夜勤文庫はたらく看護師さんの物語3
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夜勤明けの本音 シーズン1

1

からあげクンが、美味しかった夜

読了 約5完結(5話一挙)語り: カンゴさんフィクション

夜勤明けのコンビニは、少しだけ別世界みたいだ。

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出勤前の人たちが急いでコーヒーを買う横で、私は白衣のポケットに残ったメモを握ったまま、ホットスナックのケースを見つめていた。

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帰ったら寝るだけなのに、なぜか何かを買わないと帰れない朝がある。今日を終わらせるための、ちいさな儀式みたいに。

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からあげクンを買った。袋の中でまだ温かいそれを、駐輪場の端でひとつ食べた。

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美味しかった。

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その瞬間、なぜか涙が出た。患者さんの急変でも、先輩のきつい言葉でも泣かなかったのに、からあげクンが美味しくて泣いた。

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限界の日ほど、体は正直だ。悲しいより先に、お腹が空く。つらいより先に、温かいものが沁みる。

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後ろから、カンゴさんの声がした。

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「ええやん。ちゃんと美味しいって分かってる」

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振り向くと、カンゴさんは缶コーヒーを持って笑っていた。白衣のポケットから金平糖をひとつ出して、私の袋の横に置く。

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「美味しいって思えたんは、壊れてるからやない。明日も誰かのそばにおれるように、体が守ってくれてるんよ」Xで引用

私はもうひとつ食べた。朝の風は冷たかったけれど、指先だけは少し温かかった。

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読後の一歩

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