です。給与の見直しは社会保険労務士と相談しながら進めてください。
辞める本当の理由が分かりません。どうすればよいですか?
退職が決まってから本音は出にくいため、在職中の定期面談や匿名アンケートで早めに兆候をつかむ仕組みが有効です。退職時にも、責めずに理由を聞く面談を設け、職場の課題として記録します。情報が集まる仕組みを整えないまま打ち手を考えても、的を外しやすくなります。
一人辞めると連鎖的に辞めてしまいます。どうすればよいですか?
一人が辞めると残ったスタッフに負担が集中し、その負担が次の離職を招きます。連鎖を止めるには、欠員を埋めることと同時に、残っているスタッフの負担をすぐに軽くする応援体制や業務の見直しが必要です。負担の偏りをならすことが、連鎖の歯止めになります。
定着のために使える公的な支援はありますか?
あります。各都道府県の医療勤務環境改善支援センターでは、社会保険労務士・医業経営アドバイザーによる勤務環境改善の専門支援を無料で受けられます。離職防止・定着促進はこの制度の主要な目的です。あわせて、ナースセンターでは無料の職業紹介と復職支援を行っています。
紹介会社への手数料負担が重いです。減らす方法はありますか?
紹介会社経由の採用は手数料が発生し、早期離職が起きると負担が膨らみます。定着率を上げて離職そのものを減らすことが、結果的に手数料負担を下げます。あわせて、無料のナースセンター・eナースセンターを採用経路に加えることで、紹介会社への依存度を見直せます。手数料や契約の妥当性は労働局に相談できます。
看護師が職場に求めることを知りたいです。
看護師は給与だけでなく、夜勤回数・休みの取りやすさ・教育体制・相談できる人間関係を重視します。看護現場のリアルな悩みは、はたらく看護師さんの相談ページや、関連記事の看護師の離職率の見方が参考になります。
参考資料
次のアクション
看護師の離職に悩んだら、まず自院の離職率を新卒・中途別に把握し、辞める人が入職後どのくらいで辞めているかを確認してください。次に、在職中の面談や退職時面談で「辞める理由」を聞ける仕組みを整え、最も多い不満から負担と働き方を見直します。勤務環境の改善は医療勤務環境改善支援センターの無料支援を使い、復職・無料の採用経路はナースセンター・eナースセンター、労務・給与の個別判断は社会保険労務士や労働局に相談しましょう。看護師が辞める前に抱える本音を知りたいときは、はたらく看護師さんの相談ページもご活用ください。