ナースコールは三度鳴る
第1話
一本だけ、足りない
深夜1時17分。
Xで引用ナースステーションの電話が鳴った。三度、短く。けれど廊下のナースコール表示は、どこも光っていなかった。
Xで引用「また、鳴った」
Xで引用新人の真昼がつぶやくと、休憩室の隅からカンゴさんが顔を上げた。
Xで引用夜勤の怖さは、暗い廊下ではない。誰も見ていない時間に、自分だけが気づいてしまう小さな違和感だ。
Xで引用点滴台の横に、使ったはずのシリンジが一本だけ足りなかった。記録は合っている。残数も、ほとんど合っている。けれど「ほとんど」は、医療の現場ではいちばん怖い言葉だった。
Xで引用真昼は喉の奥が冷たくなるのを感じた。
Xで引用「私、確認しました。たぶん、しました」
Xで引用たぶん、と言った瞬間に、自分が信じられなくなる。記憶の中の自分が、少しずつ他人みたいになる。
Xで引用カンゴさんは責めなかった。机の上に金平糖をひとつ置いて、夜勤帯の動線を紙に描いた。誰が、いつ、どこにいたか。鳴ったはずのない電話が、なぜ三度だけ鳴ったのか。
Xで引用答えは、休憩室の入り口にあった。誰かが隠したのではない。廃棄箱の影に落ちていた一本を、疲れ切った全員が見落としていただけだった。
Xで引用悪意がないミスほど、言い出すのが怖い。誰も悪くないからこそ、最初に声を出す人が悪者みたいに見えてしまう。
Xで引用「インシデントレポートは、犯人の名前を書く紙やない。次の誰かを守るための、手紙や」Xで引用
真昼は、震える手で報告書を書いた。自分を守るためではなく、次の夜勤の誰かが、同じ冷たさを飲み込まなくてすむように。
Xで引用夜明け前、ナースコールはもう鳴らなかった。
Xで引用この物語に近い悩み、ありますか?
刺さった一文を、同じ夜勤明けの誰かへ。
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